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拾い読み★箱根駅伝≪復路・朝刊1≫

2018年01月04日 06時57分42秒 | スポーツあれこれ

青学 逆転4連覇、史上6校目「ハーモニー大作戦」お見事奏功
第94回箱根駅伝復路 ( 2018年1月3日 箱根・芦ノ湖~東京・大手町、復路5区間109・6キロ )
 往路2位の青学大が、復路を5時間28分34秒で制し、総合10時間57分39秒の大会新記録で東洋大を逆転。2002〜05年の駒大以来、史上6校目の4連覇を達成した。6区(20・8キロ)の小野田勇次(3年)が区間賞の走りで逆転に成功。7区(21・3キロ)の林奎介(3年)は区間新記録の快走で差を広げた。大学駅伝2連敗で迎えた今大会は「ハーモニー大作戦」と銘打ちチームの調和を重視した戦いが見事に奏功した。
 無傷で卒業する4年生。そして、先輩の背中を追ってきた3年生が箱根で最高の“ハーモニー”を奏でた。V4で創部100周年のメモリアルイヤーの幕開け。今季駅伝2連敗を受け、調和を重視した「ハーモニー大作戦」で臨んだ原晋監督(50)は「学生こんなに強かったですかね。原監督だけの力では無理です」と笑いが止まらない。青学大の「歓喜の歌」が新春の大手町に響き渡った。
 勝負を決定づけたのが、7区で区間新記録を叩き出し、2位の東洋大と3分28秒差をつけた林奎介だ。原監督が「あんな力があったかなと思いました」と驚く快走。最優秀選手賞に当たる金栗四三杯を獲得し、一躍ヒーローとなった林は「レース前は考えてもいなかった。素直にうれしい」と笑みを浮かべた。
 たすきを受け取った8区の下田裕太(4年)はその時点で勝利を確信。「林ありがとー!無敗で後輩たちにつなげてあげたかった」と区間記録も狙えるペースで飛ばし、20キロすぎにはサングラスを取って沿道へ笑顔を見せ、逃げ切り態勢を敷いた。
 今の選手にとって箱根駅伝は勝つべきもの。ただ、今季は出雲、全日本と2連敗してチームにも危機感が芽生え始めた。そのチームを支えたのは4年生たちだった。吉永竜聖主将(4年)は「今季は3冠したチームほどの力はない。休養日にも陸上の時間をつくる人数がここ数年で一番多かった。勝ちにいかなければと、一人一人努力してきた」と意欲的に練習に取り組んだことを明かす。
 吉永主将は一般企業に就職予定で、陸上は大学まで。今回は最初で最後の箱根となるはずだったが故障の影響で当日変更された。それでも腐らず「これまで強いチームを見てきたし、これで崩したくなかった。負けると常勝にまた遠のいてしまう」とサポート役に回り、4連覇へのハーモニーを体現。今季前半戦をケガで出遅れたエース田村和希(4年)も「故障で自分のことしかできなかった。ほかの4年に引っ張ってもらった。最高の同期です」と感謝する。
 5連覇へのたすきは下級生に託された。林は「今の実力に満足せずに5連覇を目指したい」。先輩が築いた優勝の礎は、確実に青学イズムとして脈々と受け継がれる。

 【4連覇までの軌跡】
 ☆15年(10時間49分27秒、往路1位5時間23分58秒、復路1位5時間25分29秒)2位でたすきを受けた5区の“山の神”神野大地が区間トップの快走で、駒大を抜いてトップに立って往路初優勝。復路もトップを譲らず、2位に10分以上の大差をつけて初優勝した。
 ☆16年(10時間53分25秒、往路1位5時間25分55秒、復路1位5時間27分30秒)1区の久保田和真がトップに立つと、そのまま逃げて完全優勝。往路、復路ともに一度も先頭を譲らない優勝は77年の日体大以来39年ぶりだった。
 ☆17年(11時間4分10秒、往路1位5時間33分45秒、復路1位5時間30分25秒)2位でたすきを受けた3区の秋山雄飛が2年連続区間賞の快走でトップに立ち、そのまま逃げ切って3連覇。史上4校目の大学駅伝3冠を達成した。

青学大 原監督、V4の裏に綿密データ管理“常勝メソッド”確立へ
4連覇に導き、大手町で4度宙に舞った青学大の原晋監督(50)は「ベンチャーグリーンの名の下に頑張りました」と胸を張った。今季掲げたスローガンは起業家精神を持って、独自のスタイルで取り組む「ベンチャーグリーン」。これまでも他大学に先駆けて、動きの中で筋肉を伸ばす動的ストレッチや体幹トレーニングなどを導入し、強化につなげてきたが、今季は新たにデータ管理を取り入れた。
 過去3年間をさかのぼり、練習での走行距離などをデータとしてまとめた。中でも役に立ったのは、設定された練習メニューをどれだけできたかを示す「消化率」。7区の林奎介は左足の故障明けだった夏合宿で、過去に箱根に出場した選手の消化率を参考にしたという。「100%じゃなくて、80%をこなしていけば箱根を走れる」。焦って無理な練習をして故障を再発する悪循環に陥ることなく、地道な練習に取り組めた。8区の下田裕太は「今年は強い選手が抜けて、自信をなくしかけた。でも、同じことができていれば、大丈夫だと分かる。力がついていることが分かる」とデータ活用のメリットを強調した。
 データは10人のマネジャーが授業の合間などにまとめて、寮の玄関や食堂に張り出して共有している。データを基に選手の不安を取り除き、やる気を引き出した指揮官は「必勝メカニズムの開発です。頑張るところを明確化できた」とその成果を強調した。必勝データが新たに蓄積された青学大。“常勝メソッド”で来季以降もさらに強くなっていきそうだ。

青学に“山下りの神”3年連続6区・小野田 V足がかりつくる
 山の神は卒業したが、青学大3年連続6区の“山下りの神”小野田(3年)が逆転優勝へのきっかけをつくった。
 東洋大との36秒差は意に介さず、淡々と自分のペースで追い上げると15キロすぎでトップに躍り出た。ラスト1キロでは往路の選手が応援してくれたことで力が湧き上がった。「思った以上に東洋が良い走りをしていたので焦ったが、(52秒の)差をつけられたのは良かった」と胸を張った。

青学V4戦士喜びの声 7区・林「緊張」10区・橋間「安心」
 ▼1区・鈴木 1時間2分41秒(区間5位) ハーモニーの音程を少し外しそうになったけれど、粘って仕掛けた。基礎の積み重ねで踏ん張れた。

 ▼2区・森田 1時間7分15秒(同1位) (神奈川大の)鈴木さんにペースをつくってもらった。人の力を借りて獲った区間賞。

 ▼3区・田村 1時間2分41秒(同2位) 昨年は体調不良だったので走る喜びをかみしめ最後の箱根を走れた。日の丸を背負う選手に成長したい

 ▼4区・梶谷 1時間3分39秒(同9位) 東洋大に離されてしまった。ふがいない走りで迷惑を掛けた。ラスト1年間は誰よりも努力したい

 ▼5区・竹石 1時間12分49秒(同5位) 100%の力を出せなかった。足がつって止まるのは準備不足。来年も5区でリベンジしたい。

 ▼6区・小野田 58分3秒(同1位) 東洋大に52秒差をつけられて良かった。あと2秒で区間新を逃したので、来年は57分台を目指す。

 ▼7区・林 1時間2分16秒(同1位) 初めての駅伝で緊張した。4連覇に貢献できたことは自信になる。

 ▼8区・下田 1時間4分46秒(同1位) 下級生の頑張りを感じて走ることができた。今後はマラソン中心に走る。

 ▼9区・近藤 1時間11分51秒(同9位) 最初で最後の箱根で悔しい気持ちもあるけれど、うれしい。陸上から離れるが、経験を次に生かしたい。

 ▼10区・橋間 1時間11分38秒(同2位) 後ろとは差があり、安心して走ることができた。貢献できて良かった。来年は主力区間を走りたい。

【金哲彦の目】青学大 エース格の一つ下でもはるかに厚い選手層
 青学大に山の神はいなくなったが「山下りの神」がいた。3年連続で6区を走った小野田が期待通りの走りであっさり東洋大を抜き去り、7区の林も区間新の快走。東洋大にとって6区で逆転されることは想定内だったはずだが、7区終了時に3分28秒もの大差をつけられるとは思ってもいなかったに違いない。林が想定外の快走を見せ、事実上勝負は決まった。
 あとは8区のエース下田がさらに差を広げ、9、10区はアクシデントさえ起こさなければいいという安全運転でゆうゆう逃げ切った。
 2位の東洋大や3強と言われた東海大、神奈川大にもいい選手はいる。ただ、層の厚さという点では青学大の方がはるかに上だった。特にエース格の一つ下のレベルの選手の競争が激しい。今回も10区でエントリーしていた主将の吉永に代わって橋間がアンカーに起用されるなど、いくら持ちタイムが良くてもその時にベストの状態でなければ走らせてもらえない。チーム内での厳しい競争が層の厚さをもたらしている。
 過去に4連覇以上した大学はいわゆる伝統校ばかりで、指導者はOBであることが前提だった。ところが青学大のOBではない原監督は、今の選手の気質に合わせた独特の指導法で見事にその常識を覆した。来年以降も青学大が優勝争いの一角を形成するのは間違いないだろう。(駅伝マラソン解説者)

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青学OB歓喜 NEWS加藤シゲアキ「さすが復路での巻き返し」
 10年3月に青学大を卒業したNEWSの加藤シゲアキ(30)は「往路では2位だったので、少しヒヤヒヤしましたが、さすが復路での巻き返し、感動しました」と母校の逆転劇に感激。「青学に勇気と覚悟を見せてもらったので、これを励みに僕らNEWSも15周年に向けて頑張っていきたい」と刺激を受けた様子で「おめでとう!そしてありがとう!青学」と祝福した。

 ▼ロッテ・井口監督(青学大OB。96年度卒)テレビで応援をさせていただきました。4連覇がまず凄いこと。そして往路2位から逆転し、突き放していく姿に底力を感じました。自分自身も刺激を受け、私もこういうチームをつくりたいと改めて思いました。

青学OBの尾上菊之助「選手の力走する姿が励みになりました」
 歌舞伎俳優の尾上菊五郎(75)が3日、東京・国立劇場での初春歌舞伎公演「世界花小栗判官」の初日を迎え、開演前にロビーで尾上菊之助(40)らとともに鏡抜きを行った。
 菊五郎は「お正月らしい華やかな舞台でございます」とアピール。菊之助は「今年も皆さまの心に残る舞台を務めてまいります」と誓った。また菊之助は青学大出身。母校の箱根駅伝4連覇に「選手の力走する姿が励みになりました。私も卒業生として頑張りたい」と喜んだ。

竹内涼真「感動」走法指導受けた“恩師”率いる青学大の箱根4連覇祝福
 第94回箱根駅伝で青学大が総合4連覇を果たした3日、昨年ヒットしたTBSドラマ「陸王」で同大の原晋監督(50)から走法指導を受けた俳優の竹内涼真(24)は「本当におめでとうございます!!」と祝福した。
 この日は仕事が休みで、品川を通りがかった際に最終区間のランナー・橋間貴弥の激走に立ち会えた。「品川でアンカーでトップを走る青学の選手を見ることができて本当に感動しました」と大喜びした。
 「陸王」は老舗足袋業者がランニングシューズの開発に取り組む企業再生物語。原監督は走法指導と監修として参加し、過去に箱根駅伝5区を走った実業団ランナー・茂木を演じた竹内らを指導した。
 竹内は昨年5月にランナー役オーディションを受け、原監督がフォームなどをチェックして200人の中から抜てきされた。多忙な仕事の合間を縫って毎週、同大のグラウンドで部員と一緒に練習。4カ月間、ストレッチと体幹のトレーニング法「青トレ」を実践して体をつくり上げて撮影に臨んだ。「青学の選手全員が練習前にやっている青トレ、そして原監督の繊細かつ分かりやすい指導で、わずか4カ月で腕の振り、肩甲骨の可動域、体つき、フォームが変わっていくのが自分自身も驚きました」と振り返り、「その練習を毎日命を懸けて取り組んでいる青学の選手たちは本当に強いんだなと思いました!!」と力走を称えた。

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東洋大2位、走った9人が3年生以下 酒井監督「逆襲の伏線」
 復権の伏線を張るには十分だった。往路優勝の東洋大は6区で逆転を許し、3年連続の2位。青学大の選手層の厚さに完敗したものの、下級生中心のメンバーで健闘し、酒井俊幸監督は「強さも見えた2位だった」と総合優勝奪還へ大きな収穫を得た。
 36秒のリードでスタートした山下りの6区。15キロ付近で今西駿介(2年)が青学大・小野田に追いつかれた。その差を52秒に広げられ、区間記録は5位と悪い内容ではなかったが「自分が全てを崩してしまった」と唇をかんだ。7区では青学大・林が区間新記録の快走で3分28秒差。酒井監督は「隙が出るかな」と逆転も狙っていただけに「ボクシングでいうとジャブではなくストレートをくらった」と頭を抱えた。10区で小笹椋(3年)が区間賞の走りで意地をみせるも、終わってみれば5分近い大差をつけられた。
 経験を積ませることを重視し「同じ力なら下級生を使う」という鉄則の下、メンバー10人中7人が1、2年生とフレッシュな布陣で挑んだ。青学大、東海大、神奈川大3強の下馬評をはね返し、往路で4年ぶりに優勝。1区区間賞の西山ら1年生3人の走りが光った。9区を走った4年・小早川を除く9人のメンバーが来年も残り、酒井監督は「今年が鉄紺の逆襲の伏線。来年も往路優勝を狙える布陣は組める」と自負する。過去2大会では青学大の圧倒的な強さに屈し、辛うじて2位に入った形だが、「前回までの2位とは違う。強さも見えた2位だった」と受け止めた。
 10年連続3位以内の公約は達成したが、それは最低限。「来年も同じ目標では選手たちは納得しないはず。しっかり3冠を狙っていく。青学大と真っ向勝負できるようにしたい」。さらなる強化を図り、張り巡らせた伏線を回収する。


早大3位もぎ取る 万年Bチームの谷口、10区で東海大抜いた
 ゴールテープを切るとそこには同級生の涙があった。「最後に仲間が待ってくれていると信じて走った」。入部以来ずっとBチームだった早大4年生の谷口が、一世一代の舞台でこん身の走りを見せた。
 初めての駅伝メンバー入りで、任されたアンカーの大役。前夜には往路を走った同級生全員から電話で「最後だから怖がらずに思い切っていけ」と激励を受けた。残り1キロ付近で東海大の川端を捉えると、一気に突き放して3位の座をもぎ取った。
 相楽監督によれば「4年間一番苦労して、私にもコーチにも怒られてきた選手」。今季は「メンタルリーダー」に指名され、自己肯定や呼吸法など月1回のメンタルトレーニングを受けてきた。「早大が弱い、層が薄いと言われるのは、Bチームの人間がなんとかする問題」と奮起し、競技生活最後の大舞台で成長を示した。
 総合優勝を狙った昨年は3位。それよりも戦力が落ちる今年も3位。相楽監督は「悔しい気持ちに変わりはないが今年の方がうれしい」と力を出し切った選手たちをねぎらった。


日体大4位 10月部員逮捕で大揺れ…出場可否連盟に委ね自粛
 日体大は7区・住田が区間2位で7位に浮上すると、後続も堅実な走りを見せ4位でゴール。元日に丸刈りにして激走した9区の室伏は「自分の走りはできた」と胸を張り、主将の辻野は「最後まで諦めずにいったのは心強かった」と万感の表情を見せた。
 チームに衝撃が走ったのは昨年10月下旬。渡辺監督によると、選手1人が住居侵入の疑いで警察に逮捕されたことが発覚し、「退部勧告」に。今大会の出場可否が連盟に委ねられる中、チームは1カ月、活動を自粛。校内の掃除やボランティアに取り組み、生活態度を見直した。正式に出場が決まり、シード権も確保。同監督は「多くの方に心配いただいて、今日があるんだとつくづく考えた」と感謝した。


【5位・東海大】距離の壁打ち破れず、両角監督「完敗だった」
 距離の壁を打ち破れなかった。東海大の両角監督は「3強と言われただけに3位以内に入りたかった。残念」と5位という結果を受け止めた。
 往路9位と出遅れ、復路でも歯車がかみ合わなかった。8区の館沢(2年)で3位まで浮上しながら、10区の川端(4年)が残り1キロで失速して早大と日体大に抜かれた。
 3大駅伝では出雲を10年ぶりに制し、全日本でも青学大を上回ったものの、スピードランナーをそろえた陣容では20キロ超の区間が続く箱根には対応しきれなかった。指揮官は「箱根一辺倒は困る」とのスタンスで強化に励んできただけに「箱根に対して1年間やっているかの差。完敗だった」ともどかしげだった。


【6位・法大】12年ぶり連続シード、来年は平地でも勝負だ
 法大はチーム目標の7位を上回る6位で、12年ぶりとなる2年連続シード獲得。坪田監督は「途中3位、4位が見えて欲が出たけど、ちょうど良いですね」と満足げな表情を見せた。
 “新・山の神”の5区・青木ら選手の激闘を「予想以上の走りだった」と評価しながら、「山だけでは勝負できない。平地でも勝負できるように全体を強化したい」と早くも次回への戦略を練っていた。


【7位・城西大】6区ブレーキも7&8区カバー 指揮官満足げ
 城西大は2年ぶりの出場ながら7位と健闘した。6位から出たものの6区・菊地(1年)が区間17位とブレーキ。9位に転落したが7、8区が区間4位と力走し、シード権を確保した。
 今大会の点数を問われ、「85点かな。試合当日にケガをせず出られるか。不安材料をなくすのが大事」と櫛部監督。飛び抜けた力の選手は不在だったが、ずるずる後退しない展開に同監督は「オーダーがほぼ理想通り」とうなずいた。


【8位・拓大】目標の7位届かず、岡田監督に悔しさと安ど感
 拓大は8位で4年ぶりにシード権を確保した。岡田監督は「悔しい部分とホッとした部分がある」と目標の7位以上に届かずに残念そうな表情も見せた。
 往路4位と抜群のスタートを見せ、「最初から我慢のレースと覚悟していた」という復路も粘り切った。8区で10位まで後退したものの、9区の中井(2年)が巻き返した。岡田監督は「4年生が2人抜けるが、2年生にも成長株がいる」と伸びしろに期待した。


【9位・帝京大】「スーパーサブ」横井、期待応えてシード復活
 帝京大は往路12位から盛り返し総合9位に入り、2年ぶりのシード権を獲得した。中野監督が「スーパーサブ」として投入した控えの横井(3年)が6区を任され区間4位と好走。チームを7位に浮上させると、後続も粘った。
 「予選会トップはここ3年ぐらいシードを獲っていない。ジンクスは破るもの」と中野監督。今後に向けて「諦めの良いチームになってしまったので、叩き直していかないといけない」と話した。


【10位・中央学院大】脚けいれんも10区・藤田シード死守
 中央学院大10区の藤田(2年)がピンチに耐えた。たすきがつながった時点で11位の順大とは1分4秒差。「前の2チームを抜く」と意気込んだが、中盤で脚がけいれんした。
 報道車からも「ただいま何秒差、という音声が聞こえてきて…」。振り返ればタイムロスにつながると考え、路面店などのガラスで後続との距離をチェックした。懸命に足を動かして、シードを守ったが「貯金を使い切ってしまった」と反省しきりだった。


順大11位 花沢、難病「強直性脊椎炎」抱え猛追もあと一歩
 走る前から、順大の10区・花沢賢人(4年)の目は潤んでいた。付き添いの仲間が「大手町で会おう」と言ってくれた。9区の中村がたすきを運んできてくれた。視界がにじむ中、最初で最後の箱根路に飛び出した。スタート時点で、10位の中央学院大と1分4秒差。懸命に追ったが、シード権にはわずか14秒、届かず11位。それでも、花沢は「凄く楽しかった。こんな声援の中を走れるなんて」と胸を張った。
 2年時に腰痛に襲われ、16年箱根駅伝後に告げられた病名は「強直性脊椎炎」。指定難病だった。「寝て朝になって動くのに30分、起き上がるのに30分、50メートル歩くのに20分かかった」。昨夏は両スネを疲労骨折。諦めていた夢舞台だったが、昨年12月の練習で好走してメンバーに入った。花沢にとっての箱根とは?そんな問いに、笑みを浮かべて答えた。「なかなか出られなくて苦しかったけど、人間的に成長させてくれた駅伝だった」――。


駒大 9年ぶりシード逃す、エース工藤失速 左足力入らない…
 6度の総合優勝を誇る駒大が11時間15分13秒で12位に終わり、9年ぶりにシード権を逃した。7区に回ったエースの工藤有生(なおき、4年)が、5キロすぎから左足に力が入らない症状に襲われて失速。何とかたすきをつないだが、1時間7分7秒の区間14位に沈み、往路13位からの逆襲はならなかった。総合優勝11度の順大も11時間14分39秒の11位で、10位の中央学院大に14秒及ばず涙をのんだ。
 状態が万全なら、エースが集う2区に起用されて当然のランナーだ。工藤の1万メートルの自己ベストは、チームNo・1の28分23秒85。ユニバーシアードのハーフマラソン銀メダリストの7区での出場には理由がある。昨季から左足に力が入らなくなる症状に悩まされていた。この日は「絶対にできる」と言い聞かせてスタートしたが、5キロ付近で左足に異変が起きた。
 「足が抜けてしまった。力が入らなくて空転する感じ。地面を蹴れない。ベストな状態で走りたかった」
 フォームは大きく乱れ、表情がゆがむ。拳で何度も左足を叩いても、スピードは上がらない。腕時計の重みすら耐えられなかったのか途中で外し、何とかたすきをつないだものの、まさかの区間14位に沈んだ。チームは12位で、シード権を獲得できる10位の中央学院大とは48秒差。9区の堀合が区間2位、10区の伊勢が区間4位と好走しただけに、工藤のブレーキが響いた。
 原因は不明。エックス線撮影でも何も写らず、はり治療など考えられる処置は全て行ってきたが、今季に入って症状は頻発した。本番を前にした昨年12月中旬、またも左足がうまく地面を捉えられない。1キロ3分5秒程度で走る練習はできても、1キロ3分を切るようなペースで推移する2区での起用は不可能だった。大八木監督は「7区なら大丈夫かと思ったけどね」と険しい表情を浮かべた。
 工藤は今春の卒業後、実業団の強豪・コニカミノルタで競技を続ける。「休養しないと駄目でしょうね。社会人に行くまでに治さないといけない」と指揮官。「何としてでも状態を良くして、頑張りたい」と声を絞り出した失意のエースは、「予選会からのスタートになるけど、諦めずに上を目指して頑張ってほしい」と後輩にエールを送っていた。

日大時代に箱根出場 和田正人が心配ツイート“ぬけぬけ病かもしれない”
 日大時代に箱根駅伝に出場し、「陸王」にベテランランナー役で出演した俳優和田正人(38)は、足に力が入らない症状に襲われて失速した駒大の工藤有生(なおき)について、自身の経験からツイッターに心配する投稿をした。
 「片脚の力が抜ける例のヤツかもしれない。原因も治療法も不明。長距離界では“ぬけぬけ病”などと呼ばれている」と説明。自身も「大学2年で発症。いまだ抜けるような違和感がある」とつづった。


神大 まさかの13位、大後監督「負けに不思議の負けはない」
 青学大、東海大とともに3強と目されていた全日本王者の神奈川大はまさかのシード落ちとなった。
 2区で学生長距離界のエース鈴木健(4年)が不完全燃焼に終わり、5区で荻野(2年)がブレーキ。15位に沈んだ往路の低迷が全てだった。復路では悪い流れを断ち切れないまま、順位を2つ上げるのがやっと。大後監督は「負けに不思議の負けはない。復路に気を取られすぎていたかも」と調整過程を反省。「箱根は選手層の厚さと、何倍もの工夫が必要。カミソリではなく、ナタのような強さがないといけない」と勢いでは乗り切れない箱根の難しさを改めて痛感していた。


【14位・国学院大】9区・熊耳 あと5秒…目前で繰り上げ
 国学院大の赤紫のたすきは最終10区・江島(3年)の目の前で途絶えた。9区・熊耳(くまがみ)(4年)は「必死で届くようにと思っていたけど直前に足が震えてしまった。あと二、三歩頑張れば。たすきがつなげず本当に悔しい」と唇をかんだ。
 繰り上げスタートまで、その差はわずか5秒。最後の箱根路は悔し涙でかすんだが、「諦めずにやってくれると思う」と後輩たちの奮起に期待を込めた。


【15位・中大】6区誤算で後退、藤原監督「単純に力不足」
 中大は予選会から2年ぶりの出場でシード権には届かなかった。往路は10位と圏内で踏ん張ったが、6区の冨原(2年)が区間18位と低迷。その後も順位を落として総合15位に沈んだ。
 藤原監督は「単純に力不足」と認め、「6区で2分遅れた。その時点で終戦だった」と集団走に持ち込めなかった展開を悔やんだ。2年生主将の舟津は「この経験を生かしたい」と出直しを誓った。


【16位・大東大】主力故障響く、奈良監督「詰めが甘かった」
 大東大は主力の故障が響き16位に終わった。主将の原、前田が大会直前に故障し欠場。3年ぶりのシード復活はならず、奈良監督は「最後の詰めが甘く、ベストのオーダーが組めなかった」と肩を落とした。
 8区を走り区間9位だった4年の山本は「来年は下級生8人が残る。自分たちよりいい結果を残してほしい」と希望を託していた。


【17位・東京国際大】30歳1年生渡辺、重み感じて区間7位
 30歳のオールドルーキーが箱根路を全力で駆けた。東京国際大の7区は、当日の選手変更で渡辺和也(1年)が担った。1時間5分20秒で区間7位。「緊張すると思ったけど、予選会の方が緊張した。個人(のレース)と違って、一人一人の重みを感じた」と淡々と振り返った。
 実業団の四国電力時代の11年に世界選手権5000メートルの出場経験を持ち、日清食品グループを退社して昨春に入学。指導者になるという目標を持ち、人間社会学部で教育心理学などを学ぶ。
 入学後には、体重がベストよりも7キロも重い62キロで、負担がかかり右膝を故障したこともあるが、たどり着いた夢舞台で完全燃焼した。


【18位・山梨学院大】次回予選会から試練、上田監督は前向く
 山梨学院大は往路16位から2つ順位を下げ総合18位に沈んだ。上田監督は「焼け跡からの復興のような感じになったが顔を上げて帰りたい」と前を向いた。
 2年連続予選会に回ることになったが、次回は駒大や神奈川大など実力校の中から勝ち上がるという“難題”が待ち構える。「箱根駅伝の指定席はない。選手には気概を持って取り組んでほしい」と呼び掛けていた。


【19位・国士舘大】八巻主将悔し「力不足痛感」後輩に夢託す
 国士舘大は、昨年から1つだけ順位を上げた19位に終わった。2区を任された主将の八巻(4年)は「1年間シードを目標にやってきたが、遠く及ばず力不足を痛感しています」と悔やんだ。
 復路は一度も順位を上げられず低空飛行。だが、今大会の出場メンバー10人中、5人が3年生。「今の3年が一番強い。メンバー以外にも強い選手がいる。次こそシード争いを目指してほしい」と後輩に夢を託していた。


【20位・上武大】6〜8区で最下位、近藤監督「甘えが出た」
 上武大は6区・鴨川(2年)、7区・関(3年)、8区の石井(3年)が区間最下位と振るわず、往路に続いて復路、総合でも最下位に沈没した。
 近藤監督は「シード権を狙うつもりだったが、ふたを開けてみると完敗。小さな甘えの積み重ねが出た」と肩を落とした。4年は1区の坂本だけで、今大会のメンバー9人が来季も残る。指揮官は「練習の質も量も厚みを出していかないといけない」と話していた。


【学連選抜】全員2桁順位 慶大生12年ぶり、根岸が8区力走
 学連選抜は8区の根岸(3年)が慶大生として12年ぶり箱根出場を果たした。区間記録は19位相当と振るわなかったが、多くの声援を受け力走。慶大は今年度から箱根駅伝プロジェクトを立ち上げたばかりで「自分の経験を持ち帰って伝えたい。来年以降は慶大としての出場を目指していきたい」と語った。
 予選敗退校の上位選手からの選抜軍団は全員区間2桁順位に沈み、10区で幻の区間賞を出した前回大会のようなインパクトは残せなかった。


「山の神」柏原マネジャー 日本一をサポート、記念撮影で笑顔
 富士通は、かつて箱根駅伝で東洋大の「山の神」として活躍した柏原竜二氏(28)が今シーズンからマネジャーを務めている。この日も試合前から裏方として奔走していた。
 試合後も後片付けなど、母校の箱根中継を見る暇がないほど大忙しだった。後輩は残念ながら優勝を逃したが、富士通は日本一に輝き、試合後の記念撮影では、笑顔がはじけていた。

(以上 スポニチ)

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青学大、史上6校目の4連覇!原監督“青写真”通り逆転ぶっちぎり
 第94回東京箱根間往復大学駅伝・復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場-東京・大手町=109・6キロ)往路2位の青学大が逆転で4年連続4度目の総合優勝を果たした。10時間57分39秒の大会新記録(昨年からコース変更)で、2002~05年の駒大以来、史上6校目の4連覇を達成。往路1位の東洋大から36秒遅れで復路をスタートした青学大は6区の小野田勇次(3年)が区間賞の走りでトップを奪い、7区の林奎介(3年)が区間新記録の快走で原晋(すすむ)監督(50)の抜擢(ばってき)に応えた。創部100周年を最高の形で飾った。

 横綱相撲だった。王者・青学大が盤石のリレーで往路2位から逆転の総合4連覇。原監督が、手塩にかけて育てた選手の手で新春の空に舞った。
 「学生はこんなに強かったかなと感じた。3連覇後は他の大学の全てが“対青学大”で、(マークされることで)成長させてもらった。ここで勝ってこそ真の強豪校だ、という重圧があった」

 采配は的中し、読みも当たった。1位の東洋大と36秒差で3年連続6区の小野田がスタート。15キロすぎでトップに立つという指揮官の目算通り、山下りのスペシャリストは終盤でトップに立つ。2位に52秒差をつけて7区につないだ。

 たすきを受けた大学3大駅伝(出雲、全日本、箱根)初出場の林は穏やかな傾斜を下る得意のコースで追い風を味方に飛ばす。かつて箱根路を沸かせた設楽悠太(東洋大、現ホンダ)の持つ区間記録を16秒更新。平塚中継所で後続との差を3分28秒まで広げ、独走態勢を築いた。最優秀選手に選ばれた3年生は「チームのエースに近い存在になれた」と誇り、適性を見て起用した指揮官は「7区残り3キロで『これは楽勝だな』と思った」と笑った。大会前に、一人でも音程を外したら負けるとし、箱根駅伝の作戦名を「ハーモニー大作戦」と命名した原監督。全10区間で選手が美しいハーモニーを奏でた。

 チームは今年100周年を迎えた。最多14度の総合優勝を誇る中大より2年早い1918(大正7)年創部。箱根駅伝初出場は43年で結果は最下位の11位だった。2004年から指揮する元カリスマ営業マンは、常勝軍団を築いた今も探求心が尽きない。昨年4月からは早大大学院スポーツ科学研究科でスポーツビジネスを学ぶ。
 平田竹男教授(57)のゼミで「青学の育成メソッド」を主題に修士論文を執筆する。過去の練習量やレースタイムをデータ化。どの時期にどのレベルに達すれば箱根駅伝で優勝できるかを選手に示し、具体性のある強化方法を探った。
 伸び悩み、マネジャー転身も考えたという林は「夏合宿で(練習)消化率80%なら箱根で使えると監督は言った。80%を意識して練習を組んだ」。昨年12月下旬に実施した選手選考に関わる千葉・富津合宿では、連覇を飾ってきたこれまでと同等レベルのメニューで設定タイムをクリア。指揮官の7区起用の判断材料となった。

 昨年10月の出雲駅伝は2位、同11月の全日本大学駅伝は3位だった。下馬評では出雲覇者の東海大、全日本王者の神奈川大との「3強」とされたが、数値化によって示された箱根優勝への指針をたどってきた選手には自信があった。
 他の先を行こうと掲げた今季のスローガンは「ベンチャーグリーン」。「勝つための方程式が確立された。常に新しいものを求めている(ベンチャー)から青学のカラー(グリーン)が生まれる」と胸を張る原監督が、この先も時代の先頭を走る。 (鈴木智紘)

青学大OBのロッテ・井口資仁監督(43)
「新年早々、本当に素晴らしい姿を見せていただき、自分自身も刺激を受けました。私もこういうチームを作りたいと改めて思いました」

★復路
 【経過】36秒差の2位で出た青学大は6区区間賞の小野田でトップに立ち、2位東洋大に52秒差をつけた。7区では林が区間新記録の快走で2位に3分28秒差、8区の下田も区間賞で6分15秒差と独走態勢を築いた。
 東洋大は6区で先頭を譲ったが、10区の小笹が区間賞を獲得するなど大崩れせずに2位を守った。往路3位の早大はいったん後退したが9区の清水、10区の谷口が踏ん張って3位。東海大は3位で出た10区の川端が区間16位と振るわず、5位にとどまった。

★青学大・過去3年の箱根駅伝優勝VTR
 ▼2015年大会 5区の神野が1時間16分15秒の区間賞をマークし、往路優勝の立役者となった。復路では一度もトップを譲らないまま制し、10時間49分27秒で初の総合優勝を飾った。

 ▼16年大会 1区の久保田を含む3選手が区間賞の活躍をみせ、往路優勝。復路でも3選手が区間賞をとるなど首位を独走し、39年ぶりに1区から一度もトップを譲らない往復完全優勝を達成した。

 ▼17年大会 3区の秋山が区間賞の走りでトップに立つ。4、5区でも先頭を譲らず往路優勝。復路では8区の下田が2年連続の区間賞となる快走。3年連続の総合優勝につなげた。出雲、全日本に続いて頂点に立ち、大学3大駅伝の3冠を成し遂げた。

青山学院大
 日本に派遣されたキリスト教宣教師が1800年代後半に設立した3つの学校を源流とし、1949(昭和24)年に開設された私立大学。陸上部は18(大正7)年創部。箱根駅伝初出場は43年で、最下位の11位。76年を最後に出場できない期間が続いた。2004年に原晋監督が就任し、33年ぶりに復帰した09年は22位に終わったが、その後着実に力をつけた。12年に出雲駅伝、箱根は15年に初制覇。16年度には大学駅伝3冠を達成した。OBは神野大地(コニカミノルタ)ら。活動拠点は相模原市。

原 晋(はら・すすむ)
 1967(昭和42)年3月8日生まれ、50歳。広島・三原市出身。中京大卒。大学3年時に日本学生対校選手権5000メートル3位。89年に中国電力陸上部創設とともに入社し、95年に引退。サラリーマン生活を経て2004年4月に青学大陸上部監督に就任。15年の箱根駅伝で初の総合優勝。趣味は「卒業生と一緒に酒を飲んで夢を語ること」。

データBOX
 ◎…青学大が達成した総合4連覇は、2002~05年の駒大以来、史上6校目の快挙となった。これ以前の4連覇以上は1935~38年の日大、59~64年に史上最長の6連覇を達成した中大、69~73年に5連覇した日体大、86~89年の順大。
 ◎…これまで3年連続で勝ったチームは全て4連覇を果たしており、青学大も続いた。
 ◎…初の総合優勝から4連覇は1935~38年の日大、69~73年の日体大(5連覇)以来、46年ぶりの快挙。

箱根駅伝
 正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」。世界最古の駅伝大会。世界に通用するマラソン選手の育成を目的に、日本初の五輪マラソン代表・金栗四三の発案で1920(大正9)年に始まった。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝に続く大学3大駅伝の最終戦。毎年1月2、3日に実施。オープン参加の関東学生連合を含め計21チームが参加する。最多優勝は中大の14度。

青学大・原監督、陸上界に苦言「指導放棄している人が多い」
 往路2位の青学大が逆転で4年連続4度目の総合優勝を果たした。
 原監督は、ときに過激な発言で低迷傾向にある陸上長距離界の改革案などを発信してきた。レース後の記者会見では「強いチームだからこそ言える」と前置きした上で、「他大学の悪口を言うつもりはないが、自主性と言いながら、指導放棄している人が多い。根底には陸上界を盛り上げたい思いがある。ライバルは早稲田や駒沢、東海ではなく、サッカー界や野球界」と、大学駅伝をきっかけにした発展を願った。

いざ東京五輪!青学大・下田、8区3年連続区間賞で箱根無敗
 青学大のエース、下田裕太(4年)が8区で3年連続区間賞を獲得。総合と復路の4連覇に貢献した。卒業後は実業団のGMOアスリーツで、2020年東京五輪のマラソン代表を目指す。7区で区間新記録をマークした林奎介(3年)が最優秀選手(金栗四三杯)に選ばれた。4年ぶりの往路優勝を果たした東洋大は、6区で青学大に逆転されて2位に終わったが、10年連続3位以内と安定した強さをみせた。
 圧倒的な走りだった。下田は8区で3年連続となる区間賞を獲得(1年時は不出場)。1997年に山梨学院大・古田哲弘が記録した1時間4分5秒の区間記録には41秒及ばなかったが、大会4連覇に貢献。箱根を無敗で“卒業”した。
 「最高の形で終わることができてよかった」
 昨年10月の出雲駅伝は区間3位、同11月の全日本大学駅伝は区間4位と力を発揮できなかった。出雲駅伝の直前に痛めた左足裏のけがが長引いていた。それでも、ここ一番に照準を合わせた。向かい風が吹く中、ぶれない走法でグングンと前へ。2位・東洋大との差を3分28秒から6分15秒に広げ、ゴール後は胸を張った。
 「苦しいなかでも努力してよかった」と充実した4年間を振り返った。原監督は「(往路3区を走った)田村は天才肌、下田は努力型」と二枚看板を表現する。加藤学園(静岡)から入学当初、無名の存在だった下田は、1年生で4区の区間賞を獲得した田村の背中を追いかけ続けた。田村は「練習を重ねて結果を残す力は唯一、勝てなかった部分」と同級生の成長の理由を証言する。下田は2016年2月の東京マラソンで2時間11分34秒を記録。初マラソンながら、日本選手2位でフィニッシュした。
 青学大を卒業後、先輩の一色恭志(23)が所属し、原監督がアドバイザーを務めるGMOアスリーツに進む。埼玉・東松山市を拠点にマラソンに挑戦する。2月25日の東京マラソンか、3月4日のびわ湖毎日マラソンへの出場を視野に入れる。
 「自国開催の五輪は目指すべきものだと理解している。五輪を目標にやっていきたい」
 2020年東京五輪のマラソン代表入りに意欲を示す。箱根から2年後の東京五輪へ、下田の挑戦は続く。 (石井文敏)

下田 裕太(しもだ・ゆうた)
 1996(平成8)年3月31日生まれ、21歳。静岡・小山町出身。静岡・沼津市の加藤学園高時に本格的に陸上を始め、青学大に進学。大学2年で迎えた16年の箱根駅伝は初出場で8区を走り区間賞を獲得。同年2月の東京マラソンでは、マラソン初出場で2時間11分34秒の日本選手2位をマークし、10代の日本最高記録を更新した。1メートル69、54キロ。

青学大、強さの秘密は「1軍」「2軍」寮に格差
 総合4連覇を飾った青学大の強さの裏には競争の仕組みがある。
 43人の長距離部員は、東京・町田の1軍寮と神奈川・相模原キャンパスから程近い2軍寮に振り分けられる。2人部屋の1軍寮では原監督の夫人・美穂さんが生活の世話にあたるため競技に専念しやすい。一方、3LDKのアパートに5人で共同生活する2軍寮では掃除や洗濯は選手が分担するなど“格差”をつけている。
 1軍と2軍の入れ替えを定期的に行うことでも競争を促す。今回の箱根駅伝で9区を走った近藤修一郎(4年)は昨秋まで2軍寮で暮らしたが、地道に努力を重ねて最上級生にして初出場を勝ち取った。
 7区区間賞の林奎介(3年)は昨年10月の出雲駅伝、同11月の全日本大学駅伝はメンバー外。全日本はテレビで見守った。部内の競争を勝ち抜き勝利の立役者となった21歳は「夢じゃないかなと思う」と感慨に浸った。


東洋大3年連続2位!酒井監督、来季は「3冠を狙うつもりでいきたい」
  絶対王者にはかなわなかった。36秒のアドバンテージがありながら、山を下り始めて15キロすぎ。東洋大・今西駿介(2年)の横を、青学大・小野田勇次(3年)がさっそうと駆け抜けていった。
 「36秒差が有効打にならなかった。こっちの弱いところ(6~8区)で強いところ(選手)を当てられ、それもジャブじゃなくストレートを食らったような感じ。勝負どころで一気に行かれた」
 酒井俊幸監督(41)は力負けを認めた。36秒差で4年ぶりに往路優勝を飾るも、6区で逆転され52秒差をつけられると、青学大の独走を許した。それでも唯一の4年生だった9区の小早川健が区間3位、最終10区の主将・小笹椋(3年)が区間賞を獲得。目標としていた11時間1分台に迫る11時間2分32秒でゴールしたが、青学大は昨年の優勝タイムを6分31秒上回る10時間57分39秒をマーク。総合力では完敗だった。
 負けはしたものの、10年連続3位以内、3年連続の2位と安定感は抜群。1年生が4人、2年生が3人の布陣で、往路優勝と総合3位以内の目標を達成した。来年は今回のメンバー9人が残る。
 「鉄紺(東洋大のチームカラー)の逆襲の布石は打てた。ベースを作って力で流れを持ってこられるようなチームを作って、(大学駅伝)3冠を狙うつもりでいきたい」
 酒井監督の期待も膨らむ。打倒青学大へ、チームスローガンの「1秒を削り出す」戦いが始まる。 (角かずみ)


早大、3位死守もV争い加われず…相楽監督「青学大と東洋大は隙なかった」
 最終10区。4位でたすきを受けた早大・谷口耕一郎(4年)は、「(4位と)3位は全然違う。勝負をかけるしかない」と力を振り絞った。14秒先にスタートした3位の東海大に一度は引き離され、後続の日体大には迫られながらもペースを上げて順位を保ち続けた。終盤には失速した東海大を抜き去り、観衆で沸き立つゴールに飛び込んだ。
 3位スタートの復路は6区から3区間続けて区間2桁順位に低迷し、8区を終えて5位まで落ちた。それでも9区で清水歓太(3年)が区間1位と力走し、悪い流れを断った。相楽豊監督(37)は「(総合)順位に関しては良かった。あれだけ失敗して3位というのも不思議な感じ」と胸をなで下ろした。
 2年連続の3位。ただ優勝争いには一度も加われず、覇権奪回に向けた壁は、まだ高い。指揮官は「優勝を狙って1年間やってきて足りなかったのは悔しい。青学大と東洋大は隙がなかった。そこに加わらないと」と逆襲を誓った。


東海大、往路9位も2年生で巻き返し総合5位
 東海大は往路9位と出遅れたが、優勝候補の意地を示した。復路では2年生の好走で巻き返し、総合5位。昨年10月の出雲駅伝を制し、昨年11月の全日本大学駅伝は2位。初の頂点へ意気込んで臨んだ箱根路で、はね返された。両角速(もろずみ・はやし)監督(51)は「勝負強く、勝ちきってくれるところが必要」と課題を挙げた。


国学院大、5秒届かず…10区目前で無念の繰り上げスタート
 国学院大は必死の走りも届かなかった。9区の熊耳(くまがみ)智貴(4年)がたすきをつなごうと最後の力を振り絞るも5秒及ばず、目の前で10区の江島崚太(3年)が他校と一斉スタート。たすきはつながらなかったが、倒れ込む熊耳の姿に「逆に自分を加速させてくれた。この走りを結果につなげられた」と江島は区間5位の力走で、チームの順位を14位とひとつ上げた。


30歳オールドルーキー区間7位!東京国際大・渡辺「新鮮」
 東京国際大のオールドルーキーが箱根路にデビューした。30歳の渡辺和也(1年)は7区を走り、区間7位。不本意な成績にも、表情は晴れやかだった。
 「今まで走った駅伝の中で、一番の沿道の声援だった。しんどかったけど、声援が力になった」
 兵庫・報徳学園高を出て実業団の名門、日清食品グループなどで活躍。2011年に5000メートルで世界選手権に出場した実力者は、将来の指導者転身を見据えて昨年、東京国際大に進学した。
 「一人一人の思いの詰まった駅伝で、新鮮だった。選択は間違っていなかった」
 チームは目標としていたシード獲得には届かず総合17位。自身も昨年6月に右膝を負傷した影響などで本来の走りには程遠かった。「区間賞を目指したいですし、チーム全体の力になれたら」。異色の1年生は、年下の同級生とともにリベンジを誓った。 (阿部慎)

データBOX
 ◎…1年生の渡辺は30歳5カ月27日で箱根駅伝に出場。大会史上最年長出場は1939年大会に33歳4カ月9日で出場し、5区区間賞の村社(むらこそ)講平(中大)とされており、渡辺は4年時に出場すれば更新する。
 ◎…箱根駅伝は現在年齢制限がない。47年大会から92年大会までは27歳以下という制限が設けられていた。

渡辺 和也(わたなべ・かずや)
 1987(昭和62)年7月7日生まれ、30歳。兵庫・西宮市出身。西宮市立深津中から報徳学園高。山陽特殊製鋼、四国電力、日清食品グループを経て、昨年東京国際大に入学。2011年に5000メートルで日本選手権を制し、世界選手権に出場。5000メートルのベストタイムは13分23秒15、1万メートルは27分47秒79。今季箱根予選会は139位。1メートル72、54キロ。

(以上 サンスポ)

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