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にゃりんたが行く

バツイチママの徒然草~思いのままに・・・
人生色々あるけど、今日も上を向いてがんばろっ♪

結婚生活・・・お返しのポリシー その3

2008年01月17日 16時58分31秒 | モラハラ
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表面上は仲直りをした形の私達でしたが、もう何事もなかったかのようにスッキリした顔をして、時折鼻歌なんかが出てくるくらい、機嫌の直ったKに対して、私はなんともスッキリしない気分でいつまでも モヤモヤした気持ちでいました。

こんな時に限ってKは下らない事を話しかけて来ては、私の様子を伺ってくるのです。

少しくらい静かにしておいてくれれば、もっと早く気持ちも切り替えられるのに、Kの問いかけに対して、モヤモヤした気持ちを押さえながらなるべく平然と答えなければならないのは、とても苦痛でした。

そんな時は、自分が本当に心の狭い人に思えて、ますます嫌な気持ちになりました。

Kは今度は少し離れたショッピング街まで車を走らせました。

駐車場に車を置いて、ショッピング街の中を歩き、少し大きなデパートにたどり着く間、Kは私の手を握り、黙って歩いていました。

私は自分の中のモヤモヤと戦いながら、デパートに着く間に ぼそぼそと話をしているうちに、少しずつ気分が落ち着いてきたのです。

そのデパートでも雑貨のフロアに向かうことにし、そのフロアにたどり着くと、Kは私から離れ、

「じゃあ、俺はあっちの方見てるから。適当に決めてくれよ。」

と言って、すたすたと離れて行ってしまいました。

(え?何?)

私は一瞬何を言われたのかわからなくなり、急いでKの後を追うと、

「何で?一緒に見ないの?」

と声を掛けました。

するとKはこちらを振り返って、

「だって、さっき『俺はもう口を出さない』って言ったろ?お前に任せるって。だから適当に・・・じゃなかった、選んで買ってくれよ。」

と言ったのです。

確かにKはそういいましたが、私はてっきり私が選んでいるのを一緒に見てくれるものとばかり思っていたのです。

でもKは私に1人で選べと言っていたのでした。

驚いた私は

「何で?一緒に選べばいいじゃない?私はそういう意味で言ったんじゃないよ?」

と訴えたのですが、Kは平然と

「だって好きなように選ばせてくれないなら、選ばないほうがいいから。」

と言ったのです。

本当ならそこで怒るべき状況なのですが、その言い方があまりにもあっさりと、堂々と、本気で言っているのがわかり、まるで予想もしなかった答えが返って来た時の様な気持ちでした。

そんな言葉にどう切り返していいのか迷ってしまい、言葉が止まってしまったのでした。

するとKは目の前で黙ってしまった私に

「じゃ、頼むよ。」

と言ってまたすたすたと歩き始めてしまいました。

私は何だか複雑な気持ちになっていました。

(何か違う・・・そういうことが言いたかったんじゃないのに。何でそうなっちゃうの???)

そう思い、私は再度Kを追いかけて行くと、

「ねぇ、そうじゃなくて、一緒に選べばいいじゃない。」

とKの背中に向かって言ったのです。

するとKは頭だけを私の方に向けて、笑顔で

「え~、嫌だよ。」

と言ったのでした。

そして立ち止まったかと思うとくるりと私の方に向き直り、

「つうか、しつけ~よ。俺は選ばないって言ったら選ばないから。」

と言って、ニヤリと笑ったのでした。

その表情の裏には、

(1人で選べるもんなら選んでみろ、その代わり変なものじゃないだろうな?)

という気持ちがこもっている気がしました。

私はそれ以上何も言うのはやめて、その場で立ち止まっていました。

(どうしよう・・・どうしよう・・・)

私はまたフルスピードで考え出しました。

本当ならKの言うとおり、任せると言われたのだから、自分の思った通りの物をさっさと買えばいいのですが、この時の私は

(何が何でもKと一緒に買わなければ・・・。)

という気持ちになってしまっていたのです。

必死に自分の気持ちをどう伝えたら一緒に選んでくれるのか、そればかりを考えていました。

そんなことをしているうちに、Kはどんどん1人で歩いて行ってしまい、何と下り方面のエスカレーターに乗って下の階へ降りようとしていたのです。

私ははっとなり、慌てて後を追いかけました。

私がエスカレーターにたどり着いた時には、Kはもう半分以上 下ったところに立っていました。

急いでエスカレーターを歩きながら

「K!」

と声を掛けると、Kは振り返り、驚いた様子で

「何してんだよ!」

と言ったのです。

同時にエスカレーターを降りると、Kは私に向かって、嫌な顔をしながら

「いい加減にしろよっ!お前がああだこうだ言うから、好きに選べって言ってんだろ?
何でも俺に聞くんじゃねぇ。それくらい自分でやれよっ!」


と強い口調で言ったのでした。

私は縮こまりながら

「でも・・・これはKのお返しだし。」

などと訳の分からないことを小声で言うしかありませんでした。

Kは、その場で腕組みをしながらチッと舌打ちし、

「お前さぁ、勢いよく俺に言う割には自分では何にも決められないんだろ?結局こういうのは俺が選ぶしかないんじゃんか。」

と言い、今度はため息をつきました。

そんなKを目の前に、私はもう どうしていいのか全然分からなくなっていました。

Kはそんな私に

「大体よぉ、お返しだって適当な物なんかじゃ相手に失礼なんだよ!こっちが真剣に選んで、そして贈った物じゃなきゃ、意味がないんだ!」

と、少々声を荒げたのでした。

「いや・・・そうじゃなくて・・・適当とかじゃなくて、無難に使える物がいいと思って・・・。」

私は何とか言い返そうとやっとの思いでそう言ったのですが、Kはふふんと鼻で笑いながら、

「無難なもんって、お前にとって良く使うものでも、相手にとってはそうじゃないんだよ。」

と言ったのでした。

そんな風に自信たっぷりに言われると、私はお返しをどんなものにしていいのか、全く思いつかず、そして何を選んでもKに

「こんなもんかよっ!!」

と言われてしまうのではないかと思い、自信が全くなくなっていました。

Kの言う通り、私は文句を言っているだけで、実際Kがいないと何も出来ない人なのかもしれない。

何故かそう思い込んでしまい、気持ちが萎縮してしまっていたのでした。








思った以上にやっぱり長くなってしまいました。

これを書いていると今でも思考がぐるぐると巡り、とても嫌な気持ちになります。

何だかどうしてもキーを打つ手が鈍り、なかなか更新できませんが、頑張って書き上げますので、出来たら応援お願いします 

                 
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結婚生活・・・お返しのポリシー その2

2008年01月10日 16時46分40秒 | モラハラ
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小さな時計売り場の片隅で、平日の人の少ない時間帯に小競り合いをしている私たち。

反対側にあった、これまた小さい眼鏡売り場の店員さんがこちらをちらちら見ていたのにも気がついていましたが、私もKもそんなことにはおかまいなしに にらみ合っていました。

私の言った言葉にしばらく間をおいてから、Kは再びふんっと鼻を鳴らし、

「じゃあ、お前が全部決めろよ。俺はもう何も言わないし、これからはお前の好きなようにしろよ!」

と捨て台詞を吐いて、その場からすたすたとエスカレーターの方へと歩いて行ってしまいました。

「ちょっと、待ってよっ!!」

Kのそんな言い方にカチンと来た私は、Kの後を追いかけ、後ろから腕をぐいっとつかみながら言いました。

Kはそんな私の腕を振り返りもせずに振り払うと、そのまままっすぐエスカレーターの方にずんずん向かって行ったのでした。

(ふざけんなっ!!)

本気で頭に来た私は、そのまま立ち止まり、エスカレーターと反対方向にあるエレベーターに向かって歩き出しました。

(信じられない!何考えてるんだろ!!)

あれだけ高額な入院費を払ったばかりで、そんなに余裕のある生活をしている訳ではないことくらい分かっているはずなのに、次々と信じられない事を言うKに呆れるやら腹が立つやらで、本気でこのまま電車で帰ってやろうと思った私は、エレベーターホールに着くと乱暴に下方面のボタンを押し、イライラしながらその場でエレベーターを待っていました。

2台あるエレベーターはちょうどすぐ下の階に同時に行ってしまったようで、そんな状況も私を更にイラ立たせました。

待っている間もおさまらない気持ちのまま、Kの言葉を思い出しては、また腹を立てていました。

・・・そしてようやくエレベーターが来ると、ドカドカと乗り込み、1階のボタンを押したのです。

階数表示をぼんやり眺めていると、ふと車の鍵やKの財布を自分が持っていることに気がついた私。

しかし、

(あんな訳分からない奴は、歩いて帰って来ればいい!)

という気持ちだったので、そのまま駅に向かって帰るつもりでいました。

表示が1階になり、扉が開き、私が一歩踏み出すと、何とKがそこにKがいたのです。

平然とした表情で扉の中央付近に立っていました。

私がKの顔を見ないようにして、その横を通り過ぎようとすると、すれ違いざまに腕をガシッとつかまれてしまいました。

無言で思い切り振り払おうとしましたが、Kの力が強く、その場でつかまってしまったのでした。

私は下からにらみ上げると、

「何?」

と低い声で言いました。

Kは私の腕をつかみ、黙ったまま、デパートを出てバスターミナルの近くまで引っ張って行きました。

軽く抵抗しながらKに引っ張られるようにして連れ出された私。

そして、外に出るとKは私の腕を離し、目の前で仁王立ちをしたのです。

私は無言でバッグから車の鍵とKの財布を取り出し、Kの胸の前に突き出してKをにらみつけました。

Kはじっとしたまま無言で私の顔を見ています。

しばらくそのままの格好でにらみ合うと、私は強引にKの手に鍵と財布をねじ込み、そのままくるっと向きを変えて、駅の方面へ歩き始めました。

するとようやくKが

「待てよっ!!」

と口を開いたのです。

私は聞こえない振りをしてそのまままっすぐずんずんと歩いていると、またKが後ろから追いかけて来て、私の前に立ちはだかりました。

そして私の両肩をつかむと、

「ちょっと待てよ!話してんだろ?」

と、いらだちを見せながら言ったのです。

「とにかく車に行こう。」

Kはそういうと私の腕をつかんで向きを変え、今度は駐車場の方に歩き始めました。

いくら平日で人が少ないとはいえ、そこは駅の近くのショッピング街。

そんなところでこのままケンカをしていたら、きっと大声で言い合うことになる。

そういう訳にも行かない・・・と興奮しながらもそう思った私は、黙ってKに引っ張られて一緒に駐車場に向かったのでした。

・・・広い広い駐車場に着くと、Kは車の鍵を開け、

「乗れよ。」

と私に言うと手を離し、助手席のドアを開けました。

黙って言うとおりに車に乗り込むと、私はムッとしたままどかっと座りました。

反対側のドアから運転席に座ったK。

そしてタバコに火をつけると、エンジンをかけました。

そしてゆっくりと

「わ~るかったよっ!」

と言ったのです。

しかし私はじっと押し黙ったまま、返事をしませんでした。

Kはタバコをふかしながらじっと前を向いています。

しばらくそんな状態でKはタバコをもみ消すと、そのまま車を走らせ始めました。

私は驚いて、思わず

「・・・どこ行くのよ?」

と聞いてしまいました。

Kはそんな私の問いを無視して、車を駐車場の入り口にある精算機の前に停めると、機械に駐車券を入れました。

再度

「・・・ねぇ、どこ行くの?」

と聞くと、Kはふてくされた言い方で

「別に・・・。」

と言い、黙々と車を走らせました。

(悪かったって言ったくせに、その態度はなんなのっ?!)

そう思ってカチンと来た私は、信号待ちで車が停まった瞬間、助手席のドアを開けて、車を降りようとしました。

さすがにKはそれに驚いたのか、慌てた素振りで

「ちょ・・・ちょっと何してんだよっ!!危ないから閉めろよっ!」

と、出て行こうとする私の腕をぐっとつかんで言ったのです。

私はKの顔を睨んで、

「1人で帰る。」

と言い、その手を振りほどこうとしました。

しかし、Kはぎゅっとつかんだまま、頑として離しませんでした。

そんなやり取りをしているうち、信号が変わりそうになり、Kは

「分かった、分かったから。これから家に帰るから。このまま乗っていてくれよ。ほら、走るからドア閉めてっ!!」

と言うので、私は仕方がなくドアを閉めて、腕を組み、ぶすっとしながら一言もしゃべりませんでした。

Kは車を走らせながら、途中ちらちらとこちらの方を見つつ、私の様子を伺っていましたが、それでも私は全く反応せず、じっとそのままの格好でどっかり座り込んでいました。

どうやらKは自宅アパートに戻るつもりのようでした。

いつも通る道をゆっくりと進み、アパートの前まで来ると、Kは建物の目の前の道路に車を停めました。

まだ黙ってムッとしている私に、Kは

「なぁ・・・悪かったって。もう機嫌直せよ。」

と、大きく体を私の方に向けて言ったのです。

私はそれでも黙っていました。

Kはタバコに火をつけると、少しだけウィンドーを開けて、外に向かって煙を深く吐くと、

「お前の勝手になんて言葉が悪かったけど、俺にはこういうのは向いてないんだな。だから、お前に任せるからさ、とにかく今日中に終わらせようぜ。」

と言いました。

そんなKの言葉を聞いてもどうにもおさまらない私でしたが、正直言って疲れてきてしまい、早くこんな状況から抜け出したい気分でした。

ここでもまた

(相手は謝っているし、いつまでも怒っているのは大人気ない)

という気持ちになり、しかたがなく静かにうなづいたのでした。

Kは心配そうにそんな私の様子を見ながら、

「じゃあ、もう1回一緒に買いに行ってくれる?」

と、やけにしおらしい声で言うので、私はもう一度黙って小さくうなづきました。

そんな私の様子にホッとした様子のKは、またまたゆっくりと車を走らせ始めたのでした。








何度も何度も同じ様なエピソードばかり・・・。

でも、こうして出先で激しいケンカもしていたのでした。

いつも自分が泣いてばかりではなく、言いたいことも言っていたと思っていたあの頃・・・。

話せば分かってくれると思っていました。

そんなお気楽なあの頃の私に応援クリックをっ

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結婚生活・・・お返しのポリシー その1

2008年01月07日 16時58分14秒 | モラハラ
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今までのエピソードはこちらから  目次 




私が支度をしたり戸締りをしている間、Kは先に駐車場に行き、エンジンを掛けた後、久しぶりに自分の車を嬉しそうに眺めながらタバコを吸っていたようでした。

入院している間、しばらくエンジンを掛けられないからと、2~3日に1回はエンジンを掛けてくれと頼まれていた私はその通りに実行していました。

車の事はさっぱり分からないのですが、頼まれた時は本当に車を大事にしているんだなぁと感じていた私。

高い買い物だったけれど、Kが嬉しそうに車を眺めているのを見て、私も嬉しい気持ちになっていたのでした。

とにかく思い立ったらすぐにでも出発しないと気が済まないKなので、慌てて戸締りをし、駐車場まで走っていくと、もう既に運転席に座り、ニコニコと待っていました。

助手席のドアを開け、荷物を席の上に置くと、Kがその荷物を後部座席へ置いてくれました。

私にとっても久しぶりの車での外出です。

そして車は静かに発進したのでした。






着いた先は近くにあるショッピング街。

デパートなどもあり、Kと買い物に行く時は大体ここを利用していたのです。

いつも停める駐車場に車を停め、2人で腕を組んでお店に向かうと、Kはご機嫌でいつもより増してぺらぺらとしゃべっていました。

デパートに着き、何となく雑貨のフロアに行って、早速お返しの品を選び始めました。

Kが置いてある商品に目をやりながら

「どんなものがいいと思う?」

と聞くので、

「そうだね・・・大体頂いたものの半額くらいのものでいいんだから、無難にタオルとかそんなんでいいんじゃないの?」

と言うと、Kはつまらなそうに

「タオルかぁ・・・。お前はいつもお返しの時はタオルって言うけど、なんか芸がないよな。タオルなんて邪魔になるだけだろ?」

といい、その辺にある置物を手にとって眺めていました。

「邪魔じゃないでしょ?タオルって結構使うし。」

ちょっとムッとしながら言うと、Kは

「写真たてなんかどうかな?家族の写真とか飾っておかない家ってないだろうし。」

といい、近くにあった写真たてを手にとって物色し始めました。

(は?写真たてこそ使わない家だってあるんじゃないの?)

私は内心ため息をつきながらそう思っていました。

お見舞いを頂いたのは全部で7軒程度。

頂いた物もお金から物まで様々でしたが、その全ての人にお返しをするつもりでいた私達。

確かに頂いた人の心を考えて、丁寧にお返しをしたいと考えるKの気持ちはわかりますが、予算もある訳ですし、何が喜ばれるかなどは難しいところもあり、無難なところで決めるのがいいのではないかと私は考えていました。

しかし、Kは違っていました。

私が返事もせずにいると、歩きながら次は和風の置物なんかを手にし、

「会社の先輩は2人は雑誌を数冊もらっただろ?値段にすると●●円くらいと●●円くらいか。」

とKは ぶつぶつ言い、色々見ています。

私はその後を曇った気持ちでついていきました。

Kはしばらく1人で雑貨のコーナーをあれこれ見ていたかと思うと、黙って後を付いて来ている私に向かって、ムッとしながら

「なぁ、お前もちゃんと考えろよ!!」

と言ったのでした。

(何なのよ・・・私の言うことなんて全然聞かないくせに。)

私は心の中でそう思ったのですが、かと言ってどんなものがいいかなど思いつかず、

「う~ん。」

と言ったままその辺りにあったものを適当に見る振りをしていました。

そんなやり取りを繰り返しながらそのフロアをふらふらと巡っていると、隅のほうに小さく時計が置いてあるコーナーがありました。

Kはそこに入って行くと、置時計が沢山置いてある場所の前に立って、顔をぱぁっと明るくさせたかと思うと、

「なぁ、時計なんてどうだ?」

と私に向かって言ったのです。

(Kのあの表情、ここで何か否定的なことを言ったらまた機嫌が悪くなってしまうかも・・・。)

とっさにそんなことを思いながら、

「うん、いいんじゃない?」

と、簡単に答えると、Kはニコニコしながら、

「じゃあ、選ぼうぜ。」

と言いながら、私を手招きしました。

しかし、私がKに近づくと、Kは並んでいる時計を眺めながら、徐々に移動し、そのうち腕時計のコーナーのほうにまで歩いて行ってしまったのです。

(え?置時計を買うんじゃないの?)

私はてっきり置時計を一緒に選ぶのかと思っていたので、Kが何を考えているのか分からなくなってしまいました。

「ねぇ!」

黙って見ていると どんどん違う方向に行ってしまいそうなKに向かって私は思わず呼び止めると、置時計を指差して

「これを選ぶんじゃないの?」

と言いました。

Kは私の方をちらっと振り返ると、

「ああ・・・お前はそれを選んでくれよ。」

と言い、またきょろきょろしながらショーケースに入った腕時計を眺めていました。

私はKに近づくと、

「ちょっとよく分からないんだけど?頂いた人全部に置時計を返すつもりじゃないの?」

とKの腕をひっぱりながら言ったのですが、Kは平然と

「何言ってんだよ?その中でよさそうなのがあったら、誰かにやればいいだろ?そうだ、お前んとこの実家はそれでいいだろ?」

と言ったのでした。

私はますます言ってることが分からなくなってしまい、その場で戸惑っていると、Kは私の腕を引っ張って、懐中時計のコーナーに連れて行きました。

そして、その中のひとつを指差して

「なぁ△△先輩にはこれなんかどうかな?」

と、ニコニコ言ったのです。

それは至ってシンプルな懐中時計でしたが、私は値段を見てぎょっとしてしまいました。

先輩がお見舞いとしてくれたのは雑誌数冊。

その何倍もの値段の懐中時計なのです。

それを平然とお返ししようとしているK。

そんなKの腕を今度は私が引っ張って、時計のコーナーの外に出ると、

「ねぇ・・・お返しってさ、通常頂いたものの半額くらいが妥当でしょ?先輩には雑誌しかもらってないのに、なんであんな高価なものを返すの?!」

と興奮気味に訴えました。

するとそんな私とは裏腹に冷ややかな表情で、Kは静かに

「お前さぁ、△△先輩には俺が一番会社で世話になってる先輩だろ?
それなのに適当なものなんて返せるかよ。
ここで恩を売っておかないとよ、俺の立場だってあるだろ?」


と言い、私を見下したようにふんっと鼻を鳴らしたのです。

私はそんなKの態度に呆れるやら腹が立つやらで、ますます興奮してしまいました。

「普段 世話になってるからって、いくらなんでも雑誌のお返しに懐中時計だなんて、もらった方も驚くでしょ?普通。
それにそんなことで恩を売ったって、何の役にもたたないでしょ?
第一、そんなお金かけてどうするの?お返しに頂いた分の何倍もの値段のものを返すなんて聞いたことないよ。」


私がまくし立てるように言うと、Kはムッとし始めたのでした。







いつものようにこのエピソードもだらだら続きます。

もう先が読めたかな・・・?

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Kの退院 「下」

2007年12月20日 21時29分15秒 | モラハラ
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「怒んなくたってって・・・。」

私はKの言葉で更にカーッと頭に血が上ってしまいました。

(誰のせいでこんな風に腹が立ってると思ってんだよっ!!)

そう心の中で思い、それを口に出そうとした瞬間、Kのほうが先に

「だから悪かったって言ってんだろ?
でも、実はちょっと痛かったんだよな、傷口が。あんまり歩く自信もなかったしさ。だから仕方ないだろ?」


と平然と言ったのです。

(痛かった???)

私はそれを聞いて、それまでの勢いが失せてしまい、どう返したらいいのか迷いながら

「でも・・・だったら一言そう言ってくれれば良かったじゃない。」

と、言うことしか出来なかったのでした。

Kは にやりとしながら、

「だから悪かったって。」

と言い、タバコを灰皿でもみ消すと、ぽつりと

「本当ならこういう時はさ、誰かが車で迎えに来てくれるといいんだけど、うちはそんなこと頼めないだろ?」

と言ったのです。

私は以前からペーパードライバーだということを気にしていました。

なので、Kのこの言葉にとてもショックを受けてしまいました。

「そうだよね・・・私が運転出来てたらタクシーなんかで帰ることもなかったんだよね。」

と小声で口に出すと、私は自分の言葉に更にショックを受けてしまったのです。

するとKは急に優しい声で

「にゃりんた、違うよ~。お前は運転なんてしなくていいって言ったのは俺なんだからさ。気にするな。」

と言ってうつむく私の頭をなでたのです。

私はショックながらも、何か話しの流れに理不尽さを感じていましたが、それをどう表していいのか分からなくなっていました。

元々私が運転できていたら、タクシーなどに乗らなくて済んでいた・・・ということは私のせいなんだと考えてしまったのです。

そんな風に落ち込む私に、Kはニコニコしながら

「なぁ、腹が減ったよな。」

と言ったのです。

確かに気がつくともうお昼を回っている時間でした。

朝バタバタしていたせいでお昼のことまで気が回っていなかった私は、はっとなり

「ごめん・・・ご飯の支度のことすっかり忘れてた・・・。」

と立ち上がりかけると、Kは穏やかな表情で、

「いいよ、いいよ、お前だって朝から大変だったんだ。
何かとればいいだろ?
そうだ、とんかつが食いたいなぁ。メニューあったろ?」


と言い、立ち上がって居間にメニューを取りに行きました。

「え?でもとんかつなんて油っこいもの、退院してすぐに食べていいの?刺激のあるものとか食べちゃだめなんでしょ?」

私は居間にいるKに向かってそう語りかけると、とんかつ屋のメニューを手にしながら戻ってきたKは、再びいすに座りながら

「平気だろ?刺激物じゃなければ。何てったって病院食ばかりで本当に飽きてたんだから、とんかつくらい食べたいよ。」

と言ってメニューを眺め始めました。

私は正直言って食事の支度をする気力がなくなっていたので、しないで済んだことに、内心はホッとしていたのでした。

そして私達は思い思いのメニューを頼み、2人だけのささやかな退院祝いをしたのでした。






入院している期間を含めて1ヶ月のお休みをもらっていたので、退院してもゆっくり出来ることと、久しぶりの自宅アパートでの睡眠だったせいか、翌日はいつもの休日よりも更に遅く起きて来たK。

やはりゆっくり目に起きてのんびり家事をしていた私の元にやってきて、上機嫌で

「おはよ~っ♪」

と、まとわりついてきたのでした。

私もKがようやく帰って来てくれた事を実感し、家事の手を止めてKに抱きついて

「おはよ~♪」

と言ったのでした。

そして、居間でテレビを観始めたKにコーヒーを入れてあげると、その側にぴったり座って一緒にテレビを観始めました。

しかし、部屋を見渡すとKが入院する前とほぼ変わっていない状態の部屋が目に飛び込んで来るのです。

私は何となく焦ってしまい、Kに

「今日からちょこっとずつ片付けしたいんだけどいいかな?何日間かは家で大人しくしてるでしょ?その間に掃除するから・・・。」

と言って、立ち上がろうとしました。

しかし、Kはそんな私の腕をさっとつかんで座らせると

「どこ行くんだよ?」

と言ったのです。

そして、

「掃除なんてしなくていいよ。どうせ年末しなきゃいけないんだし。それより今日はお見舞いのお返し、買いに行こうぜ♪」

とウキウキしながら言ったのでした。

「え・・・でもしばらくは安静じゃないの?そんなに長く外にはいけないでしょ?」

そう問いかけると、Kはニッコリ笑って

「いやぁこういう面倒なことは先にやっておきたいんだよ。やらなきゃなんないことは先に全部やって、後でゆっくりしたいんだ。」

と言ったのです。

これはKの口癖でした。

「でも・・・せっかくやる気になっているし、出来れば掃除したいんだけど・・・。」

私はKの顔を見上げながらそう言ってみたのです。

するとKは

「だからさ、掃除なんて年末でいいって言ってんだろ?気にするなって。お前がいつも頑張ってることは俺が一番よく分かってるし、俺がいいって言ってるんだからいいだろ?」

と言ってにっこり笑い、

「気分転換もしたいし、とにかく外に出たいんだよ。運転だって長い時間じゃなければ出来るし、大丈夫だから、な?」

と私に向かって手を合わせるポーズをしたのです。

こうなったらどう言っても絶対に出かけることになるので、私はあきらめて支度をすることにしたのでした。








結局なんだかんだと上手く丸め込まれてしまい、言ってやろうという気持ちをそがれてしまいました。

当時の自分・・・K以上にイタイです。





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Kの退院 「上」

2007年12月17日 16時48分32秒 | モラハラ
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退院はKにとって11日ぶりの外出でした。

直前に入院していた私は自分がようやく退院して外に出られた時の何ともいえない気持ちを思い出し、きっとKも同じ気持ちだろうと思っていました。

Kは病院の玄関を出ると、大きくう~んと伸びをして、

「はぁ~気持ち良いなぁ~。」

と笑いました。

私はそれまでぢという病気をおじさん臭い病気とバカにして軽く考えていました。

しかし、入院して手術をしなければならない程、症状が重くなってしまうこともあるんだと知り、そしてその大変さを身近で体験して、それ以来そんな考えは全くなくなりました。

伸びをした後、何事もなかったかのように普通に歩いているKの後姿を見て、元気になって良かったと改めてホッとした私。

紙袋に詰めた荷物を持ち、私も後を追いかけて行きました。




少し大きい道路まで出ると、Kは立ち止まり、

「なぁ、タクシー拾おうぜ。」

と言いました。

「え??タクシ~???」

私は驚いて聞き返しました。

実は病室で退院後の諸注意を看護婦さんにしてもらっている時に、Kが突然

「今日はまだ電車で帰るのはやめたほうがいいよねぇ?」

と聞いたのです。

看護婦さんは驚いた様子で、

「いえいえ、大丈夫ですよ?大体退院の時には電車で帰られる方もいらっしゃいますから。」

と、言ったのです。

Kはその時つまらなそうな顔をして

「ええ~こんな日に電車で帰るの???」

と言っていましたが、私は内心ホッとしていました。

というのも、病院から自宅までは車で帰ると1時間近くは掛かる距離。

逆に電車の時間を考慮すれば、そちらのほうが早く着くのです。

そんな距離をタクシーで帰るとなると、かなりお金も掛かってしまう・・・。

そのくらいKも承知していると思っていました。

なので、看護婦さんの話を聞いて あきらめてくれていると思っていました。

しかし、そうではなかったのです。

車のやってくる方向を向いて、タクシーが来たら今にも手を上げて停めてしまいそうなKに向かって、私は急いで

「ちょっと待って!荷物も少ないし、電車で帰ろうよ。看護婦さんだって、電車で帰って大丈夫って言ってたじゃない?」

と言いました。

けれどKはそんな私の言葉に

「ええ~っ、電車で帰るのなんか、嫌だよ。」

と言い、眉間にしわを寄せて嫌な顔をしたのです。

そして、

「こんな日くらい、タクシーで帰ったっていいじゃねぇか。」

と言ったのです。

普段ならそのくらいの贅沢はさせてあげてもいいかな?と考えてしまう私。

でも、高額な入院費を払ったばかりの私にはそれがどうしても許せませんでした。

私は紙袋を握り締めたまま、Kをにらみつけて

「言いたくないけど、この入院にどれだけのお金が掛かってると思ってるの?!これくらいって言うけど、少しはそういうことも考えてくれたっていいんじゃないのっ!!」

と早口でまくしたてました。

Kはそんな私にますます眉間にしわをよせて

「いいじゃねぇかよ。久しぶりに外に出れたんだから。ずっと窮屈な思いしてきたんだからよ。」

と言って、有無を言わさずタクシーを停めてしまったのでした。

「ちょっとっ!!」

私が叫ぶように言うと、Kは私の方を振り返り、

「何だよっ!!俺の小遣いから引いとけばいいだろっ!!早く乗れよ!」

と言って鋭い目つきで睨んだのでした。

(何考えてんのっ!!信じられないっ!)

そうは思っても、もうタクシーは既に目の前に停まり、ドアは開いています。

仕方がなく私が渋々先に乗り込むと、Kは続いて乗り込み、運転手さんに行き先を告げました。

私は何も考えていないKに本当に腹が立ちました。

お金のことは私任せで、一切触れようとしないK。

しかし、さすがにさっきまで個室に入院し、支払いをしたのを目の前で見ているのですから、お金がかかっていることは分かっているはずなのです。

なのに、こうしてお金がかかることを平気でするKに、呆れるやら腹が立つやらで、私はタクシーに乗って自宅に着くまでの間、一切口を聞きませんでした。

そしてKの方も私の言い方に腹が立ったのか、むすっとした顔で腕組みをしたまま、やはり一言も話をしませんでした。

気まずい空気が流れる中、静かにタクシーは進んで行き、とうとう自宅アパートの前にたどり着きました。

Kはタクシーが停まると無言で外に出て行きました。

私はため息をつくと、運転手さんに料金を支払い、荷物を持ってタクシーから降りました。

玄関の前まで行くとKがそっぽを向いたまま突っ立っているので、私は荷物を一旦下に置き、ガチャガチャと鍵を開けて中に入りました。

そして私の後に続いてKが中に入って来ました。

私が靴を脱いで上がると、Kは比較的穏やかな口調で

「・・・ああ、久しぶりだな。やっぱり家が一番だな。」

とつぶやき、いつものように玄関から真っ先に居間のこたつに向かい、テレビをつけてしゃがむと、恐る恐るといった感じでゆっくり座りました。

私は

(なんでケロッとしてるの???)

と、怒りのおさまらない気持ちでいました。

いつもならKの側に行き、おめでとうの言葉のひとつでも掛けているところですが、私はそのまま持って帰ってきた荷物を広げ、片付け始めました。

Kはしばらくじっとテレビを観ていましたが、そのうち

「お~い、にゃりんた~。」

と私のことを呼んだのです。

「なに?」

私が片付けの手を止めず、短く返事をすると、Kがゆっくりキッチンの方へと歩いて来ました。

そしてダイニングの自分の席にゆっくり座ると、

「なぁ、まだ怒ってんの?」

と言ったのです。

私は無言で洗い物をしたり、洗濯機に近付いて洗濯物を放り込み、スタートボタンを押したりと くるくる動いていました。

そんな私の様子を見ていたKは

「なぁ、悪かったって。」

と私の顔を覗き込む様にして言いました。

私は作業の手を止めて渋々Kのいるダイニングのいすに腰掛けました。

するとKは私に、

「そんな怒んなくたっていいだろ?」

と言って、タバコを取り出し、テーブルにフィルターを下にしてトントンと落とした後、火をつけました。

私はKのお気楽さにますますカーッとなり、今日こそは言ってやろうという気持ちになり、

「怒んなくたってって・・・。」

と切り出したのでした。






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Kの入院 *VOL.17*

2007年12月11日 11時44分05秒 | モラハラ
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いよいよ退院の日がやってきました。

入院した時と同様、退院の時間が午前中だったので、それに間に合うように病院に向かわなければなりませんでした。

電車に乗る前に、いつも利用している銀行のATMで貯金を下ろし、そしてお世話になった先生や看護婦さんへの御礼の菓子折り、またKに頼まれていたものなどを駅前のお店の開店時間を待って急いで見繕い、慌ててホームへと向かったのです。

ちょうど滑り込んで来た電車はラッシュの時間を過ぎたというのに混雑していて、私は強引に乗り込むと小さくため息をつきました。




前日の帰りに私は看護婦さんに呼び止められ、翌日支払う入院費の請求書を渡されていました。

恐る恐る渡された用紙をのぞいて見ると、私はひっくり返りそうになってしまいました。

個室に入院していたのですから、ある程度の金額は覚悟していたものの、実際目の当たりにする金額は、予想を上回る 凄い金額だったのです。

手術もして、入院も延びたのですから当然といえば当然だったのですが、直前には私が流産で入院していたこともあり、我が家の貯金は一気に減ってしまうことになるのでした。

(この先だってこういう事があるだろうから、貯金はなるべく遣わないように生活しなければ・・・。)

私は流れる風景をぼ~っと見ながら、そう考えていたのでした。





予定より少し遅く病院に着いた私は、急いで病室へと向かいました。

両手に荷物を持ち、息を切らせながら病室に飛び込むと、Kは久しぶりの私服姿でソファに座り、テレビを観ていました。

「遅くなってごめんね。」

私が声を掛けると、Kは私の顔をちらっと見て小さく

「ああ・・・。」

と返事をしてそのままテレビに観入っていました。

一瞬

(遅くなったから怒ってるかな?)

という考えがどうしてもよぎってしまう私。

しかし、しばらくするとノックと共に病室の扉が開き、

「Kさん、退院ですね、おめでとうございます。今から退院後の諸注意をお話しますね。」

と言って看護婦さんが現れたので、私はさっと看護婦さんに近付いて行きました。

そして、何も聞き漏らすことがないよう、必死に耳を傾けました。

その間、Kもうなづきながら真剣に話を聞いていました。

その説明が終わった後、私たちは荷物を持って病室を出ることになりました。

12日も過ごした部屋だからか、Kは病室を出る瞬間、振り返って

「思ったより快適だったな。」

とつぶやいたのでした。





会計窓口で少し待たされた後、清算を済ませ、私たちは再び診察室のある階へ戻って行きました。

お世話になった担当の先生に御礼の挨拶をしたかったからなのです。

看護婦さんにそのことを伝えると、忙しい診察の間をぬって先生は出て来て下さり、無事に挨拶を済ませることが出来ました。

そして、今度は病室のある階のナースステーションに挨拶に行き、最後に喫煙コーナーへと向かいました。

エレベーターのドアが開くと、正面に見える喫煙コーナーにはいつもと同じような顔ぶれの人たちが楽しそうに話をしているのが見えました。

しかし、

「・・・山村さんがいないなぁ。」

と、Kは喫煙コーナーの中をじっと見つめながらつぶやきました。

そして、ゆっくりと中に入って行ったのです。

私達に気がついた女性患者さんが

「あら、もう退院なの?」

と声を掛けてくれると、Kはニコニコしながら

「また通院の時にでも顔を出します。」

などと言って挨拶をし、喫煙コーナーを後にしました。

まっすぐエレベーターに向かおうとするKを呼び止めた私は

「ねぇ、山村さんはどうするの?」

と声を掛けたのです。

その日、私はKに頼まれて山村さんにタバコを買って来ていたのでした。

山村さんはKが吸っている銘柄のタバコをあげた時にえらく気に入ってくれたようで、それに気を良くしたKは山村さんに自分の吸っている銘柄のタバコを今まで仲良くしてくれたお礼に渡したかったようなのです。

(せっかく買ってきたのに渡しに行かないのかな?)

そう思い、Kの背中に向かってそう問いかけたのですが、Kはエレベーターの上の表示ランプを見つめたまま

「だっていないんじゃ仕方ないだろ?」

とぶっきらぼうに言ったのでした。

私は

「ここにいないなら部屋に行けば良いじゃない。何階なの?」

と訪ねると、

「ああ・・・?しらねぇよ。」

とKは面倒くさそうに言ったのでした。

(ええ?あんなに仲よさそうにしてたのに、部屋の番号も知らないの??)

ちょうどその時エレベーターの扉が開いたのですが、私は

「ちょっと待ってて、誰かに聞いてくる!」

と言って喫煙コーナーに走って行き、中にいる人に

「すいません・・・いつもここにいらした山村さんのお部屋番号をご存知だったら教えていただきたいんですが・・・。」

と尋ねたのです。

すると、たまたま同室の人がいて番号を教えてくれたのでした。

急いでエレベーターまで戻ると、Kが閉まった扉の前で腕組みをしながら険しい顔でこちらを向いていました。

「●階の●●●号室らしいよ。」

私がそう言いながら下のボタンを押すと、Kは小さい声で

「別に・・・わざわざ聞いてこなくても良かったのに。」

と言ったのです。

私はせっかくKが仲良くなり、タバコまで用意して来ていたのに会わずに帰るのも寂しいのではないかとKの気持ちを考慮したつもりでしたが、余計なことだったのかとガッカリしてしまいました。

そのままエレベーターが来ると、Kは腕組みしたまま先に乗り込み、奥の方に進むとくるっと向きを変え、ムッとした顔をしてじっとしていました。

私は行き先ボタンの前に立ち、しばらく立ち尽くしていました。

直前の言葉からするとそのまま帰るつもりなのか・・・でも部屋番号を聞いた以上は部屋に向かうつもりなのか、Kの考えが全く分からずに迷ってしまったのです。

すると、行き先ボタンを押さないうちに扉が閉まってしまいました。

私はKの方を向いて、

「どうするの?」

と小声で聞いてみました。

Kはイライラしたような顔で、

「なんだよ、(部屋に)行くつもりで聞いてきたんだろ??押せばいいじゃねぇか!」

と言ったのです。

私はその言葉を聞いて、ようやく階数のボタンを押したのでした。





山村さんの病室のある階に降り立つと、私は先に進んで部屋を探し出しました。

そのフロアはKの病室があったフロアとは全く違い、ざわざわとしていて常に患者さんが廊下に歩いているような状態でした。

山村さんのいる病室は比較的簡単に見つかりました。

私はKに

「ここみたい。」

と告げると、Kはさっきまでの険しい表情は消え、穏やかに笑って私の方に手を差し出しました。

私は買ってきたタバコを手渡すと、そのまま病室の入り口で待っていました。

しばらくするとKがニコニコしながら病室を出てきて私を呼ぶので、私も中に入って山村さんに挨拶をしました。

山村さんは私たちに

「いつまでも仲良くしてくださいね。本当に微笑ましいご夫婦だから。」

と言って下さり、Kも嬉しそうに笑っていました。

そんな笑顔を見て、私は少しだけホッとしたのでした。







はぁ~、Kが一体どうしたいのか全然見当がつきませんでしたね。

こうして書いていると本当に色々思い出します。

そういう気分になっている時に下書きしなきゃっ

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Kの入院 *VOL.16*

2007年12月03日 17時40分29秒 | モラハラ
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いよいよKの退院の日の前日になりました。

その日の朝の診察でも問題はなく、順調に回復していたのですが、Kの状態は同じ病気をした人の中でもひどいほうだったようで、今後の生活に多少支障が出るかもしれないと言われていました。

そして、再発の可能性もあることを告げられたのです。

そのことにひどく落ち込んでいたK。

でもとりあえずはこれで退院できるのだからと、私は必死に慰め、何とか元気を出してもらおうとしました。

12日間の入院生活の中で、喫煙コーナーでいつも顔を合わせる人たちと最初は溶け込めなかったものの、退院間際には親しい人も出てきたK。

さすがに前日ともなると、

「なんだか寂しいなぁ~。」

と言うようになりました。

その日、一緒に喫煙コーナーに行くと、そこの人たちはKが翌日退院だということを既に知っていて、

「いよいよだね、おめでとう!」

と声を掛けてくれていました。

Kが入院している間にも新しい人が増えていたり、また先に退院された方もいて、日に日にお会いするメンバーが変わってはいましたが、大部屋のヌシとおっしゃっていた山村さんは相変わらずそこに寝転んで、ニコニコとしていました。

山村さんはとても穏やかな人で、とても優しく、Kにとっては一番信頼できる人のようでした。

ちょうど年末年始の話題が出ていて、一時外泊が出来る山村さんを囲んで、箱根辺りで忘年会をしようと盛り上がっていたようで、山村さんはKにも

「Kさんも是非!」

などと誘ってくれていたのでした。

Kも珍しく山村さんには自分から携帯と家の電話番号を教え、

「いつでも電話をしてくださいね。」

と本気で言っていました。

そして、病室に戻るとKはまた暗い顔をし始めました。

コロコロ変わるKの機嫌に様子を伺いつつ、

「どうかした?大丈夫?」

と声をかけながら、私は退院のための荷物の整理をしていました。

するとKは独り言のように

「はぁ~いよいよ退院だな。入院って窮屈で退屈で不便だけど、ここにいる間は会社の事を考えなくても済んでたのになぁ。」

と言って、ため息をつきました。

私はそんなKに

「でもまだ半月以上お休みがあるじゃない。」

と言うと、無言でテレビのラックから しまっておいたビデオテープの山を取り出してバッグにしまいこみました。

すると、Kはベッドに寝転んだまま、

「なに言ってんだよ、後半月しか休みがないんだぜ?
・・・ここにいる間はまだ退院しても休みがあるって思えたけど、退院しちまったらもうあと休みが何日減っていくかしか考えらんないだろ?」


と言って、また ため息をつきました。

私はくすっと笑って

「まだ何日休みがあるって考えたらいいじゃない。」

と言うと、Kはひときわ大きいため息をわざとらしく吐いたかと思うと、

「お前はいいよなぁ。あんな会社に行かなくていいんだもんなぁ。
俺だって行かなくて良いならそんな風に考えねぇよ。」


と言って、最後にまた ため息をつきました。

私はそれ以上何か言ってKの機嫌を損ねてもいけないと思い、Kのその言い方に内心ムッとしつつも、話題を変えようと考え始めました。

そして、

「そういえば・・・さっき上で山村さんたちが箱根の話をしてたけど・・・。誘われたらどうするの?」

と、喫煙コーナーでの話を思い出し、Kに振ってみると、

「ああ・・・あれな。なんか山村さんは誘ってくれたけど、どうなんだろうな?まぁ連絡があったら顔くらいは出しても良いかなとは思ってるけど。」

と、まんざらでもなさそうに答えたのでした。

そしてその後、私が作業をしている間中、Kは入院中の話をずっと1人でしゃべっていたのでした。






その日、私は帰りの電車の中で、

(もうこの時間にこの電車に乗ることもないんだなぁ・・・。)

とぼんやり考えていました。

特に何かをしていた訳ではなかったのですが、毎日続けて病院を往復していたことは思った以上に疲れることでした。

少し前まで毎日会社に行っていたことが嘘のようで、改めて

(私には家のことと仕事の両立はやっぱり出来ないんだなぁ~。)

と考えたのです。

そして、その瞬間ず~んと重い気持ちになってしまいました。

電車を降り、駅からアパートまでの道のりを歩いていると、その気持ちはどんどん大きくなっていくのでした。

そう、私は結局家の掃除が出来ないままだったのです。

そのことが気になっていた私は、昼間さりげなくKに

「実は大掃除をしようと思ってたんだけど、結局出来なかったの。本当にごめんなさい。」

と謝ったのです。

するとKはそんな私に

「何言ってんだよ・・・。毎日毎日病院に通ってきてんだから、しょうがないだろ?そんなの俺が退院してからでもいくらでも出来るだろ?だから気にすんなよ!」

と言ってニッコリ笑ってくれたのです。

その笑顔に少し救われた私でしたが、やはり出来なかったという事実を目の当たりにしてしまうと、気持ちが重くなっていくのでした。

しかし、どこかで

(でも・・・Kもああ言ってくれたんだし・・・。)

という気持ちになっていたせいか、結局はその日もアパートに着くと、どっと疲れてしまい、あっという間に眠りについてしまったのでした。






今日は短めですみません

さっき一生懸命書いた下書きをまたうっかり消してしまって、気分がサゲサゲです。

次回はいよいよ退院です。

更新頑張りますので、こちらも是非っ 

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Kの入院 *VOL.15*

2007年11月28日 17時42分46秒 | モラハラ
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(Kの入院が延びた・・・)

いつものように病院から駅に向かう道のりを歩きながら、私はぼんやり考えていました。

(今日こそ、いや今日から退院までの日に何とか部屋の片づけを終わらせないと・・・。)

そう心に決めると、私は歩くスピードを速めて、駅に向かったのでした。






しかし、いつものように買い物をしてアパートに着くと、なぜかあまりの寒さに震えだしてしまった私。

暖房を強めにつけると、そのままこたつに入り、しばらく震えていたのでした。

もしや・・・と思いつつ、体温計を手に取り、熱を測ってみると微熱程度でしたが、熱がありました。

病院に毎日行くのだから、風邪だけはひかないよう気をつけていたつもりでしたが、気がつかないうちに体調を崩してしまっていたのでした。

片づけをしようと思って帰ってきたのに、こたつから出られない状態の私。

我ながら

(そんなに掃除が嫌なのか?)

と、自分の不甲斐なさに落ち込んで行くのでした。

その後掛かってきたKからの電話に出た私は、心配させたくないという気持ちと、具合が悪いということを言いたくない気持ちとで平然と話をし、

「また明日ね。」

と言って電話を切ったのでした。

そして、そのまましばらくその場で寝込んでしまったのです。





気がついた時には寒気がピークになり、このままではいけないと何とか起き出して着替えをし、ベッドに はうようにして向かいました。

厚い布団を頭からかぶり、寒さを耐えていると、何もせずに寝てしまった自分が情けなくなって来ました。

そして、こんな時期に熱を出してしまう自分のタイミングの悪さにも悲しくなって来てしまい、Kに対して申し訳ない気持ちになってしまうのでした。

そんな風にして一晩過ごし、翌朝熱を測ってみると、やはり下がってはいないのでした。

その状態で病院に行くことは絶対に出来ない。

私は仕方がなく病院に電話をし、Kの部屋につないでもらうと、自分の状態をKに話しました。

Kは

「そうか、お前も毎日欠かさず通ってくれてるんだから疲れてんだよ。
今日は洗濯物もないし、大丈夫だから、気にしないでゆっくり休んでろ。」


と優しい声で言ってくれたのでした。

私は

「ありがとう。」

と言ってそのままベッドにもぐりこみ、1日ゆっくり寝ていたのでした。




夕方には熱も下がり、本調子ではないもののどうにか動けるようになった私。

そして翌日にはだいぶよくなり、いつものように洗濯をし、Kの為におかずを作り始めたのでした。

しばらくすると電話が鳴り、出てみると、それはKからでした。

前日熱を出しているから、当然その日は来れないだろうと思っていたようで、しきりに心配してくれていたK。

私はその日も病院には行かないような振りをしておいて、突然行って驚かせようと、わざと具合の悪い素振りで話しました。

(きっとKはびっくりするだろうなぁ~。)

そんな風に企みながら電話を切ったのでした。

おかずを仕上げ、支度をし、マスクをつけて病院に向かった私。

頭の中ではちらっと片づけが出来ていないことがよぎりましたが、とにかくKの側にいてあげることが一番だと考えていました。

ウキウキした気持ちで病院に着くと、足早に病室に向かい、軽くノックをして病室に入りました。

Kは私が入ってきたと分かると驚いた顔で

「どうしたんだ?具合悪いんじゃないのか?」

と、私の予想通りの反応を見せてくれたのでした。

私はにっこり笑うと

「びっくりさせようと思って。もう熱は下がったし、大丈夫。」

と言いながら、ベッドに近づくと、Kは嬉しそうに

「そっか、今日も来ないと思ってたから良かった。でも無理すんなよ?」

と言ってくれたのです。

その日は、私の友達が子供を連れてお見舞いに来てくれました。

実は入院前にKが退屈にならないようにと、さりげなく顔だけ出してくれるよう頼んでいたのですが、友達はそんなメチャクチャな申し出にも関わらず、快く来てくれたのです。

しかし、そんなこととは知らないKは、Kの為に子供が選んでくれたというマグカップを嬉しそうに受け取って、終始ご機嫌でした。

そんな風にして、その日は1日穏やかに過ごしたのでした。

帰りに洗濯物を持って帰る準備をしていると、Kが

「今日はいつもより多いな。持って帰れるか?」

と声を掛けてくれたのです。

洗濯物といっても病院内では寝巻きを貸してくれるので、下着とタオルくらいしかありません。

紙袋に詰めながら、

「こんなの全然大丈夫だよ。」

と言うと、Kは

「そっか・・・いやぁ昨日お袋に『持って帰って洗濯して来てやろうか?』って言われたんだけど、お前が嫌がると思って断ったんだよ。」

と言ったのです。

「え?お義母さん、来たの?」

私が作業の手を止めてKの方を向きながら言うと、Kは雑誌をパラパラとめくりながら

「うん。お前が熱出してるって言ったら、ひょっこり来たんだよ。別に来なくても良かったのに。」

と、平然と言ったのです。

(熱を出してるって言ったら???・・・って、連絡を取ったってこと?)

そう思い、さりげなくKに聞いてみると、Kはこれまた平然と

「うん。朝お前から電話をもらった後に、実家に電話した。」

と言ったのです。

「ふーん。」

私がそう言うと、その話はそのまま終わりました。

(何か用事があったのかもしれないけど・・・でも、わざわざお義母さんに電話したんだ・・・。)

私は何となくモヤモヤした気持ちのまま、その日は病室を後にしたのでした。







Kが実家に電話を入れていたことは気にすることではないのかもしれませんが、この時は何だか凄くひっかかりました。

入院シリーズもあと少し 

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Kの入院 *VOL.14*

2007年11月21日 17時38分04秒 | モラハラ
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翌日、楽しい時間を過ごして幸せな気分だった私は、そのままの勢いで病室に顔を出しました。

とても楽しかったことをKに話したい・・・そんな気持ちだったのです。

ところがKは病室にはおらず、しばらく待っていてもなかなか戻っては来ませんでした。

(きっとタバコを吸いに行ってるんだろうな。)

そう思って自分も喫煙コーナーに向かおうかとも考えたのですが、以前機嫌を悪くさせてしまったこともあって、私はじっと待つことにしました。

病院内に知り合いも沢山出来、Kが少しでも楽しく過ごせるようになったのなら、それでいいと思い、持ってきた小説を開いたりしながら待っていると、ようやくKが手にタバコを持って戻ってきました。

Kは私の姿をちらっと見ると、無言でベッドに上がり、布団を掛けて横になってしまいました。

(あれ?また機嫌が悪いのかな?)

Kのそんな様子にまた気が重くなって来てしまった私。

恐る恐る

「どうかしたの?」

と声を掛けると、Kはこちらに振り向くことなく

「メイ(呼び捨て)って、一体何なんだ?」

と一言つぶやいたのです。

私は驚いて、

「え?何が?」

と言うと、

「あの女も常識がねぇよな。」

とため息混じりに言ったのです。

私が黙っていると、Kは尚も

「普通病院まで来たんだったら、ちょっとの時間でも顔を出すのが普通だろ?それが当然だろ?知らない仲じゃないんだし。
それなのに顔も見せずに帰って行くってどういうことだよ?」


と続け、次第に機嫌の悪い声になって行きました。

「これから食事に一緒に行こうという相手の旦那が、目の前に入院してるんだぞ?普通来るよなぁ。
それに俺は自分の同僚なんだぞ?
目の前まで来てることだって(俺が)分かってるのに、何で(病室まで)上がってこないんだっ!!」


私は何て答えていいのか分からず、黙ったままうつむいていると、Kがようやく寝返りを打ってこちらの方に向きました。

「お前はさ、お前だったらどうする?」

突然そう話を振られて、私は

「え?」

と顔を上げました。

Kは怒りに満ち満ちた顔で私を見ながら

「お前がメイだったらどうしてた?」

ともう一度聞きました。

確かに同じ会社の人で、目の前まで来ている状態だったら、病室に顔ぐらいは出したかもしれないとちらっと思ってしまった私は、

「確かにそこまで来てればちょっとくらい顔を出しても良かったと思うけど・・・。」

と、小声で言うと、Kは

「だろ?絶対そうなんだよ!!ふ・つ・う・は!!」

と、興奮した様子で言ったのです。

私は前日の楽しかった時間を思い出し、なんだか悲しくなってきてしまいました。

そして何とかもうこの話を穏便に終わらせたい一心で、

「でもほら、昨日はホントにギリギリだったから仕方がないんじゃない?」

と言ってみたのです。

しかし、Kはますます興奮しだし、

「いや、大体普通ならもうとっくに会社は終わってる時間で、そのまままっすぐに来れば面会時間には間に合うだろ?
ところがあの時間に来たってことは、病室に来る気がないから、わざとギリギリの時間に来たんだ。そうに違いない!!」


そう言ったのでした。

「お前と仲がいいとか言っておきながら、お前が入院したって見舞いにも来なかったんだし、口ばっかりだ。そんな奴なんだぞ、メイって人は。」

Kは興奮しながら次々にメイさんの悪口を並べ立てて行きました。

私は内心、

(私が入院した時は、周りが気を遣うからって、会社の人には内緒にしてたから来なかったんじゃない・・・。)

と思い、そう言ってメイさんをフォローしようかと考えたのですが、きっとそれでも収まるどころか、逆に興奮させる材料になってしまう気がして、何も言えないのでした。

うんざりしつつもそんなKの悪口をどうやって終わらせたら良いのか分からず、私はうなだれながら

(早く終わって・・・。)

と祈るしかありませんでした。

ひとしきりメイさんのことを悪く言った後、Kは私に向かって、

「もう、(メイさんとの付き合いは)いいだろ?」

と、言ったのでした。

私もこんな風にメイさんが言われてしまうのも申し訳ない気がしてしまい、だったらもう会わないほうが良いのではないかと考え、返事はしなかったものの、それ以来メイさんと出かけることは一切なくなってしまったのでした。

そんなKの様子に、とても楽しかった前日の気分はすっかり萎えてしまい、私は悶々とした気持ちのまま、ぼ~っと窓の外を見つめていました。

メイさんの悪口を言った事でスッキリしたのか、Kはしばらくするとトゲトゲした感じがなくなり、すっかり元通りのKに戻っていました。

そして、

「そういえば・・・。」

と切り出したのでした。

私は話しかけられてもぼ~っとしたままでいると、Kは独り言のように

「言うのが遅くなったけど、俺入院が延びたんだよな。」

とつぶやいたのです。

その言葉を聞いて我に返り、

「え?」

と驚くと、Kは

「いやぁ今日の診察で傷の治りが悪いから、2日くらい延びるって言われたよ。」

と平然と言ったのでした。

「2日も延びるの?」

私はそう言いながら、頭の中では慌てて入院費の計算をし始めていました。

早ければ1週間と言われていた入院は10日間になり、また更に延びてしまったのでした。

しかしKはそんな私の心の内など全く想像もしていない様子で、

「寂しいと思うけど、もう少しの辛抱だからな。」

と言って、ベッドの脇に座っている私の頭をポンポンと叩いたのでした。

只でさえ個室に入院し、入院費が掛かりすぎているというのに、これ以上負担が増えることを考えると、目の前がクラクラして来てしまいました。

しかし、そんなことは全く考えていない様子のK。

そんな様子に呆れつつも、内心では少しほっとしたところもあった私。

実は退院までにしようと思っていた片づけが全く出来ず、そのことに悩んでいたのです。

少しでも退院が延びれば、その分時間が出来ると考えたのでした。

(今日こそは・・・絶対に片づけをしなくちゃ。)

そう決心して、私はその日、自宅アパートに帰ったのでした。







いつも読んで下さっている方には本当に感謝しています。

なかなか進まずごめんなさい。

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Kの入院 *VOL.13*

2007年11月19日 10時57分15秒 | モラハラ
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先輩のメイさんからの電話だと分かると、私は急いで駅へと向かって歩きながら、電話に出たのでした。

メイさんと話すのは、とても久しぶりでした。

結婚するまではKも交えて出かけたりするような間柄で、そんな関係が結婚してからも続くと思っていたのですが、結婚してからKは私が会社に近づくことすら嫌がっていたのもあり、メイさんともぱったり会わなくなってしまっていたのでした。

そんなメイさんが

「久しぶり~。」

と明るい声で声を掛けてくれ、私はその声を聞いて何だかほっとしたのでした。

メイさんはKが入院している間、私がずっと夜ご飯を1人で食べているのでは?と心配してくれ、

「食事でもどうかと思って。」

と誘ってくれたのでした。

しばらく会っていない私のことをこんな風に思い出し、誘ってくれるなんて・・・と、私はとても嬉しい気持ちになり、翌日会う約束をした私達。

その後は足取りも軽々と自宅に向かい、いつものKの”帰ったかコール”にもウキウキと出たのです。

Kもそんな私の様子に気がついたのか、

「どうかしたか?いつもより明るいなぁ。」

と言ったのです。

私はウキウキしながらメイさんから電話があったことを伝えたのでした。

ところがKはそんな私に、少し沈んだ声で、

「ふ~~~~~ん。」

と返事をしたっきり、黙ってしまったのです。

私はまたKを嫌な気持ちにさせてしまったかしら?とハラハラしつつ、

「明日の帰りに食事に誘われたから、少し早めに帰るようにして行って来てもいい?」

と聞いてみると、Kはさっきと同じ声のトーンで

「ふ~~~~ん、・・・いいんじゃねぇか?」

と言い、そのままその話題を終わらせてしまったのでした。

電話を切った後、私のウキウキした気持ちは一気に下降し、逆にKを嫌な気持ちにさせてしまったのではないかと不安になってきてしまい、一瞬メイさんに断りの電話を入れようかと考えてしまいました。

でも、久しぶりにメイさんと会いたい気持ちもあり、とにかく翌日Kの機嫌を良くするよう努力しなければと密かに決め、私はさっさと寝ることにしたのでした。




翌日、いつにも増してKの好きなものを作り、時間よりもずっと早く家を出て、Kの喜びそうな雑誌を買い、病院に向かった私。

その途中でメイさんに連絡し、その日の夜、仕事が終わったら病院に迎えに来てくれることになったのでその打ち合わせをしつつ、内心Kの機嫌が気になっていました。

前日のKの様子があまり良くなかったので、病院へ向かう足取りも何となく重く感じながら、とぼとぼと歩いて行ったのでした。

病院に着き、病室のドアノブに手をかけ、小さくため息をついてから 気合を入れると、一気にドアを開け、ニコニコしながら中に入りました。

すると、ベッドの上で雑誌をパラパラめくっていたKは私の方を向き、

「おう。」

と短く言った後、また雑誌の方に目を向けてしまいました。

「調子はどう?」

いつものように声を掛けると、Kは雑誌から目を離すことなく、

「まぁまぁだな。」

と答えたのでした。

そんなKの態度に緊張が走りだす私。

(果たして本当に出かけても良いと言ってくれるだろうか?)

頭の中はそのことばかりでいっぱいになっていました。

前日の夜の電話では

「いいんじゃない?」

とは言ってくれたものの、それが行っていいという態度じゃないような気がして、どうも堂々と行く気分になれないので、私は少しでもKの機嫌を良くして、気持ちよく送り出してもらいたいと思ったのでした。

Kの機嫌をとるべく、とにかく話しかけてみたり、好きそうな話題を振ってみたり、はたまた邪魔をしないようにじっとしてみたり、様子を見ながら過ごさなければならず、私は何だかそれだけでどっと疲れてしまいました。

しかし、当のKはというと、何事もなかったかのように淡々としていて、こんな時に限って機嫌がいいのか悪いのか判断がつかない、微妙な態度を取るのです。

私のくだらない話に笑ってくれたかと思うと、次の瞬間は表情一つ変えずにいたり、そうかと思えばテレビの番組の中のちょっとしたことでイライラしたようなコメントを発してみたりして、私はその度にホッとしたり不安になったりしていました。

その内、食事の時間になり、私が作ってきたおかずをそっと出すと、Kはそのおかずを見てようやくにこっと笑い、嬉しそうに手をつけました。

そんな様子に私もようやくホッとし、

(これなら大丈夫かな?)

と思ったのでした。

いつ切り出そうかと思っていると、食事をしているKの方から

「今日は何を食べに行く約束したの?」

と話を振ってくれたのでした。

私は

(よかったぁ~、Kの方から聞いてくれた・・・。)

と、ホッとしながらも、なるべく平静を装い、

「まだ何も決めてないよ。メイさんの仕事がどのくらいで終わるか分からないから、終わったらメールをくれることになってるんだ。」

と、さりげなく伝えたい事を告げながら答えたのでした。

Kは私の言葉に、前日の電話の時のように

「ふ~~~~~ん。」

と言ったのですが、Kの表情を見る限りでは機嫌の悪い様子はなかったので、私はとりあえずこれで気兼ねなく行ける・・・と安心したのでした。





Kの食事も終わり、そろそろメイさんも仕事が終わって病院に向かう頃ではないかという時間になり、私はさりげなく帰る支度をし始めました。

Kもそれに気がついたようで、

「疲れてるんだから、なるべく早く帰るようにするんだぞ。」

と声を掛けてくれたのです。

しかし、一向に連絡はありません。

どうせ病院に寄るのだから、病室にも当然顔を出してくれるものと考えていた私は、

(面会時間が終わっちゃうなぁ)

と、ぼんやり考えていました。

前日、会社の人がお見舞いに来てくれないことで散々愚痴っていたので、メイさんが来てくれれば少しはKも気分が良くなるだろうと思っていた私。

しかし、結局連絡が来たのは面会時間終了の10分前でした。

仕方がなくメイさんとは病院の前で落ち合うことになり、結局病室にメイさんが来ることはなかったのでした。

そして、そのまま私は久しぶりにメイさんと楽しいひと時を過ごしたのでした。







その頃はKとKの家族くらいにしか会わない生活をしていた私。

久しぶりにメイさんに会えた事が凄く新鮮でした。

でも、結局離婚するまでメイさんと出かけることはもうありませんでした。

ますます細かくなって来てますが、もう少しお付き合いを・・・。

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