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拾い読み★2013-129≪コラム記事≫

2013年05月11日 19時33分34秒 | マリーンズ2011~15
解説者“1年目”吉井理人が語る、現場では感じていた西武・ロッテの強さ



 日本ハム・大谷翔平、阪神・藤浪晋太郎、巨人・菅野智之といったゴールデンルーキーたちに、中日・ルナ、日本ハム・アブレイユ、福岡ソフトバンク・ラヘアら新外国人選手。例年以上に“新顔”が今年のプロ野球では目立っている。

 今回、インタビュー取材を行った吉井理人氏もそんな“新顔”の1人だ。多くの野球ファンが知っての通り、昨季までは北海道日本ハムの投手コーチを務めた吉井氏。2007年の現役引退から、いままで一度もユニフォームを脱いだことがなかったが、今季より野球解説者として新たなスタートを切った。解説者1年生として1カ月。ここまでに感じているのは、『現場』と『外』の評価の違いだと語ってくれた。


解説者1年目 全てを見る難しさ

――解説者になって1カ月。率直に感想を聞かせてください。

「正直、初めはあまり乗り気じゃなかったんですよ。解説者っていう立場は、現場にいる人間からすると、『現場のことも知らんくせに』って思う部分がありました。でも、今回、FOX SPORTSのメインアナリストのお話しをいただき、実際自分がなってみたら、そんな簡単なものではないと改めて感じています」

――具体的にはどういったところが難しい?

「野球の見方を変えるのが大変でしたね。現場にいたときは、僕は投手コーチだったので自分のチームのピッチャーの様子と、相手バッターに対する配球とその反応などを1球1球細かく見ていましたが、解説者の立場だともっと広い視野で見ないといけませんし、より知識も必要です。またいまメインアナリストをやらせていただいているFOX SPORTSの試合終了後すぐに生放送する『BASEBALL CENTER プロ野球ポストゲームショー』という番組では、セ・パ合わせた全試合の情報を取り上げるので、もう、てんやわんやですよ(笑)。毎日予習をして、番組に臨んでいます」

――外から見る野球はどうですか?

「まだ不思議な感覚はありますが、気が付けば1カ月ですからね。おかげさまで楽しくやらせていただいています。こうやってスーツで取材を受ける機会も増えましたし(笑)。また、自分が現役当時に一緒にやっていた人がコーチをやっていたりしますし、僕が現役最後に所属させてもらった千葉ロッテは、当時浦和で一緒にやっていた選手がいま一軍で活躍しているのでどうしても応援したくなっちゃうんですよ。ピッチャーでは中郷大樹、野手では神戸拓光とか、細谷圭ね。思わず『打て』とか、心のなかで思っています。解説者は中立だから表には出せないので、あくまで心のなかですよ(笑)」

――コーチ時代にはそういった感情は表に出していましたか?

「いえ、コーチ時代は逆に出していなかったですね。選手は敏感ですし、味方からのプレッシャーを与えたくなかったんです。僕がコーチになったときに、まず、自分が現役のときにコーチにされて嫌だったことを書きだしてみたんです。1プレー1プレーに一喜一憂されたとか、腕組みして偉そうに話されたとか。だから僕はそれをしないように、冷静に試合を見ていましたし、腕組みも一切しません。そのほかでもめちゃくちゃいっぱい出てきたので、それはやらないようにやってきましたから。解説者としてもね、考えを伝えるという部分で、現場のころ解説者に言われて嫌だった部分などを踏まえて、あくまで自分の意見というスタンスで、伝えていければと考えています」


想像以上の逸材「藤浪投手がここまで早く一軍に対応するとは」

――さて、具体的な話に移りたいのですが、まずはセ・リーグ。開幕から巨人が首位独走中です。

「ここまで走るとは思っていませんでしたね。首位に立つとは思っていましたが、ここまで抜けるとは予想外でした。僕はスワローズが巨人を追うと思っていたんですが、ケガに泣いていますよね。僕が現役のころからケガ人が多いチームなので……」

――昨季まで最下位で苦しんでいたベイスターズが奮闘しています。

「ベタですけど、ベイスターズに元気があるのがより、セ・リーグを面白くしていると思いますね。昨季まで、コーチとしてパ・リーグにいたときは、セ・リーグの試合はほとんど見る機会がなかったんです。だから、ベイスターズのチーム状況とか、もっと悪いと思っていたんですよ。それがキャンプとか見させてもらったらそんなことはなくて、中畑清監督も先を見て考えながら指導されているという風に感じました。面白いチームだと思いますよ」

――2位には阪神がベッタリつけています。

「いいチームバランスですよね。これもベイスターズの評価で感じたことに近いのですが、タイガースは、若手の育成が下手ってずっと言われてきていましたが、今年の藤浪投手の使い方を見ていると、そんなことはないなぁと。球数や登板間隔等、非常に気を使って起用していますよね。藤浪投手はここまで早く一軍に対応してくるとは思いませんでした。エースへの階段を着実に上っていっていると言っていいでしょうね」


現場にいた人間からすると好調・西武&ロッテは予想外ではない

――続いてパ・リーグですが、西武が開幕から好調で走っていました。ロッテとデッドヒートとなってますが、戦前の予想を覆す好スタートかと思いますが?

「そうですね。実は、この西武の好スタートこそ、僕が現場と外から見る野球の違いを一番感じた部分なんですよ。下馬評で言うと、中島裕之が抜け、おかわりくん(中村剛也)が故障でいないということで、厳しい見方をされることが多かったんですよね?」

――そういう意見が少なくなかったと思います。

「これは僕が昨季まで現場にいたからというのもあるかもわかりませんけど、西武は中島、おかわりが抜けても代わりになりうる選手が台頭してきていました。昨季から浅村栄斗、秋山翔吾っていう思い切りのある若手がレギュラーの座を掴んでいましたし、昨季は故障でいなかった片岡治大、栗山巧もいます。特にこの片岡、栗山は現場からするとめちゃくちゃ嫌な選手なんですよ。逆方向も打てるし、2人とも足がある。加えて栗山は選球眼もいいですからね。こういった選手が軸としているということで、西武は開幕から来るだろうと、僕は思っていました」

――同じく好調のロッテの勢いも止まりません。




「ロッテも同じなんですよね。戦力補強は少なかったですし、下馬評は決して高くなかったと聞いています。でもまとまりは元からあるチームですし、昨季も開幕から走っていましたよね。若手も多くて、地力があるんですよ。キャンプで取材したときも、選手たちが、昨季夏場ぐらいから失速したことを凄く悔しがっていました。今季こそ、と思っているところに、実績もある新しい指揮官がきた。チームとして良い流れがきているなぁと感じていたんですよ。これをどこまで続けられるかというのはまた注目ですよね」

――なるほど、まさにこの2チームについては、『現場』と『外』の評価の違いというところでしょうか。

「そういえるかもしれませんね。まぁ、いまのところこの2チームが走りましたけど、その他のチームも今季は本当に面白いですよ。楽天もアンドリュー・ジョーンズとケーシー・マギーっていう確かな実力がある助っ人が加わったことで得点能力が上がりました。若いピッチャーが故障や不調で出ていないというのが誤算かもしれませんが、彼らが戻ればこれから間違いなく上がってくるはずです。オリックスとソフトバンクも、戦力層はありますよ。オリックスについては、森脇監督がまだリリーフの起用法を掴めていないかな、と思う部分があります。その辺り、シーズンが進むごとに安定してくるでしょうから楽しみです」

――昨季まで吉井さんが所属された日本ハムは苦難のシーズンとなっています。
「そうですね。僕の見解では、糸井(嘉男)と(田中)賢介が抜けたことで、ピッチャー陣が『昨季より点を与えられない』と考えすぎて空回りしちゃっているかなぁと感じます。でも、結果的に打線は2人が抜けても得点能力はありますしね。特に中田翔は昨季の起用が実を結んで、4番としての威圧感みたいのものを感じられる選手に変わりつつあります。彼がどこまで成績を伸ばしてくるかは楽しみですね。やっぱり我慢は必要なんだなぁ、と思います。昨季、もう少し投手陣も我慢してくれれば良かったのになぁ、というのは余計ですかね(笑)?」


いちプロ野球解説者として

――それでは、プロ野球全体の見どころをいまいちどお願いします。

「はい。今年は春から打者の好調ぶりが目に付きます。大体、春は投手が有利と言われているのですが、今季は打高投低とまでは言わずとも、ここまで野手が目立っている。このまま投手陣に疲れの出る夏場を迎えると、どうなってしまうんだろうというぐらい、例年とは違う春になりました。若い選手も多いですし、ぜひ皆さん、新しいスター候補やシーズンの流れを見逃さぬよう、プロ野球をチェックしてください」

――最後に解説者としての抱負もお願いします。

「解説者としては、僕はピッチャー出身ですから、解説者としてもピッチャー目線で、いろいろ伝えられることがあると思っています。まだまだ修行中ですが、宜しくお願いします」

(ベースボール・タイムズ)






パ・リーグ首位攻防戦、4番が“ネック” ロッテ4番は“猫の目”3番・井口頼み

 開幕からパ・リーグを快走してきた西武は、9日のロッテ戦(QVCマリン)でサヨナラ負け。ついに首位の座から陥落した。
 首位攻防戦とはいいながら、両チームの悩みは4番の低打率。それぞれの事情を探ってみると、違いも見えてくる。
 西武はオーティズ内野手(35)とスピリー外野手(33)が担ってきたが、ともに打率・158と・185(いずれも9日現在)と考えられない数字だ。
 西武関係者は「夏場には中村(剛也内野手)が戻ってくるから」と両外国人にそれほど期待はしていない。ならば栗山巧外野手(29)や、ヘルマン内野手(35)ら好調な打者を置く手もありそうだが、あるコーチは「点を取れている現状では打順を変えて悪くなる方が怖い」と現状維持がベストとみている。
 確かに、西武はここまで12球団トップのチーム打率・271、163得点(9日現在)を誇る。4番がダメでも打線はつながっているのだ。ここに本来の4番である中村が復帰すれば、理想的な打線の完成となる。
 対するロッテの事情は似て非なるもの。チームトップの打率・325の井口資仁内野手(38)が3番を打つが、4番は“猫の目”。
 もともと打線を固定しないのが特徴ではあるが、西武のように本来の4番の復帰を待つというわけでもなく、打線に上がり目を求めるのは難しい。例年後半に調子を落とす井口の打棒が、どこまで続くかがチームの順位も左右するかもしれない。 (片岡将)
(zakzak)
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