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野党は法律案を作るべきか? ~二大政党制であれば作らなくても良いかもしれないが、ブログ党には必要~

2005年10月25日 | 政治・社会

10月23日の読売新聞の「政治を読む」というコラムに、民主党が対案と称し法律案を躍起になって作成していることについて批判的な記事が掲載されていました。法律案そのものは政治家の力だけでは作成できず、必ず官僚機構の力を使わなければならない。それを無理やり自分たちだけで作ろうとしても法案作成そのものに大変な労力を使うこと、官僚機構から法案検討に必要な情報の提供が十分なされないために、提出する法案の完成度が低くなってしまうことが指摘されています。野党はもっと大所高所的に自分たちが政権をとるとしたらこういう風にする、といった大枠の対案を出すべきではないか、という意見でした。

もちろんそういう見方もあるでしょう。対案として法案を作るだけでは国民に伝わりにくい面はあるかと思います。対案はまず基本的な部分を判りやすく国民に示し、それを基に法律化するという順序で進める必要があると考えます。そのプロセスを民主党が省いているように見えることから、上記のコラムのような意見が出てきたのかも知れません。

政党政治であれば、このコラムの書いてあることはだいたい理解できます。しかし、私の提唱するブログ党等のように、政党政治から脱却し、国民の多様性に呼応して議員個人個人が政策を立案するようになった場合には、国会議員はある程度の立法スキルを身につける必要があり、そのための必要な情報を行政から取得する方法を簡易にする制度が必要であると感じています。

■国会議員は立法スキルを身に付けるべき

国会はわが国唯一の立法府であることは憲法にも明記されています。しかし、現状は議員立法の数よりも圧倒的に内閣立法(政府提出の法案)の数が多く、国会はそれを追認しているケースが多く見られます。実際は、国会に提出される前に自民党の政務調査会において審議されており、与党自民党は国会の場では形だけ審議に参加するだけで法案が成立してしまいます。このあたりの事情は過去のブログで指摘したとおりです。

二大政党制における野党に限らず、私の提唱するブログ党等のように議員個人個人が党の拘束によらず政策を立案するスタイルになった場合、官僚や党のサポートが受けられない可能性が高いため、議員個人個人が法案作成スキルを有していることが必須になってくると思います。

もちろん国会議員全員が法律の専門家で構成されるはずはありませんし、もしそうだとすると却って民意の反映が難しくなってしまうかもしれません。そこで、現在の衆議院・参議院にはそれぞれ「法制局」という議員立法をサポートする機関が存在しています。しかし、衆議院の法制局に80名、参議院の法制局に75名のスタッフがいるだけであり、官僚組織とは比べ物にならないほど小規模な組織となっています。法制局の拡充も必要と思いますが、法制局の負担を減らすために議員個人個人がある程度法律の形にして最終チェックを法務局に依頼する、というスタイルで臨むことが必要ではないかと思います。


■役所の情報公開の推進と国政調査権発動条件の緩和

法案策定については、少なからず行政が持つ数多くの情報を集めることが必要になります。実効性の乏しい、あるいは社会に害悪を与える可能性がある法律を制定しないようにするためには、データに基づく分析を行ったうえで法律化する必要があります。しかしながら、議員立法(特に野党議員の立法)の場合、このような行政の持つ情報を十分活用することができません。それは官僚機構が情報公開を様々な理由を付けて拒むからです。

そんな時のために「国政調査権」というものが国会には与えられています。しかし、国政調査権は議員個人に与えられている権利ではなく衆参両議院、委員会に与えられている権利です。従って、議席の過半数を占める与党が必要と認めない限り国政調査権を発動することはできません。

このような野党がなかなか立法や対案作りに必要な情報が得られない状況を解決するためには、役所の情報公開の推進と国政調査権発動条件の緩和が必要と考えます。

例えばブログ党などのように議員個人個人が法律作りを進めるようなスタイルになった場合、国政調査権を議員個人個人に付与しない限り法律案の作成が著しく困難になってしまいますが、これを実現すると各議員からの調査要求が多発するため、官僚側の事務処理は爆発的に増えてしまいます。このような事態を発生させないために、役所の扱う情報は原則公開(プライバシー関連を除く)とし、それをすべて電子化し検索可能な状態にしておく必要があると考えます。これにより、官僚の手を煩わせることなく議員は立法に必要な情報を存分に利用することができます。

また、どうしても基本的には秘密にしておかなければならない情報というものもあるでしょう。そのようなものの開示は国政調査権の発動によってのみ実施される、とした方が良いかもしれません。その場合も現在の過半数ではなく、1/3, 1/10 の賛成で開示を求めることができるなどとした国政調査権発動の条件の緩和が必要と考えます。(参考 http://www.tokyo-np.co.jp/nihonkoku-k/txt/20050513.html

 

以上述べたように議員個人個人が独立して政策を考えるようになると、立法府に属する議員は立法スキルを身に付ける、行政に属する官僚は国民とりわけ国会議員に必要な情報をすべて開示する、という原点に戻るような気がします。こんなところからもブログ党による党議拘束のない政治手法がよりよい政治のあり方につながってゆくような気がします。


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