新潟久紀ブログ版retrospective

活かすぜ羽越本線100年6「新発田駅以南編・水原駅」

■JR羽越本線100年を機に新発田地域の振興を考えます。
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◆新発田駅以南編・水原駅

 羽越本線「神山駅」から南4km弱の次にあるのは「水原駅」だ。人口約4万人の阿賀野市の中心市街地にあって東に延びる駅前通りの周囲に市役所や県立高校、市立病院などが集積し、商店街や住宅地が比較的コンパクトにまとまっている。駅利活用の観点では有意な立地に思えるが、全国規模の量販店などは市街地を外周するような国道49号沿いに展開していて車利用を促すし、何よりも同国道のバイパス整備などにより県都新潟市中心部への車によるアクセスが順次改善を続けているので、鉄路利用や地元経済としては中々厳しい状況にありそうだ。
 阿賀野市で開かれる会合などで時折、夕方や夜間に水原駅から新潟駅まで乗り継ぐことがあるが、水原駅は閑散としていて駅前通りにも賑わいが無い事からも、廃れ具合を肌身に感じるところが多い。
 誘客を考えると、渡り鳥への餌やりの”白鳥おじさん”で全国的にも知られた白鳥の飛来地「瓢湖」という財産がある。水原駅から2kmほど車で7分、歩いて31分だが、道中の街なかが散策路として魅力的であれば丁度良い距離感かもしれない。
 しかし、郊外型量販店や車社会の中で御多分に漏れず街なかの活気は下がり、閉鎖されたガソリンスタンドや空き店舗の利活用などの努力も見られるが中々若い人を誘えるような華やかさや見映えというものには乏しい。
 それでも目的地たる「瓢湖」に圧倒的な訴求力があればとも思うのだが、水原駅から足を延ばして数年ぶりに立ち寄ってみると、渡り鳥の季節でありながら閑散としていて、なんとも寂しい思いになる。
 平日の午後ということでは当たり前という向きもあろうが、そんな頃合いだからこそ普段の実力というかが垣間見えるものだ。瓢湖を囲む公園内に整備された誘客施設は休館なのはまだしも、歓迎施設である「白鳥会館」は往時の面影はなく、野菜の直売所として周辺住民と思しきご高齢の方が二三人、腰を曲げて物色している姿が見られるばかり。ビルの上階にあった展望レストランはかなり前から廃止されているようで、立派なビルほど使われていないと寂しい雰囲気が強く感じられるものだ。
 瓢湖の周囲を散策してみると「あやめ園」の結構な広さに驚かされる。シーズン外の真冬のため切り株しか残っておらず乾いた水田の様なのだが、その中を上手く湾曲を組んだ遊歩道が通っていて歩くだけでも楽しくなる。しばらく行くと児童向けの複合遊具や野外舞台のような設備があり、その敷地も結構な広さなので、意外に大勢の人が楽しめる空間にできそうだと感じる。
 そういえば過日、瓢湖を良く知る関係者から、あやめ園への来訪者が出来るだけ多く長い期間楽しめるように当然やるべき植栽の配置や順序などが全く配慮されていないと苦情を受けたとか、白鳥会館の廃れぶりにガッカリという声がよく出て残念だといった話を聴いた。
 ここ数年は特にコロナ禍などもあり、役所も財政事情厳しく、民間も経済情勢が芳しくない中で、公園への投資はなかなか優先できないのであろうが、今見て来たように、これまで維持してきた現存の資産は結構な注力の上で残っているものであることが見て取れるし、駐車場も広いので現実の車社会への適用を考えても、何か時勢にあった利活用ができそうな気配がしてならない。
 民間事業者に裁量を預け、口を出さずに自由な創意工夫で収益を上げさせて、結果して公の施設としてのコスト軽減につながるような、何よりも相当な税金が投入されて今に至る有形資産が住民や来訪者増に向けたサービスを改めて生み出すような、そんな"パークPFI"の手法などを活用しての再生ができないものかとついつい考えてしまうのだ。

(「活かすぜ羽越本線100年6「新発田駅以南編・水原駅」」終わります。「活かすぜ羽越本線100年7「新発田駅以南編・京ヶ瀬駅」」に続きます。)
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