失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「元気を出して」 竹内まりや 1987年

2013-08-04 | タツローまりや
竹内まりやの17thシングルは2曲とも提供曲のセルフカヴァー。

①元気を出して SEIKO「ドルチェ&エクセリーヌ」CFイメージソング
作詞・作曲:竹内まりや、編曲:山下達郎
オリジナルは薬師丸ひろ子、1984年の1stアルバム『古今集』のオープニングナンバー。ひろ子の代表曲のひとつだが、意外なことにシングルカットはされていない。まりや版の初出はシングル「夢の続き」(1987)のB面として。直後のアルバム『REQUEST』にも収録された。ややこしいのは8㎝再発盤「夢の続き('89 Remix)」のカップリングは「元気を出して」ではなく、レアトラック「プラスティック・ラブ(Extended club mix)」だってこと。
まりやさんのエヴァーグリーンなメロディが素晴らしいのでつい見逃しがちだが、失恋した女友達を慰める主人公は結構傲慢なセリフを矢継ぎ早に繰り出してくる。ちょっと上から目線すぎて、私が友達ならムッとするかも。これでもOKなくらいの親密な友人関係をうまく想像できないだけかもしれないけど。
まりやさんヴァージョンの白眉はやはりラスト90秒。演奏がすっと途切れたところに薬師丸ひろ子と山下達郎がコーラスで入ってくる。メインメロディをまりやさん、カウンターメロディをひろ子、女性ふたりを控えめに、しかしがっちり支える達郎というバランス。ひろ子の特殊ヴォイスが天上から降り注ぐイメージ。この多幸感あふれるコーラスワークだけでもトラックの価値は高い。

②OH NO, OH YES!
作詞・作曲:竹内まりや、編曲:山下達郎
オリジナルは中森明菜、1986年のアルバム『CRIMSON』収録曲。明菜版を達郎が気に入らなかった、なんて記載を見かけるが、聴いてみるとそんなに悪くない。「駅」はまりやさんのが圧倒的に優れていると思うけど。その後のまりや作品の主要テーマのひとつになるドロドロ不倫モノのプロトタイプ。「あなたの待つホテル」に足早に歩く主人公の迷いを描く。表現力のまりやさん、リアリティの明菜。どちらも捨てがたいけど、4:6で明菜かな。

定価937円、中古で100円。
同時発売のアナログジャケの上半身部分をトリミングしたデザイン。


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