四十路ヘッポコ社員奮闘記【人生ゴリ夢中!!】

独身四十路のヘッポコ社員ゴリが綴る狂い咲きの夢日記。
これは魂の加速と生命の放射の記録なのだ。

二夜連続・映画のお話

2009年06月20日 | Weblog

昨日に続いて、

本日も映画のことについて、

少しお話ししたいと思います。

 

ここ数年は雑事にかまけて

映画館にまったく通えていなかったので、

映画を観るのはもっぱらDVDでした。

 

洋画・邦画問わず、

噂になった作品は目を通すことにしてたんですが、

まぁほとんどはガッカリするものばかりでした。

 

しかし!!

 

ここ数年で断トツ一番の作品に

此度めぐり逢ったのです!!

 

それは今さらとお思いでしょうが、

『パコと魔法の絵本』です。

 

じつはこの作品、

原題は後藤ひろひとさん作・演出の

『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』

という舞台なんですね。

 

ゴリは東京時代、

この戯曲の再演を

たまたま観たことがあるのですが、

そりゃあもうビックラこきました。

 

すごかったんです!

 

主人公は

薄命でハンデを背負った純粋無垢な少女。

 

 

誤解を恐れずに言うと、

ゴリはよくあるこういう設定のお話しが

好きではありません。

 

なぜなら少女にかかる

「薄命でハンデを背負った純粋無垢な」

という修飾語が、

強力な免罪符になるからです。

水戸黄門の印籠みたいな。

それを出されるとみんな何も言えないだろう??

みたいなね。

 

そういうけがれのない存在に対して、

否定的な感想を持つこと自体が、

ハナからタブーみたいな空気になってますからね。

 

だから、

そういう存在を登場させた作品のほとんどは、

そこに“逃げ”られるんですね。

手っ取り早いですから。

「はい、お涙ちょーだい♪」って。

 

 

映画や小説のキャッチによくある

「100万人が泣いた!!」みたいな煽りのヤツ。

初めから「泣けまっせ」というカタルシスを

ゴールに置いた安易な作品がホントに多い。

“泣き”の押し売りでは泣けません。

まあ中学校の卒業式とかで、

その状況で泣いてることに酔っている

「第三者からの目線ありきの私泣き」

をしているごく一部の女子的な涙は別として。

 

まあ、あくまでこれは個人的な好みで、

泣きたいから作品を観るというニーズは

当然あるでしょうし、

否定はしませんが。

 

でも制作側がそれを盾に楽をして

そこに無血でたどり着こうとしているのが仄見えると、

なんか一気に萎えるんですな。

客はバカじゃないぞって思うんです。

 

でもこの

『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』

は違いました。

 

今や逆に足かせになるのではないかという、

斬新にはほど遠い、

クサくなりがちな主人公を軸にした設定ですが、

抜群のバランス感覚を保っていたんです。

 

原作・演出・俳優陣すべてが

ともすればその世界が薄っぺらくなることを理解し、

最後まで細い細いロープ上を

絶妙のバランスで渡りきっていたのです。

その感覚のコンセンサスを取るだけでも、

ものすごいエネルギーを要することは

想像に難くないですから。

 

それは右に踏み外せばクサくなりすぎて恥ずかしいし、

左に落ちれば茶化しすぎて“本当に大切なモノ”が伝わらないという

本当にタイトなラインだと思うんですね。

 

ではその大切なモノとは何か?

たぶんそれは「人間が持ちうる柔らかい熱」です。

でもそれを声を大にして言ってしまうと、

客はひいてしまいます。

恥ずかしいですからね。

かといって口をつぐんでしまうと、

その熱は伝わりません。

 

だからこそ後藤ひろひと氏は、

その大切なモノをコメディの要素でコーティングし、

俳優達もそのまま発してしまうとクサくなってしまう台詞を、

持てる個性とスキルで肉付けしてエンタテインメントとして昇華させることに成功していました。

 

その時舞台上には

確かにあたたかい熱が存在してたんですね。

目からゴリ汁が止まりませんでした。

 

劣った舞台は劣った映画や小説よりも

はるかに面白くないが、

優れた舞台は優れた映画や小説よりも

はるかに面白い。

 

よく言われる言葉ですが、

それを実感として初めて受け入れられた

希な作品でした。

 

 

ええ、今ふと冷静になって気づいたんですが、

前置きが

披露宴で親戚のオッサンがする乾杯スピーチ並みに

長くなってしまいました

アツくなりすぎて

まだ本題に入っていないことに

今気づきました。

 

なので、本題の

『パコと魔法の絵本』については、

また明日!!!!

 

今から『氷の微笑』を大爆笑しながら観ますので、

今宵はここまでにしとうございます。