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草の名

私が栽培している薬草や、道端の草でセルフメディケーションにも使える類の植物を紹介してゆきます。

セミの抜け殻

2018年07月31日 | 薬草・雑草

 早朝からセミの鳴き声がワァンワァンと騒がしいこと。今年は、それに混ざって、自宅辺りでは何故かウグイスの谷渡りの声も混ざっています。この時期にしては、珍しいことです。

散歩の途中、イチョウの木にセミの抜け殻がたくさんついているのに気付きました。

 

一カ所に、34個ずつはぶら下がっているのをみて、パチりパチリと何枚も撮りましたが、ピントが合っていなくて使いものになりません。辛うじてこの三枚が何とか使えそうです。

 そういえば、薬学部の生薬見本が並べてある部屋に、セミの抜け殻があったことを思い出し、セミの抜け殻も生薬になると知りましたが、さてどのような効用があるものか見当もつきません。調べようにも、手持ちの本は、大方が薬草に関するもので、抜け殻については載っていません。

“こんな時は、検索検索!”と思った途端、ふと手にした『漢方と民間薬百科』 (主婦の友社刊)にセミの項がありました。

『漢方と民間薬百科』

・薬用部位・・・抜け殻(蝉退-せんたい、蝉蛻-せんぜい)

・薬効・・・・・・・陰嚢のはれ、頭痛、めまい、耳だれ

・使用法・・・・1)陰嚢のはれ 小児の陰嚢のはれはm抜け殻を煎じた汁で、たびたび洗うと良い。

          2)頭痛 抜け殻を粉末とし、ダイコンの汁に混ぜて、鼻の中にすり込む。

          3)めまい 抜け殻を炒って粉末とし、一回4gを温かい酒で飲む。

         4)耳だれ 耳だれで痛みのひどいときは、抜け殻の粉末をごま油で

               練って、耳に入れる。

 このような記載ですが、私自身試してみようという気にはなれません。

 抜け殻はキチン質といって動物性の植物繊維で免疫強化などの効用があるそうですが・・・・・

もう一冊見つかりました。こちらは東邦大学薬学部の前身である帝国女子医学薬学専門学校の時代の本です。医療体制が今日のように整っていなかった時代、医学薬学の学生が夏休み郷里に帰るのを利用して全国各地から収集した我が国の民間薬の調査報告書『日本民間薬草集覧』(かのう書房)です。

『日本民間薬草集覧』

・小児の疳、耳の遠い人、夜啼啞 蝉の抜け殻の足を除去して煎服する。分量は小児は一回二分ないし五分くらい(三重県)

・瘡類(かさぶたるい)⇒上記の殻を種油に浸して、塗布する。(三重県)

・耳だれ 蝉の殻をごま油に浸けておいて、その汁をつける(愛知県東加茂郡)

        蝉の抜け殻をよく乾燥し、粉末となし耳の中をきれいに拭き取り、その後にこの粉末を吹き込む(朝鮮全羅南道光洲)

 夜啼啞の意味はよく分かりませんが、恐らく赤ちゃんの夜泣きのことだろうと思えます。抱いていると眠ったようなので、そっとお布団に下ろすと、途端に火がついたように泣く・・・いそいで又抱き上げる・・・一晩中、何度も繰り返すのですから、夜泣きで親の方が参ってしまいそうになった経験の方もいらっしゃることでしょう。 

次男の夜泣きには、大変な思いをしたのを思い出します。当時抜け殻のことを知っていれば煎じて飲ませたかもしれません。

検索していると、抜け殻をフリッターや、炒め物、唐揚げにして食べた方もあるとか・・・。 お味は無味とのことです。下手物食いにも思えますが、 考えてみれば、イナゴの佃煮と似たようなことなのでしょうねぇ。海鼠や牡蠣だって・・・・・

 

 


キリンソウ・ベンケイソウ

2018年07月10日 | 薬草・雑草

 今が盛りのキリンソウですが、近頃はあまり見かけなくなりました。この植物名をご存じの方は少ないのではないかしら。花は、道端でよく見かける黄色くて小さい星形の花をもつマンネングサとよく似ています。それもそのはず同じベンケイソウ科のキリンソウ属の植物だからです。

 以前は花の形、いわゆる見た目で区分され、命名されていたので、学名をみれば、おおよその見当は付けることが出来ました。以前の表記はSedum aizoonですが、しかし、1990年代以降に葉緑体DNA解析による分類体系(APG)に移行しPhedimus aizoon var. floribundusと表記されています。いずれはAPG表記に移行するでしょうが、今のところ双方使われているため、どちらが正しいのか困惑しています。

 千葉県では、キリンソウを見かけなくなったと思っていたら、調べてみると千葉県は、環境省の絶滅危惧種Ⅱ類に相当していました。あまりみかけないのも頷けます。

 名前の由来は「黄輪草」とか、文献に出てくる想像上の動物の麒麟(きりん)とかいわれていますが、判然しません。麒麟をイメージできない方は、キリンビールの商標デザインを思い浮かべてみればイメージできるのではないかしら・・・ しかし想像できたとしても、其れがこのキリンソウに、どう結びつくのかは、理解し難いところです。

 キリンソウは、北海道、本州、四国、九州の山地や海岸沿いに自生する多年草です。サハリン、カムチャッカ、朝鮮半島に分布しているそうです。互生する葉は厚みがある多肉質で、先端はやや丸味のある倒卵形、縁には浅い鋸歯があります。根元から多数の茎を出し、草丈は、30cmほどになります。花期は6~8月で、花弁、萼片共に5枚の鮮黄色の小花を、茎の先端に平らな集散花序につけます。開花後は、地上部は枯死します。

 キリンソウの生薬名は費菜(ひさい)といいます。効用は、生の葉を必要時に摘み、水洗いしてから擂り潰して、虫刺されや切り傷に塗布したり、全草を乾燥させて皮膚病やしもやけなどの浴湯料にします。薬用ばかりでなく食用としても利用されています。茹でたのち水に晒して苦味を抜いてから、お浸しや煮浸し、炒め物。酢味噌和え、煮物に出来ます。 鑑賞用のように思われるキリンソウですが、江戸時代には飢饉に備えての救荒植物でした。全草を茹でて、日干しして保存食にしていたそうです。

知っておいて損はないでしょうから、一度試してみなくては・・・

 同じベンケイソウ科キリンソウ属のベンケイソウやオオベンケイソウ、ツルマンネングサも同じような用い方が出来ます。ベンケイソウは腫れ物や切り傷に、オオベンケイソウは切り傷や化膿した皮膚病に、どこにでもあるツルマンネングサは、切り傷や毒ヘビの咬み傷の治療に用いられるそうです。

  

 名前だけでは思い当たらない方でも、写真を見れば 「これなら、見たことがあるワ」 と思われることでしょう。最近では、ベンケイソウもオオベンケイソウも余り見かけなくなっています。

ツルマンネングサのような道端の草にも、恩恵にあずかっている私たちなのです


2016-03-16「ノビル」に補足

2017年07月14日 | 薬草・雑草

 2016-03-16の「ノビル」に、念願適って目にした“ノビルの花"の画像を入れようとして、パソコンと格闘すること20分。しかしどうやってみても、思うように挿入出来ません。仕方なく補足として載せることにしました。

今年2017年、5月末に、漸く観る事が出来た“ノビルの花"です。

植物図鑑の挿絵からは明るいイメージを想像していたのですが、実物の花はひっそりと・・・の感じでした。こうして花を観ると、ユリ科なのだと、納得出来ます。


あはれなるもの・・・ママコノシリヌグイ

2017年07月11日 | 薬草・雑草

「あはれなるもの、考ある人の子。よき男の若きが、御嶽(みたけ)精進したる・・・」とは清少納言の『枕草子』115段の書き出しです。確かに平成の御代であっても親孝行な子供は“しみじみと感動”させられますね。(身分が高い若い男が、御嶽精進をしている・・・というのは、ちょっと理解し難いのですが。) 

 此処で書く “あはれなるもの” とは文字通り哀れに感じるという言葉どうりの意です。ママコノシリヌグイやヘクソカズラなどは、直截(ちょくせつ)な表現過ぎるように感じますが、ママコノシリヌグイには“トゲソバ"、ヘクソカズラには“オトメバナ"という別名があるのは救われます。 

  昨年ママコノシリヌグイが生えている場所を、舩橋市髙根休耕田の散歩仲間Oさんから教わったので、観察しようと思い数日して行ってみたら、なんと姿が消えているではありませんか! 滅多に見ない植物なのでガッカリしましたが、市川大町自然園なら、見ることが出来るかも・・・と今年はそこへ行ってみようと考えていたところでした。(Oさんは、専ら髙根休耕田の野鳥を撮影。)

ところが、今年は昨年の場所からは少し離れた反対側で再発見したので、市川まで行かなくても観察できます。            ママコノシリヌグイは、ミゾソバの花に大変よく似ていて、遠目では見分けがつき難いのですが、花期がミゾソバの方が少し遅いので、何とか間違えないで済みますし、判別できる特徴に、葉は三角、茎にトゲと托葉があることで判別できます。 

上図はママコノシリヌグイの花・葉・托葉・トゲです。

下図は、ミゾソバの花です。 

花だけ見れば、どっちがどっちだか、紛らわしいのですが、ミゾソバの茎は滑らかなのと、葉の形が異なるので、判別できます。

ややこしいことに、よく似たアキノウナギツカミ・シャクチリソバ・イシミカワというのがあります。下図はアキノウナギツカミですが、馴れないと間違えそうですね。

   

シャクチリソバ、イシミカワについては2015年に載せていますのでこちらから参照して下さい。            

ママコノシリヌグイやミゾソバなんて雑草よ!!・・・と一言のもとに片付けられそうですが、これらにも薬効はあるのです。

 ●ママコノシリヌグイ Polygonum senticosum⇒春から夏に全草を採り、水洗いしてから日干したものを煎じて、血行促進や痒みのあるはれ物や痔に用いるそうです。

●ミゾソバ Polygonum thunbergii⇒花期の葉茎を採取し、葉を揉んで出た汁を切り傷の止血に用います。

 信じるか信じないかは、あなた次第・・・

蚊に刺された痒みには、スベリヒユの汁が速効なのを体験している私は、一度試してみようと考えています。興味のある方はどうぞ、お試しあれ。

 

 

 

 


ニワトリごっこ

2017年06月22日 | 薬草・雑草

 咲き盛っているタチアオイの前で、Tさんは「こんなの知ってる?」と云いながら、花弁を一枚はずし、其れを自身の鼻に押し当てながら、「母に教わったの」と云いつつ顔を上げると、鼻の頭にまさしく鶏の鶏冠が !!

Tさんの菜園(今風に云えばTファーム)ならではの遊びでした。居合わせた三人でやってみようと、花弁を外して鼻に当ててもそのままではしっかりとはくっつきません。 Tさんは、「花弁の付け根の部分を二枚に剥がしてから、鼻にくっつけるのよ」と実演してくれました。

花弁での遊びは、来る・来ないと一枚ずつ外す願掛けにも似た“恋い占い"のような遊びしか知らなかったので、三婆でニワトリごっこに大盛り上がりでした。花弁の根元に粘着質があり、その部分に爪を立てて、二枚に剥がし、薄い花弁も1cmほど剥がして、鼻に載せるように押し当てれば、一羽出来上がりです。

 調べてみたら、タチアオイには「コケコッコバナ」という別名もあると知りましたが、この名前は信州、奥会津や北海道などの地域限定のようです。私の故郷・広島県の備後地方では聞いたことはなかったのですが、他の地域ではどうなのでしょうかねぇ?

復習してみました。

数日経って、自宅近くにある花で試してみましたが、ピンク色やクリーム色では感じが出ず、やはり赤色が一番鶏冠らしく見え、何とか成功 !(^^)!                                                                      タチアオイは、学名をAlhaea roseaといいアオイ科の多年草で、開花すると地上部は枯れてしまいます。

 日本には、平安時代にはフユアオイが入り、食用とされていたと云われています。(万葉集や古今集などに登場するフユアオイ、古くは「あふひ」とよばれていました。)現在食用とされるオカノリは、フユアオイの変種なのだそうです。                

江戸時代に中国から渡来したとされるウスベニアオイは、元禄(1688-1704)以前、もう一説には宝永(1704-1711)年間に渡来したという説があります。今ではその一部は野生化しています

タチアオイの原産地は、中国。                                                              ウスベニアオイ(ハーブではコモンマロウ) Malva sylvestrisの原産地は、地中海沿岸のようです。

タチアオイの学名のAlthaeaの語源は、ギリシャ語の“治療"の意を持つそうです。英名でホリホックと呼ばれるアオイ科のビロードアオイ(別名はウスベニタチアオイ、マーシュマロウ))、ゼニアオイ等はヨーロッパではこれらの根を水で煮てでる粘液を、喉が痛むときのうがい薬に用います。浸剤でシロップをつくり、葉も浸剤にして気管支炎や泌尿器の病胃に用います。生の葉は、皮膚の炎症時のハップ剤にします。                   シロップ、浸剤、ハップ剤についてはこちらを参考にして下さい。

皆さんは、これらの花をひっくるめてホリホックとかタチアオイと呼んでいらっしゃいませんか?                      タチアオイがてっぺんまで咲いたら梅雨明け!!とはよく云われますね。                     鑑賞用と思われている植物にも、効用はあるのですね。

 余談ですが、お昼は、天ぷらソウメン。周りにあるタラの芽、山椒の葉、ミツバ等を天ぷらに。これも揚げてみようかとアケビの未熟果実も。春先食べる蔓先のように苦いけれど、私好みで満足、満腹でした。