功山寺決起

青山繁晴事務所から自由民主党の党員になりました。(2020年)

日米の合同慰霊祭(2023/04/03)Ⅰ

2023-04-03 21:11:34 | On the Road
▼写真は、先日、硫黄島でおこなわれた日米の合同慰霊祭の始まりです。
 かつては、目を覆う悲惨な死闘を続けた日米が、ともに互いを讃えあい、永遠の友情を誓いあう。
 これは硫黄島以外に、世界にありません。

▼硫黄島の戦いとは何か。
 硫黄島は、第二次大戦の末期に、米軍が広島、長崎へ向かう爆撃機も含め拠点とした北マリワナ諸島と、東京の、ちょうど中間にあります。
 そして硫黄島は、東京都に属する島です。

 米軍は硫黄島を占領し、爆撃機の飛行場にして日本本土への爆撃を強化し、日本女性を皆殺しにして「もはや子孫が生まれない」という恐怖に日本が襲われ、降伏することを狙いました。
 それを察知した帝国陸軍の栗林忠通中将は、日本への爆撃を遅らせ、生き残った女性から子孫が生まれることだけを願って、2万1千人の同胞の帝国日本軍を指揮し、アメリカ軍と戦いました。


▼西暦1945年、昭和20年の2月から3月、前述のとおり戦争末期でしたから、日本の職業軍人はすでに大半が戦死していて、わずか1千人しか硫黄島の戦いに参戦できませんでした。残りの2万人は一般人の、ふつうの日本男性だったのです。
 子供が育ち盛りのひとも多かったことが、分かっています。
 その子供と奥さんを残して硫黄島に集められた日本人が、第二次大戦で唯一、日本軍の損害よりアメリカ軍の損害が上回る死闘、健闘を続けた末に、玉砕したのでした。

 ところが、故郷にご遺骨として戻れた英霊は、およそ半分のかたがただけです。
 おおむね1万人もの同胞が今も、灼熱の硫黄島に取り残されています。
英霊はいまも水を求めて渇きを訴えられています  硫黄島の今 その1

英霊はいまも水を求めて渇きを訴えられています  硫黄島の今 その1

青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

▼大戦で命を失った同胞のご遺骨は、海外にも多数、取り残されたままになっています。祖国のために戦った米国人のご遺骨は、ひとり残らず取り戻そうとするアメリカとはたいへんな違いです。
 なかでも、硫黄島は、最初に述べたとおり東京の島なんです。東京都小笠原村の島です。
 海外のご遺骨については、たとえば北朝鮮や中国のように、その国の政府と交渉するのが困難なケースもあります。
 しかしなぜ、東京の島のご遺骨を見つけられないのか。

 わたしは民間の専門家の時代からずっと、この問題に取り組んできました。
 わたしの活動をご存じのかたには、周知の事実であり、一方で多くの人はご存じないことです。
「ぼくらの祖国」、「ぼくらの死生観 英霊の渇く島に問う」という、硫黄島に関連する本も出していて、よく読まれました。
 現在のように『政治家の書いた本なんて、きっと、ろくでもない』という偏見を受けていませんから、「ぼくらの祖国」は22刷に達しました。
 ここではもう、詳しく述べません。何度も何度も話してきて、もう・・・今夜は正直に言わせてください、疲弊しています。
 申し訳ないですが、関心のあるかたは、上記の本を手に取ってみてください。宣伝じゃありません。日本の生まれ変わりを信じて、刻むように書いた本です。

 硫黄島をめぐる深刻な問題のなかでも、民間専門家の時代からずっと指摘し、奇怪な中傷誹謗も受けてきた『問題』があります。
 それは、英霊が滑走路の下で踏みつけにされているということです。
 わたしが、これを指摘し始めたときは、他にこれを言う人が居ませんでした。

 現在では、防衛省も、厚労省も、外務省も、そして自由民主党の議連、前述の栗林中将の孫である新藤義孝・元総務大臣が幹部を務め、わたしもいま参加している議連も、「島中を探し尽くしたから、1万人ものご遺骨は、滑走路の下にしかない」という結論で共通しています。
 滑走路の引き剥がしは、わたしに深く共鳴してくれた安倍総理の時代の試算でも、400億円から500億円、かかります。
 今後の工夫でこの試算は変えられる可能性もありますが、各省や議連が気にしているのは、海底火山島の先端である硫黄島、想像を超えた灼熱の島である硫黄島で、滑走路を引き剥がして、もはや80年近く前のご遺骨が無事に見つかるかどうかなのです。

 もしも、あまり見つからなかったら、納税者である国民に申し訳が立たないうえに、前述の奇怪な中傷誹謗をする勢力が大喜びで、新たな中傷の好材料にするでしょう。
 だから防衛省も、厚労省も、さらに外務省、それから財務省もみな、腰が引けているのです。
 新藤さんが頑張る議連も、長く取り組んできたわたしも、これら各省を懸命に説得していますが、「叩かれるのは困ります。中傷誹謗も理由なく襲ってきますから、怖いです」と、旧知の防衛官僚はわたしに正直に漏らしました。

 もう、やめませんか。
 おかしな中傷誹謗は。
 それも、英霊の帰郷を妨げている事情のひとつであることに、静かに考えを巡らせていただきたいと、願います。






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