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楽天田尾監督解任について

2005年10月02日 | スポーツ・プロ野球など

これまで当ブログでは政治やマーケティング、知財などについて論じてきました。正直ちょっと硬すぎたような気がします。これからはもう少し柔らかいネタも混ぜていこうと思います。とは言いながらいきなりグラフで恐縮ですが、今日は楽天田尾監督の電撃解任について意見を述べます。

楽天新監督に野村氏、田尾監督電撃解任

田尾監督の指導力云々を疑問視する声もあるようですが、そもそも楽天の選手の能力はプロ野球の平均レベルを満たしていないので、単にフィールドマネージャ(=監督)の指導力が抜群であれば何とかなるというレベルではないような気がしてなりません。

楽天の選手の実力を測る指標として、今回は横軸に塁打率※、縦軸に防御率をとり、2002年度から4年間の各球団のプロットをグラフ化しました。これを見るといろいろ興味深いことがわかってきます。

まず、平均的な球団であればほとんどの場合赤丸で囲った部分に入ります。これだけ実力が接近している中での優勝争いですから、当然フィールドマネージャの力が優勝に大きく作用すると考えます。

しかし、例外的なチームが5つあります。それは今年の楽天と2002年、2003年、2004年のオリックスと、2002年の横浜です。図を見ると2002年のオリックスは打撃が貧弱、2003年、2004年のオリックスは打力はともかく投手力が壊滅的でした。しかし先の合併で近鉄の投手の大部分を取り込んだ結果、2005年は防御率が1点以上向上し、赤丸の真ん中にまで復活してます。楽天はオリックスと近鉄が合併してできたオリックスバッファローズに入団できなかった選手がメインで構成されているため、不振が続いていたオリックスの負の遺産を引き継いだ形になっています。

このオリックス時代からの負の遺産を、フィールドマネージャが優秀だからといって何とかなるものなのでしょうか?過去のオリックスの監督はどうだったのでしょうか。

■2002年石毛監督が就任しましたが、あえなく最下位でした。しかしこのときは防御率は3点台と特別悪いものではなく、むしろ打力が貧弱だったので最下位になったのです。

■2003年はシーズン開始当初に石毛監督が電撃解任され、レオン・リー氏が監督に就任しましたが、打力向上に気をとられ、投手陣の整備が遅れついには崩壊してしまいました。

■2004年は2002年に西武をリーグ優勝に導いた伊原監督を迎え入れましたが、投手陣の壊滅状態は一向に変えることができませんでした。

そして2005年です。もともと壊滅的な投手陣にほとんど補強がなく、しかも打力が落ちてしまった楽天球団を引き受けることになった新人の田尾監督に何とかできる、と考える方がおかしいとは思いませんか。


マネージメントとは担当者の能力を最大限利用し、目的を達成するよう方向付けるものだと思います。競争環境のなかで自分の担当者の能力が平均的なのであれば、マネージメントをうまく実施できる組織の方がそうでない組織と比べ良い結果をもたらすことができるでしょう。しかし、競争環境の平均レベルに達していない担当者ばかりでは、いくらマネージメントが上手くても、ポテンシャルが違い過ぎるので結局良い結果をもたらすことはできないと考えます。

例えばすばらしい指導者が率いるリトルリーグチームは、リトルリーグの中では優勝できるでしょう。でも、今期のボロボロな巨人と戦ったとしても決して勝つことはできないでしょう。マネージメントだけでは乗り越えられない壁があるということは、人にマネージメントをさせる人間は常に認識しておく必要があると考えます。

担当者の能力が不足しているならば、組織はOJT、研修、自己啓発の支援などによってレベルアップの支援を行いますが、プロ野球のような全国のスーパーエリートが集まるような競争環境においては、能力の高め方は個々人が試行錯誤のうえ見出すような性格のものであり、組織が支援することは非常に難しいスキルなのです。

従って、能力が不足している場合は、ドラフト、トレード、FA等による補強が必要になります。

今、楽天に必要なのは、監督の交代ではありません。監督だけを交代しても今の状況では決してチームは強くなりません。次期監督候補の野村監督ですら低迷期の阪神の建て直しは成功できませんでした。チームを強くするため、という観点では清原選手の獲得も疑問です。今、チームを強くするために最も必要なのは、投手陣の整備であると考えます。または投手陣の底上げのため、第二の古田を育てる必要があるかもしれません。キャッチャーの良し悪しでチーム防御率が0.5でも下がるのであれば非常に効果的です。このような補強を今シーズン前に実施しなかったのは現場のマネージメントの問題ではなく経営側の組織整備のミスに相当します。この責任を監督一人に押し付ける今回の解任は適切ではないと考えます。(堀江さんだったら、新球団の今シーズンの成績は「想定の範囲内」だったのでしょうか:P)


(※打率は安打でもホームランでも打てば1とカウントし、その和を打数で割ることで計算しますが、塁打数は安打なら1、二塁打なら2、三塁打なら3、本塁打なら4としてカウントしその和を打数で割ったものであると定義します。例えば塁打率が0.5であれば、そのチームの打者2回打席に送れば1回はヒットを打ったのと同等の効果が得られる、という意味になります。)


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1 コメント

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そのとおり (たぁ)
2005-10-02 01:25:40
はじめまして。



素晴らしい分析ですね。本当におっしゃるとおりだと思います。

このままではいつまでたっても勝てないチームのままでしょうねぇ。
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