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農業特区がないと農地集約はできないのか?

2014-09-25 12:19:59 | あるべき農政
 さて、農業特区を批判すると、農業特区がないと農地集約ができないかの批判を受けることがあります。確かに、農業特区では、新潟市の許可さえあれば「企業等」による農地集約が可能という仕組みを設けています。

 そもそも農地集約を進めるべきなのかどうかは議論がありうると思いますが、進めるべきだという見解に立っても、農業特区抜きで農地集約は十分可能です。

 農地集約は、現在でも、農業委員会による許可があれば可能です(農地法3条)。農業委員会の許可に要する標準処理期間は20日間とされています。ですから、そんなに大変な手続きでもありません。農家によっては現在でも農地集約を行っていますし、農地バンクという農地集約をしやすくする仕組みもあるので、なぜ農地集約のために農業特区を設けないといけないのか一見意味不明です。

 この点、新潟市が作成した「国家戦略特別区域『大規模農業の改革拠点』規制緩和項目の概要」という文書によると、農業委員会が農地集約の許可手続きに関わらなくて済むことにより、その力を農地の斡旋等に振り向けることができることがメリットとされています。しかし、農業委員会に農地の斡旋等に力を入れて欲しいのであれば、その事務局態勢を強化してあげれば済む話です。農地特区の必要性には結びつかないと思います。

 そう考えてくると、農業特区には別の思惑が働いていると思えてきます。農業委員会は地域の農家等により構成されます。そして、農業委員会は、農地集約の許可にあたり、周辺農地への影響等も考慮して許可することになります。仮に、企業による農地集約について農業委員会の許可にかからしめた場合、農業委員会が地域農業の利益のため、許可をしないことも考えられます。農業特区になれば、そのような地域農家の利益を考慮する農業委員会の影響を排除することができますから、いかに企業による農地集約が地域の農家にとって不利益でも、簡単に許可をすることができることになります。このことこそが農業特区の本質なのです。

 農業特区がなければ農地集約ができないのではありません。農業特区がなければ、地域の農家の利益を無視した大企業による農地集約ができないのです。そうであれば、農業特区が地域の農家のためにならないことは明らかです。