新潟久紀ブログ版retrospective

人口減少を踏まえた地域活性化のための仕組み

※2018年8月10日から2018年8月18日にかけて以下を「つぶやき連載」としてツイートしました。一括してお読みいただけるようまとめて掲載します。

【告知】つぶやき連載はじめます。新潟県における人口減少は近年加速度的に深刻化し、年間2万人も減っています。新潟に暮らし続ける人や移住してくる人を増やすためにどのように地域を活性化すれば良いのか。自分なりの考えを少しずつ細々とつぶやいていきます。

【連載1】「人口減少を踏まえた地域活性化」については総論では皆が課題と思うものの「好ましい活性化」は人それぞれだし、「地域と」いわれると「私」も含まれるけど、「みんな」のことか「人ごと」か…、とイメージの拡散につれて思考は止まり、切迫するか面白みのある日々のあれこれへと関心は移り去ります。

【連載2】「私」としての地域おこしを語るとなると、日々の身の回りを基軸とした極めて属人・属地的なものとなり、他人にとって「よそ事」のつまらない話しになります。

【連載3】しかし、このたびは「広く皆さんに向けたつぶやき」(笑)なので、どの人にも共通する汎用性があり、どんな地域にも展開できるような、仕組みとしての「地域おこしのためのシステム論」を提案したいと思います。

【連載4】「地域おこし」を「人の賑わいが増える、お金が回る、仕事や雇用が増える、来訪者や定住者が増えるという、好循環を生み出すきっかけ作り」とするならば、やはり、人が何らかの新たな動きを能動的に起こすことが必要となります。

【連載5】 しかし、地域の衰退は、その昨日と今日との違いの緩慢さゆえに、人はそれに順応していけるので、以前からそこに住まう人による斬新で変わった行動は、にわかには始まりがたい。

【連載6】一方で、世の中には、「人ごと」を「自分事」にして地域おこしに汗を流す非常に有り難い人が居ます。「よそもの、わかもの、ばかもの」の「3もの」と軽口調ながら敬意を込めて呼ばれる人達です。

【連載7】彼ら(彼女ら)により地域が活性化している成功事例が報道などで多々見られます。何故、地域おこしに悩む地域では、いまや数多ある成功や失敗の事例を参考にして「3もの」という「異質」を引き入れ、活性化を上手く推進できないのでしょうか。

【連載8】それは、世の中で最もお金が掛かる「ひと」への投資と、何がどの程度の成果になるか分からない不確実性の中で踏み出せない事が大きな要因ではあるまいか。

【連載9】要は「コストとリスク」を乗り越えて「3もの」効果を持ち込むにはどうすべきかが課題になっていると考えます。この方程式の解に適うのは「よその役所の職員の活用」であろうと考えます。

【連載10】地方公務員は、法律により全国一律に身分が保障されており、敢えて言うならチャレンジするリスクを負わない。加えて、その人件費は地元の税収のみならず全国的な税収の再配分を受ける中で賄われているので、他の地域の事も「自分事」とすべき大義もある。

【連載11】また、公務の仕事内容は、環境、福祉、産業、教育などと分野ごと縦割り的ながら、相手とする住民生活は「総合的な有り様」なので、特定分野の仕事であっても続けていると、付随して他分野の情報や見識も蓄積されてくる。

【連載12】さらに、例えば工業振興と環境保全など、推進と抑制といった異なる立場の仕事に異動辞令一枚で明日から就くことも常々。「異質」分子として異郷に投入される心づもりが自ずと内蔵されているのです。

【連載13】特に公務員は若い頃に見識の幅を広げようと異分野間の異動を重ねるので、3箇所程の職場を経験した30歳前後であれは、世間の人が想像する以上に相当幅広い見識が備わっています。

【連載14】加えて、30歳前後といえば結婚など地域における社会性が高まる時期を迎えるタイミングでもあり、地域の活性化や子育て環境などを「自分事」として考えるに適した存在。そこで「よその役所の30歳前後の職員を派遣により地域おこしのために呼び込む」。

【連載15】よその自治体にも若手の活動フィールドを広げることは、固定的職場での定型的な勤務を解いて、伸びざかりの能力の発揮と地元では得られない経験を通して成長できる機会を生む「閉塞感の打破」にもなり、結果して税金で雇う公務員の活用の伸展にもなるのです。

【連載16】そこで『役所職員流動化による「仕事型地域おこし」でついでにふるさと倍化システム』を提案します。

【連載17】具体的には、地域おこししたい自治体が、地元とはできるだけ自然環境や地理的条件、住民気質などが異なり、一見すると相容れるところが無いような土地柄の自治体から、3箇所程度の職務経験した30歳前後の職員を、3人組のチームで招き入れます。

【連載18】住まいは空き家を与え、3年間の期限の中で、当該地域が抱える課題への対応案と行動計画を作成・実践させます。

【連載19】例えば若い人から移住して欲しいなら、派遣者の「自分事」に置き換わるよう「自分がココで暮らし家族をもうけるなら何をどうせねばならないか」といったテーマに。課題が何なのかすら分からない場合はその発見から頼むのもアリです。

【連載20】空き家に実際に住む中で、どのような手の加え方が若者や観光客に好まれるのか、小さな商売を始めやすいかなど、地域の悩みの種である空き家活用策も考えさせます。

【連載21】昨日まで業務日程に負われて仕事していた若者達です。その勢いを削がないよう、また、折角の3年間で少なからず成果を呼び込むため、スケジュールは厳しめに設定しましょう。

【連載22】3か月で「この地域に相応しい活性化策と実践計画」を立てさせ、「その中で自分達を中心とした力で達成できる年次毎の成果目標を定量的に設定し、実践」といった具合で。

【連載23】問題を提示され、「現状分析、課題の抽出、対応選択案、実践計画」という書式が与えられれば、試験社会を経てきた公務員は書き込んで埋めたくなるのが気質。若手職員は乱出するアイデアの整理と計画のとりまとめ実務もよく経験するので正に適任なのです。

【連載24】30代3人、3年…。意識的な「3」は、冒頭の「3もの」という言われ方で奇跡が果たされている事の深みも意識してのものです。

【連載25】3人の派遣チームでは、「外部的視点担当(よそもの)」「今どき感覚担当(わかもの)」「突拍子もない思いつき担当(ばかもの)」などと役を割り振り(ロールプレイング)、又は当番制にして、派遣先の地域おこし策を考えます。

【連載26】受入自治体側でも、できれば若手3人程度を派遣者からの相談対応役に割り当て、意見交換や計画書における同じ検討項目への書き込み内容の違いなどを通じて、相互の異質さから生み出せる新たな価値を探させます。

【連載27】派遣元と派遣先の地域のギャップが大きいほど刺激が大きく「化学反応」も大きくなると考えられます。例えば、沿岸漁村から林業山村、中山間畑作地から平野水稲単作地、工場の町から農山村といったように。

【連載28】「異質の刺激」が起爆剤となって、地域伝統などの「宝磨き」による観光入り込み客の増加や地域経済の活性化、有形無形の地域固有の資源に着目した新商品の開発などが企画されるでしょう。

【連載29】3年という短い期間で、全国に名を馳せるような優良事例ができる確率はとても低いかも知れないが、企画の仕掛かりで終わってしまっても派遣を契機とした自治体間交流の継続の中で経済効果を生む展開等へと繋がるかもしれない。

【連載30】また、計画頓挫など失敗経験の蓄積も、地域の財産として行政視察や話題づくりのウリにするような強かな開き直りもあって良い。

【連載31】今回の提案では「ついで」として、危機管理や行政効率化の副次効果、産業経済活性化への応用ももたらします。むしろ、これから述べる「ついで」としたおまけ効果の方が本筋より"美味しい"かもしれない。

【連載32】動員される公務員自身はもとより、彼らの派遣元としても派遣先の地域と深い縁ができる。派遣職員の3年間の濃密な勤務を通じて良い点も悪い点も熟知している職員派遣先の地域を、災害時の避難先とすれば迅速かつ円滑な対応につながる。派遣職員を通じて派遣元の危機対応力向上も図れるのだ。

【連載33】なお、今回の提案では、近隣でなく土地柄の大いに異なる地域への派遣が有効としているので、大災害を同時に受けるリスクの低さも避難先として魅力となろう。

【連載34】また、自治体の経営効率化や重複投資の抑制にも通じるかも知れない。派遣を通じた役所仕事の違いの認識はお互いの「良いとこ取り」を通じて相互の効率化につながり、市民サービス向上に通じる。

【連載35】更に、異質性の高さを求めるゆえに隣接市からの職員派遣受入れは考えにくいので公的施設の同心円的な共用等はできなくとも、非日常的なよその土地(派遣元地域)での公的施設や自然環境等の利用案内を住民へできる等で、住民満足のための地元内の過剰投資を避けることにつながるかもしれない。

【連載36】また、それによる地域間の人の交流が派遣先において経済効果になれば本筋の目的にもなっていく。取組展開の中で「ふるさとが倍化」するのだ。

【連載37】今回の提案は、地域の賑わいや住みよい生活環境づくりを一義的なテーマとして想定しているが、それが経済的な活性化と密接であることは前述のとおり。派遣先が他自治体からの職員招聘のお題を「地場産業の振興」とすれば、「産業経済の活性化策」にも効く。

【連載38】例えば、地元と異なる業種が中心の工場の町などからの派遣職員により、地元産業の経営者達や流通・販路の体系等の刺激を通じて、新たな利益機会創出の企てと実践のための方策を取りまとめさせるのだ。

【連載39】「異質」を重視する今回の提案によれば、正に地域毎の違いこそに価値がある。

【連載40】ここ数年来、規模の効率性を狙うあまり小さくても光る地域の個性を毀損してきた例に心を痛めることも少なくなかったが、今後は地勢的なり社会的なり歴史的に今日に至る地域のまとまりの意味が再評価されるのではないかと考えている。

【連載41】それぞれの地域が持ち味や個性を伸ばしながら相互の異質さで刺激し合い新しい価値づくりの局面を創出していくことは、多様性を認め合うべきヒト社会のあり方にも通じる。

【連載42】ここではシステム論を唱えたが、人の異動を伴う流動化には課題も多く、現実的に自治体がこうした取組を採用するかは分からない。

【連載43】しかし、思いつきから始めてこうして書き表してくる中で、心の中に異質を求め新たな価値を見出したいという気持ちが高まってきた。

【連載44最終回】

「自分事」にできる小さな「身の回りおこし」から密かに始めてみようと思う。<終>

2018年8月18日 

44回にわたる「つぶやき連載」にお付き合い頂き有難うございました。これからも細々とつぶやきますのでよろしくお願いします。


☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「つぶやき」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事