ノッピキの読書ノート

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扉の向こうに何があるか?
本の扉を開くたびに、ワクワクします。

お医者さんが話せない間違いだらけの健康常識

2006年08月09日 | 読書について

医学的な新発見によって、
旧来の「常識」が一夜にしてウソになってしまうケース
風説偏見迷信が「昔からそう言われている」と
いうだけの理由で常識化しているケース
利益を得ようと、意図的に『ウソ」をばら撒く輩も少なくありません。
(中略)
情報過多の今日では、「ウソをウソと見抜く眼力」を磨くことも、
健康法の一つに数えられるでしょう。
(「はじめに」より)



何が健康常識か、ということは、人により時代により地域によって、異なっている、と思う。
だれが論じるかによって、ウソとホントウが、逆になったりする。
テレビ・新聞・雑誌で、様々な健康情報が満ち溢れている現在、真偽を見極める事が大切だと思う。
「間違いだらけの健康常識」という名の本は他にもある。
この本「お医者さんが話せない間違いだらけの健康常識」が良いと思ったのは次の点です。

監修者が医学博士で、広い視点で書かれている。
最新医学の知識をふまえ、その根拠をわかりやすく説明している。
多くの人が間違えやすい事を、81項目とりあげている。

肉食と無農薬野菜については、私は個人的に違う考えを持っている。
ただ、この問題については、これから検証されていく、と考えているので、
この本の持つ公平性は、信頼できる。

はじめに
 第1章 「食」にまつわるウソ    (16項目)
 第2章 「病気」にまつわるウソ   (16項目)
 第3章 「脳」にまつわるウソ    (10項目)
 第4章 「ダイエット」にまつわるウソ(13項目)
 第5章 「疲労回復」にまつわるウソ (12項目)
 第6章 「セックス」にまつわるウソ (14項目)
 コラム               ( 5項目)


本体486円という価格で、ウソを見抜く眼力が鍛えられる。お買い得だと思う。
お医者さんが話せない間違いだらけの健康常識

永岡書店

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ヘルプマン

2006年08月08日 | 読書について

イブニングに連載中の「ヘルプマン」は、現在の医療制度・介護の問題を扱っています。
介護の現場をリアルに描いているので、福祉関係者の間でも話題になっているようです。

介護保険制度が導入されて、ほぼ6年、2回の大きな制度改正もありました。
でも、現在の介護制度の問題点・現実の介護の実態は、あまり知られていません。
高齢者の性の問題、虐待問題などかなり踏み込んだ内容となっています。

(1)第1巻介護保険制度
(2)第2巻・在宅痴呆介護編
(3)第3巻・介護虐待編
(4)第4巻・高齢者性問題編
5巻からは「ケアマネ編」に突入です。

コミック仕立てなので、軽く読めて、しかも問題点が良く分かります。
漫画嫌いの人にも、一読をお薦めします。
 
ヘルプマン! (1)

講談社

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乙川優三郎「椿山」

2006年08月06日 | 読書について

 気が付くと、さとは背後からたきに抱きつき、これでもかという力で皺だらけの両手を抑えていた。それでも必死に米を研ごうとするたきへ、さとはとうとうたまりかねて本心を吐き出した。
「よしなさい、たき!幾度言ったら分かるのですか」
 みるみるたきの体から力が抜けていくのが分かり、さとはほっとしたが、すぐに不快感が押し寄せてきた。不快に感じたのは、決して言い返されぬことを前提に、人目のないところで憎しみを叩きつけた自分の嫌らしさだった。
「おねがいです、何でもいたしますから、どうか正気に戻ってください。」
耳元でさとが声を絞るのへ、たきは洸惚として放尿をはじめたようだった。                      (「花の顔」より)


この本には、「ゆすらうめ」「白い月」「花の顔」「椿山」の4編が収録されている。
いずれもハッピィ・エンドとはいえない結末だが、読後感はわるくない。
厳しい状況の中で苦悩する主人公に、共感を覚えその生き方に感動さえする。
乙川優三郎は、女性の描き方が素晴らしい作家だが、この作品集も例外ではない。
「ゆすらうめ」は、6年の年季開けの3日後、家族の為に又身売りする遊女、
「白い月」は、博打好きな亭主に苦労し続け、髪を売って金を工面する女房、
「花の顔」は、夫と息子が江戸勤務になった後、一人老いた姑を介護する嫁
救いようのない状況の中で、それでも、彼女達は環境に負けてはいない。
そう思わせる凛としたものが、その生きる姿勢に感じられる。
「椿山」は、出世に賭ける青年が主人公で、女性の登場場面は少ない。
青年は、友や家族と談笑する事もなく、手段を選ばず出世していく。
その青年に言う母の言葉がいい。
お屋敷もお金も、そして名誉も手にしましたが、兄が言うほどあなたを誇りに思えないのはなぜでしょうか。その事を考えてほしい。
椿山

文藝春秋

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