goo blog サービス終了のお知らせ 

相模野のトト

家計調査データを読む

最近の生鮮野菜(さといも)の消費(購入数量、支出金額)の推移について

2017年10月09日 10時35分06秒 | 社会・経済

体調の関係でしばらくこのブログを休んでいましたが、回復しましたのでまた続けたいと思います。
最近の生鮮野菜の消費の推移を家計調査の数値からフォローしてみること。
また、2017年3月16日に、総務省統計局から「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(平成26年(2014年)~28年(2016年)平均)」が公表されたことに伴い、個別の生鮮野菜についてどの程度の地域差があるのかをビジュアル的に見てみることとし、7月まで行っていた「最近の生鮮野菜の消費(購入数量、支出金額)の推移について」を続けます。
なお、グラフの煩雑さを少しでも緩和するため政令指定都市は省略し、対象は47都道府県庁所在市のみとしています。
今回は「さといも」です。

◇さといもへの支出金額の推移(二人以上の世帯)について

分析期間におけるさといもへの支出金額の推移は、2008年1月の82円から2013年4月の69円まで減少傾向で推移した後、5月の70円から2015年8月の81円までは増加傾向で推移しています。
その後、2015年9月の81円から2017年6月の73円へと、再び減少傾向となっています。


(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

◇さといもの実購入頻度の推移(二人以上の世帯)について

分析期間におけるさといもの実購入頻度の推移は、2008年1月の1.40回/月から2017年6月の1.38回/月まで、平均的には1.38回/月±0.02回/月(1.6%)と、若干の増減はあるものの横ばいから緩やかな減少傾向で推移しています。



◇さといもの購入1回当り支出金額の推移(二人以上の世帯)について

分析期間におけるさといもの購入1回当り支出金額の推移は、2008年1月の57円/回から2013年7月の48円/回まで、期間中小刻みな増減は有るものの減少傾向で推移した後、8月の48円/回から2015年8月の57円までは増加傾向で推移しています。
その後は、2015年9月の57円/回から2017年6月の50円/回まで減少傾向での推移となっています。



◇さといもの購入1回当り購入数量の推移(二人以上の世帯)について

分析期間におけるさといもの購入1回当り購入数量の推移は、2008年1月の136g/回から2017年6月の103g/回まで、期間中若干の増減は有るものの緩やかな減少傾向となっています。



さといも1個の重さは、中程度のもので40g~50gですから、この間にほぼ1個減らしていることになります。

◇さといもの(購入1回当り)購入単価の推移(二人以上の世帯)について

分析期間におけるさといもの(購入1回当り)購入単価の推移は、2008年1月の47円/100gから2013年3月の42円/100gまでは、期間中値上がり値下がりは有るものの平均的には43.5円/100g±2.6円/100g(6.0%)ととほぼ横這いで推移した後、4月の42円/100gから2014年3月の54円/100gまで値上がりしています。
その後は、4月の54円/100gから2017年6月の49円/100gまでは、平均的には53.1円/100g±2.3円/100g(4.3%)と横ばいから値下がり傾向での推移となっています。



○さといもの購入単価と購入数量との関係(二人以上の世帯)について

分析期間におけるさといもの購入単価と購入数量との関係を相関分析してみると、決定係数(R2乗)は0.7939と強い負の関係にあります。
すなわち、購入単価が下がると購入数量が増え、購入単価が上がると購入数量が減ります。



購入単価が5円/100g下がると10g多く購入する関係ですが、1個多く購入するためには20円/100g下がらないと購入できません。
実際には、さといもは複数個が1袋に入って販売されているため1個単位では購入できず、購入頻度と購入数量で調整されていると思われます。

◇さといもの購入世帯割合の推移(二人以上の世帯)について

分析期間におけるさといもの購入世帯割合の推移は、2008年1月の22.3%から2017年6月の19.6%まで、期間中小刻みな増減は有るものの、緩やかな減少傾向が続いています。



購入頻度の推移、購入1回当り購入数量、購入世帯割合の推移から見て、家計におけるさといもの消費は減り続けるものと思われます。

◇都道府県庁所在市別「さといも」の消費(購入数量、支出金額)について

都道府県庁所在市別のさといもの消費は下表、下図の通りです。



さといもの収穫量の多い県は、宮崎県、千葉県、埼玉県、鹿児島県および愛媛県です。
上記5県で総収穫量の50%以上を占めます。



都道府県庁所在市別では、支出金額は山形市、新潟市、福井市、名古屋市および福井市の順です。
購入数量は新潟市、大分市、山形市、宇都宮市および熊本市の順です。
大分市(購入数量2,952g、支出金額1,218円、購入単価41.29円/100g)と山形市(2,910g、2,133円、73.30円/100g)とでは、購入数量はほぼ同じですが支出金額には900円以上の差が有り、購入単価は32円/100gの差が有ります。
消費の水準を数量と金額どちらで表すのが適切かは、いろいろ問題は有ろうかと思いますが量が優先し金額はそれの補完と考えるのが適切ではなかろうかと思います。
家計調査の数値を使って、時々、メデアでは支出金額の多少で消費の多少を表現していることを見かけますが、何を基準にして消費の多少を表しているのか明確に示す必要があるものと思われます。


勤労者世帯の家計収支の推移について(2017年第2四半期版)_その4

2017年08月26日 09時01分43秒 | 社会・経済

前回に続き、消費支出の10大費目のうち残りの「保健医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」および「その他の消費支出」への支出金額の推移を見て行くこととします。

◇保健医療への支出金額の推移(勤労者世帯)について

収支項目分類表には、保健医療は「健康の維持、疾病の治療、身体の矯正のために必要な商品及びサービスへの支出。なお、世帯が実際に支出した金額のみとする」と説明され、「薬事法に定める医薬品及び医薬部外品」「栄養成分の補給など保健・健康増進のために用いる食品であって、錠剤、カプセル、か粒状、粉末状、粒状,液(エキス)状など通常の医薬品に類似する形態をとるもの」「健康の維持、疾病の治療、身体の矯正のために必要な用品及び器具」および「健康の維持、疾病の治療、身体の矯正のために必要なサービスに関するもの」が含まれています。
分析期間(2008年1月から2017年6月)における保健医療への支出金額の推移は、2008年1月の12,520円から2016年6月の11,830円までの間、平均的には11,420円±460円(4.0%)とやや大きい増減変動を繰り返しながら緩やかな減少傾向での推移となっています。
やや変動の大きいのは、疾病にはインフルエンザ等が予期せず流行る時期などがあるため、流行期には医療費が嵩むなどが生じるため変動が比較的大きくなっているものと思われます。

(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

保健医療への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年10月から2017年3月まで6か月連続で減少した後、4月から6月までは3か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年3月から12月まで10か月連続で減少した後、2017年1月から6月までは6か月連続で増加しています。

◇交通・通信への支出金額の推移(勤労者世帯)について

収支項目分類表には、交通・通信は「人の移動、物の運送、情報の伝達に必要な商品及びサービスへの支出」と説明され、「公共輸送機関、公共輸送施設の利用料金」「自動車、オートバイなどの輸送機器の購入金額並びにその維持、使用のために必要な商品及びサービスに関するもの」および「郵便や電話など物の運送、情報の伝達のために必要な商品及びサービスに関するもの」が含まれています。
分析期間における交通・通信への支出金額の推移は、2008年1月の48,480円から2011年8月の44,600円までの間は緩やかな減少傾向で推移した後、9月の44,700円から2013年12月の53,540円までは急増しています。
2014年1月の53,500円から2017年6月の50,800円までの間は、最近は若干増加していますが減少傾向での推移となっています。
この費目の変動には、ガソリン価格の変動が大きく起因しています。



交通・通信への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年9月から2016年12月まで28か月連続で減少した後、2017年1月から6月までは6か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2014年1月から2016年8月まで32か月連続で減少した後、2016年9月から2017年6月までは10か月連続で増加しています。

◇教育への支出金額の推移(勤労者世帯)について

収支項目分類表には、教育は「原則として、学校教育法に定める学校で受ける教育及びその学校の主要科目の補習に必要な商品及びサービスへの支出」と説明され、「授業料等」「教科書・学習参考教材」および「学校教育法に定める学校の主要科目の補習に必要なサービスに関するもの」が含まれています。
分析期間における教育への支出金額の推移は、2008年1月の19,040円から2017年6月の18,770円までの間、平均的には18,650円±560円(3.0%)と期間中若干の増減が含まれるもののほぼ横這いでの推移となっています。
収入が増えない中にあっても、教育にかける費用は節約ができにくい費目となっているものと思われます。



教育への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年8月から2017年5月まで34か月連続で増加した後、6月は減少しています。
なお、対前月比では、2016年3月から12月まで10か月連続で増加した後、2017年1月から6月までは6か月連続で減少しています。

◇教養娯楽への支出金額の推移(勤労者世帯)について

収支項目分類表には、教養娯楽は「教養、娯楽、趣味などのために必要な商品及びサービスへの支出」と説明され、「教養、娯楽、趣味などのために用いる耐久財」「教養、娯楽、趣味などのために用いる半耐久財及び非耐久財」「書籍・他の印刷物」および「宿泊料、パック旅行費及び月謝類などの教養、娯楽、趣味などのためのサービスに関するもの」が含まれています。
分析期間における教養娯楽への支出金額の推移は、2008年1月の33,040円から2012年5月の29,860円までの間は減少傾向で推移した後、6月の29,880円から2017年6月の30,490円までの間は平均的には30,460円±320円(1.0%)と横ばい状態での推移となっています。
収入が増えない中にあっては節約対象費目ですが、収入が落ち着くとそれ見合いの支出で均衡するものと思われます。



教養娯楽への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年2月から10月まで9か月連続で減少した後、11月から2017年まで8か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年8月から11月まで4か月連続で減少した後、12月から2017年6月までは7か月連続で増加しています。

◇その他の消費支出の推移(勤労者世帯)について

その他の消費支出は、大分類の食料から教養娯楽に分類されない商品及びサービスへの支出のことで、「入浴、理容、美容に対するサービスに関するもの」「衛生、理容、美容に対する商品に関するもの」「傘、かばん類、装身具などの身の回り用品及びそれらに対するサービスに関するもの」「たばこ」「冠婚葬祭費用」「こづかい」「交際費」および「仕送り金」が含まれています。
分析期間におけるその他の消費支出の推移は、2008年1月の77,730円から2017年6月の63,550円までの間、最近は増加傾向となっているもののほぼ一貫した減少傾向で推移しています。
収入が増えない中にあっては、最も節約を図れる費目となっており、長期にわたる減少傾向が続いています。



その他の消費支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2013年10月から2016年10月まで37か月連続で減少した後、11月から2017年まで8か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2014年12月から2016年4月まで17か月連続で減少した後、5月から2017年6月までは14か月連続で増加しています。

このブログでは、2012年12月26日に発足した安倍政権が打ち出した経済政策(いわゆる三本の矢)による雇用拡大や所得の向上などが、どのように家計に浸透してくるかを追跡することを目的として、四半期に1度の割合で家計調査データを分析しその推移を見てきています。
政権発足後既に4年半が経過しました。
当初は、ある程度景気は回復基調にあり、家計の収入等も増加傾向に推移するかと見られていましたが、現時点までのところでは所得の向上による個人消費の増加は期待できない状況にあり、分析を通じて見てきた通りむしろ節約志向が強まる傾向にあります。
このブログで何回か指摘してきましたが、家計収入を増加させることができないのであれば、景気を回復させるには個人消費の増加につながるよう可処分所得の増加させるため、一つの方法として国の施策の無駄を省き国会議員の定数削減などにより歳出を減らすことによって、減税することで非消費支出を減らす方策を行うのが望ましい方法と思われます。


勤労者世帯の家計収支の推移について(2017年第2四半期版)_その3

2017年08月19日 16時03分02秒 | 社会・経済

家計収支の中で、生活者が自身の判断で自由に支出することができるのが消費支出です。
総務省統計局が発行した「家計調査のしくみ」には消費支出を、「いわゆる生活費のことで、食料、衣料、電気・ガスなど日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額をいいます。
ただし、月賦又は掛買いの場合、購入時に一括して支払ったとみなします。
消費支出は、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽及び「その他の消費支出」の10大費目に大別されます。
なお、各項目の金額には、消費税が含まれています。」と説明されています。
収入が減少傾向から横ばい状態の中にあって、非消費支出が増加傾向あり可処分所得は減少傾向から横ばい状態が続いていることから、消費支出は緩やかな減少傾向となり、多くの工夫をしながら抑制的に支出を行っているものと思われます。
そこで、10大費目への支出金額の最近の推移を、米国センサス局の季節調整法X-13Arima-Seatsを用いて分析し、見てみることとしました。

◇消費支出の推移(勤労者世帯)について(再掲)

分析期間における消費支出の推移は、2008年1月の324,600円から2017年6月の317,300円までの間、若干の増減は見られるものの平均的には316,000円±4,800円(1.5%)と緩やかな減少傾向となっています。

(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

消費支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年9月から2016年12月まで16か月連続で減少した後、2017年1月から6月まで6か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年3月から7月までは5か月連続で減少した後、8月から2017年6月までは11か月連続で増加となっています。

◇食料への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間(2008年1月から2017年6月)における食料への支出金額の推移は、2008年1月の70,500円から2012年7月の68,700円までの間は、若干の増減が含まれるものの減少傾向で推移した後、8月の68,900円から2015年9月の75,100円までの間は急激な増加となっています。
その後は、2015年10月の75,100円から2017年6月の74,300円までの間は、緩やかな減少傾向となっています。



食料への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2012年10月から2016年5月まで44か月連続で増加した後、6月から2017年6月まで13か月連続で減少しています。
なお、対前月比では、2016年11月から2017年4月までは6か月連続で減少した後、5月、6月は増加となっています。

2012年8月から2015年9月までの急増が、最近のエンゲル係数の上昇の原因となっています。

◇住居への支出金額の推移(勤労者世帯)について

住居への支出とは、住宅・土地の貸借料(家賃の前払としての性格を有する権利金、契約手付金、仲介手数料なども含む。)、住宅、庭などの設備やその修繕に関するもの(ただし、居住面積が増えるようなものは「財産購入」とみなし、設備修繕・維持には含めない。)などのことです。
分析期間における住居への支出金額の推移は、2008年1月の18,100円から2010年7月の21,200円までの間は増加傾向で推移した後、8月の21,200円から2017年6月の19,900円までの間は緩やかな減少傾向となっています。
住居への支出金額は、住居や設備などへ突発的に生ずることがあるため、計画的な支出とならないことから「季節調整済値」は他の費目に比べ変動が大きく表れているものと思われます。



住居への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年8月から2016年10月まで27か月連続で減少した後、11月から2017年6月まで8か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年6月から2017年4月までは11か月連続で増加した後、5月、6月は減少となっています。

◇光熱・水道への支出金額の推移(勤労者世帯)について

光熱・水道への支出は、それらの供給業者からの買取金額が主なものです。
気候によって多く必要としたり少なかったりということは有っても、支出金額の増減が生じるのは主として供給業者の価格設定によって決まってきます。
分析期間における光熱・水道への支出金額の推移は、2008年1月の23,100円から2009年11月の20,700円までの間は減少傾向で推移した後、12月の20,700円から2015年2月の24,200円までの間は、期間中若干の増減が含まれるものの増加傾向で推移しています。
その後、2015年3月の24,100円から2017年6月の21,100円までの間は減少傾向での推移となっています。



光熱・水道への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年7月から2017年4月まで22か月連続で減少した後、5月、6月は増加となっています。
なお、対前月比では、2016年7月から2017年1月までは7か月連続で減少した後、2月から6月までは5か月連続で増加となっています。

◇家具・家事用品への支出金額の推移(勤労者世帯)について

家具、家事に必要な商品及びこれに伴うサービスに対する支出のことで、家事用耐久財、冷暖房用器具、一般家具、室内装備・装飾品、寝具類、
家事雑貨、家事用消耗品、および家事サービスなどが含まれます。
分析期間における家具・家事用品への支出金額の推移は、2008年1月の10,520円から2017年6月の10,780円の間、平均的には10,580円±270円(2.7%)とほぼ横ばい状態の推移となっています。
家具・家事に必要な商品・サービスについての支出は、他の費目と異なり計画的な出費が可能であることが、安定的な支出につながっているものと思われます。
2014年3月の季節調整済値が突出して高いのは、計画的な出費が可能なことと2014年4月から導入される消費税率改定(5%→8%)に伴う、駆け込み需要のためと考えられます。



家具・家事用品への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年10月から2015年11月まで14か月連続で増加した後、12月から2017年6月までは19か月連続で減少となっています。
なお、対前月比では、2016年8月から2017年3月までは8か月連続で減少した後、4月から6月までは3か月連続で増加となっています。

◇被服及び履物への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における被服及び履物への支出金額の推移は、2008年1月の14,280円から2017年6月の13,220円までの間、期間中若干の増減は有るものの、緩やかな減少傾向で推移しています。



被服及び履物への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年9月から2016年12月まで16か月連続で減少した後、2017年1月から6月までは6か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2016年7月から2017年4月までは10か月連続で増加した後、5月、6月は連続で減少となっています。

費目数が多いことから、残りの5費目は次回とします。


勤労者世帯の家計収支の推移について(2017年第2四半期版)_その2

2017年08月12日 09時04分50秒 | 社会・経済

前回の勤労者世帯の家計収支の推移について(2017年第2四半期版)_その1では、家計調査報告-平成29年(2017年)6月分速報-に掲載された、勤労者世帯の収支内訳に掲載されている「項目」について、2008年1月から2017年6月までの各月数値を、米国センサス局の季節調整法X-13Arima-Seatsを用いて分析を行い、得られた結果でその推移を見てきました。
家計収支の推移をもう少し詳しく見るため、家計調査に掲載されている「勤め先収入」「社会保障給付」「実支出」「黒字」および「エンゲル係数」の数値を用いて、同様の分析を行いその推移を見てみました。

◇勤め先収入の推移(勤労者世帯)について

勤め先収入は、前のブログで報告した世帯主収入(定期収入+臨時収入・賞与)、世帯主の配偶者の収入および他の世帯員収入の合計金額で、実収入の92.9%(2008年1月から2017年6月の平均)を占めています。
勤務先収入は、勤労者世帯では家計の基盤となる収入のことともいえると思います。
分析期間(2008年1月から2017年6月)における勤め先収入の推移は、2008年1月の494,800円から2011年3月の472,000円まで、期間中若干の増減は有るものの、減少傾向で推移しています。
この減少傾向は、2008年9月に発生したリーマンショックに端を発した世界的金融危機とそれに伴う景気後退によってもたらされたと考えられます。
2011年4月の472,400円から2013年11月の488,300円までの間は、緩やかな増加傾向での推移となっています。
リーマンショック後の景気後退から、景気が回復に向かったことを反映したものと思われます。
その後の、2013年12月の487,800円から2017年6月の484,700円までの間は、若干の増減が含まれるものの平均的には485,400円±2,800円(0.6%)とほぼ横ばい状態での推移となっています。

(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

勤務先収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年4月から2017年3月まで12か月連続で増加した後、4月から6月までは3か月連続で減少しています。
なお、対前月比では、2017年1月から5月まで5か月連続で減少した後、6月は増加となっています。

◇社会保障給付の推移(勤労者世帯)について

社会保障給付は実収入の4.7%を占め、勤め先収入と併せると97.6%と実収入の大宗を占めています。
なお、実収入には上記以外の項目として、「事業・内職収入」「農林漁業収入」および「受贈金」などがあります。
分析期間における社会保障給付の推移は、2008年1月の21,100円から2017年6月の28,400円まで、期間中若干の増減はあるものの緩やかな増加傾向が続いています。

正確に分析する必要があると思われますが、以前このブログで分析を行った際に判明した、少子高齢化に伴って集計世帯の世帯主の高齢化が進んでいることが影響しているものと思われます。



社会保障給付の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年10月から2016年6月まで9か月連続で減少した後、7月から2017年6月まで12か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年10月、11月と減少した後、12月から2017年6月まで7か月連続で増加しています。

◇実支出の推移(勤労者世帯)について


分析期間における実支出の推移は、2008年1月の415,100円から2011年4月の392,400円まで、期間中若干の増減はあるものの減少傾向で推移した後、5月の393,500円から2013年3月の418,600円までの間は増加傾向で推移しています。
その後、2013年4月の417,800円から2017年6月の412,900円までの間は、若干の増減は有るものの平均的には411,700円±3,900円(1.0%)とほぼ横ばい状態で推移しています。




実支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2017年2月から4月まで3か月連続で減少した後、5月、6月は増加となっています。
なお、対前月比では、2016年4月から8月まで5か月連続で減少した後、9月から2017年6月まで10か月連続で増加しています。


○勤め先収入と実支出との関係について

実支出は消費支出と非消費支出を合計した支出のことです。
また、可処分所得は実収入から非消費支出を差し引いた値、一方、可処分所得は消費支出と黒字を合計した値です。
勤め先収入と実支出の間にはあまり関係はなさそうですが、勤め先収入は実収入の92.9%を占めていることから、実態としては勤め先収入によって実支出が決められるとも言えそうです。
そこで、関連性があるかどうか、勤め先収入と実支出の間の相関分析を行ってみました。



分析の結果は、決定係数(R2乗)は0.4807と勤め先収入は増えれば実支出が増え、勤め先収入が減れば実支出も減るという正の相関が認められます。
なお、リーマンショックの影響で勤め先収入が減りだした時期を除けば、より強い相関関係が認められるものと思われます。
(収入が減ったからと言って、支出は急には減らせないためと考えられます。)
近似曲線(直線)の式から、勤め先収入が10,000円増えると実支出は約6,600円増えると言えます。

◇黒字の推移(勤労者世帯)について


黒字=実収入-実支出=可処分所得-消費支出という式で表すことができ、実収入と実支出との差が黒字です。
マイナスの場合は赤字ということになります。
これは可処分所得から消費支出を差し引いた額とも同じです。
さらに,黒字は預貯金、保険、財産、有価証券、繰越金などの純増額と借金、月賦、掛買いなどの純減額との合計としても表されます。
分析期間における黒字の推移は、2008年1月の108,600円から2017年6月の113,400円の間、平均的には111,000円±2,600円(2.3%)とほぼ横ばい状態で推移しています。




黒字の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年12月から2016年8月まで9か月連続で減少した後、9月から2017年6月まで10か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2016年5月から2017年2月まで10か月連続で増加した後、3月から6月まで4か月連続で減少しています。


◇エンゲル係数の推移(勤労者世帯)について

分析期間におけるエンゲル係数の推移は、2008年1月の21.9%から2012年8月の21.9%までの間、平均的には22.0%±0.1%(0.3%)とほぼ横ばい状態で推移した後、9月の21.9%から2016年6月の24.4%まで急増しています。
一転して、2016年7月の24.4%から2017年6月の23.5%までは減少傾向での推移となっています。


 エンゲル係数の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2013年2月から2016年11月まで46か月連続で増加した後、12月から2017年6月まで7か月連続で減少となっています。
なお、対前月比では、2014年1月から2016年6月まで30か月連続で増加した後、7月から2017年6月まで12か月連続で減少しています。





勤労者世帯の家計収支の推移について(2017年第2四半期版)_その1

2017年08月09日 10時45分28秒 | 社会・経済

このブログで定期的に勤労者世帯の家計収支(バランス)について報告を行っているのは、2012年12月26日に発足した安倍政権が打ち出した経済政策(いわゆる三本の矢)による雇用拡大や所得の向上などが、どのように家計に浸透してくるかを追跡することを目的として、四半期に1度の割合で家計調査データを分析しその推移を見ることとしています。
直近では家計調査の2017年6月分速報が7月28日に公表されましたので、家計収支の推移を調査項目の数値を用いて分析を行ってみました。

下表は、家計調査報告-平成29年(2017年)6月分速報-に掲載された、勤労者世帯の収支内訳です。



収支の推移を見て行くため、上表の項目について2008年1月から2017年6月までの各月数値を米国センサス局の季節調整法X-13Arima-Seatsを用いて分析し、得られた「季節調整済」「傾向値」をグラフ化し、ビジュアル的に推移を掌握できるよう工夫してみました。

◇実収入の推移(勤労者世帯)について

実収入について「家計調査のしくみと見方」(総務省統計局、平成17年(2005年)11月発行)(以下「しくみと見方」という)には、次のように説明されています。
一般に言われる税込み収入で、世帯員全員の現金収入を合計したものです。
経常収入と特別収入から成り、経常収入には勤め先収入(世帯主収入、世帯主の配偶者の収入及び他の世帯員収入)、事業・内職収入、農林漁業収入、他の経常収入(財産収入、社会保障給付及び仕送り金)が含まれ、特別収入には受贈金及びその他の実収入が含まれます。
なお,給与などの銀行振込みについては、給与を現金でもらってすぐに預貯金したとみなし、金額を家計収入として計上し、その後、銀行などへ預け入れたとみなします。

分析期間(2008年1月から2017年6月)における実収入の推移は、2008年1月の529,000円からリーマン・ショックとその影響で2011年4月の506,900円まで減少傾向で推移し、その後、景気の回復基調に乗って5月の507,100円から2015年4月の529,700円までは増加基調で推移しています。
2015年5月の529,000円から2017年6月の525,300円までの間は、平均的には525,500円±2,000円(0.4%)と横ばい状態での推移となっています。

(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

実収入は「家計調査報告-平成29年(2017年)6月分速報-」(以下「速報」という)では、4か月ぶりの実質増加と報告しています。
実収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年7月から2017年3月まで9か月連続で増加した後、4月から6月までは3か月連続で減少しています。
なお、対前月比では、2016年9月から2017年4月まで8か月連続で減少した後、5月、6月と増加しています。

◇世帯主収入の推移(勤労者世帯)について

分析期間における世帯主収入は、2008年1月の433,400円から2012年8月の408,200円までの間は減少傾向で推移した後、9月の408,300円から2017年6月の414,200円までの間は、期間中若干の増減は有るものの平均的には413,500円±3,000円(0.7%)と、ほぼ横ばい状態での推移となっています。



世帯主収入は「速報」では、3か月ぶりの実質増加と報告しています。
世帯主収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年7月から2016年5月まで11か月連続で減少した後、6月から2017年6月までは13か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2017年2月から5月まで4か月連続で減少した後、6月は増加となっています。

○定期収入の推移(勤労者世帯)について

分析期間における定期収入の推移は、2008年1月の365,200円から2011年2月の343,200円までの間は減少傾向で推移した後、3月の343,600円から2017年6月の347,800円の間は、期間中若干の増減はあるものの平均的には347,500円±2,400円(0.7%)とほぼ横ばい状態での推移となっています。



定期収入は「速報」では、6か月連続の実質減少と報告しています。
定期収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年8月から2016年9月まで14か月連続で減少した後、10月から2017年6月までは9か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2017年3月、4月は減少、5月、6月は増加となっています。

○臨時収入・賞与の推移(勤労者世帯)について

分析期間における臨時収入・賞与の推移は、2008年1月の77,400円から2012年5月の57,800円までの間は減少傾向で推移した後、6月の58,000円から2017年6月の71,800円までの間は増加傾向の推移となっています。



臨時収入・賞与の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年3月から2015年10月まで8か月連続で減少した後、11月から2017年6月までは20か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年7月から9月まで3か月連続で減少した後、10月から2017年6月まで9か月連続で増加となっています。

◇世帯主の配偶者の収入の推移(勤労者世帯)について

分析期間における世帯主の配偶者の収入の推移は、2008年1月の52,200円から2017年6月の60,200円までの間、数度の増減を繰り返しながら(最近は減少傾向となっているものの)増加傾向で推移しています。



世帯主の配偶者の収入は「速報」では、6か月連続の実質減少と報告しています。
世帯主の配偶者の収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年10月から12月まで3か月連続で増加した後、2017年1月から6月まで6か月連続で減少しています。
なお、対前月比では、2016年8月増加した後、9月から2016年6月まで10か月連続で減少となっています。

◇他の世帯員収入の推移(勤労者世帯)について

分析期間における他の世帯員収入の推移は、2008年1月の11,000円から2017年6月の8,500円までの間、期間中数度の増減を繰り返しながら減少傾向での推移となっています。



他の世帯員収入は「速報」では、2か月ぶりの実質減少と報告しています。
他の世帯員収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年5月から2017年3月まで11か月連続で増加した後、4月から6月まで3か月連続で減少しています。
なお、対前月比では、2016年11月から2017年4月まで連続6か月減少した後、5月、6月は増加となっています。

◇非消費支出の推移(勤労者世帯)について

分析期間における非消費支出の推移は、2008年1月の88,300円から2016年6月の98,600円まで、期間中若干の増減はあるもの増加傾向での推移となっています。



非消費支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年11月から2016年8月まで10か月連続で減少した後、9月から2017年6月まで10か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2015年5月から2016年1月まで連続9か月減少した後、2月から2017年6月まで17か月連続で増加となっています。

◇可処分所得の推移(勤労者世帯)について

可処分所得について「しくみと見方」には、次のように説明されています。
実収入から税金<社会保険料などの非消費支出を差し引いた額で、いわゆる手取り収入のことです。
これは、実収入のうち実際に消費や貯蓄に回すことができる(可処分)部分で、購買力の強さが測れます。
可処分所得=実収入-非消費支出

分析期間における可処分所得の推移は、2008年1月の441,400円から2011年6月の417,000円までの間は減少傾向で推移した後、7月の417,600円から2017年6月の430,200円までの間は、平均的には425,600円±3,200円(0.7%)とほぼ横ばいで推移しています。



可処分所得は「速報」では、4か月ぶりの実質増加と報告しています。
可処分所得の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年10月から2016年5月まで8か月連続で減少した後、6月から2017年6月まで13か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年10月から2017年1月まで連続4か月減少した後、2月から6月までは5か月連続で増加となっています。

◇消費支出の推移(勤労者世帯)について

分析期間における消費支出の推移は、2008年1月の324,600円から2017年6月の317,300円までの間、若干の増減は見られるものの平均的には316,000円±4,800円(1.5%)と緩やかな減少傾向となっています。



消費支出は「速報」では、2か月連続の実質増加と報告しています。
消費支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年9月から2016年12月まで16か月連続で減少した後、2017年1月から6月まで6か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年3月から7月までは5か月連続で減少した後、8月から2017年6月までは11か月連続で増加となっています。

◇平均消費性向の推移(勤労者世帯)について

平均消費性向について「しくみと見方」には、次のように説明されています。
可処分所得に対する消費支出の割合を平均消費性向といいます。
平均消費性向(%)=(消費支出÷可処分所得)×100

分析期間における平均消費性向(%)の推移は、2008年1月の78.00%から2017年6月の77.71%までの間、期間中若干の増減は有るものの平均的には78.00%±0.64%(0.8%)とほぼ横ばいで推移しています。

平均消費性向は「速報」では、季節調整値でみると74.1%で、前月に比べ4.7ポイントの低下となったと報告しています。
平均消費性向の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年3月から10月まで8か月連続で増加した後、11月から2017年6月まで8か月連続で減少しています。
なお、対前月比では、2016年6月から2017年2月までは9か月連続で減少した後、3月から6月までは4か月連続で増加となっています。