失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「くれないホテル」 内海みゆき 1988年、ムーンライダーズ 1995年

2012-06-16 | 湾岸系
名曲「くれないホテル」のカヴァー二題。

オリジナルは西田佐知子、1969年。

左、内海みゆきのキャリア末期にリリースされたっぽいシングル。オフィシャルサイトにディスコグラフィーがないのが残念。

①Bay Side Moon
作詞:森本抄夜子、作曲:野田晴稔、編曲:笹路正徳
最大のヒット曲「酔っぱらっちゃった」(1982)のパンチの効いた歌唱で知られる内海みゆき。いや、私はさっき知ったけどね。
この曲はわりとさらっとしたポップスで、(さっき知ったくせに言っちゃうけど)みゆき姐さんの個性が活かされていない印象。酒臭さが足りないっていうか。

②くれないホテル
作詞: 橋本淳、作曲・編曲: 筒美京平、編曲:沖山優司
西田佐知子のオリジナルは京平さんが編曲も担当していて、完全にバカラックテイストを狙っていることがわかる。西田佐知子のソフトながら適度な歌謡曲的湿度をもった歌唱が最高。サビでのコブシ回しなんか、絶妙よ。オリジナルを超えるのはどう考えても至難の業。
原曲のワルツのリズムは変えず、オリジナルよりテンポを上げた沖山優司のアレンジ。みゆきさんはしっとりアダルトなムードでこの名曲に挑む。サビの上昇メロディをあんまり歌いあげないように処理しているのは正解だと思う。まあ、残念ながら名カヴァーとまでは言えないけど。

定価1000円、中古で100円。
夜の街が似合う女の横顔。


右、ムーンライダーズのカヴァーアルバム『BYG - High School Basement 1』(1995)。6曲目で「くれないホテル」をカヴァー。

⑥くれないホテル
編曲:岡田徹
演奏:鈴木慶一、岡田徹、武川雅寛、白井良明
VOICE, BUBLING:MAKI MIKI COYOTE
COMPUTER PROGRAMMING:伊藤俊治
以前慶一さんが、カラオケで歌いたい曲としてこれを挙げていたので、このチョイスは「お、バンドでやったか」と納得した。一番はトランシーバー越しの声。Aメロは慶一さんがリーディング、サビからちゃんとメロディに乗せる。岡田さんのアレンジはジュリー・クルーズ風。そう、ツインピークスが絶大な影響力を持っていた時代だった。細野さんも相当リンチ寄りな時期があったし。ダークで不穏なムードと、深海を思わせるエコー、そして漂うギター。オシャレ歌謡曲ミーツ・デビッド・リンチ。慶一さんが女言葉で歌うと、独特の色気があっていいんだよなあ。ライダーズでは「女友達」「夜の伯爵」とかね。

歌詞カードは一曲ずつ別の紙になっていて、シングルジャケット風のデザインになっている(「くれないホテル」はあんまり力が入ってないけど)。岡田徹がアコーディオンを抱えている写真。


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