息も絶え絶え~大学末期編~

期末ではなく、末期です。

かわいそうそにっく

2004-12-25 | 2004クリスマス
スマップ?さんま?何ソレ、気持ちいいの?
今晩は、管理人@「食べれるの?」ではなく「気持ちいいの?」にしたあたり独創性が爆発していると言えるでしょう! です。
バイトで脳が破壊された模様ですよ。

さて、早速いきます!今回のお相手は「上戸彩」。

「飢えと彩」

僕の職業はしがない物書き・・・と言えば格好は良いがつまりは無職だ。短期のアルバイトをして日々、食い繋いでいる。そんな無職の僕だって、何も考えてない訳じゃない。いつかは作家として飯を食っていくつもりだ。
何か書き物をする時、決まって通う喫茶店がある。「ナイト」という名前だ。よく売れた作家が若い頃を振り返って「いやー、コーヒー一杯で何時間も喫茶店に居続けてね!」なんていう話を聞くが、そんな過去の失礼を豪語してどうする、と思う。いや、嘘はよそう。実を言うと僕も売れた時のコメントに備えてコーヒー一杯で何時間も居座ろうとしていたのだが、
彩「ご注文は何にしましょう?・・・って決まってますね!いつものでよろしいですか!?」
ヨル「あぁ、うん。」
彩「はい!」
いつもの、というのはコーヒー・・・それとハンバーグ定食の事だ。どうしてそんな重たいモノをしかもフリーターの僕が頼んでいるか、というと訳がある。さっき注文を取りに来た彼女、この喫茶店のオーナーの娘らしく学校が長期休みに入ると毎日毎日ずっとお店を手伝っている。彼女、見た目はかなり可愛く小さな喫茶店なのに制服まで用意されており、それが彼女にとても似合っているのだが、看板娘になっていた。そんな彼女は、ハンバーグ定食を頼まなくてはならなくなった原因でもあった。
さっき話した「コーヒー一杯の伝説」を作ろうとしたのは今年の夏休み、と言っても世間的にはというだけで僕はバイトと執筆の変わらぬ日常だったのだが、の事であった。計画を思い立ったその日に喫茶店を探そうと歩き回って見つけたのがこの「ナイト」だったのだ。店に入ると彼女が一人で忙しそうに切り盛りをしていた。笑顔でいらっしゃいませ!と言った彼女にちょっと気取った声で「コーヒー」とだけ告げてどっかと一番奥の席に腰を下ろした。そして既に大物になった気分で鉛筆と消しゴムを二つずつ取り出し、大仰な態度で原稿用紙を広げた。そのうちコーヒーが運ばれて来たが顔も上げずに「執筆」に集中している振りをした。実際その時はもう名前も覚えていないが何かのコンクールに小説を出すつもりだったので陳腐な冒険小説を書いていたのだが。しばらくして昼時になると店も混んできた。しかしそ知らぬ顔で僕は書き続けていたのだが、急に机がバンと叩かれた。
彩「ねぇ、いつまで居る気!?あっちのお客様が二人ずつに分かれてカウンターに回ってもらったのに何とも思わないの!!?」
ヨル「・・・?・・・!!何だよ、僕だってちゃんとした客だぞ!?」
彩「コーヒー一杯で何が「ちゃんとした客」よ!ホラ、もう何も頼まないなら帰って!!」
ヨル「わ、わかったよ!じゃあこれ下さい!」
僕はショートケーキを指さした。
彩「何?250円のケーキでこれからも居座る気!?ふざけないでよ!」
ヨル「!!じゃ、じゃあこれ!!!」
その時指差していたのが1800円のハンバーグ定食だった。
彩「えっ?ホントに・・・?それなら仕方ない、わかった。でも、何にしてもカウンターの一番奥に移って。あそこならテーブル程とはイカないけど広くなってるから。」
ヨル「はい。」
周りを見るとマスターをはじめ、客も皆クスクス笑いながらこっちを見ていた。伝説として周囲に語るどころか知人には誰にも言うまいと思った。カウンターに移ってもうしばらくすると
マスター「彩が悪かったな、兄ちゃん!ハンバーグもポテトもサラダも全部大盛りにしといたから!ごゆっくり~!!」
ちらりと一人のウェイトレスに目をやると、腰に手を当ててふくれっ面をしていた。
しかしそのハンバーグは今まで食べたハンバーグ、いや料理の中で一番美味かった。美味さに対する驚きとウェイトレスに激怒されるという貴重な体験で頭が冴えたのか、その日は10時の閉店まで夢中で書き続けてしまっていた。帰り際、
彩「お昼はごめんなさい。。」
と一言、明らかにマスターに言わされた感じではあったが、彼女は謝った。僕は何も言わずただ笑顔で返事をして、店を出た。
家に帰ると小説がテンポ良く書き進められた事への満足感に浸りながら一日を振り返っていた。うー女の子はやっぱり過激だな~、見ず知らずの他人にそれも客に対してタンカ切るんだものな~、でもしっかり謝るなんて可愛げはあるな。
しかし気になる存在となった。バイトが休みの月・木・土曜日に欠かさず「ナイト」に通うようになった。決まって昼前に行きカウンターの一番奥の席に座り、コーヒーとハンバーグ定食を注文した。最初のうちは僕も注文を取る側の彼女も気まずそうにしていたが、徐々に徐々にお互いに慣れ、近頃では「いつもの!」なんて飛ばせるようになっている。さらにさらに最近では関係のない会話まで交わすようになっていた。小さなお店、彼女は暇を持て余すことが多かった。
彩「・・・あの、今ちょっと良いですか?」
ヨル「は、はい!?」
彩「そんな怯えないで下さい、、えっと国語の宿題で作文が出たんですけど、ちょっと読んでもらえませんか??」
ヨル「??あ、あー、僕なんかでよければ構いませんけど。」
彩「ホントですかー!?お願いします!!」
はじめの会話はこんな感じだった。嫌な気はしなかったし、調子に乗って鉛筆で薄く添削なんかもしてやった。作家気取りで。
最近では僕が原稿用紙に向かっていると
彩「いつも何書いてるんですか~?」
なんて言って覗き込んできたりする。苦笑いしながら小説だよ、作家になりたいんだ、と説明すると彼女はほー、と口を丸くして見せた。僕は笑った。彼女も笑った。
こうやって会話をするようになると、お互いの悩みや夢、彼女は女優になりたいそうだ、など色々知り合った。それと、今まで見ていた完璧な営業スマイルとは違う、ちょっと悪戯っぽい笑顔を見るようになった。日を追うごとに彼女の存在は胸の奥で大きくなっていった。
話に出た夏のコンクールはどうだったかというと・・・全然だった。佳作にも入れず。陳腐な冒険小説、と言ったがどういう話だったか言おう。ある国のお姫様がさらわれてそれを一人の剣士が助けて最後は濃厚なラブシーンでハッピーエンド、という説明するのも恥ずかしい薄いストーリーだ。
今僕は年末が締め切り、年明けに大賞が決定されるコンクール懲りもせず作品を出そうとしていた。しかもあの駄目冒険小説を基に、だ。いやいや、しかし前と違うのは、正義の味方をもう一人増やしたのだ。いつも剣士の側にいる女剣士。家に居る時にこの案を思いつき、一気に人物設定を紙に書きなぐって物語を0から進め直したのだが、家より「ナイト」で書いている時間の方が長くなり、いつしかその女剣士はその喫茶店で一人しか居ないウェイトレスを表してしまっていた。そういった人物設定の変更などもあり、物語の進行は滞っていた。26日に送らなければ締め切りに間に合わないというのに、今日はもう25日だ。切羽詰ると人間、さらに思考は鈍くなるもので、なかなかペンが進まない。
町はクリスマスモード全開だが、僕はいつもの土曜日と何も変わらずに「ナイト」に出掛けた。カランカランと扉を開けると、いつにも増して、というか誰一人客のいない空間があった。すると仕事を見つけて嬉しそうな彩が
彩「わー!来てくれたんだ!・・・うん、クリスマスとか縁なさそう。」
ヨル「っ、うるさい!君こそ彼氏の一人もいないのかね?」
彩「!!私は暇なんじゃなくて仕事をしてるの!!」
ヨル「へぃへぃへぃ。じゃ、いつもの奴お願いしまーす。」
彩「もーっ!はい、ただいま!!」
届いたいつものコーヒー、そしてやっぱり美味しいハンバーグを口にすると、それより何より彩と何気ない会話を交わした事で、気分が落ち着き、原稿用紙は驚くような速度でびっしりと埋まっていった。時折彼女はツマラナそうに僕に話しかけてきた。僕は応えたが、その間も腕は休ませなかった。8時になり、ちょうどその日10杯目のコーヒーを頼んだ時クリスマスプレゼント!と言って一緒にショートケーキを持ってきてくれた!僕は
ヨル「それじゃあ、僕からもケーキをプレゼント!だから一緒に食べよう?」
と言った。彼女はやった、ともう一皿出してきた。今度は腕を休めてケーキと会話に集中した。笑った。
すると、ある話が頭の中に急に浮かんだ。「主人公は愛する婚約者である姫を助けに行ったが、その道中苦楽を共にしてきた女剣士と最後は結ばれる。」
ケーキありがとう、と言うと再び原稿用紙に向かった。さっきよりさらに速いスピードで原稿用紙は埋まっていった。途中、これも陳腐と言えば陳腐だなぁ、と思ったが、夏とは違い、強く、強く、書きたい、という思いがあった。そして、ようやく書き終わった。ふ~、と大きく息を吐いて時計に目をやると10時40分をまわっている。
ヨル「あ、あれ?ここって10時までじゃ・・・??」
彩「君があまりにも恐い顔して書き続けたから私もマスターも何も言えなかったの!」
ヨル「え、あ、あぁ!ごめんなさい!!でも今明日までに書かなきゃいけない話が完結しました!・・・えっと、君に読んでもらいたいんだけど。」
彩「え?いいの!?じゃ、ちょっと失礼して・・・」
ヨル「あ、イヤ、まって。ここじゃなくって外でもいいかな?」
彩「えー?寒いし、いいじゃんここでっ。」
ヨル「んー、えっと・・・」
マスター「おい彩、作家先生がお願いしていらっしゃるんだ!いいからちょっと行って来い!!」
彩「お父さんまで何言ってんの~?わかったわよ、もう。」
ヨル「あ、ありがとう。・・・マスター、ありがとうございます!」
マスター「なあに!ただな、ウチの大事な一人娘だ。あんまり、変な事はするなよな??」
ヨル「あっ、いやっ、そんなつもりでは全然なんというかその・・・」
マスター「ハハハ!ほら行った行った!!」
外に出てから10分いやもっとか、それなりに時間が経った。彼女は読み終わった。
彩「ふー。良いと思うよ!ただ一つだけ言うとすれば・・・」
ヨル「その女剣士、君をイメージして書いたんだ。」
彩「へ?私?ウソ、そんなんじゃないよ私はっ!」
ヨル「いや、うまく書き表せたと思ってる。これだけは自信を持って言える!」
彩「えと、さっき私が言おうとしたのは、この主人公があまりにも君をうまく書き過ぎてるから知ってる人が読んだら恥ずかしくなっちゃう、っていう事なんだけど。」
ヨル「ん?それは別に自分を書いたつもりはないよ??全然違うじゃん!僕は筋骨隆々となんかしていないし、2枚目でもない!!」
彩「え、でも、真剣になって何かを書いている時の眼、雰囲気。似てる、って。」
ヨル「そ、そう?(照)・・・って違う。そんな事はどうでもいいんだ。僕の君のイメージはそこに書いた通りだ!好きだ!!大好きだ!!」
彩「そ、そんな!私は君の思ってるようなヒトじゃないって!・・・でも、私も貴方が好き!大好き!!」
ヨル「・・・えー、ホントに!ウソじゃない!?お店の収入源だからって無理してない!!?」
彩「そんなんじゃない!」
ヨル「そ、そうか。・・・よし、じゃあいつか結婚しよう!絶対売れてやるから!」
彩「・・・はい。」
電灯の下、二人はそっと誓いのキスをした。こっそりマスターが愛の証人になっていたことは、知る由もなかった。
その小説は惜しくも大賞には選ばれず銀賞に留まったが、大手出版社の目にとまり単行本化され、200万部を売るベストセラーになった。二人は幸せ。



あとがき
最後のとかはひどいですね。「KAWAISOU RADIO」聴きながら書いてたらすっごい時間がオシててやばい!もうクリスマス終わる!うーわー!福助さん、お礼コメントとか後回しで(失礼)絶対もう一本は書き上げてやる!独り言いらない!!

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1 コメント

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ここでいいのかな? (meppo)
2004-12-25 23:24:04
えっと、クリスマス企画のお誘いについさっき気づきまして、急いで妄想書きなぐりましたのでよろしければw



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