リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

2023/02/09

2023-02-09 11:45:46 | ニュースクリップ

和歌山県田辺市沖の田辺湾の海底土に植物プランクトンの栄養となる窒素やリンが多く含まれていることが、市が初めて実施した調査で判明した。田辺湾では漁獲量が激減しており、市は海中のプランクトン減少で魚が減っている可能性があると想定。漁獲量回復のため、海底土中にある窒素やリンを海中に放出して栄養を高める「海底耕耘(こううん)」を実施する方向で検討している。

【和歌山】M田辺湾

窒素やリンは、植物プランクトンが生育するための栄養となる物質。減少すれば、これを食べる動物プランクトンの数が減り、さらに動物プランクトンを食べる魚も減少する。リンや窒素の減少は貧栄養化と呼ばれ、水質が向上する一方で生じるとされる。

市水産課は貧栄養化が田辺湾の海中で進んでいるとみて、海底土の栄養分を放出させる海底耕耘を検討。昨年9月、海底土の栄養状態などを把握するために、湾内の7カ所の海底土を採取した。

調査の結果、比較的窒素とリンが多かった田辺漁港内とたきない町沖、採取した海底土に硫化水素とみられる腐卵臭がした会津川沖の計3カ所で、令和5年度に海底耕耘を実施する方向で検討している。

海底土1キロあたりの窒素は、田辺漁港内では、ほかの4カ所が200~400ミリグラム台だったのに対し、最高の1800ミリグラムだった。リンも最高の520ミリグラムあった。たきない町沖も比較的多く、窒素が1100ミリグラム、リンが390ミリグラムあった。腐卵臭がした会津川沖は海底が汚れているとみられ、海底耕耘で環境改善するという。

海底耕耘は、船がすきやくわのような器具を引いて運航し、海底の土を攪拌(かくはん)する作業。貧栄養化対策として瀬戸内海などで導入されている。県水産試験場によると、県内で実施すれば極めて珍しいという。

和歌山南漁協の統計によると、田辺湾を含む田辺市の漁獲量は昭和48年に1万2727トンあったが、近年は大きく減少。令和3年は2346トンにまで落ち込んでいる。

市水産課は、海底耕耘によって田辺湾全体に窒素やリンが広がると期待しており、6年度以降も継続したいという。永井幸彦課長は「海底耕耘で魚が生息する環境がよくなれば。漁獲量の増加につなげたい」と話している。(張英壽)

和歌山・田辺湾海底土に栄養分 海中に放出へ 漁獲量回復目指す

和歌山・田辺湾海底土に栄養分 海中に放出へ 漁獲量回復目指す

和歌山県田辺市沖の田辺湾の海底土に植物プランクトンの栄養となる窒素やリンが多く含まれていることが、市が初めて実施した調査で判明した。田辺湾では漁獲量が激減して…

産経ニュース


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2023/02/08 | トップ | 2023/02/10 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ニュースクリップ」カテゴリの最新記事