【 四日目6月29日 出会い 】
今日も寝覚めが悪い。昨日の予感は的中。
夜中に何度も目が覚め殆ど寝た気がしない。
エアコンを切り忘れたせいで喉はガラガラ、明け方からの空咳が止まらず気分も悪い。
これはヤバイかもと思ったけど貴重な旅行の一日(それもNYだぜ!)を
こんなことでダメにはするもんかと踏ん張って顔を洗いに立ち上がる。
しかし歩き出した途端吐き気を催して、それから数十分トイレを言ったり来たり。
何がいけなかった? 昨日変なの食ったけ?
いや食べ物のせいじゃないみたい。出るのは胃液ばかりだから。
胃は緊張が続いた時のようなキリキリと吐き気でムカムカ。咳も一向に収まらない。
本日最初の予定は自由の女神見物。 しかも〝フェリーに乗って〟の・・・。
ただでさえ乗り物に弱いのに(私ってこんなん多すぎ)
この状態で船なんか乗った日には・・・ゲロゲロ。
うぅぅ仕方ない。気力で持ち上がらない身体に諦めをつけて、
あずきさんへ予定の変更をお願いし一人で出かけてもらった。
ベッドへ横になっても『せっかくの旅行なのに~』と悔しくなってくる。
それでもいつの間にか寝ていた。数時間だけど熟睡したからか気分がいい。
立ち上がってもフラつかない。やった治ったぞ。
こうなったら一分だって勿体ない。早速外出準備。
時間はもう午後二時。お腹もグルグル。
しつこくべーグルの店を探すがやっぱり見つからない。
しょうがないから割と人が入っているカフェを選んで入ってみた。
サンドウィッチとピタがメインらしく、それに好みの具を挟んでくれる。
どうせなら食べたことないものがいいなと物色していたら面白いものを見つけた。
名前は『KNISH』。高さ3cmくらいで直系5cmほどの丸いもの。
周りに少し焦げ目があるから焼いてあるのかな。
これも色々と種類があるんだけど何処の料理なんだろう、聞いたことのない名前ばかり。
ここは無難にPOTATO KNISHをオーダー(半端な冒険心だ)
味はまさにイモ(笑) 外はパリッとしてて中はベークドポテトとマッシュポテトの間くらいの固さ。
味付けは殆どしてないんじゃないかな、すごく淡白。ちょっと物足りないとこが起きぬけの胃にはいいかも。
それにしても都会って一人で食事やお茶してる人多いけど、NYは殊更に多い気がする。
この店でも殆どが一人。私の横では男性がやはり一人で食事していた。
(でもこの人サラダだけ。男がサラダだけよ! うーんNY?(笑)
なんにしても一人って何だかカッコイイ。そして一人でも居やすいってのもいい。
イモとオレンジジュースだけでも気分はすっかりニューヨーカーのねこみみ。
でもほんとにこの街って来た日から違和感ないっていうか居心地がいい。受け入れてくれるって感じ。
一歩外に出れば目の前から来るのは一目でアメリカ人じゃないって分かる人ばかり。
母国の民族衣装を纏った人たち。頭に小さな帽子を載せたジューリッシュの人たち。
もみあげをカールさせて黒いシルクハットと黒いコート(すごく暑そう)の
TVや映画でよく見るあの服装の人たちは何の宗教だったけ。
顔つきも、肌の色も、行き交う言葉もバラバラ。
こんな移民の街をじかに見るのはとてもエキサイティング。
予定外に予定が無くなったお陰(?)で人間ウォッチングも出来て意外と楽しい一人ブラブラ。
実は私、行き当たりばったりのこうやって当てもなく歩く旅が好き(計画性が無いとも言う)
知らない土地で角を曲がれば何があるか分からないワクワク感、気の向くまま足の赴くまま。
NYは至るところに警察官が居る。そしてパトカーもワンワン走ってる。
【NYPD】の文字を見た時は興奮したなぁ。だってもうTVの世界だもん。
なんて不謹慎なことを言ってはいかんね。
私たちが滞在中も毎日事件ばかりだったし、NYの警察ってほんとハードそう。
その警官の怒鳴り声もなんのそのがNYのドライバー。
その運転の荒さったら、止まると損みたいな勢いで走ってる。
それに歩行者も負けてない ← こっちのほうが凄いかも(^^;o)
横断歩道の信号が待てないらしく、変わる前に歩き出すせっかちさ。
それならまだ可愛いほう。車道を、それも走行している車の中を渡るのよ!!
映画とかじゃよく見てたけど、肉眼で見ると怖いよ。死にたいのかって感じ。
でも道路じゃ罵声合戦で張り合うニューヨーカーたちもきっとNYは愛してるんだろうな。
だってこの街のあっちこっちに【I LOVE NY】の文字、文字、文字!
お土産ものなんてこれでもかってくらいにロゴ入ってるから恥ずかしくて何にも買えない。
うん?・・・運転が荒い・・・せっかち・・・I LOVE NY・・・これって何処かで見た人種。
・・・めっちゃ好きやねん大阪・・・うわ~ニューヨーカーって大阪人と一緒やん!!
そしてブラブラと歩き続けて「あさひ屋書店」発見。
日本の最新の本、雑誌を見つけて狂喜乱舞(心の中だけよ勿論)
しかし最新刊だからお値段が高いので手が出せず。(日本の1.5倍くらい)
続いて今度は「BOOK OFF発見」。わーいここなら買える(笑)
漫画あずみ(人気作品だからかほぼ定価)、馬鹿の壁(半額)、
イマジンノート(これ欲しかったのだ、おまけに¥1300が$1)を買う。
BOOK OFFの並びにある「カフェ ザイヤ」には、日本のような
惣菜パン、シュークリーム、ケーキ、おにぎり、果てはお弁当まで売っていた!
まさかアメリカでこんなものが見れるなんて(見るだけでも幸せだ)
ここでホウレン草のパンとシュークリームを食べた。
シューは私好みでなかったけどクリームは美味だった。
お隣の「やぐら」も泣かせる。コンビ二タイプで雑貨も色々と売られている。
スパゲティソースとチョコレート菓子を買って、
日本のTVが流れ、日本語が飛び交う中、たことさといもの煮物、高野豆腐を食べた。
それがまた美味しくて・・・五臓六腑に染みたよ。私って日本人だぁ。
日本食って何ていいんだ。NYって何ていいとこなんだ(涙)
遠出もせず一人だったのに何だか色んなもの、人と出会えた気がした一日。
日本食も食べたし、買い物も出来た。大満足でホテルへ帰る。
でもね、この日一番の出会いはこれからだったんです。
ホテルへ戻ってから洗濯をしに共同スペースの階へ下りた。
そこでその人に出会った。彼女の名前はよっしーさん。
この出会いは私には相当に特別なものとなった。
だって彼女と出会わなければこの後の文章で私のことを書くことはなかったから。
よっしーさんは神戸の方でNYへは一人旅(でも三回目のベテラン!)
LAで勉強され現在特殊メイクアップアーティストを目指している。
作品を幾つか見せてもらったがそれはもうスターウォーズ、ハリウッドの世界!
グロテスクなものだけじゃなくてキレイなものある。
でもよっしーさんはグロのほうが好きなんですって。可愛い顔に似合わず(笑)
ねこみみは初めて見る、聞く世界にウキウキ、ドキドキ。
こういうことを目指してる人にそうそう会えるわけないもないし。
しかし何の世界もプロになるのは大変だ。
学校を終えて帰国したものの、日本ではこのての技術を活かせる職を見つけるのが難しいそうだ。
ここまでは頷ける。でもそこから先がよっしーさんって凄い。
チャンスがないなら作ろう、
独立記念日で人が集まる場所へ行って名刺を配り自分を売り込むというのだ。
華奢な外見からは想像出来ないほど前向きでパワーを感じさせる人。
夢を語る彼女はとても素敵で、それを叶えようと動いてる姿が逞しくそして綺麗に見えた。
よっしーさんのこの一言が私の口も開かせた。
『この世に一つでも自分の証と言えるような作品が残せたら・・・』
それはここ最近ずっと私が思っていたことそのままだった。
趣味で書いてきたような文章。
だけど書いていくほどに私はこれが好きなんだって分かってきていた。
仕事として書けるかもしれない話ももらった。でも怖くて踏み出せなかった。
『夢』と言うのさえ笑われるんじゃないかと、『出来れば』という言葉で逃げ道を作っていた。
なのによっしーさんと話していたらいつの間にか私は自分の希望を『夢』と言って話していた。
誰かへ、素直に、こんなことを言えたのは初めてだ。
彼女の夢のパワーが私に伝染して何かを引き出された感じだ。
私たちは初対面なのに気がつけば三時間近くも話し込んでしまってた。
よっしーさんを見て以前からやろうかと考えていたことを行動にする勇気が出た。
そしてNYから戻って周りの人に自分の夢を宣言してみた(逃げられないように(笑)
私の夢はものを書いて、それを仕事にすること。
誰も笑わなかった。色々とアイディアや方法を提案してくれた。
自分をきちんとさらけ出せば人もちゃんと応援してくれるんだ。
よっしーさんには絶対頑張ってほしい。 とても才能のある人だと思う。
いつの日か彼女の名前が映画のクレジットに出る頃、私も少しでも形に残るものを書いていたい。
今日の終わりにこんな素敵な人に出会えてとても嬉しくて、何だか色んなものに感謝したくなってしまった。
NYに来て本当に良かった。そしてありがとうよっしーさん。
< 宣伝 >
夢宣言しちゃったついでに宣伝です(笑)
実は私が以前書いたエッセイが本とかに載っちゃってたりしてます(恥)
タイトルは『対話の達人』といいます。機会と時間があれば読んでやって下さい。
稚拙な文章で本当にまだまだのねこみみですが、どうぞこれからも宜しくお願い致します。