先日仙台に出張で出かけたときの話です。夕方NHK仙台放送を偶然みていたら、糸で世界を変えるというタイトルで、ある人物を紹介していました。
山形の佐藤繊維の社長、佐藤正樹さんというかたです。
髪を真っ白に染めてというか、脱色したというかそれはどうでも良いのですが、他の人が考え付かないようなやり方で新しい糸を次々にあみ出している方です。
何が違うかといえば、通常なら糸の注文を問屋さんであるとか、企業から注文を受けて発注するというのが常識のようですが、そうではなくて独自の糸でデザイナーさんが今までにない特徴のあるお洋服を作れる可能性を提供している点です。
というのは、佐藤さんの頭の中にはデザインのイメージがありそこから逆算して、其の元になる糸を作るという発想です。
いやはや、そんなことは考えないでしょうということをやってしまいました。
普通の人なら、そんな製品はコストもかかるし大量生産も出来ないでしょう。
そしたら買ってくれるわけないわな~で、終わってしまうところ、この方は根性があったのですね。
テレビ番組では、極細モヘアという糸の事を紹介していました。
私は詳しくないのですが、モヘアは静電気が起きやすいので糸を細く伸ばしていく過程で静電気がよりでます。その結果、糸が絡まってしまうそうですね。
それに、最新式の機械ではもっとひどく、すぐにプッツン切れて紡ぐ事ができないのです。
どういう考えでそうなったかは、述べられていないのですが、50年も前の古~い歯車の機械を使うことでモヘアを細く細く紡いでゆくことが出来ました。
実はこの過程でも、最初うまくまとまらなかったのですが、油をうまく拭きかけて(油の調整に3ヶ月かかったようです。)極細モヘアがやがて完成しました。
しかし、まだここから先があります。
せっかく完成した糸なんですが、日本で買ってくれる会社がありません。
それなら、自分で売ろうと海外ブランドのデザイナーがいるイタリアの見本市でプレゼン。
そこで、あるデザイナーの目に留まったことからその後商談が次々も舞い込むように。
きっとこんな簡単なことではなく、糸を選ぶにも世界各国を渡り歩きどの動物のどの部分の毛が使えるかなど、一流の目利きになる必要はあったと思います。
質や美しさという点でデザイナーの求めるグレードだったに違いありません。
オバマさんの夫人、ミシェルさんが着ていたカーディガンは佐藤さんが作ったその糸だったんですね。
佐藤さんが、話しているように頼まれたから作るということを辞めて、こういう糸が作りたいから作るというような発想の転換と、プラス クリエイティブな発想が会社の活力をどんどん生み出していったと思うのです。
佐藤さんが私たち視聴者に見せてくれて生き方は、多くの中小企業や個人経営の方の参考になるのではないかと私は思います。
私自身、ワンセグに録画して何度も見ています。
東北Zという番組だったということが後から分かったのですが、東北オンリーなので全国放送してもらえるようにNHKにリクエストをいれました。
一人の力でNHKが動くかどうか分からないのですが、これを読んで見たいと思ったらそくNHKにメールなり何なりしてみてください。
私は、この出来事は心理学でいう創造する力のことを物語っているように思います。創造する力は、女性性の分野です。
ただ安く売るは戦略ですが、売れれば良いのではなくてさらに価値おあるものを生み出して売ってゆく、それが更なる次のレベルの成につながったのではいかと思います。
長年、男性優位の社会を形成してきましたが、明日からは自分の中の女性性を探求した人が佐藤さんのように次の時代の成功者になるんだと思います。
やり方の発想を根本的に変えたことが、アパレルの革命児になれたという人生ストーリーでしょうか。
女性性って何だと思った方々は、そこから探さないとね。
今まで、如何に自分の女性性を抑圧してきたか、後で知る羽目になる時代になるかもしれません。
そんな時代の先を読む、出来事でした。