NIKE VINTAGE REPAIR MANIA

NIKEのヴィンスニリペアに執念を燃やすHENTAI修理屋のBLOG!!
ご依頼頂いた珠玉の名品達を紹介します。

SPECIAL NYLON CORTEZ

2015-12-28 17:57:45 | ミッドソール交換
MODEL:SPECIAL NYLON CORTEZ(OHIO STATE)

MADE IN U.S.A.


今回の依頼はSPECIAL NYLON CORTEZで、

施工メニューはミッドソール交換、ライニング交換、シュータン補修、中底交換、アッパーナイロン補修となります。

オーナー様からは、やれるだけやって下さいとの事でしたのでフルレストアに近い内容ですね!

部位によっては劣化や破損が進行しておりますが、まだ使用可能な物はそのまま流用します。


まず行うのが全解体。

アッパー、中底、インソール、ミッドソール、アウトソールを解体します。

ドンガラな状態で最初に着手するのがアッパーの補修。元々、左足アウトサイドに大きな穴開きがありましたが、雑なボンド処理をされて生地が張られており外観を損ねてます。

他にもswooshのステッチが違う色で補修されている箇所、ステッチが丸々解けている箇所、アッパーナイロンの細かい穴開きなどが目につきます。

これら全て目につくところは補修します。

大きな穴開き箇所は溶剤を使用して一度充て生地を剥がし古いべたついたボンドをクリーニング、そして補強生地を裏に追加してアッパーの内側まで開いている穴を塞ぎ補強。

そしてステッチが抜けている箇所、糸の番手違いで縫われて補修されている箇所などをリステッチ。画像はアッパーの内側です。



アッパー外側、ミッドソール接着部の端はプレッシャーが掛かる部位ですので、所々小さな破れと穴開きがあり、これらは同色のナイロン生地を裏に充てて補強しております。




次に取り掛かるのがライニングの交換。

今回、原点に立ち返りオリジナル通り合皮を使用しました。

それもたまたま、いつも通っている生地問屋でデッドストック品という事で店頭にてカット販売されているのを発見した訳ですが、まさしく質感・厚み・色合い等、

自分が探していたものでした。

最近までは伸縮性があり作業がしやすく、耐久性にも富んだ本革を使用しておりましたが、それぞれにメリット・デメリットがあり、合皮の耐久性に関しても

昔と比べると改善されているかと思います。

合皮の一番のメリットはやはり仕上がりの美しさで、シワが寄りにくいのとカット断面が本革と比べ非常にキレイです。

しかし、今回使用したマテリアルはあまり伸縮性がない為、加工に非常に苦労しました。

ただその分、仕上がりは見て頂いても分かる通り、オリジナルと比べても遜色無いかと思います。画像は施工後の状態です。




次に着手したのが、中底の交換。私的に靴のシルエットを保持する上での一番重要なパーツだと考えてます。

オリジナル材が使用できるのであればそのまま使用しますが、USA製ですと大半が破損しております。

このスニーカーにしても、ソールを外してみると所々に破損箇所が確認できます。



新規で中底を作製しますが、USA製は若干特殊で、フラットな状態でオリジナル通り型をとると形状が一致しません。

厚みも他の生産国と比べると若干厚めですので通常の1.5倍厚仕様にし、中底形状もオリジナル通り真ん中が凹むようにRを付け加工する必要があります。

スペンコインソールはオリジナルを使用する為、最初のフラットな形状の中底ではフィットしませんでしたが、加工してピッタリと合わせております。

また個人的な拘りで、中底の色ですが新しい中底ですと白っぽくエイジング感がありません。殆ど見えない部分ではありますが、それはダサいという事で染色しました。



そして、アーチサポートはオリジナルと同じ型番を使用しフットベットを組み上げます。良い感じですね~!




アッパー最後の補修はシュータンになります。施工前の画像ですが、綿のような物が組み込まれステッチの糸番手・ピッチ幅も滅茶苦茶で、サイドもロック処理がされております・・・。



表地はオリジナルをそのまま使用しますが、裏地はスウェードの色移りと生地のダメージもあり使用は断念しました。

代わりに当店ストックの同国製生地を使用、スポンジは5mm厚を組み込みます。



以上でアッパーの補修が完了です。


やっと最後の工程、ミッドソールの交換になりますが、ミッドソールを作製する前にアウトソールの洗浄をします。

古いこびりついた黒ずみも丁寧にクリーニングしました。



そしてミッドソールの作製ですが、オリジナル同様の厚み・シルエット・積上げで行います。

ミッドソール、赤のカラーEVAは少し前に入手した数量限定のマテリアルで、鮮明な赤というよりは少し黒ずんだ感じでエイジング感を醸し出しています!



積上げ・整形が済んだらアッパーと接着し、シュータンを縫い込んで補修作業は終了となります。


また、補修とは別にシューレースのクリーニングも行いました。

シュータン生地同様、シューレースにもスウェードの色移りがあり汚れも沈着しておりました。

洗剤にて汚れを落とし、漂白剤に浸けて丁寧にアイロニングする事により、新品に近い状態になりました。




以上で全ての作業は完了しました。かなり見違えましたね!




お役御免となった古いマテリアル、お疲れ様でした!!




オーナー様にも、かなりの高額になってしまいましたが、当店を信頼して全てを任せて頂きまして大変感謝致します。

またのご利用お待ちしております。




以上で2015年、最後の投稿となりますが、気付けば今年も残り数時間、ギリギリでの投稿になりました・・・。

ここ数年、沢山のご依頼を頂いておりますが、お客様のご要望も多様化しており、技術面や修理機具・設備の不足で長期間預かりになる依頼品も多く、

お客様には大変ご迷惑をお掛けしております。

少しずつではありますが、色々と改善に努めておりますので、何卒お待ち下さいませ。

やり残した事が満載ですが、ご依頼頂いたお客様、ご支援頂いたショップ様、この拙いブログをご覧頂いている読者様、本年も大変お世話になりました。

どうぞ良いお年をお迎え下さい!!これにて締めのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました!


Lime代表 齋藤



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LAVA DOME

2015-12-19 15:59:28 | ライニング補修
MODEL:LAVA DOME

MADE IN REP.OF KOREA


今回の依頼はLAVA DOMEで、ヒールカウンター交換、ライニング交換、スウッシュ新規作製、中底交換になります。

ほぼフルレストアな内容ですね!

施工前の画像になりますが、ヒールカウンター・スウッシュ・ライニングの合皮が経年劣化でボロボロな状態です。




まず補修するにあたり、ヒール部を全て解体しソールも一度取り外します。ドンガラな状態ですね!

このモデルはアッパーのソール接着部に多数のタックス(釘)を使用しているので解体に苦労しました。




最初に作製するのが縫い付け最下部になるスウッシュになります。使用する素材は合皮ではなく本革で作製。

大体の形はオリジナルを踏襲しますが、少しだけシルエットを変更し、ステッチもピッチ幅を狭め高級感を出してます。

ヒールカウンターは、同じ素材で新たに作製し縫い込みます。

ライニングに関しても使用する素材は合皮ではなく本革を使用しております。

ヒール部のスエードを縫い込みアッパーの補修は終了です。

画像は施工前後での比較になります。





スウッシュの画像になります。




そしてあとはソールを再接着するだけ!!

のはずが…、

中底前部が完全に破損している事がこの段階で判明…。

片足は粉々になっていましたが、もう片足の割れた中底のピースをパズルのように繋ぎ合わせ、何とか型を取りました。

中底の補強パーツは無事でしたので、流用して組み上げております。




最後にアッパーに中底を組み込み、ソールを再接着して完成となります。

ヒール周りの全解体、再構築という難しい作業でしたが、違和感なく補修できたかと思います。




ご依頼、誠にありがとうございました!


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