沼隈文化財研究所

「温故知新」
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「瀬戸内沿岸の中世石造物」の講演概略

2012年07月23日 | 講演会情報

備陽史探訪の会では、毎年県立歴史博物館において、
共催で講演会を開催している。
 (平成24<2012>年7月21日(土)開催)
 今回は、22回目となり県立歴史博物館の歴史と重なっている。


  (田口会長あいさつ)

 尚、備陽史探訪の会が現在取り組んでいる「石造物」に関して、
(財)元興寺文化財研究所から主任研究員の佐藤亜聖氏をお招きして
「瀬戸内沿岸の中世石造物ー備後南部を中心にー」と題しての講演会
となった。
 以下講演の概略です。


[講演概略]
 まず、石造物の成立の背景を、時代ごとに解説と考察をされ、
備後南部に点在する石造物(層塔・宝塔)の特徴から、
そのルーツを「奈良・大和系(心阿:1300年から関東で活躍)」と
「京都・近江系」の指摘をされ、中世(13世紀)以降には(京都系:念心)、
に変化する背景を解説され、更には14世紀の南北朝時代には、地元地域の
石塔への要望が増え、一気広がる時代背景を解説されました。


 また、宝篋印塔や五輪塔の宗教的な意味合いも解説され、
さらには、石造物は、誰でもが研究対象と成り得るもので、
身近に取り組める対象物でありながら、多くは見捨てられている
状況をも解説されました。


 
    (講演中の佐藤氏)
 
 最初は、入門篇的な解説から、次第に専門的な話しとなり、
講演の終わりには、全員専門家みたいな顔付に変わっていました。
 難解な話しを非常に解かりやすく話され、講演時間はアッと言う間に
終るほど、楽しい一時でした。


 講演終了後には、備陽史探訪の会の会員から蔵王にある奇妙な石造物の
調査に同行されました。
 奇妙な石造物は、砂岩製で一部欠落した部分があり、全体像を把握するのが
困難な状態でした。


     (蔵王での謎の石造物)

 もし、知っておられる方が居られましたら、是非お知らせ下さい。
と言う様な、講演会でした。
                              (文責:遍照)


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