体調の関係でしばらくこのブログを休んでいましたが、回復しましたのでまた続けたいと思います。
最近の生鮮野菜の消費の推移を家計調査の数値からフォローしてみること。
また、2017年3月16日に、総務省統計局から「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(平成26年(2014年)~28年(2016年)平均)」が公表されたことに伴い、個別の生鮮野菜についてどの程度の地域差があるのかをビジュアル的に見てみることとし、7月まで行っていた「最近の生鮮野菜の消費(購入数量、支出金額)の推移について」を続けます。
なお、グラフの煩雑さを少しでも緩和するため政令指定都市は省略し、対象は47都道府県庁所在市のみとしています。
今回は「さといも」です。
◇さといもへの支出金額の推移(二人以上の世帯)について
分析期間におけるさといもへの支出金額の推移は、2008年1月の82円から2013年4月の69円まで減少傾向で推移した後、5月の70円から2015年8月の81円までは増加傾向で推移しています。
その後、2015年9月の81円から2017年6月の73円へと、再び減少傾向となっています。
(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)
◇さといもの実購入頻度の推移(二人以上の世帯)について
分析期間におけるさといもの実購入頻度の推移は、2008年1月の1.40回/月から2017年6月の1.38回/月まで、平均的には1.38回/月±0.02回/月(1.6%)と、若干の増減はあるものの横ばいから緩やかな減少傾向で推移しています。
◇さといもの購入1回当り支出金額の推移(二人以上の世帯)について
分析期間におけるさといもの購入1回当り支出金額の推移は、2008年1月の57円/回から2013年7月の48円/回まで、期間中小刻みな増減は有るものの減少傾向で推移した後、8月の48円/回から2015年8月の57円までは増加傾向で推移しています。
その後は、2015年9月の57円/回から2017年6月の50円/回まで減少傾向での推移となっています。
◇さといもの購入1回当り購入数量の推移(二人以上の世帯)について
分析期間におけるさといもの購入1回当り購入数量の推移は、2008年1月の136g/回から2017年6月の103g/回まで、期間中若干の増減は有るものの緩やかな減少傾向となっています。
さといも1個の重さは、中程度のもので40g~50gですから、この間にほぼ1個減らしていることになります。
◇さといもの(購入1回当り)購入単価の推移(二人以上の世帯)について
分析期間におけるさといもの(購入1回当り)購入単価の推移は、2008年1月の47円/100gから2013年3月の42円/100gまでは、期間中値上がり値下がりは有るものの平均的には43.5円/100g±2.6円/100g(6.0%)ととほぼ横這いで推移した後、4月の42円/100gから2014年3月の54円/100gまで値上がりしています。
その後は、4月の54円/100gから2017年6月の49円/100gまでは、平均的には53.1円/100g±2.3円/100g(4.3%)と横ばいから値下がり傾向での推移となっています。
○さといもの購入単価と購入数量との関係(二人以上の世帯)について
分析期間におけるさといもの購入単価と購入数量との関係を相関分析してみると、決定係数(R2乗)は0.7939と強い負の関係にあります。
すなわち、購入単価が下がると購入数量が増え、購入単価が上がると購入数量が減ります。
購入単価が5円/100g下がると10g多く購入する関係ですが、1個多く購入するためには20円/100g下がらないと購入できません。
実際には、さといもは複数個が1袋に入って販売されているため1個単位では購入できず、購入頻度と購入数量で調整されていると思われます。
◇さといもの購入世帯割合の推移(二人以上の世帯)について
分析期間におけるさといもの購入世帯割合の推移は、2008年1月の22.3%から2017年6月の19.6%まで、期間中小刻みな増減は有るものの、緩やかな減少傾向が続いています。
購入頻度の推移、購入1回当り購入数量、購入世帯割合の推移から見て、家計におけるさといもの消費は減り続けるものと思われます。
◇都道府県庁所在市別「さといも」の消費(購入数量、支出金額)について
都道府県庁所在市別のさといもの消費は下表、下図の通りです。
さといもの収穫量の多い県は、宮崎県、千葉県、埼玉県、鹿児島県および愛媛県です。
上記5県で総収穫量の50%以上を占めます。
都道府県庁所在市別では、支出金額は山形市、新潟市、福井市、名古屋市および福井市の順です。
購入数量は新潟市、大分市、山形市、宇都宮市および熊本市の順です。
大分市(購入数量2,952g、支出金額1,218円、購入単価41.29円/100g)と山形市(2,910g、2,133円、73.30円/100g)とでは、購入数量はほぼ同じですが支出金額には900円以上の差が有り、購入単価は32円/100gの差が有ります。
消費の水準を数量と金額どちらで表すのが適切かは、いろいろ問題は有ろうかと思いますが量が優先し金額はそれの補完と考えるのが適切ではなかろうかと思います。
家計調査の数値を使って、時々、メデアでは支出金額の多少で消費の多少を表現していることを見かけますが、何を基準にして消費の多少を表しているのか明確に示す必要があるものと思われます。