リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

岐阜新聞 鮎の12か月 連載2007年 4月

2008-01-01 17:42:12 | アユの12ヶ月 川面からの記録
 「そろそろアユ来とるで」漁師のUさんが知らせてくれた。先月遡上アユが撮れないとこの欄で書いたからだ。

 忠節橋の下流で潜ってみた。「池の上の裸祭り」でみそぎをする岸辺の向かい側、左岸の浅瀬にドライスーツを着て横になった。その辺りは、右岸から「うし」と呼ばれる在来工法による水制工が張り出して小さな瀬になっている。岸から5m位のところで石につかまって見渡せば、両側に10mくらいの範囲を見渡すことができる。しかし、小1時間、潜って観察していたのだが、遡上するアユの姿は見えなかった。
 河床の石の表面を見る。アユが登ってくれば表面の藻類を食べた跡が残る。そんな痕跡もみられなかった。

 長良川河口堰建設が始まった後のことだが、アユの遡上調査が平成5年から16年までこの場所で行われていた。調査資料によると、長良川河口堰が完成する前の平成5年、6年はさすがに多くて1日に推定値95万匹、83万匹という記録がある。ただし、5月上旬のことだ4月中旬ではまだ早いということかもしれない。

 忠節橋付近は長良川のアユにとって特別な場所といえる。今を去ること43年前、昭和38年にこの場所で初めてアユの遡上調査が行われた。「木曾三川河口資源調査団」という51名の専門家からなるチームが長良川河口堰による影響を調べることを目的とした調査を行った。調査団のメンバー7名からなるアユ班がこの場所にゴムボートを浮かべて遡上するアユの数を調べた。

 アユ班のリーダーは当時愛媛大学理学部におられた伊藤猛夫先生、学生時代ボクは伊藤先生の元で生態学を学んだ。当時の調査についてOBから聞いたことがある。「朝早よーからボートに乗せられて、川の中を見よる。暑いし、たいぎいし(たいへんだし)ボーとしとると、岸辺から先生がメガホンでおらぶ(どなる)。もうしんどかった。」その先輩は遡上調査で卒論を書いたという。

 43年前の報告書を見直してみた。「のぼりアユの生態」と題された報文によると調査は4,5,6月の3回行われていた。4月の調査は18日から5日間。各月の遡上数をみると4月が最も多くて、最大1時間当たり1万4千尾のアユが遡上したと記録されていた。

 昔はもっと早くアユがのぼって来た。年配の漁師さんはそんなことを話されるのだが、4月中旬が長良川のアユの遡上の盛りだった頃があったのかも知れない。
さて明日は4月18日だ。長良川調査の先達に従って、アユの遡上調査をすることにしよう。


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