新潟久紀ブログ版retrospective

病院局総務課12「病院へ泊りがけで視察に行く(その4)」編

●病院へ泊りがけで視察に行く(その4)

 寝泊まり視察をする大規模病院の訪問では、昼過ぎからお邪魔させていただいたので、午前ほどの混雑のない外来待合室での滞在にはあまり時間を掛けずに、事務長へ挨拶した後に診療セクションを順次巡回視察させてもらうことにした。混雑しがちな午前の外来については、泊まり明けの翌朝一番、正に開院時の状況からしっかりと見させてもらうことができる。
 大きな病院ともなると、組織的体制も大きく複雑化しており、看護部、薬剤部、検査部、栄養課、リハビリ部などでそれぞれ部門長さんが配置されてスタッフを抱えている。一つ一つを巡りお話を聞いたり施設設備を見せてもらっていくとあっという間に夕方になる。いよいよ泊まり込みでの視察の準備だ。病院近くの飲食店で早めに夕食を摂り、事務長から指定された医師の当直室などの空きを利用した宿泊部屋に荷物を置く。暫くは事務室で残業している事務職員らから仕事の邪魔にならない程度に病院の実情を聞いていくのだが、彼らも帰宅するころ、看護師による夜間病棟の巡回の時間となり、そこに同行させていただく。
 夜勤の師長さんについて階段で各階の病棟を見て回る。一晩に定時で何回かその都度殆どに同行した。ナースステーションにいる一人か二人くらいの夜勤当番に私も挨拶して、ナースコールで呼ばれたり定時巡視をしている看護師の仕事ぶりを病室で見させて頂く。高齢者の多い病棟は認知症の患者もいるので深夜になってもうめき声が聞こえたり不穏な行動への対応などがリアルに視認できた。また、組合交渉の場を通じてでは無く勤務の現場で看護師さんたちからの本音話を聞けるのは、現場での困りごととして挙げられる事柄ごとの深刻さの程度などを感じ取れて大変に参考となった。
 救急車が年間延べ5000台も来るような大病院では、外来救急室に隣接する仮眠室に泊めて頂いて、救急車のサイレンが鳴り響く度に目を覚まして夜間救急の対処の実態をつぶさに見させて頂いた。夜間は、飲酒の上で大けがして騒ぐ人もいるし、自動車事故などの重傷者の急患では騒然となるが、スタッフ達の迅速でキビキビとしていて患者への丁寧さを保つ動きには仕事とはいえ関心させられる。やはり資料等で情報としては知ってはいても、リアルを近くで感じてこそ、人にきちんと伝わるように話が出来るようになるのではないかと再認識した。
 関係者からは「これほどの粘着気質で泊まりがけの病院視察は前代未聞」と言われたものだ。企画の発端は、それまで言われる一方、防戦一方で悔しい思いをしてきた組合交渉においてなんとか一矢を報いる抗弁ができるようになりたいというやや邪心めいたもの、ややネガティブな感情からのものであった。しかし、マンパワー職場といわれる病院現場における医療従事者たちの働きぶりや息づかいまでを間近で見て感じる中で、「経営の改善」と「労働環境の改善」のより良い折り合い付けをしていきたい、ひいては自分の仕事をどうやって面白く成果の上がるものにしていけるだろうかという、ポジティブ意識が強まる大変貴重な経験であった。

(「病院局総務課12「病院へ泊りがけで視察に行く(その4)」編」終わり。「病院局総務課13「H23.3.11東日本大震災(その1)」編」に続きます。)
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