リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

溝掘りの日

2006-04-18 14:56:24 | 『田んぼのチカラ』2004-
溝堀りの日
 私の住む地区では、四月の中旬に“溝掘り”をする。溝掘りとは、地区にある水路の掃除のことだった。
 四月後半になると、上流の井堰から用水を通じて農業用水が流される。秋から冬の間、干上がっていた水路に水が流される前に、地区の水路に溜まった泥や砂を取り上げる。
 私がこちらに引っ越してからそろそろ10年になる。参加できない場合には、一定の金額を自治会長さんに納める。それは、ほんとにわずかな金額なのだが、驚くべきことに殆ど全ての世帯が参加をする。

 スコップと長靴持参ということだったので初年度は先が尖ったスコップを持って いった。しかし、これは具合が悪い。殆どすべての水路がコンクリート化されていて、先は平らな方が具合よかった。
 お向かいの方はこの溝掘り以外にはスコップを使わないと話されたが、そのスコップの先は尖った部分が平らになっていた。四〇年の歳月だそうだ。


 全世帯総出で溝掘りをする。このことが県外から来た私にはとてもおもしろいことだと思ったので、友人にその話をした。

 郡上の人曰く、郡上では“井普請(いぶしん)”という。やはり、4月中旬に行う。
 川漁師曰く、羽島では“江浚え(えざらえ)”梅雨入り前の行事だそうだ。

 川の上流から下流まで、河川の生態を研究する分野では、川の流れ下る過程を大きく三つに分けて捉えることにしている。
 上流を「小さな滝が連続する区間」。中流を「一つの蛇行に瀬と淵が各一つある区間」。下流については「瀬と淵がはっきりしない区間」というように区分する。
 長良川の流域では同じ排水の掃除でも、上流が井。中流が溝。下流が江。長良川の流れ具合を見事に表しているではないか。

 私はこれを知ってうれしくなった。そこで柳ヶ瀬の飲み屋で開陳したのだが、亭主曰く「市内ではドブ掃除という」そうだ。

 ともあれ、まもなく水路に水が流され田植えの準備が始まる。私が実験する水田では5月3日を予定に田んぼの準備をします。
 お手伝いいただける方募集いたします。
 詳しくは私のブログ「リバーリバイバル研究所」をご覧ください。
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2 コメント

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川止め (高橋健)
2006-04-23 20:54:50
はじめまして。23日付岐阜新聞「田んぼのチカラ」は面白いですね。写真を見ていたら、この溝は農業用水路のように見えますが。

川筋は違いますが、旧本巣町の根尾川筋では昔、3月、番水といって山口の水門を閉じ長良川と揖斐川までの水を止めて農業用水路(排水路兼用)工事をやっていた。田植えの準備で、漏水を防ぎ、田んぼに正確に水が流れるようにするため。そのとき、大人も子供も漁をするのだけれど、23日付11pのイタセンパラもいた。いないのは鮎だけだった。その鮎も6月にわが家の母屋の中にある池にまで入り込んでいた。池の鯉は、堀井戸にかごの中に入れて、また池に戻していたのを思い出しました。その川底は、いまコンクリートのU字溝。あのころ(5、60年前)の魚の豊富さが懐かしいですよ。いまでも番水は続いているはず。でも魚はいない。長文でごめんなさい。
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番水ですか (ニイムラ)
2006-04-23 21:21:01
根尾川筋では番水というのですね。水路管理のことをもう少し詳しく調べたらおもしろいと思います。

 写真の溝は排水路に当たるかもしれません。我が家も合併浄化槽の排水はここ経由で流れます。
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