夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

エリジウム

2013年10月31日 | あ行の映画
Story
2154年。地球は末期的な環境汚染と人口増加から荒廃が進み、犯罪と貧困がはびこっていた。一方、限られた富裕層の者たちは軌道上のスペースコロニー“エリジウム”で快適な生活を送っていた。マックス(マット・デイモン)は過去は犯罪で身を立てていたが、今は更生してアーマダイン社の工場で働いていた。しかし、ある日、誤って致死量の照射線を浴びてしまう。余命5日と診断されたマックスは、会社を解雇される。助かるにはエリジウムにある医療ポッドの治療を受けるしかない。マックスは裏社会を仕切るスパイダーと取引し、エリジウム行きの切符を手に入れることにした。マックスに与えられた使命はアーマダイン社の社長カーライルを拉致し、脳内のデータを奪い取ること。一方、不法入国者からエリジウムを守るデラコート防衛長官(ジョディ・フォスター)は上層部との対立からカーライルと組んでクーデターを企てていた……。
2013年/アメリカ/ニール・ブロムカンプ監督作品


ネタバレ注意!!まだ観てない人は読まないで下さい!!




評価 ★★★☆☆

一握りの超富裕層が軌道上のスペースコロニー”エリジウム”に暮らし、地球上には貧困層が生活。
この舞台設定は、現在アメリカで徐々に進行している事態、このまま進むと1%の超富裕層が残り99%の貧困層を搾取してしまうかもしれない、という状況を映像化したものですね。今の調子で中間層が脆弱化し消滅すればあながち絵空事とは言えない世界。『第9地区』を撮ったブロムカンプ監督らしい設定です。
ただ、搾取と搾取される側についての社会的な視点というものは希薄で、エリジウムと地表との間の単純なアクションサスペンスになっていました。変にメッセージ性を強めるよりも社会問題をぶっ飛んだ舞台設定に昇華させて、あとはアクションで楽しませる、というのがブロムカンプの作風ですね。

デラコート長官が企てるエリジウム乗っ取りの謀略と、致死量の放射線を浴びてしまったマックスの事情を上手く絡めて、アーマダイン社社長拉致に至る地表でのアクションはとてもサスペンスフルで面白い。舞台がエリジウムに移ってからは若干失速気味になるが、最後まで引きつけて離さない演出のパワーがあります。
マット・デイモン演じるマックスは死にもの狂いの迫力が感じられますし、対するクルーガー(シャールト・コプリー)は、その凶暴さ加減が前もって描写されているので、対決シーンは盛り上がる。
エリジウムのリブートプログラムの争奪が焦点になるのですが、そのプログラムが脳の中に記憶されるあたり、ウィリアム・ギブソンなどのサイバーパンク小説の影響が伺われます。
プログラムを書き換えてエリジウムを再起動してハッピーエンドというのは安直すぎる気もしますが、ある種のファンタジーと考えればこれも許せるでしょう。

ところで、普通スペースコロニーに宇宙船が発着する時はハッチを通って行くと思うのですが、この映画では素通りで着陸してしまったのには驚きました。なんとエリジウムの大気は宇宙空間に解放されているのですね。
なるほど、遠心力で大気は逃げないから天井は要らない訳か。しかし地球と同じ大気の厚みを持っている訳ではないでしょうから、宇宙線の遮蔽が不充分では。スベースデブリや隕石の防御は?大気圧はどうやって与圧しているのか?など、疑問が出てきました。実在のスペースコロニー計画をモデルにしているらしいので、どうやって解決しているのか調べてみたくなりました。


映画『エリジウム』公式サイト


(「エリジウム」 2013年10月 岡谷スカラ座 にて鑑賞)

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