夫婦でシネマ

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ラストキング・オブ・スコットランド

2007年03月20日 | ら行の映画
Story
1971年。ウガンダでは、オボテ政権がイディ・アミン(フォレスト・ウィテカー)率いる軍事クーデターによって倒される。クーデターにはイギリス政府の支援があり、大統領の座に就いたアミンは、数々の改革を訴え、持ち前のカリスマ性で民衆の支持を集める。しかし、絶えずオボテ派の襲撃の危険にさらされ、権力の座は盤石とは言えなかった。持ち前の猜疑心から、アミンが政敵の粛正に手を染めるのは時間の問題であったと言える。
スコットランドの医学校を卒業したてのニコラス・ギャリガン(ジェームズ・マカヴォイ)が、半ば偶然にウガンダへ行って医療活動に従事する決心をしたのは、そんな時だった。
ひょんな事からアミンに気にいられ、側近に引き立てられたニコラスは得意になる。しかし、やがてアミンの真実の姿を知る事になる。
2006年/アメリカ/ケヴィン・マクドナルド監督作品





評価 ★★★★

軽率な行動で未開の土地に来てしまった青年が体験する恐怖の日々。
フォレスト・ウィテカーが世紀の虐殺者イディ・アミン大統領を、まるで子供みたいな無邪気な魅力たっぷりに、しかし一触即発の狂気をはらんだ緊迫感をもって演じています。

ウガンダにやって来る主人公の青年医師ニコラスは、自分の医療技術を役立てようとの気持ちもあったのでしょうが、それ以上に冒険心の方が強かったと見受けられます。現地で医療活動していた先輩医師の妻サラ(ジリアン・アンダーソン)はそれを見抜いて、”あなたは、ここの仕事に向いてない”と言います。ニコラスにとっては刺激的でも、そこで生活する人々にとっては現実の世界、好奇心でそのような土地へ行くのは、現地の人々に失礼な行為でしょう。

ひょんな事からアミンに気に入られて側近にされるニコラス。彼に近づくイギリスの弁務官。この弁務官とニコラスのやり取りに、イングランドとスコットランドの対立感情が滲んでいて面白い。
周りの状況が見えてないニコラスは、知らず周囲の人間を窮地に陥れ、自分もドロ沼にはまって行きます。

クライマックスは、エンテベ空港でのハイジャック事件をうまく利用したサスペンス。
自業自得とはいえニコラスは、裏切りがばれて空港で拷問されてしまいます。
アミンがニコラスに、”お前がこれから迎える死が、お前が初めて体験する現実だ”という台詞、ニコラスのこれまでの立場をよく表しています。アミンに手玉にとられたニコラス。
しかしここで、黒人医師がニコラスを命がけで救います。飛行機での脱出シーンがハラハラですが、無事パリへと飛び立った飛行機の中、ホッとした人質達のなかでニコラスは一人闇に沈む。この時彼の中には、彼の無分別な行為のために犠牲になった3人の命の重みがずっしりとのしかかっていたのでしょう。なにより、彼を助けた黒人医師の最期の言葉、”ここの現実を伝えてくれ”がリアルに観る者にも迫って来ます。


(「ラストキング・オブ・スコットランド」2007年3月 名古屋 伏見ミリオン座にて鑑賞)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは。 (ジョー)
2007-04-08 23:14:50
TBありがとうございます。
最近は流行のようにアフリカをテーマにした映画が出てきましたが、それだけ深い問題をたくさんかかえているということなのでしょうね。考えさせられます。
返信する
nyancoさま (miyu)
2008-03-11 19:53:08
お手数をお掛けしてしまいすみませんでした。
トラバの文字化けはコチラで
強制的に直しましたよ~ (。・x・)ゝ

ジェームズ・マカヴォイ、ここんとこ大活躍ですよね!
アミン大統領に鍛えられただけはあります(´▽`*)アハハ
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