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相模野のトト

家計調査データを読む

「まぐろ」「さけ」の都道府県庁所在市別消費

2013年04月30日 11時34分09秒 | 社会・経済

品目別都道府県庁所在市別消費を続けます。
今回は、全国的によく食べられている「まぐろ」と「さけ」「塩さけ」を取り上げてみました。

◇「まぐろ」の都道府県庁所在市別消費

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「まぐろ」の消費量の多いのは、静岡市(購入数量6,204g:、支出金額:13,424円、購入単価:216.38円/100g)、甲府市(4,056g、10,745円、264.92円)、前橋市(3,566g、7,821円、219.32円)、那覇市(3,525g、5,971円、169.39円)、及び宇都宮市(3,361g、7,550円、224.64円)の順となっています。
特徴的なことは、静岡市の消費は平均値と比べると数量で3.03倍、金額で2.91倍と非常に多いことです。また、甲府市は数量金額とも静岡市に比べ少ないものの、購入単価は平均より39.71円/100g高くなっています。(グラフでは、傾向線より上方への乖離が大っきことで確認できると思います。)なお、那覇市の購入単価は平均より55.82円安く(傾向線より下方への乖離が大きい)なっています。
このことは、家計調査での生鮮魚介の定義が「採取されたままのもので,保存などのための加工がされていないもの。冷凍,洗浄,切断,不要物の除去などの最小限の加工を加えたものも含む」(切り身、刺身等)となっていること、及びまぐろの種類(本まぐろ、めばち、きわだ、かじき等)が区分されていないことから、格差が大きく現れているものと思われます。
もう一つの特徴は、静岡市、那覇市を除いて、海に縁遠い甲府市、前橋市及び宇都宮市の消費量が多いことも面白い現象といえます。
逆に少ないのは、松江市、長崎市、福岡市、大分市及び佐賀市となっています。
「まぐろ」の消費は静岡市を例外とすれば、東日本で多く西日本・九州では少ないといえます。

◇「さけ」の都道府県庁所在市別消費

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「さけ」の消費量の多いのは、青森市(購入数量5,392g:、支出金額:6,634円、購入単価:123.03円/100g)、札幌市(4,805g、6,226円、129.57円)、新潟市(4,492g、5,309円、118.19円)、長野市(4,189g、5,381円、128.46円)、および盛岡市(4,148g、5,286円、127.43円)の順となっています。
逆に少ないのは、高知市、熊本市、長崎市、鹿児島市及び宮崎市となっています。

◇「塩さけ」の都道府県庁所在市別消費

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「塩さけ」の消費量の多いのは、新潟市(購入数量4,441g:、支出金額:4,726円、購入単価:106.42円/100g)、盛岡市(4,073g、4,913円、120.62円)、秋田市(3,448g、4,778円、138.57円)、青森市(3,204g、3,558円、111.05円)、及び札幌市(3,198g、3,730円、116.64円)の順となっています。
「さけ」の消費量の多い市の内、4市(新潟、盛岡、青森、札幌の各市)が「塩さけ」の消費が多く、消費量の多い秋田市の「さけ」の消費量(3,659g、4,632円、126.59円)は8番目に多く、また、「さけ」の消費量の多い長野市の「塩さけ」の消費量(2,222g、2,381円、107.16円)は10番目に多いことから、塩さけを含むさけの消費量は、東日本特に北海道、東北、甲信越で多いといえると思います。
逆に少ないのは、那覇市、福岡市、長崎市、鹿児島市及び宮崎市となっています。
「さけ」の消費量の少ない市の内、3市(長崎、鹿児島、宮崎の各市)が「塩さけ」の消費も少なく、また、消費の少ない那覇市、福岡市の「さけ」の消費量はそれぞれ14番目、12番目に少なく、「さけ」の消費量の少ない高知市、熊本市の「塩さけ」の消費量はそれぞれ19番目、6番目に少ないことから、塩さけを含むさけの消費量は特に九州で少ないといえると思います。


「あじ」「さば」の都道府県庁所在市別消費

2013年04月13日 16時31分51秒 | 社会・経済

前回に引き続き、総務省統計局発表の品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキンク(平成22~24年平均)に取り上げられている「あじ」と「さば」の消費の地域差を明らかにしていきたいと思います。

◇「あじ」の都道府県庁所在市別消費

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「あじ」の消費の多いのは、松江市(支出金額:3,621円、購入数量:4,040g、購入単価:89.63円/100g)、長崎市(3,533円、3,603g、98.06円)、山口市(3,303円、2.793g、118.26円)、佐賀市(2,885円、2,912g、99.07円)、宮崎市(2,590円、2,49億地方の8g、103.68円)及び大分市(2,214円、2,193g、100.96円)です。
「あじ」の消費は、中国地方の九州より、九州地方の玄界灘より、豊後水道よりで多いと言えそうです。
逆に、沖縄、北海道及び東北地方では少なくなっています。

◇「さば」の都道府県庁所在市別消費

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「さば」の消費が多いのは、松江市(支出金額:1,636円、購入数量:2,304g、購入単価:71.01円/100g)、和歌山市(2,090円、2,018g、103.57円)、鳥取市(1,295円、2,011g、64.40円)、宮崎市(1,503円、1,939g、77.51円)及び佐賀市(1,051円、1,929g、77.81円)です。
松江市、宮崎市、佐賀市は「あじ」の消費も多いところであり、鳥取市も「あじ」の消費は大分市に次いで多いとこですので、これらは地域が重なり合いますが、和歌山市は「あじ」の消費はそれほど多くはないものの、「さば」の消費が多く、しかも購入単価が高いという特徴があります。このことは購入数量のほぼ同じ鳥取市と比べても、単価は1.6倍となっていことをグラフから読み取ることができると思います。
「さば」の消費の多い地域は、和歌山市を除けばほぼ「あじ」と同じといえます。
逆に消費の少ないのは、東北、北関東となっています。


品目別都道府県庁所在市における消費

2013年04月09日 14時31分56秒 | 社会・経済

総務省統計局は3月15日品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキンク(平成22~24年平均)を公表しました。
内容は、二人以上の世帯の1世帯あたりの品目別年間支出金額及び購入数量のデータから、どのような品目でどの程度の地域差があるのかを明らかにしようとするものです。
その中で特徴的な品目を取り上げ、グラフ化してビジュアル的に表示してありますが、紙面の都合も有ることから、差異を表すのに「支出金額」のみを使用して表示しているので、ある程度は掌握できるものとなっていると思います。
しかしながら、支出金額は購入数量と購入単価による結果の数値であることから、支出金額が多いことが購入数量(消費量)が多いという関係には必ずしもつながらない場合があります。
したがって、購入数量と支出金額の両データを用いてグラフ化することでその差異をより明確にすることを試みてみました。
なお、このグラフ化で購入単価の差異もビジュアル的に掌握できることはご理解いただけると思います。
また、地域差を明確にすることが目的であることから、政令指定都市を省略し都道府県庁所在市のデータとし、平均値はそれらのデータの単純平均としました。

◇「ぶり」の都道府県庁所在市別消費(二人以上の世帯)

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総務省統計局公表のランキングでは、支出金額のみのランキングとなっていることから、富山市(支出金額:8,790円、購入数量:6,312g)、金沢市(7,611円、4,762g)、福井市(5,031円、3,104g)、高松市(4,819円、2,954g)、和歌山市(4,775円、3,017g)となっていますが、このグラフ上からは、富山市、金沢市、松江市(4,596円、3,888g)、福井市、大分市(4,638円、3,059g)の順に購入数量が多いことが分かると思います。
松江市がランキングから外れるのは、購入単価が非常に安い(118.21円/100g)からであり、購入数量が1kgほど違う高松市がランキングに入るのは購入単価が高い(163.13円/100g)ため、支出金額が多くなるからです。
このグラフから購入単価差を、支出金額同水準であれば右方に離れれば離れるほど(購入数量が多くなれば多くなるほど)、購入単価が安く、購入数量が同水準であれば上方に離れれば離れるほど(支出金額が多くなれば多くなるほど)購入単価が高いということが読み取れると思います。
なお、グラフには傾向線(y=1.4824+90.723,R2乗=0.9302)を表示してありますが、線上であれば購入単価は同じであり、下方にあればあるほど購入単価は平均単価(152.16円/100g)より安く、上方にあればあるほど平均単価より高いことが読み取れると思います。
傾向線より下方にある富山市(139.26円/100g)、松江市(118.21円)、は購入単価が安く、金沢市(159.83円)購入単価が高いことをビジュアル的に理解できると思います。
以上から、ぶりの消費は西日本で多く、特に日本海側での消費が多いということがこのグラフから瞬時に理解することが可能と思います。

◇「かつお」の都道府県庁所在市別消費

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かつおの消費は、高知市(支出金額:9,588円、購入数量:5,163g)、福島市(3,841円、2,508g)、水戸市(3,654円、2,358g)、仙台市(3,542円、2,251g)、盛岡市(3,114円、1,943g)の順となっています。
高知市は次順位の福島市より支出金額で2.5倍多く、購入数量で2.06倍多いことから、消費量がずば抜けて多いことが分かります。
また、高知市は傾向線(y=1.7802x-313.35,R2乗=0.9776)から上方に乖離していることにより、平均購入単価(150.89円/100g)より高い単価(185.71円)であることが分かります。
次に傾向線より乖離の大きいのは京都市であり、単価(182.98円)が高いことが分かります。
以上のことから、高知市は非常に例外的であるものの、かつおの消費は北日本、特に太平洋側で多いという地域差が瞬時に理解できると思います。
なお、傾向線の決定係数(R2乗)から、購入単価の地域差は「ぶり」ほど大きくないことも分かります。