No Life Without Football

サッカーのない人生なんて......

「わたしを離さないで」が読める幸せ

2006-05-16 16:56:44 | 
カズオ・イシグロの新作「わたしを離さないで」を読み終えました。
彼の最高傑作、との声もあがっているほど評価の高い物語ですが、それも納得できますね。

切なくて、哀しくて、なんと形容していいものやら、私の貧しいボキャブラリーでは
決して適切に評することは出来そうにありません。
素晴らしく、ただただ素晴らしく...ため息とともにこう表現するので精一杯です。

独白する主人公のもったいぶった物言いに、もどかしささえ覚える前半部分から
いっきに物語が動き出す後半部分、そしてあまりにも哀しすぎる結末。
一見なんのつながりもない断片的なパズルのピースが、あるべき場所にあるべき姿で無秩序にはめこまれていき、そこから次第に浮かび上がってくる全体像にはそれまでの甘い雰囲気のかけらもなく、代わりに背筋の寒くなるような真実が姿を現します。
その過程が見事で「あー、そういうことだったのか.....」と謎が解かれていく度に納得することしきり、そして、最後にはその出来上がったパズルの絵も涙でかすんで見えなくなってしまいました。

一文字一文字、一文一文をじっくりゆっくり味わいたい、
終わるのが惜しい、もっと読んでいたい、そんな小説です。

最終メンバー発表雑感

2006-05-16 08:39:19 | サッカー
柳沢の骨折は計算できても、久保の腰痛は目に見えないってことでしょうか?
あと1カ月を切った段階で、その判断が間違っていないことを祈ります。

玉田は当然選ばれるものと思っていました。リーグで不調とはいえ、キリンカップでのプレーを見ればわかりますが代表での彼は別人、2004年の実績も含めれば確実なところですね。

世間的には巻の選出がサプライズとか言われているみたいですけれど、そんなこともないと思います。とにかく最後まで諦めず懸命に動き回る.....泥臭くしつこく食らいつく、そういう選手も必要です。巻の選出についての坪井のコメントが印象的でした。
「代表で普段一緒に練習している目からみれば、彼が選ばれたことはサプライズでもなんでもない、当然のこと」。

中村も本大会へは今回初出場、2002年以降やってきたことが間違いでなかったということ、との言葉どおり、自信も実績もついてよりたくましくなったと思います。
一方、中田浩二ですが....海外に行ってから誰が彼のプレーをフォローしていたのでしょう?マルセイユやバーゼルの試合を、ジーコ監督やスタッフが実際に目にしていたのでしょうか、そこのところはちょっと疑問ですね。

中盤から後ろにかけては誰もが思ったとおりの選考でした。
一部には、高さ対策が中澤ひとりでは心もとない、松田の復活を、という声もありましたけれど、それはないだろうなあ、と......。
身体的、技術面以上に精神面を高く評価するジーコ監督は、結局、二度と松田にチャンスを与えませんでした。

すべての人が100%満足する選考など、ジーコ監督でなくても誰がやっても、ありえません。

もうここまできたんですから、好き嫌いは抜きにして、ジーコ監督以下23名の選手達日本代表チームを、私達も全力でサポートすることにしましょうよ。
気合入れて、魂込めて、熱く激しく、世界を驚かせるようなサッカーをみせてやりましょう。

6月12日まであと27日。

追記:オシム監督のコメント 最後の部分、選ばれなかった選手達に関する話は必読です。