夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

灯台守の恋

2006年12月22日 | た行の映画
Story
ブルターニュ地方ウエッサン島。荒海の中に威容を誇るラ・ジュマン灯台を望む美しい島である。この島を生まれ故郷とするカミーユは、今は亡くなった両親の家を売却するために戻ってくる。島に住む叔母の家に滞在した彼女は、そこにあった灯台が表紙になった本を読み進むうちに、自分の出生の秘密に辿り着く。そこには、自分の母マベ(サンドリーヌ・ボネール)と父イヴォン(フィリップ・トレントン)、そして、閉鎖的な島の社会にやって来てやがて去った男で、本の作者でもあるアントワーヌ(グレゴリ・デランジェール)の物語が記されていた。
2004年/フランス/フィリップ・リオレ監督作品




評価 ★★★★★

同じ監督・女優コンビの前作「マドモアゼル」で灯台が小道具として用いられて印象的でしたが、この映画はその灯台がもう一つの主役ともいえる重要な要素で登場します。まるで前作で扱われた即興劇のキーワードで繋がっているような。
フランスの排他的な島の中にアルジェリア帰還兵の男、アントワーヌが現れる。傷痍軍人の特権で灯台守の職に就いた彼を、村人の仕事を奪ったこともあって、皆は冷たく扱います。
そんな中、最初はつっけんどんだったマベの亭主イヴォンが徐々に心を許していく過程が、灯台守として共に働く生活を通して自然に描かれていきます。
閉鎖的な社会に息が詰まるようなマベが、アントワーヌに外の世界を感じ取ったのは容易に想像できますが、それよりも純粋な恋愛感情を持ったように感じられました。
マベとアントワーヌは恋に落ち、イヴォンは薄々それを感じ取り、生まれた子供も(おそらく)自分の子供ではないと知っていながらも、許してしまう。普通では考えられないこの辺の事情が、灯台守の過酷な生活の時間軸の中で説得力を持って描写されていました。

ラストでジュマンの灯台に戻ったマベの娘が、歴代の灯台守のポートレートの中に2人の父親の姿を見つけます。写真の中の2人と娘の視線が交差し、父娘の時を越えた愛情が伝わって来て感動が盛り上がります。このラストシーンのためにこの映画があると言っても過言でないくらい素晴らしい描写でした。
灯台を望む島の自然の景観が美しく、この映画の大きな魅力となっています。マベとアントワーヌの恋が燃え上がる村の祭りのシーンも花火が効果的に使われて優れたものを感じました。

(「灯台守の恋」2006年2月 名古屋 名演小劇場にて鑑賞)

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2 コメント

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どうもご無沙汰しております ()
2007-01-18 22:57:17
まだ 2006のベスト10を考えていませんが
この作品は 多分ベスト3には入ると思います。
(洋画アジア系部門)
それくらい
好きでした。TBさせていただきますね。
私の 感想も読んでいただけると幸いです。
返信する
こちらこそご無沙汰でした (wanco)
2007-01-20 12:14:45
猫さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

2月に観た映画を今頃UPしてしまいました。^^;)
こちらからもおじゃまさせて頂きますね。
返信する

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