相模野のトト

家計調査データを読む

勤労者世帯の家計収支(バランス)について(平成28年版)-その4

2017年02月28日 15時01分09秒 | 社会・経済

最近、エンゲル係数が上昇傾向となってきていることに鑑み、上昇の原因となっている食料とその構成項目への支出金額について、家計調査のデータを米国センサス局の季節調整法X-13Arima-Seatsを用いて分析を行い、分析結果の傾向値の変動からその推移を見てきています。
前回からの続きとして、「肉類」「乳卵類」「野菜・海藻」「果物」および「油脂・調味料」への支出金額の推移を見て行くこととします。

◇肉類への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における肉類への支出金額の推移は、2007年1月の6,500円/月から2008年7月の6,850円/月まで増加し、その後2012年6月の6,290円/月までは減少傾向で推移しています。
2012年7月の6,300円/月から2015年6月の7,660円/月まで急増し、その後は2016年12月の7,420円/月まで減少傾向となっています。
なお、なお、食料への支出金額が急に増えだした2014年6月と2016年12月の肉類への支出金額は、7,150円/月と7,420円/月とで、その差はプラスの270円となっています。

(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

肉類への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2012年12月から2016年1月まで38か月連続で増加した後、2月から12月まで連続11か月減少となっています。
なお、対前月比では、2013年10月から2015年6月まで21か月連続で増加し、7月から2016年12月まで18か月連続減少しています。

◇乳卵類への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における乳卵類への支出金額の推移は、2007年1月から2011年9月までの間は若干の増減は有るものの、平均的には3,300円/月±40円/月(1.2%)とほぼ横ばい状態で推移しています。
その後、2011年10月の3,240円/月から2016年12月の3,820円/月までは、ほぼ一貫した増加傾向となっています。
なお、2014年6月の3,390円/月と2016年12月の3,820円/月との差は、プラス430円です。



乳卵類への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2011年1月から2012年1月まで13か月連続で減少した後、2月から2016年12月まで59か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2014年2月から6月まで5か月連続で減少し、7月から2016年12月まで30か月連続で増加しています。

◇野菜・海藻への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における野菜・海藻への支出金額の推移は、2007年1月の7,340円/月から2016年12月の8,140円/月まで期間中小刻みな増減を繰り返しながら、やや増加傾向での推移となっています。
なお、2014年6月の7,380円/月と2016年12月の8,140円/月との差は、プラス760円です。



野菜・海藻への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年2月から8月まで7か月連続で減少した後、9月から12月まで4か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2015年8月から2016年1月まで6か月連続で減少し、2月から11月まで10か月連続で増加し、12月は減少となっています。

◇果物への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における果物への支出金額の推移は、2007年1月の2,230円/月から2014年5月の1,990円/月まで推移した後、6月の2,000円/月から2016年12月の2,260円/月までは増加傾向での推移となっています。
なお、2014年6月の2,000円/月と2016年12月の2,260円/月との差は、プラス260円です。



果物への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年11月から2016年7月まで9か月連続で減少した後、8月から12月まで5か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2015年5月から12月まで8か月連続で減少し、2016年1月から12月まで12か月連続で増加となっています。

◇油脂・調味料への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における油脂・調味料への支出金額の推移は、2007年1月の2,960円/月から2016年12月の3,350円/月まで、期間中横ばい状態で推移した期間が有るものの、増加傾向での推移となっています。
なお、2014年6月の3,270円/月と2016年12月の3,350円/月との差は、プラス80円です。



油脂・調味料への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年4月から2016年6月まで27か月連続で増加した後、7月から12月まで6か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2013年11月から2015年12月まで26か月連続で増加し、2016年1月から12月まで12か月連続で増加となっています。


勤労者世帯の家計収支(バランス)について(平成28年版)-その3

2017年02月20日 15時25分18秒 | 社会・経済

前々回、前回と「収入」「支出」および「可処分所得」などの調査項目の2007年1月から2016年12月の数値を、米国センサス局の季節調整法X-13Arima-Seatsを用いて分析し、その推移から最近の家計の状態を見てきましたが、引き続き家計の状態を示す「エンゲル係数」とその構成要素である「食料への支出金額」推移、さらには食料の項目単位の推移についても見て行くこととします。
なお、食料の項目が多いことから報告は複数回に分けて行いたいと思います。

エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食料への支出金額の割合(パーセント)のことで、食料は生命維持の関係から他の支出に比べて極端な節約が困難とされるためであり、エンゲル係数の値が高いほど生活水準は低いとされる。

◇エンゲル係数の推移(勤労者世帯)について

分析期間におけるエンゲル係数の推移は、2007年1月の21.9%から2013年11月の22.2%の間は平均的には22.0%±0.2%と僅かな増減はあるもののほぼ横這い状態での推移となっています。
その後、2011年12月の22.2%から2016年12月の24.3%へと急な増加傾向への推移と変わっています。


(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

エンゲル係数の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2012年4月から2013年3月まで12か月連続で減少した後、4月から2016年12月まで連続44か月増加となっています。
なお、対前月比では、2016年1月から3月まで3か月連続で減少し、4月から7月まで4か月連続した後、8月から11月まで再び4か月連続で減少し、12月は増加となっています。

◇消費支出の推移(勤労者世帯)について(再掲)

分析期間における消費支出の推移は、2007年11月の330,500円/月をピークとして、期間中若干の増減が含まれるものの、2016年12月の310,200円/月へと減少傾向での推移となっています。



家計調査報告2016年12月速報では、消費支出の対前年同月増減率(%)は名目で2.6%増、実質で2.2%増となり8か月ぶりの実質増加と説明しています。
消費支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年9月から2016年11月まで15か月連続で減少した後、12月は増加となっています。
なお、対前月比では、2016年5月から8月まで4か月連続で減少し、9月から12月まで4か月連続で増加しています。

◇食料への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における食料への支出金額の推移は、2007年1月の70,600円/月から2008年11月の71,100円/月までは実収入の増加に伴って増加傾向で推移したが、その後はリーマンショックのの景気後退や2011年3月の東日本大震災の影響等もあり実収入の減少や節約志向に伴って2012年7月の68,800円/月まで減少しています。
2012年8月の68,900円/月から2016年12月の74,400円/月へと、景気が上向いたことと2014年5月以降は消費税率の改定(5%→8%)と円安傾向からの原料価格の上昇等にともなって、支出金額は増加傾向となっています。
なお、食料への支出金額が急に増えだした2014年6月の70,700円/月と2016年12月の74,400円/月との差はプラスの3,700円となっています。



食料への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年7月から2016年5月まで23か月連続で増加した後、6月から12月まで連続7か月減少となっています。
なお、対前月比では、2014年6月から2015年8月まで15か月連続で増加し、9月から2016年12月まで16か月連続で減少しています。

エンゲル係数の上昇は、収入が減って消費支出が減少し、相対的に食料への支出金額の比率が増加するか、消費支出が変わらないにもかかわらず食料への支出金額が増加する場合と考えられますが、上記の消費支出、食料への支出金額の推移から、最近のエンゲル係数の上昇は食料への支出金額が増加していることが原因となっています。
そこで、家計調査では食料の項目単位での支出金額も公表されていますので、これらの推移についても同様に分析を行ってみました。

◇穀類への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における穀類への支出金額の推移は、2007年1月の6,400円/月から2016年12月の6,200円へと期間中の増減はあるものの緩やかな減少傾向での推移となっています。
下図のグラフでは増減の振幅が大きく見えますが、平均的には6,450円/月±180円/月(2.8%)とそれほど大きいものではなく、横ばい状態に近いとも言えそうです。
なお、2014年6月の6,200円/月と2016年12月の6,200円/月との差は、±0円です。



穀類への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年10月から2016年8月まで11か月連続で増加した後、9月から12月まで連続4か月減少となっています。
なお、対前月比では、2015年5月から2016年2月まで10か月連続で増加し、3月から12月まで10か月連続で減少しています。

◇魚介類への支出金額の推移(勤労者世帯)について

分析期間における魚介類への支出金額の推移は、2007年1月の6,300円/月から2011年5月の5,000円/月まではほぼ一貫した減少傾向が続き、その後の2011年6月の5,000円/月から2016年12月の4,900円/月までの間は平均的には5,100円/月±70円/月(1.5%)とほぼ横ばい状態での推移となっています。
なお、2014年6月の5,040円/月と2016年12月の4,870円/月との差は、マイナス170円です。



魚介類への支出金額の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年11月から2015年11月まで13か月連続で増加した後、12月から2016年12月まで連続13か月減少となっています。
なお、対前月比では、2014年7月から2015年6月まで12か月連続で増加し、7月から2016年12月まで18か月連続で減少しています。





勤労者世帯の家計収支(バランス)について(平成28年版)-その2

2017年02月08日 15時23分23秒 | 社会・経済

前回は、勤労者世帯の家計収支のうち「収入」について見てきましたが、今回は「支出」「可処分所得」および「黒字」の推移を、米国センサス局の季節調整法X-13Arima-Seatsを用いて分析した結果で見て行きます。

◇実支出の推移(勤労者世帯)について

分析期間(2007年1月から2016年12月)における実支出の推移は、グラフでは増減幅が大きく見えますが平均的には410,400円/月±5,200円/月(1.3%)とほぼ横ばい状態での推移となっています。
収入が増減しているにもかかわらず、生活を維持してゆくための支出は、ほぼ一定の水準を保とうとする表れと思われます。

(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

実支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年9月から2016年10月まで14か月連続で減少した後、11月から12月までは2か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2016年5月から7月まで3か月連続で減少し、8月から12月まで5か月連続で増加しています。

◇非消費支出の推移(勤労者世帯)について

分析期間における非消費支出の推移は、2007年1月の83,300円/月から2016年12月の98,200円/月までリーマンショック時とその後しばらく停滞したものの、ほぼ一貫した増加傾向となっています。



家計調査報告2016年12月速報では、非消費支出の対前年同月増減率(%)は名目で4.4%増となり2か月連続の増加と説明しています。
非消費支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年11月から2016年9月まで11か月連続で減少した後、10月から12月までは3か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2015年5月から2016年2月まで10か月連続で減少し、3月から12月まで10か月連続で増加しています。

(参考)世帯主収入と非消費支出の関係について

非消費支出とは、勤労所得税、個人住民税などの直接税、社会保険料などの世帯の自由にならない支出のことで、勤労者世帯においては主として世帯主が負担していると思われます。
そこで、世帯主収入と非消費支出の関係がどのようになっているのかを、相関分析の手法でグラフ化してみました。



本来、収入が増えれば非消費支出も増加すると考えられるのですが、最近の世帯主収入と非消費支出の関係は、収入が減りつつあるのに非消費支出は増加傾向にあります。
相関係数R2乗=0.411とそれほど強くは有りませんが、負の相関関係にあります。
この傾向が家計を圧迫しているものと思われます。

◇消費支出の推移(勤労者世帯)について

分析期間における消費支出の推移は、2007年11月の330,500円/月をピークとして、期間中若干の増減が含まれるものの、2016年12月の310,200円/月へと減少傾向での推移となっています。



12月速報では、消費支出の対前年同月増減率(%)は名目で2.6%増、実質で2.2%増となり8か月ぶりの実質増加と説明しています。
消費支出の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年9月から2016年11月まで15か月連続で減少した後、12月は増加となっています。
なお、対前月比では、2016年5月から8月まで4か月連続で減少し、9月から12月まで4か月連続で増加しています。

◇可処分所得の推移(勤労者世帯)について

分析期間における可処分所得の推移は、2007年1月の447,900円/月から2011年5月の418,000円/月まで、リーマンショックとその後の影響で収入が減少したことから減少傾向推移し、その後は若干の増減をともいながら2016年12月の429,000円/月まで緩やかな増加となっています。
可処分所得は、「実収入」から税金,社会保険料などの「非消費支出」を差し引いた額で、購買力の強さを測ることができますが、リーマンショック以前の水準までは回復していません。



12月速報では、可処分所得の対前年同月増減率(%)は名目で2.4%増、実質で2.0%増となり2か月ぶりの実質増加と説明しています。
可処分所得の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年10月から2016年5月まで8か月連続で減少した後、6月から12月までは7か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2015年12月から2016年8月まで9か月連続で増加し、9月から12月まで4か月連続で減少しています。

◇黒字の推移(勤労者世帯)について

分析期間における黒字の推移は、2007年1月の122,500円/月から2014年4月の106,100円/月まで緩やかに減少し、その後は2016年12月の120,900円/月まで緩やかに増加しています。
この期間、平均的には112,800円・月±4,100円/月(3.7%)とほぼ横ばい状態での推移と見ることもできます。
不規則変動を含んだ季節調整済の値では、2008年12月に増加に大きく変動(+47,600円)、2014年3月に減少に大きく変動(-48,400円)しています。
2008年12月の大幅増加は、リーマンショックの影響で消費を大幅に控えたこと、2014年3月は4月からの消費税率増(5→8%)を控え、駆け込み需要によるものと思われます。
なお、黒字は可処分所得から消費支出を差し引いた値のことで、本来は家計の余裕を表すものですが、最近の推移から見て老後の備えや不意の支出に備えて積極的に確保している金額と思われます。

黒字の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年2月から8月まで7か月連続で減少した後、9月から2016年12月までは28か月連続で増加となっています。
なお、対前月比では、2015年10月から2016年9月まで12か月連続で増加し、10月から12月まで3か月連続で減少しています。 


勤労者世帯の家計収支(バランス)について(平成28年版)-その1

2017年02月02日 15時22分18秒 | 社会・経済

目が非常に疲れることから、しばらくブログをお休みしていましたが、少し良くなってきましたので再開します。

家計調査報告2016年12月分速報が平成29年1月31日に公表されましたので、勤労者世帯の家計収支(バランス)がどのように推移しているかを、家計調査(勤労者世帯)の「実収入」「世帯主収入」「定期収入」「臨時収入・賞与」「世帯主の配偶者の収入」「他の世帯員収入」「実支出」「消費支出」「非消費支出」「可処分所得」「黒字」および「エンゲル係数」のについて、2007年1月から2016年12月までの各月の数値を用いて、米国センサス局の季節調整法X-13Arima-Seatsで分析を行ってみました。
なお、項目が多いことから、複数回に分けて報告したいと思います。

◇実収入の推移(勤労者世帯)について

分析期間(2007年1月から2016年12月)における実収入の推移は、2007年1月の527,200円/月から2008年7月の533,100円/月まで若干増加した後、リーマンショックの影響などから2011年4月の507,300円/月まで減少しています。
2011年5月の507,600円/月から2016年12月の527,800円/月までは、期間中若干の増減が含まれるものの増加基調での推移となっています。
ようやくリーマンショック以前の水準に戻りつつあります。


(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。以下のグラフについても同じです。)

家計調査報告2016年12月速報では、実収入の対前年同月増減率(%)は名目で2.7%増、実質で2.3%増となり2か月連続の実質増加と説明しています。
実収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年11月から2016年6月まで8か月連続で減少した後、7月から12月までは6か月連続で増加しています。
なお、対前月比では、2015年4月から12月まで9か月連続で減少し、2016年1月から12月まで12か月連続で増加しています。

◇世帯主収入の推移(勤労者世帯)について

実収入の約80%を占める世帯主収入の分析期間における推移は、2007年1月の427,900円/月から2008年4月の432,000円/月までの間は若干の増加傾向で推移し、その後はリーマンショック等の影響により2012年8月の408,100円/月まで減少傾向で推移しています。
2012年9月の408,200円/月から2016年12月の413,900円/月までは増減を繰り返しながら増加傾向での推移となっています。
世帯主収入は、依然としてリーマンショック以前の水準までは戻っていません。



12月速報では、世帯主収入の対前年同月増減率(%)は名目で2.2%増、実質で1.8%増となり2か月連続の実質増加と説明しています。
世帯主収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年7月から2016年5月まで連続11か月減少した後、6月から12月まで連続7か月増加しています。
なお、対前月比では、2016年7月から9月まで連続3か月減少した後、10月から12月までの間は連続3か月増加しています。

◇定期収入の推移(勤労者世帯)について

世帯主収入の約84%を占める定期収入の分析期間における推移は、2007年1月の360,800円/月から2011年2月の342、600円/月まで、期間中若干の増減は有るものの減少傾向で推移し、2011年3月から2016年12月の間は平均的には347,500円/月±2,500円/月とやや変動幅は大きいものの横ばい状態での推移となっています。
2011年からの年平均では、11年が347,000円/月、12年が347,400円/月、13年が349,300円/月、14年が348,200円/月、15年が347,000円/月、16年が345,200円/月となっており、安倍政権発足時は円安・株高のアベノミクス効果も反映された推移となっていますが、最近は失速気味となってきています。



12月速報では、定期収入の対前年同月増減率(%)は名目で0.9%増、実質で0.2%増となり2か月連続の実質増加と説明しています。
定期収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年8月から2016年9月まで連続14か月減少した後、10月から12月まで連続3か月増加しています。
なお、対前月比では、2016年6月から9月まで連続4か月減少した後、10月から12月までの間は連続3か月増加しています。

◇臨時収入・賞与の推移(勤労者世帯)について

世帯主収入の約16%を占める臨時収入・賞与の分析期間における推移は、2007年1月の68,900円/月から2008年1月の79,300円/月までは増加傾向で推移し、その後は2012年6月の57,100円/月まで緩やかな減少傾向で推移しています。
2012年7月の57,200円/月から201612月の71,400円/月までは緩やかな増加傾向での推移となっています。
定期収入が期待したほど増えない中で、臨時収入・賞与が増加傾向となっているのは、政府の企業に対する賃上げ要請を、基本給を上げるのではなく賞与などの一時金の値上げで対応していることを表しているものと思われます。



12月速報では、臨時収入・賞与の対前年同月増減率(%)は名目で3.5%増、実質で3.1%増と説明しています。
臨時収入・賞与の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2014年11月から2015年10月まで連続12か月減少した後、11月から2016年12月まで連続14か月増加しています。
なお、対前月比では、2016年6月から8月まで連続3か月減少した後、9月から12月までの間は連続4か月増加しています。

◇世帯主の配偶者の収入の推移(勤労者世帯)について

家計の勤め先収入の約12%を占める世帯主の配偶者の収入の分析期間における推移は、2007年1月の55,700円/月から2016年12月の65,400円/月へと、リーマンショックの影響で2011年4月の51,500円/月へと落ち込む時期は有るものの、おおむね増加傾向での推移となっています。
リーマンショック以降の実収入の増加傾向は、配偶者の収入増が大きく寄与していることによるものです。



12月速報では、世帯主の配偶者の収入の対前年同月増減率(%)は名目で1.6%増、実質で1.2%増となり4か月連続の実質増加と説明しています。
世帯主の配偶者の収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2016年6月から10月まで連続5か月減少した後、11月から12月まで連続2か月増加しています。
なお、対前月比では、2016年8月から10月まで連続3か月減少した後、11月から12月までの間は連続2か月増加しています。

◇他の世帯員収入の推移(勤労者世帯)について

家計の勤め先収入の約1.8%を占める他の世帯員収入の分析期間における推移は、平均的には9,400円/月±900円/月と周期的な増減が含まれるものの、おおむね横ばい傾向での推移となっています。
グラフでは増減の振幅幅が大きく見えますは、それほど大きな変動ではなく、また、勤め先収入に占める割合も低く、実額でもそれほど大きい値ではないことから、その変動が家計へ与える影響はあまり大きくありません。



12月速報では、他の世帯員収入の対前年同月増減率(%)は名目で40.2%増、実質で39.6%増となり9か月連続の実質増加と説明しています。
他の世帯員収入の分析結果では、傾向値の対前年同月比は2015年5月から2016年4月まで連続12か月減少した後、5月から12月まで連続8か月増加しています。
なお、対前月比では、2015年2月から10月まで連続9か月減少した後、11月から2016年12月までの間は連続14か月増加しています。