産業技術総合研究所(産総研)太陽光発電研究センターは、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)と共同で、日米両国で同一の集光型太陽光発電システム(CPVシステム)を設置し、発電性能の実証実験を開始する。
CPVシステムは、レンズを用いて自然太陽光を500倍以上の光強度に集め、小面積の超高効率多接合型太陽電池によって発電する効率のよい発電方式。しかし、天候、特に快晴率や太陽光スペクトルの影響を大きく受けるため、今回の実証実験では、快晴率が高く乾燥した米国サイト(コロラド州オーロラ市)と温暖湿潤な日本サイト(岡山市京山)にCPVシステムを設置して、気候の違いが発電性能に及ぼす影響を比較する。
また、日米独3カ国で製造された性能の異なる多接合型太陽電池3種を搭載し、CPVシステムの発電量を正確に予測する評価方式を開発し、国際的整合性のある測定技術を確立・標準化すること、さらにCPVシステムおよび集光型高効率太陽電池の普及拡大を目指す。
産総研は、東京大学 先端科学技術研究センターとともに、革新型太陽電池国際研究拠点に選定され、平成20年度から7年間の計画で、変換効率が40 %(現在の3~4倍)かつ、発電コストが7円/kWh(現在の約1/7)の高効率・低コストの太陽電池の開発を、国内外の研究機関と連携しながら進めている。 この研究開発は、平成21年11月13日に日米首脳会談において合意された「日米クリーン・エネルギー技術協力」に対応するものであり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「革新的太陽電池評価技術の研究開発」(平成21年度~平成22年度)の委託を受けて行っているもの。
2010年内に日米両国のCPVシステムを完成し、2011年1月より発電量と気候データの取得を開始して、性能評価方法を開発する。実証期間は最長5年間を予定している。CPVシステムの発電量を正確に予測する評価方式を開発し、国際的整合性のある性能評価技術の確立・標準化を目指す。