総務省統計局の家計調査には、消費支出の内容(購入頻度、支出金額、購入数量、平均価格、購入世帯数)の他に、世帯内容である世帯人員数、18歳未満の人員数、65歳以上の人員数、有業人員数、65歳以上の人員数のうち無職者数、世帯主の配偶者のうち女の有業率及び世帯主の年齢等の数値が公表されています。
今まで消費支出の内容等の分析を行ってきましたが、これらの世帯内容の基礎的な数値がどのように推移しているのか、見て行きたいと思います。
これらの数値は、季節変動を伴わないので、公表された数値を用いて、ビジュアル化して見ました。
◇世帯人員の推移(二人以上の世帯)について
ビジュアル化を行った期間における世帯人員の推移は、2000年1月の3.32人から2015年9月の3.01人まで、一貫した減少傾向が続いています。
そのうち、18歳未満の人員は0.74人から0.57人へと、同様に一貫した減少傾向となっています。
一方、65歳以上の人員は、0.52人から0.82人へと、一貫した増加傾向となっています。
この結果、世帯員から18歳未満の人員と65歳以上の人員を除いた人員(成人)は、2.06人から1.62人へと減少傾向での推移となっています。
(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。)
世帯人員の18歳未満を子供、65歳以上を高齢者とすると、子供:成人;高齢者の人員は、2000年1月では0.74人:2.06人:0.52人、2015年9月では0.57人:1.62人:0.83人となり、百分率で表すと2000年1月は22.3%:62.0%:15.7%、2015年9月では18.9%:53.8%:27.2%となります。
この数値の推移を見ても少子高齢化が進んでいることが読み取れます。
なお、子供と高齢者の比率が明らかに逆転したのは、2007年1月、2月で、この時の比率は1月が21.0%:21.0%、2月が20.6%:21.0%です。
◇有業人員と65歳以上の世帯員のうち無職者人員の推移(二人以上の世帯)について
世帯員のうち有業人員は、2000年1月の1.51人から2015年9月の1.35人へと減少傾向で推移しています。
2014年10月の1.29人から2015年9月までは増加傾向となっていますが、この傾向が続くのか一時的なものなのかは、もう少し推移をみる必要があります。
65歳以上の世帯員のうち無職者人員は、2000年1月の0.41人から2015年9月の0.65人へと増加傾向で推移しています。
65歳を過ぎて年金受給対象者となっても働き続けざるを得なくなってきているのが実態なのでしょうか?
それとも、生きがいとして高齢になっても働けるのは、良いことなのでしょうか?
◇世帯主の配偶者のうち女の有業率(%)の推移(二人以上の世帯)について
2000年1月から2015年9月までの間の世帯主の配偶者のうち女性の有業率は、平均的には35.2%±1.2%であり、グラフでは変動が大きく見えますがそれほど大きな変動ではありません。
傾向的には、2011年までは減少傾向、それ以降は増加傾向となっています。
世帯主の収入が増えない中にあって、支出が増加傾向となってきていることから、主婦も外へ出て働かざるを得なくなってきているというのが実態のような気がします。
◇世帯主の年齢(歳)の推移(二人以上の世帯)について
世帯主の年齢は、2000年1月の52.4歳から2015年9月の58.9歳へと、ほぼ一貫して高齢化が進んでいます。
若齢者層の減少が、この現象を招いているものと思われます。
【緊急報告】報道「家計調査見直し検討」について
12月27日の新聞報道によれば、政府は、消費の実態より弱い数字が出ているのではないかという指摘が出ているため、「家計調査」について、調査方法を見直す検討を始めたとのことである。
指摘に沿う形で、経済産業省の商業動態統計の小売業販売価格と家計調査(消費支出(二人以上の世帯)の数値?)を使用して、2010年を100とする指数のグラフが併せて掲載されています。
そこで、指摘が適切かどうかを判断するため、同じデータを同じ手法でグラフ化して見ました。
新聞掲載のものは、2015年10月までのデータが使われていますが、この報告では最近まで分析に使てきた9月までのデータとなっております。
1か月の違いがありますが、検証には問題はないと思いますので、それで報告させていただきます。
◇消費の実態にどちらが近い?「家計調査が消費の実態をより弱く表れているのでは?」と指摘
下のグラフは、新聞掲載のグラフとほぼ同期間の2012年1月から2015年9月までの、2010年を100とする小売業販売価格と消費支出(二人以上の世帯)の指数の推移です。
新聞のグラフでは細かい数値が不明ですが、「家計調査が消費の実態より弱く表れているのでは?」との期間は、2014年6月から2015年10月の期間と思われます。
そこで、上のグラフで見てみると、2014年6月からの指数は、小売業販売額は6月101.5、7月101.8、8月102.6、9月104.4、10月103.5、11月103.4、12月103.4、2015年1月102.1、2月102.6、3月101.9、4月102.4、5月103.1、6月102.9、7月103.7、8月103.5、9月104.0であり、消費支出(家計調査)は同期間では、100.7、98.6、98.5、99.7、99.6、100.2、99.7、99.4、99.1、100.5、98.8、100.7、99.3、98.9、101.7、99.3となっており、消費支出の方が明らかに数値が低くなっています。
(平均的には、3.2ポイントほど消費支出の方が低い。)
この部分のみを取り出してみると、明らかに指摘は正しいように思われます。
はたしてそうでしょうか?
そこで、比較対象の期間を、普段このブログで行っている2000年1月からの数値で見てみることにしました。(以下のグラフ)
期間を長くとってみると、明らかに両者の推移は異なっています(小売業販売額の推移は右肩上がり、消費支出は右肩下がりの傾向)。
最近(2010年以降)になって、両者の推移は似通ってきていますが、もともと統計のベースが違うものを比較してうんぬんするのはおかしいので、両者は違う統計として別々に利用するべきと思われます。
報道の「麻生太郎財務相は10月の経済財政諮問会議で、家計調査について「販売側の統計と動きが違う。高齢者の消費動向が色濃く反映せれているともいわれる。改善策を早急に検討していただきたい」と述べたとあるのは、安倍政権が打ち出した「2%のインフレ目標」及び「GDP600兆円」を何としてでも達成させたいという目的から、数字いじりを始めたものと思われます。
統計の利用は、本当にこれでよいのでしょうか。
平成27年4月の消費税改定(税率8%→10%)時に導入予定の低減税率導入について、自民党、公明党両党での合意に至ったようです。
社会保障と税の一体改革や財政規律は、今回の議論の中ではどこかに忘れ去られたようです。
また、低減税率適用対象品目に、突然新聞が加えられたようです。
先に低減税率を導入した国の多くは、新聞、書籍等もその対象に含まれているようですが、そもそもそれらの国の消費税(又は付加価値税)は20%以上の高率であり、低減税率導入の意義は感じられますが、今回のわずか2%の低減にどれほどの意義があるのでしょうか?
そこで、あまり話題にもならなかった新聞について、家計での支出がどのように推移しているのか見てみることとしました。
使用したデータは、家計調査の各月データの2000年1月から20415年9月までの数値、分析法は、米国センサス局の季節調整法X-13Arima を用いて行いました。
なお、家計調査における「新聞」は、収支項目分類では「日刊新聞に限る。一部買いも含む。」となっており、 英字新聞やスポーツ新聞を含み、工業新聞、学生新聞、宗教新聞などを除くと説明されています。
◇新聞の購入頻度の推移(二人以上の世帯)について
分析期間(2000年1月から2015年9月)における新聞の購入頻度の推移は、次の支出金額および購入世帯数でも同様ですが2001年12月と2002年1月の間で数値が極端に異なっています。
集計の仕方か対象が異なっているのと思われますので、推移を見て行く期間は2002年1月から2015年9月の間として見て行くこととします。
なお、購入頻度は、家計調査の用語解説には「当該品目への支出の頻度を抽出率調整などを行った上で表したもので、100世帯当たりの回数で表章される。」と説明されています。
すなわち、新聞の購入単位が月極が一般的であることを考慮すると、購入頻度が100であれば各世帯では1回は購入していることを表し、100以下の数値になれば購入しない世帯があることを意味しているものと思われます。
購入頻度の推移は、2002年1月の101回/月から2015年9月の86回/月と、期間中若干の増減が含まれるものの、減少傾向での推移となっています。
さらには、家計調査では以下に述べる購入世帯数のデータが提供されていますので、これを加味してやると実際に購入している世帯の購入頻度を求めることができ、2002年1月から2015年9月の間の実購入頻度は、平均的には1.26回/月±0.02回/月とほぼ横ばい状態での推移と言えます。
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最近の推移は、傾向値の前年同月比は2013年10月から2015年6月まで連続21か月減少し、7月、8月、9月と増加しています。
傾向値の前月比では、2014年10月から2015年2月まで連続5か月増加した後、3月から5月まで減少し、6月から9月までは再び増加となっています。
◇新聞の支出金額の推移(二人以上の世帯)について
2002年1月から2015年9月の間の新聞への支出金額の推移は、2002年1月の3,290円/月から2015年9月の2,640円/月へと、ほぼ一貫した減少傾向での推移となっています。
なお、支出金額から見て、一部買いも含まれるものの、月極購読料の金額が主なものと思われます。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2014年11月から2015年1月まで連続3か月増加した後、2月から9月まで連続8か月減少しています。
傾向値の前月比では、2014年3月から10月まで連続8か月増加した後、11月から2015年9月まで連続11か月減少となっています。
◇新聞の購入世帯数の推移二人以上の世帯)について
家計調査の用語解説には、「購入世帯数は,当該品目への支出があった世帯の割合を調整集計世帯数を使って表したもので,1万分比で表章される。」と説明されています。
1万分比を100分の1にして比率で表せば「パーセンテージ」のことで、家計への普及率と見ることもできます。
2002年1月から2015年9月までの新聞の購入世帯数の推移は、2002年1月の7,400世帯/月(普及率74.0%)から2015年9月の6,560世帯/月(普及率65.6%)まで、ほぼ一貫した減少傾向となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2012年8月から連続38か月減少中です。
傾向値の前月比では、2014年9月から11月まで連続3か月増加した後、12月から2015年9月まで連続10か月減少となっています。
購入頻度、支出金額、及び購入世帯数のいずれもが減少傾向での推移となっており、「新聞離れ」が進んでいるものと思われます。
パソコンネットワーク、及びスマホの普及等で、新聞内容と同程度のものが容易に入手できるようになってきたことがこの傾向を増長していると考えられますが、必ずしも「活字離れ」ではないと思われます。
冒頭の話に戻りますが、低減税率導入は低所得者対策と言っていたのに、なぜ新聞はその対象になったのでしょうか?
財政規律維持のため消費税増税やむなし論調の多かった新聞に対し、財政規律維持等の議論を避けるためなのでしょうか?
はたまた、来年の参議院選挙対策のためなのでしょうが?
いずれにしても、新聞の低減税率適用は、動機不純のような気がするのは筆者だけでしょうか。
続きです。
◇乳卵類への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
2014年10月から2015年9月までの食料への支出金額のうち、乳卵類への支出金額は5.0%を占めています。
分析期間(2000年1月から20145年9月)における乳卵類への支出金額の推移は、2000年1月の3,810円/月から2007年7月の3,210円/月まで減少傾向で推移し、2007年8月から2011年3月の間は平均的には3,250円/月±20円/月と横這い状態で推移した後、2011年4月の3,220円/月から2015年9月の3,640円/月へと増加傾向での推移となっています。
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最近の推移は、傾向値の前年同月比は2013年3月から連続31か月増加中です。
傾向値の前月比では、2014年5月、6月の減少を除けば、2012年12月から2015年9月までは連続増加中となっています。
◇油脂・調味料への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
食料への支出金額のうち、油脂・調味料への支出金額は4.8%を占めています。
分析期間における油脂・調味料への支出金額の推移は、2000年1月の3,230円/月から2006年4月の2,990円/月まで減少傾向で推移した後、5月の2,990円/月から2015年9月の3,430円/月まで、停滞期間(2009年10月から2013年8月、平均的には3,220円/月±20円/月)を含むものの、増加傾向での推移となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2013年11月から連続23か月増加中です。
傾向値の前月比では、2013年9月から2015年2月まで連続18か月増加した後、3月から6月まで連続4か月減少し、7月から9月まで再び増加となっています。
◇酒類への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
食料への支出金額のうち、酒類への支出金額は4.4%を占めています。
分析期間における酒類への支出金額の推移は、2000年1月の3,530円/月から2012年1月の3,000円/月まで緩やかな減少傾向で推移し、その後は2月の3,000円/月から2015年9月の3,140円まで緩やかな増加傾向の推移となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2014年4月から10月まで連続7か月増加した後、11月から2015年9月までは連続11か月減少が続いています。
傾向値の前月比では、2014年9月から2015年1月まで連続5か月増加した後、2月から5月まで連続4か月増加し、6月から9月まで再び減少となっています。
◇果物への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
食料への支出金額のうち、果物への支出金額は3.8%を占めています。
分析期間における果物への支出金額の推移は、2000年1月の3,030円/月から2010年1月の2,470円/月まで、期間中若干の増減はあるもの減少傾向で推移した後、2月の2,470円/月から2015年9月の2,730円/月までは増加傾向での推移となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2013年7月から連続27か月増加中です。
傾向値の前月比では、2014年6月から2015年5月まで連続12か月増加した後、6月から9月まで連続4か月減少となっています。
消費税率改定時(2017年4月、8%→10%)の軽減税率導入(8%に据え置き)は、やっと自民、公明両党間での合意に至ったようです。
内容は、酒類、外食を除く加工品を含む食品に適用されることとなりました。
そこで、今まで分類してきた支出金額比率では、酒類、外食の合計支出金額の食料に占め割合は21.1%で、軽減税率が適用される食品の割合は78.9%となります。
軽減税率が適用される品目の中には「調理食品」が含まれ、コンビニやファストフード店における「イートイン」「テークアウト」と併せて、外食との線引きが行えるかどうかの問題も指摘されています。
また、そもそも唱えられていた税と社会保障の一体改革や財政規律堅持の理念は、いったい何処へ行ってしまったのでしょうか?
来年の選挙目的かどうかは分かりませんが、「痛みを伴う改革」に協力しようとした国民を愚弄することだけは止めていただきたいものだと思います。
前回からの続きです。
◇魚介類への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
2014年10月から2015年9月までの食料への支出金額のうち、魚介類への支出金額は8.8%を占めています。
分析期間(2000年1月から2015年9月)における魚介類への支出金額の推移は、2000年1月の8,850円/月から2012年9月の5,980円/月まで、ほぼ一貫した減少傾向で推移し、その後は10月の5,990円/月から2015年9月の6,400円/月まで増加傾向での推移となっています。
一頃、「魚離れ」と言われていましたが、ほぼ歯止めがかかったようです。
(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。)
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2013年2月から連続32か月増加中です。
傾向値の前月比では、2014年9月、10月と減少した後、11月から2015年9月までは連続11か月増加となっています。
(2013年6月、7月、8月の3か月、2014年3月、及び2014年9月、10月の減少期間を除けば、2012年10月から2015年9月の間は増加傾向が続いていると見ることができます。)
◇穀類への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
食料への支出金額のうち、穀類への支出金額は8.5%を占めています。
分析期間における穀類への支出金額の推移は、2000年1月の7,380円/月から2015年9月の6,060円/月まで、期間中リーマンショック時のやや大きな振幅の増減が含まれるものの、ほぼ減少傾向での推移となっています。
「糖質制限食」「減糖食」「炭水化物離れ」が進んできているとも言えそうです。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2014年9月から2015年4月まで連続8か月増加した後、5月から9月までは連続5か月減少となっています。
傾向値の前月比では、2014年1月から9月まで連続9か月増加した後、10月から2015年9月までは連続12か月減少となっています。
◇菓子類への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
菓子類への支出金額のうち、穀類への支出金額は7.5%を占めています。
分析期間における菓子類への支出金額の推移は、2000年1月から2005年12月までの間は、平均的には4,810円/月±60円/月とほぼ横ばい状態で推移し、その後は2006年1月の4,710円/月から2015年9月の5,450円/月までは、リーマンショック後2012年ごろまで若干停滞するもののほぼ増加傾向での推移となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2013年2月から2015年9月まで連続32か月増加中です。
傾向値の前月比では、2015年2月、3月の減少を除けば、2013年12月から20145年9月まで20か月増加中です。
【参考】菓子類支出金額の季節変動
菓子類支出金額の季節変動パターンは、年末・年始、春休み、花見、夏休みなどの行楽、行事による増加によって、1月、3月、5月、8月、及び12月に支出金額が増える周年パターンとなっています。
◇飲料への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
飲料への支出金額のうち、穀類への支出金額は5.7%を占めています。
分析期間における飲料への支出金額の推移は、2000年1月の3,460円/月から2015年9月の3,980円/月へと、リーマンショック後の若干の停滞期間を除いてほぼ一貫した増加傾向での推移となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2014年3月から11月まで連続9か月減少した後、12月から2015年9月までは連続10か月増加となっています。
傾向値の前月比では、2014年6月から2015年4月まで連続11か月増加した後、5月から9月までは連続5か月減少となっています。
【参考】飲料支出金額の季節変動
飲料支出金額の季節変動パターンは、7月、8月をピークとする夏場(5月から9月)に支出金額が多い周年パターンとなっています。
上記の、魚介類、穀類、菓子類及び飲料への支出金額の合計は、食料への支出金額の30.5%を占め、前回の外食、調理食品、野菜・海藻及び肉類と合わせると8割を超えています。
未だに、軽減税率の導入をめぐって、自民党と公明党の両党間での合意には至っていないようですが、例えば野菜・海藻、肉類、魚介類、穀類、乳卵類及び果物の生鮮食料に限った場合には、食料支出金額に占めるこれらの支出金額は48.4%(実際はこれらの分類の中には加工品も含まれるので、実際は大分比率が下がる。)となり、さらに負担軽減分が2%であることを考えればそれほど大きな軽減措置の恩恵を感じることはないものと思われます。
食料への支出金額のうち、2014年10月から2015年9月までの間で項目別に金額の多い順に家計調査のデータを用いて、米国センサス局の季節調整法X-13Arimaで分析を行い、その推移を見て行くこととします。
◇外食への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
2014年10月から2015年9月までの食料への支出金額のうち、外食への支出金額は16.7%を占めています。
分析期間(2000年1月から2015年9月)における外食への支出金額の推移は、2000年1月の12,200円/月から2012年7月の11,200円/月へと緩やかな減少傾向で推移した後、8月の11,200円/月から2015年9月の12,200円/月へと増加傾向の推移となっています。
(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。)
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2014年5月から2015年2月まで連続10か月減少した後、3月から9月まで連続7か月増加しています。
傾向値の前月比では、2013年8月から2014年9月まで連続14か月減少した後、10月から2015年9月までは連続12か月増加となっています。
【参考】外食支出金額の季節変動
季節変動の要因は、①6,7月及び12月の賞与によって個人消費が増えるなどの需給から、②季節的な制約や生産活動による供給から、③年末年始、ゴールデンウィーク、夏休みなどの行事から、④天候や気温など自然現象からなどによるものです。
これらによって季節変動が生じますが、季節変動も時間の経過によって社会的、経済的な条件が変化することで、そのパターンも少しづつ変化してゆきます。
外食支出金額の季節変動パターンは、賞与による個人消費の増加、年末、年始、行楽シーズンなどの行事による増加によって、1月、3月、5月、7、8月、及び12月に支出金額が増える周年パターンとなっています。
◇調理食品への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
食料への支出金額のうち、調理食品への支出金額は12.5%を占めています。
分析期間における調理食品への支出金額の推移は、2000年1月から2010年2月の間は平均的には8,060円/月±120円/月とほぼ横ばい状態で推移した後、3月の7,920円/月から2015年9月の9,150円/月へと増加傾向で推移しています。
配偶者の社会進出が増えるに伴い、調理食品の利用が増えているものと思われます。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2009年7月から連続75か月増加中です。
傾向値の前月比では、2013年5月連続28か月増加中です。
【参考】調理食品支出金額の季節変動
調理食品支出金額の季節変動パターンは、年末、年始行事のため12月の支出が非常にい大きく、夏休みやお盆行事のため7月、8月やや多い周年パターンとなっています。
12月を除いては、ほぼ毎月決まった金額を支出しているとも言えそうです。
◇野菜・海藻への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
食料への支出金額のうち、野菜・海藻への支出金額は12.2%を占めています。
分析期間における野菜・海藻への支出金額の推移は、2000年1月の9,190円/月から2012年9月の7,780円/月まで、期間中若干の増減が含まれますがほぼ減少傾向で推移し、その後の10月の7,810円/月から2015年9月の8,920円/月までは増加傾向での推移となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2014年10月から2015年1月まで連続4か月減少した後、2月から9月まで連続8か月増加しています。
傾向値の前月比では、2014年10月、11月と減少した後、12月から2015年7月までは連続8か月増加し、8月、9月は再び減少となっています。
◇肉類への支出金額の推移(二人以上の世帯)について
食料への支出金額のうち、肉類への支出金額は10.1%を占めています。
分析期間における肉類への支出金額の推移は、2000年1月から2012年7月までの間は平均的には6,190円/月±180円/月と、リーマンショックの前後でやや変動が大きいものの、ほぼ横ばい状態で推移しています。
その後は、2012年8月の6,010円/月から2015年9月の7,310円/月までは増加傾向での推移となっています。
最近の推移は、傾向値の前年同月比は2013年1月から連続33か月増加中です。
傾向値の前月比では、2012年8月から(2013年8月を除いて)連続37か月増加中と言えそうです。
上記の、外食、調理食品、野菜・海藻及び肉類への支出金額の合計は、食料への支出金額の半分以上(51.1%)を占め、収入が増えず支出金額が停滞気味の中にあって、そのいづれもが最近は増加傾向となっていることは、興味深い推移となっています。
また、2017年4月の消費税率改定(8%→10%)時に軽減税率(消費税を8%に据え置き)の導入が検討されていますが、減税総額を4,000億円に上限設定すると外食や加工品は対象外となることから、その恩恵を感じることはそう多くないものと思われます。