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相模野のトト

家計調査データを読む

項目別食料支出の推移について

2014年03月20日 15時01分50秒 | 社会・経済

消費支出の中で、最近増加傾向に転じてきた項目のうち、食料支出について項目別にその推移を見てゆくこととします。
使用したデータは、前回までと同様、家計調査結果の二人以上の世帯のうち勤労者世帯の「都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり1か月間の収入と支出」に掲載されている「全国」の数値です。 分析期間は、リーマンショックが起こった2008年9月を含めるため、2008年1月から2013年12月までとしました。 データには季節変動が含まれるため、米国センサス局の季節調整法X-13 を用い時系列分析を行いました。 各項目の推移の説明は、特に断りのない場合は分析結果の「傾向値」を用いて行なっています。

◇食料支出の推移(再掲)

食料支出は、飲食に供される食品及びこれに伴うサービスに対する支出のことです。 分析期間における食料支出は、2011年4月までは減少傾向で推移し、その後は増加傾向に転じています。
全体としては平均70,000円±1,000円で、最近の食料への支出金額はリーマン・ショック以前の水準まで戻ってきています。

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(上のグラフをクリックすると、拡大したグラフを見ることができます。以下も同じです。)

2013年の1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで3.0%の増加、7月から12月までは-0.9%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では70,600円で、前年に比べ1.6%増加しています。

◇穀類支出の推移

穀類とは、イネ科植物などのうち,種子を食用とするもの及びこれらを主原料とした主食的食品のことです。ただし,穀類に工業的加工以外の一般的に家庭や飲食店で行うような調理の全部又は一部を行った食品であって,簡便な調理をし,又はしないで食用に供されるものは「調理食品」に分類されます。
分析期間における穀類支出は、2008年1月の6,700円から2009年5月の6,800円まで増加し、その減少傾向に転じて2011年5月の6,200円まで下落した後、再び上昇に転じ、2013年3月の2,700円まで上昇しています。
最近は、急落傾向となり、2013年12月では6,100円まで減少しています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで-1.0%の減少、7月から12月までは-13.2%の急減となっており、1世帯1か月当たりの平均では6,500円で、前年に比べ-0.8%減少しています。


◇魚介類支出の推移

魚介類とは,海水,淡水産魚介類及び魚類の卵並びにこれらを主原料として工業的加工を施したもののことです。
分析期間における魚介類支出は、2008年1月の6,200円から2011年5月の5,000円までほぼ一貫した減少が続き、その後は5,100円前後でほぼ横這いで推移しています。
長期的な減少傾向(魚離れ)に歯止めがかかった感があります。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで2.4%の増加、7月から12月までは-0.1%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では5,400円で、前年に比べ0.6%増加しています。

◇肉類支出の推移

肉類とは、魚介類以外の動物の食用肉及びこれらを主原料として工業的加工を施したもののことです。
分析期間における肉類支出は、2008年1月の6,800円から若干の増減を含みながら2012年6月の6,300円まで減少傾向で推移した後、2013年6月の6,800円まで増加し、その後は横這い傾向となっています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで8.6%の増加、7月から12月までは-2.2%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では6,600円で、前年に比べ5.3%増加しています。

◇乳卵類支出の推移

乳卵類とは、魚介類以外の動物の乳卵及びこれらを主原料として工業的加工を施したもののことです。
分析期間における乳卵類支出は、2008年1月の3.300円から2011年12月の3,200円まで若干の増減を含む減少傾向で推移し、2012年1月の3.300円から2013年12月の3,400円までは増加傾向での推移となっています。
グラフでは変動が大きく見えますが、平均的には3,300円±100円程度の範囲の変動で、比較的安定的に推移しています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで1.4%の増加、7月から12月までは1.2%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では3,300円で、前年に比べ0.8%増加しています。

◇野菜・海藻支出の推移

野菜・海藻とは、果物を除く植物性食品及びこれらを主原料として工業的加工を施したもののことです。
分析期間における野菜・海藻支出は、2008年1月の7,900円から若干の増減を含みながら20012年9月の7,100円まで減少傾向で推移した後、増加傾向に転じ2013年12月には7,600円まで増加しています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで3.3%の増加、7月から12月までは9.1%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では7,400円で、前年に比べ1.6%増加しています。

◇果物支出の推移

果実とは、草木の果実のうち主として甘味であるもの及びこれらを主原料として工業的加工を施したもののことです。
分析期間における果実支出は、2008年1月の2,200円から11月の2,300円まで増加した後、2011年8月の2,000円まで減少傾向で推移しています。
その後、増加傾向に転じ2012年4月の2,100円まで増加した以降、2013年12月までは横這い傾向で推移しています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで-0.1
%の減少、7月から12月までは0.4%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では2,000円で、前年に比べ0.4%増加しています。

◇油脂・調味料支出の推移

油脂・調味料は、調理に補助的に用いられる材料であって,調味を目的とするもののことです。
分析期間における油脂・調味料支出は、若干の増減はあるものの、平均的には3,200円±30円の範囲にあり、ほぼ横這いから若干減少傾向で推移しています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで-1.0%の減少、7月から12月までは-0.5%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では3,200円で、前年に比べ-0.3%減少しています。

◇菓子類支出の推移

菓子とは、食事以外で間食として食されるし好品のことです。
分析期間における菓子支出は、若干の増減はあるものの、平均的には5,500円±70円の範囲にあり、ほぼ横這いから若干減少傾向で推移しています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで2.6%の増加」、7月から12月までは-0.5%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では5,500円で、前年に比べ-2.6%減少しています。

◇調理食品支出の推移

調理食品とは、工業的加工以外の一般的に家庭や飲食店で行うような調理の全部又は一部を行った食品のことです。
分析期間における調理食品支出は、2008年1月の8,200円から2012年3月の8,700円まで、若干の増減を含む増加傾向で推移し、その後は横這いから減少傾向となり、2013年12月には8,500円となっています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで-0.5%の減少、7月から12月までは-4.5%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では8,600円で、前年に比べ-1.2%減少しています。

◇飲料支出の推移

飲料とは、乳製品,薬用品以外の飲み物(素材となる茶の葉やか粒・粉末なども含む。)で,アルコール分1%未満のもののことです。
分析期間における飲料支出は、2008年1月の3,900円から2013年12月の4,300円まで、若干の増減はあるもののほぼ一貫した増加傾向が続いています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで6.8
%の増加、7月から12月までは-0.1%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では4,300円で、前年に比べ2.9%増加しています。

◇酒類支出の推移

酒類とは、アルコール分を1%以上含む飲料のことです。
分析期間における酒類支出は、2008年1月の3,300円から2012年7月の2,900円まで若干の増減を含む減少傾向で推移した後、3,100円前後で横這いで推移しています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで-3.0%の減少、7月から12月までは-1.5%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では3,100円で、前年に比べ2.3%増加しています。

◇外食支出の推移

外食とは、飲食店における飲食費。飲食店(宅配すし・ピザを含む。)により提供された飲食物は,出前,持ち帰りの別にかかわらず,すべて「外食」に分類されます。また,学校給食も含まれます。
分析期間における外食支出は、2008年1月の14,100円から2013年12月の14,800円まで、ほぼ一貫した増加傾向が続いています。

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この1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで5.8%の増加、7月から12月までは0.1%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では14,800円で、前年に比べ3.2%増加しています。

◇食料支出の項目別構成比

食料支出(100%)の項目別構成比は、外食(20.3%)、調理食品(12.0%)、野菜・海藻(10.7%)、肉類(9.5%)、穀類(9.3%)、菓子類(7.9%)、魚介類(7.7%)、飲料(5.8%)、乳卵類(4.7%)、油脂・調味料(4.6%)、酒類(4.5%)および果物(3.0%)となっています。

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外食と調理食品で食料支出の約三分の1を占め、両項目とも増加傾向にあることは、女性の社会進出が進み、家計での調理の機会が減ってきていることを物語っていることを表しているものと思われます。


家計への負担は増え続けている

2014年03月04日 05時35分59秒 | 社会・経済

非消費支出は、勤労所得税,個人住民税などの直接税,社会保険料などの世帯の自由にならない支出及び消費支出に含まれない移転的支出(示談金、罰金、慰謝料など)のことです。
家計調査における非消費支出の項目は、非消費支出(100%)=直接税(44.2%=勤労所得税(16.4%)+個人住民税(20.1%)+他の税(7.7%))+社会保険料(55.7%=公的年金保険料(33.1%)+健康保険料(18.9%)+介護保険料(1.9%)+他の社会保険料(1.9%))+他の非消費支出(0.1%)の構成となっています。
非消費支出の家計への負担が近年(2008年以降)どのようにどのように推移しているかを、総務省統計局の家計調査のデータを用い、米国センサス局の季節調整法X-13による分析結果の傾向値から、その推移を見てゆくこととしました。
用いたデータは、家計調査の勤労者世帯の勤労所得税、個人住民税、公的年金保険料、健康保険料および介護保険料の2008年1月から2013年12月までの各月データです。

非消費支出の推移(再掲)

分析期間における非消費支出の推移は、2008年1月の88,400円から2011年3月の87,500円までは90,200円±1,300円でほぼ横這いで推移した後、ほぼ一貫した増加傾向に転じ2013年12月には98,900円に増加しています。

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2013年の1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで2.8%の増加、7月から12月までは3.0%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では97,500円で、前年の93,500円に比べて4.2%増加し、1ヶ月当たり平均で4,000円増加しています。
また、2008年の91,500円に比べ1か月当たり平均6,000円多くなっています。


◇勤労所得税の推移

勤労所得税は、所得税法第28条第1項に定める給与所得に対して課税される所得税のことです。
分析期間における勤労所得税は、2008年1月の15,300円から2011年1月の14,300円まで減少傾向で推移した後、若干の増減はあるものの2013年12月の17,000円まで増加傾向で推移しています。

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2013年の1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで9.9%の増加、7月から12月までは7.1%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では16,400円で、前年の15,100円に比べて9.0%増加し、1か月当たり平均で1,300円増加しています。
また、2008年の15,500円に比べ1か月当たり平均900円多くなっています。


◇個人住民税の推移

個人住民税は、地方税法に定める個人に対する道府県民税及び市町村民税のことで、都民税及び特別区民税も含みます。
分析期間における個人住民税は、2008年1月の18,500円から2010年2月の19,600円まで増加した後、2011年3月の16,500円まで急減しています。
その後は、再び増加傾向となり2013年12月には19,300円となっています。

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2013年の1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで-0.9%の減少、7月から12月までは2.9%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では19,100円で、前年の18,400円に比べて3.8%増加し、1か月当たり平均で700円増加しています。
また、2008年の18,900円に比べ1か月当たり平均200円多くなっています。


◇公的年金保険料の推移

公的年金保険料は、国庫負担金を伴う各種年金(厚生年金、国民年金、各種共済組合等掛金(長期))の保険料のことです。
分析期間における公的年金保険料は、2008年1月の28,700円から2013年12月の32,200円までほぼ一貫した増加傾向が続いています。

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2013年の1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで2.8%の増加、7月から12月までは0.3%の増加となっており、1世帯1か月当たりの平均では32,100円で、前年の31,100円に比べて3.2%増加し、1か月当たり平均で1,000円増加しています。
また、2008年の29,700円に比べ1か月当たり平均2,400円多くなっています。

◇健康保険料の推移

健康保険料は、業務外の原因により生じた疾病,負傷などに関する医療費の給付を目的とする公的保険料(国民健康保険料、健康保険料、各種共済組合等掛金(短期))のことです。
分析期間における健康保険料は、2008年1月の15,800円から、若干の増減が含まれるもののほぼ増加傾向で推移し、2013年12月には19,300円まで増加しています。

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2013年の1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで4.4%の増加、7月から12月までは-2.3%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では19,300円で、前年の18,500円に比べて4.6%増加し、1か月当たり平均で800円増加しています。
また、2008年の16,200円に比べ1か月当たり平均3,100円多くなっています。

◇介護保険料の推移

介護保険料は、40歳以上の人を対象とし,本人が介護を必要としたときに介護サービスが受けられる公的社会保険料( 第1号被保険者(65歳以上)、第2号被保険者(40歳~64歳))のことです。
分析期間における介護保険料は、2008年1月の1,700円から2011年3月の1,600円までは1,600円±100円の範囲で横這い傾向で推移し、その後は2013年12月の2,000円までほぼ増加傾向で推移しています。

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2013年の1年間の推移は、1月から6月までは年率ベースで6.8%の増加、7月から12月までは-5.0%の減少となっており、1世帯1か月当たりの平均では2,100円で、前年の1,900円に比べて8.3%増加し、1か月当たり平均で200円増加しています。
また、2008年の1,500円に比べ1か月当たり平均600円多くなっています。


賃金(給与)が上がらず家計の収入が増えない中で、世帯の自由にならない非消費支出が増え続けています。
この結果、家計の可処分所得は増えず、消費に回せる金額は縮小気味で推移しています。
デフレ脱却には、政策的にある程度は方向性を示せたとしても、消費に回せるお金が増えなければ、物価が上がるインフレ傾向に転じることはできないものと思われます。
家計の収入を増やすべく、政府は企業に対し賃上げを行うよう要請していますが、社会情勢、経済情勢の構造が変化している中で、企業がそれに応じるのは極めて困難を伴うとおもわれ、期待されるような賃上げは困難なものと思われます。
また、政府はこのような状況の中で、4月からは消費税の増税(+3%で計8%)を行うことを予定していますが、家計へ占める非消費支出が増加している上に、益々負担が重くなってくるものと思われます。