沼隈文化財研究所

「温故知新」
文化財を通して歴史を振り返ってみよう。
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「港町・鞆の浦と瀬戸内海」に関して!!

2010年03月21日 | 歴史的景観
広島県福山市に存在する「鞆の浦」は、現在港に架橋建設計画が、

福山市により提示・計画されています。

この架橋建設計画により、

「鞆の浦」の歴史的景観が損なわれるとして、反対の意見と、

住民へのサービス・安全の為に必要との両意見に分かれ、

大きく二分されています。

現在は、架橋建設計画反対派申し立ての裁判で、違憲の判決が出され

福山市側が控訴の上告を準備し、裁判が続いています。

広島県側は、住民双方の意見を聞く、

との立場でその対応を進めているところです。

当初から、架橋建設ありき、の態度で臨んで来た行政の立場に、

「歴史的景観」の立場から、

架橋建設計画反対の意見の摺り合わせがされなかった問題と、

住民双方からの声を聞く態度が、なされなかった問題が

より拗らせた感が否めない。

そこで、「鞆の浦の歴史的景観」の意義が、

本当に住民が理解しているのかどうか、

と言う点にも考える必要があると言える。

この様な現状の中で、この度「芸備地方史研究会」が

機関紙として発行されている『芸備地方史研究』268・269号で

特集が組まれている。(2010年2月26日発行)

この特集の中で「特集 港町・鞆の浦と瀬戸内海」と題して、

「鞆における考古学的調査」・・・藤野 次史 氏

「鞆の浦の伝承と信仰」
  -平家伝説・福禅寺縁起と熊野信仰- ・・・渡邊 誠 氏

「鞆幕府」論 ・・・・ 藤田 達生 氏

「近世鞆町の社会構造と地域社会」・・・ 片岡 智 氏

「明治・大正期における鞆港」
  -西廻海運からの自立とその変化をめぐって- ・・・三木 理史 氏

「鞆の浦の町家における土間形式の変化」 ・・・ 川后 のぞみ 氏

「埋立架橋計画と鞆の浦」・・・・  長谷川 博史 氏

の論文が掲載されている。

少なくとも、「歴史的景観」の重要性は、この論文による

情報・知識として最低限認識する必要があると考えられる。

この論文を下地にして、この架橋建設計画問題を考えるべきではないか?

「鞆の浦歴史的景観」の意義を理解した上での、

架橋建設計画を考えて行くべきだと提起すべき、と考える。

その上で、住民の要望・意見を集約を計るべき問題と考えている。

時折聞く問題として、「地元の問題に他(よそもの)は口を挟むな」との

言葉を聞く事が多々ある。

しかし、この問題は地域・地元だけの問題ではなく、

地域・福山市・広島県・日本国全ての問題であり、

その事が全国的な注視・注目を集めている事に是非気付いて欲しいし、

それだけ重要な問題であり、課題と位置付けられている事を

是非、理解すべき認識と考えている。

                          (文責:椿庵 遍照)

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2 コメント

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鞆の架橋問題・読後感 (佐藤 町子)
2011-02-10 07:23:50
 故宮沢喜一氏(広島県7区)が現役の頃、備後開発の壮大な構想の中の一つに、182号線を鞆まで伸ばし、更に松永・尾道に抜けられるように鞆湾に橋を架ける、と云った政談が記憶の奥に残っています。その後何代か行政トップ
の変遷を経て現在に引き継がれていますが、『継承するも力、変更するも力なり!!』と、地域・県民ひいては国民の全意をも含めてこの偉大なる文化遺産の保存を切に希望します。
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あるものを活用することが大切と考えています (遍照)
2011-02-10 16:54:39
佐藤 さま
あるものを活用することが大切な事と考えています。
ないものは、活用や利用が出来ません。
まして、あるものを壊すことはもっての外と思います。
文化財が無い行政は、いかにあるようにするか?を四苦八苦しています。
あるものがあたり前ではなく、あるものを生かす方策を考えるのが、行政だと思うのですが・・・・・・
ご意見をお寄せ頂きありがとうございます。
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