失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」四人囃子 1975年

2005-06-25 | 佐久間
その筋のマニアからは絶大な支持を集めるジャパニーズ・プログレの雄、四人囃子の8cm。

このCDが再発になるまではオリジナル・アナログ盤「一触即発」(1974)はそれこそウン万円の高値を呼んでいた。個人的には、十代の頃ある人からもらったテープに「おまつり」が入っていて、そのあまりに悪夢的な世界に音楽の暗黒面を覗いてしまった気分になった。そのときアナログはとても手が出る値段ではなく諦めていたが、1988年CD再発時に喜んで買った。定価3300円。今考えると高いな、コレ。
この再発盤「一触即発」、製作サイドも力入りまくっちゃって、75年のアナログシングルを1988年に発明された8cmシングルという形でオマケにつけた。だから値段が高いんだよ!ちなみに現行の「一触即発」CDではこの2曲はボーナス・トラックとして一枚にまとめられていて、もうちょっと安い。

①空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ 
作詞:末松康生、作曲:森園勝敏、編曲:四人囃子
末松康生の詞は、ぎこちないまでに直接的な表現が多く、いわゆる「詩的」なものではない。しかし抜群の演奏力を誇るこのバンドのサウンドと、プログレ声の森園のヴォーカルとの化学反応で唯一無比の幻想空間を作り出している。「おまつり」もそうだが、この曲でも「映画に出たことのない人は乗せてもらえない円盤」という無理ありまくりの設定を、何となく納得してしまう主人公の傍観者的視点(悪夢的、とも言える)が、独特の浮遊感を醸し出す。
80年代、ラジオの「日本のロック特集」みたいな番組では、はっぴいえんど、はちみつぱい、キャロル、フラワー・トラヴェリン・バンドなどとともによく(?)この曲がかかっていたのさ。うわー変な曲、と思ったものさ。

②ブエン ディア
作曲:岡井大二、編曲:四人囃子
こちらはインスト。いい意味で力が抜けた、このバンドにしてはカワイイ曲。

アルバム「一触即発」は森園勝敏、中村真一、岡井大二、坂下秀実の四人で作られたが、翌年のシングル「空飛ぶ円盤に…」では中村が脱退し、佐久間正英 、茂木由多加を加えた五人で四人囃子だった。

ちなみにこのバンドは70年代に3枚のシングルを残している。
1979年、東映映画『酔拳ドランクモンキー』オリジナル・サウンドトラック盤(!)として「拳法混乱(カンフージョン)/ ほろ酔いの伊達男」というシングルをリリースした。プログレとジャッキー・チェンって・・・これ以上望めないほどのミスマッチ。企画、グレイト。この機会に紹介しないと永久に日の目を見ることがなさそうなので、写真にとってみた。イラストはモンキー・パンチ。モンキーつながりですか。ナイス。
このアナログは、栃木か茨城あたりの古物商で200円くらいで購入したような気がする。定価は600円。

“いつか映画で見たように 後はすすきが揺れるだけ”

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2 コメント

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Unknown ()
2005-06-26 09:13:40
わははは!四人囃子はともかく「ドランクモンキー」!!

こんな仕事もしていたんですね。衝撃的です!!

モンキーパンチのこのイラストは映画のパンフでも使われてましたね。

…当時持っていたってコトなんですが(笑)。

TBどうもありがとうございます。古い記事に反応頂き、嬉しいです。
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そっちかい(笑)! (nakamura8cm)
2005-06-26 14:29:20
四人囃子よりジャッキー・チェンに反応して頂けるとは。

おそらく同世代と思われますので、よく分かります。

今で言うとペとパクとドンゴン(?)を一緒にしたような人気でしたからねー(笑)。

お蔭様で、このアナログ・シングルも成仏できそうです。(意味不明)
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