あわただしい朝だった。
琵琶湖から撮影のために持ってきた、ニゴロブナの卵から孵化が始まった。撮影をしようと、ベランダの窓を開けて、水槽を覗いていると、爆音と共に、そいつは入ってきた。
ティファナブラスのビートだった。
巨大なハチと目があった。なんという羽音だ。
あわてて、台所に逃げるが、威嚇しながら追いかけてきた。シンクの影に身を縮ませる。暗がりに逃げたことが正解。ハチは旋回して排泄物をおとしてリビングの方にかえった。そっと伺うと、本棚、飾り棚のあたりを飛び回っている。
困った。
折悪しく、お向かいのご主人がベランダから呼んでいる。友人が釣ってきた魚の名前を確認してくれという。
大声で、スズメバチがいるから部屋に入らないように頼む。
スズメバチはまだ、部屋の中を飛び廻る。
玄関に誰か来た。町内費の集金か?
危ないから入らないでとどなる。通じたか。ドアが慌てて閉まった。
なんというあわただしい朝。
不在であったボクが悪いのだが、いろいろな方訪れる。
羽音が止んだ。
プラスチックの風呂桶を頭にかぶり、キッチンから覗くと、スズメバチが壁にとりついている。
何か調べている。巣を作るつもりではないのか?
時間がない、逃げ回っているわけにはいかない。
戦うしかないのだ。
ゆっくりと玄関へ。そこには、捕虫網がある。
階段を上り、忍び寄って、ゆっくりと網で捕らえた。
網で巻き取りほっとすると、網に大きな穴が開いている。
あわてて、穴を押さえる。
これは大きい。オオスズメバチ。
これは、雌バチ、巣別れした女王バチではないのか?
ハチは時々迷い込んでくるので、いつもは外に放すのだが、壁への執着が気になった。しかたがない。
絶命させたが、気の毒でもあり、もったいなくもあり、焼酎を買ってきて、スズメバチ酒にした。
今年はキウイを切り倒して、外壁の塗装をしようと思ったいたら、雄花(玄関の横)も、雌花(壁側)もいっぱい咲いた。それに、時期もぴたりあっている。ハチもおおいよね。
今年は、実がたくさんなるかもしれないなあ。根元にミミズを飼っているのが効いたのかもしれないけど。
奥様曰く「ウォーキングのとき車が来たのでニイムラさん宅の方に寄ったら頭の上で蜂の音が聞こえたので上を見上げたらキウイの花が満開で蜜を吸いにきていた」との事。
我が家での議論(?)ではキウイの花に蜂が寄って来ているのだろうとなりました。後しばらくは注意した方が良いかもしれません。