草の名

私が栽培している薬草や、道端の草でセルフメディケーションにも使える類の植物を紹介してゆきます。

シャクチリソバ

2015年10月26日 | 薬草・雑草

 裏門から入って直ぐ、フジバカマが咲きそろっています。                                                                              その隣で咲いている白い花はシャクチリソバ Fagopyrum cymosum といいます。

耳慣れない名前でしょうが、日本人にとってはお馴染みの蕎麦の材料になるソバ Fagopyrum esculentum の仲間です。

  インド北部のヒマラヤ地方から中国仲南部が原産の帰化植物です。日本に渡来したのは昭和初期で、小石川植物園や薬草園で栽培されたものが、逸出して全国に拡まったと云われています。草丈は1mほどに伸びる多年草です。根元から叢生し茎は中空、下部が赤くなるのもあります。

  特徴的なのは葉の形で三角形かそれに近い形をしています。似たような三角形の葉をもつものに、イシミカワがありますが、こちらには全草に下向きの細くて堅い刺がついているので見分けられます。よく似た植物としてミゾソバが挙げられていますが、葉の形はミゾソバよりイシミカワの方が似ていると思います。

 

  シャクチリって、不思議な名前です。1880年刊行された中国の『植物名実図考』に 「赤地利」 として載っており、その漢名を日本語読みにしてシャクチリ、花がソバに似ていることからシャクチリソバとなったそうです。また原産地に因み「ヒマラヤソバ」とも呼ばれます。 

シャクチリソバも、ソバと同じように食べることは出来るそうですが、私は未だ試したことはありません。食べた人によると「不味かった」そうです。

  しかし食べるのには不味くても、シャクチリソバの全草は抗酸化作用としてのポリフェノールの一つであるルチンを多く含むので、脳出血、高血圧の治療薬の製造原料として導入され、盛んに栽培されていました。後になって、同じようにルチンの含有量の多い生薬の槐花(かいか)が輸入されると、栽培は急速に減少し、今では薬草園から逃げだして野生化しています。                                                                                                          生薬の槐花とは各地で街路樹に植えられている エンジュ Styphnolobium japonicum の開花前の蕾を乾燥したものです。

 エンジュは、よく似た近縁種のハリエンジュ(ニセアカシア)とは別の植物です。                                                              ハリエンジュというよりニセアカシアといった方が馴染み深いでしょう。随分昔に流行った曲「アカシアの雨の止むとき」の歌詞にあるアカシアは、このハリエンジュであるといわれています。このハリエンジュも有用な植物で、蜂蜜の蜜源、花は天ぷらに、ホワイトリカーに漬けてアカシア酒にしたりと食用として利用することが出来ます。

エンジュとハリエンジュの違いは「樹と木」に分かり易く載っていますので,こちらからご参照ください。http://goo.gl/L6Qxcc

野生化しているとはいえ、街中では余り見ることはありませんので、ちょっと足を止めてシャクチリソバをご覧ください。

 


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