
イスラム過激派組織「イスラム国」による人質事件をめぐり、野党は国会の場を通じ、事件対応の是非を政府にただしていく構えだ。
しかし、イスラム国による残虐行為への衝撃が広がるなか、テロとの戦いや人道支援の重要性を強調する政府の姿勢には同調せざるをえず、攻めあぐねているのが現状だ。
「今後、二度と起きないよう、(政府の)事件対応を冷静に検証することが不可欠だ。経緯について最大限情報を公開するよう要請する」
2日の参院予算委員会で、質問に立った民主党の那谷屋正義氏はこう述べ、首相がエジプト・カイロでイスラム国対策として表明した2億ドルの人道支援についての説明を求めた。
これに対し、岸田外相は「1000万人以上の避難民や子供たちに食料や医療物資などを届ける、命をつなぐための支援だ」と説明。那谷屋氏は「今後も検証を続けたい」と述べたが、支援内容に関する資料提供を求めただけで、あっさり関連質問を終えた。
一方、民主党の大塚耕平氏は、日本人2人の拘束時期や当時の政府対応をただした上で、首相が声明で触れた「(イスラム国への)罪を償わせる」との発言の意図について質問した。しかし、首相が「どれだけ時間がかかろうとも、犯人を追いつめて法の裁きにかけるとの強い決意を表明したものだ」と語ると、大塚氏は「よく理解できた」と、すんなり矛を収めた。
野党の一部には、今回の人質事件をきっかけに、邦人保護や邦人救出のための法整備のあり方を問題視しようとする向きもあった。しかし、首相はこの日、米国主導の有志連合への参加について「日本が空爆に参加することはありえないし、後方支援をすることも考えていない」と明確に否定した。政府が今国会に提出予定の安全保障関連法案との関係についても、「(事件と)直接かかわるものではない」とかわした。
野党の追及が及び腰なのは、政府批判を強めれば、かえってテロリストを利することになりかねないためだ。米国をはじめ日本やヨルダンなど60か国以上の有志連合が共同歩調をとるなか、野党としても、現実的な対応を打ち出す必要に迫られている。