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拾い読み★2013-149≪コラム記事≫

2013年05月31日 23時20分32秒 | マリーンズ2011~15
“詳説”【日本野球研究】
伊東監督の冒険采配でロッテ快進撃!
今こそ進言したい次代のチーム作り。


 まずは、伊東勤ロッテ監督が西武監督時代に抜擢した選手たちのブレーク前年とブレーク年の成績を見てほしい(年齢はブレーク年当時の満年齢)。

◇中島裕之(内野手・22歳)
'03年……44試合、打率.258(89-23)、4本塁打、11打点
'04年……133試合、打率.287(502-144)、27本塁打、90打点

◇中村剛也(内野手・22歳)
'04年……28試合、打率.273(33-9)、2本塁打、5打点
'05年……80試合、打率.262(237-62)、22本塁打、57打点

◇片岡治大(内野手・23歳)
'05年……81試合、打率.263(194-51)、4本塁打、16打点
'06年……115試合、打率.292(404-118)、4本塁打、44打点

◇栗山巧(外野手・24歳)
'06年……63試合、打率.268(142-38)、2本塁打、22打点
'07年……112試合、打率.278(302-84)、5本塁打、29打点

◇G.G.佐藤(外野手・29歳)
'06年……45試合、打率.248(133-33)、4本塁打、17打点
'07年……136試合、打率.280(486-136)、25本塁打、69打点
[註]カッコ内は[打数-安打]

◇帆足和幸(投手・25歳)
'03年……34試合、4勝7敗1セーブ、防御率4.61
'04年……24試合、10勝3敗、防御率4.30

◇小野寺力(投手・26歳)
'05年……30試合、1勝2敗1ホールド、防御率4.29
'06年……59試合、7勝3敗29セーブ、防御率2.82

◇涌井秀章(投手・20歳)
'05年……13試合、1勝6敗、防御率7.32
'06年……26試合、12勝8敗、防御率3.24

西武時代、思いきった若手の起用でチーム改革に成功。

 伊東監督の西武監督時代は'04~'07年の4年間。この間にレギュラーになった選手が異様に多い。このへんの事情を伊東氏はかつて次のように答えてくれた。

「結局、控え選手を使って1年間やり繰りできたとしても、レギュラー不在という問題が解決したことにはならないんですよ。チームの改革が先送りになって、翌年もまた同じように戦力不足で頭を悩ますことになります。それなら思いきって、可能性のある若手を起用したほうがいいし、やるからには1人でまかなってほしい。ある意味、開きなおりです」(『プロ野球スカウティングレポート2010』アスペクトより)

野球人生の王道を歩みつつも采配は冒険心に富む。
 若手の抜擢が口で言うほど簡単でないことは現在のプロ野球界を見ればよくわかる。たとえば、5年連続してセ・リーグの最下位を低迷しているDeNAは、はなから優勝の期待がかけられていないのでチームの若返りには絶好の環境にあるが、中心選手はブランコ、中村紀洋、多村仁志ら移籍してきたベテランが多く、将来の主砲の期待がかかる筒香嘉智はファームで4番を打っている。

 DeNAだけではない。中日、阪神、オリックスなど新旧交代を後回しにし、ベテランを中心としたチーム作りを実践している球団は少なくない。そういう中で伊東氏の若手抜擢路線はかなり目を引く。

 '07年限りで西武監督を辞め、それ以降は第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表総合コーチを務め、日本チームの2連覇に貢献している。現役時代はプロ3年目の'84年から'02年まで19年間、西武黄金時代の正捕手としてマスクをかぶり続け、14回のリーグ優勝、7回の日本一に大きく貢献している(実働は'82~'03年までの22年間)。

 これらの経歴から私たちは伊東氏に対するイメージを「保守的」と捉えがちだが、西武の監督として4年間やってきた内容は、冒頭で紹介したように冒険心に富んでいる。そして、ロッテ監督として指揮を執る現在もこの冒険心は健在なのである。

ファームで燻る若手を抜擢し、戦力に仕立て上げた。
 ロッテの躍進する若手選手の昨年と今年の成績を比較してみよう(以下成績は5月27日現在、★印はファームでの成績)。

◇西野勇士(投手・22歳)
'12年……★11試合、1勝2敗、防御率3.94
'13年……8試合、5勝1敗、防御率2.47

◇大嶺祐太(投手・25歳)
'12年……★24試合、1勝1敗1セーブ、防御率4.03
'13年……5試合、3勝1敗、防御率1.65

◇江村直也(捕手・21歳)
'12年……★32試合、打率.210[62打数-13安打]、0本塁打、5打点
'13年……29試合、打率.200[50打数-10安打]、0本塁打、4打点

◇細谷圭(内野手・25歳)
'12年……19試合、打率.130[23打数-3安打]、1本塁打、3打点
'13年……40試合、打率.231[39打数-9安打]、0本塁打、2打点

◇加藤翔平(外野手・22歳) ※ドラフト4位新人
'13年……8試合、打率.273[11打数-3安打]、1本塁打、1打点

 前年、鳴かず飛ばずの若手を抜擢して戦力にしている様子が手に取るようにわかる。精神的に弱いと言われる大嶺などはカーブを交えた緩急で勝負するピッチングスタイルを身につけ、3年ぶりの勝ち星を挙げている。伊東監督が推し進める若手抜擢の波に乗った結果と言えなくもない。

育成枠、ドラフト下位指名の若手の実力を見抜いた慧眼。
 特筆されるのは西野、江村の抜擢である。まず、'08年のドラフトをおさらいしよう。

 1位木村優太(投手)、2位長野久義(外野手)※入団拒否、3位上野大樹(投手)、4位坪井俊樹(投手)※'11年限りで退団、5位山本徹矢(投手)、6位香月良仁(投手)。

 これに対して即戦力の期待がない育成ドラフトでは5位西野、6位岡田幸文(外野手)という指名を行っている。岡田は昨年までの2年間、ゴールデングラブ賞を受賞している。主客転倒という四字熟語がぴったりの逆転現象で、育成組のその後の活躍が'08年ドラフトの失敗を補ったと言っていい。

 西野は昨年まで背番号131をつけていた。「MAX147キロ」と紹介されることが多いが、私が見た4月23日の西武戦では141キロが最速で際立っていない。よかったのはコントロールで、与えた四死球は四球1つだけ。体を開かずスライダー、カーブ、フォークボールを丁寧に低めに集めるピッチングは、西武黄金時代における東尾修を思わせた。伊東監督の好きなタイプと言っていい。

短所には目をつぶり、長所に着目するのが伊東監督の育成。
 江村は西野の2年後輩で、'10年ドラフトの5位指名で入団している。バッティングはまだひ弱いが、断然際立っているのは強肩。捕手のディフェンスはリード、キャッチング、スローイングの3要素で成り立っているが、江村はそのうちのスローイングがいい。

 イニングごとに行なわれる投球練習の最後に、捕手は二塁阻止を想定したスローイングを行なう。プロはアマチュアのようにこのイニング間のスローイングを全力で行なわないが、江村は知名度がないため肩の強さを相手チームに見せておく必要がある。

 西野が先発した4月23日の西武戦でスタメンマスクをかぶった江村は1回のイニング間から攻撃的な二塁送球を行ない、私のストップウォッチは1.87秒を表示した。ちなみにこの「1.87秒」は、今年球場で見たプロ18試合の中では最高のタイムである。この強肩を見せることによって、相手ベンチは機動力を使った作戦を立てにくくなる。逆に自軍投手陣にとって江村の肩は精神安定剤になり得る。経験のなさには目をつぶり、「強肩」という部分に着目した伊東采配が実らせた果実と言っていい。

実力が拮抗する外野陣を日替わり起用で競わせる。
 伊東采配のユニークさは他の部分からもうかがえる。5月14、15日の対巨人2連戦、17日のヤクルト戦、23日の阪神戦を見て回ったが、面白かったのは外野手の起用法である。

5/14 左翼/サブロー、中堅/加藤翔平、右翼/荻野貴司
5/15 左翼/荻野貴司、中堅/岡田幸文、右翼/清田育宏
5/17 左翼/荻野貴司、中堅/伊志嶺翔大、右翼/清田育宏
5/23 左翼/荻野貴司、中堅/伊志嶺翔大、右翼/清田育宏

 4試合で6人の外野手がスターティングメンバーで起用されているのだ。ロッテにはレギュラークラスの外野手が密集していて、6人以外でもWBC日本代表メンバーで昨年の首位打者、角中勝也が故障復帰後のレギュラー奪取をもくろんでいる。実力派が密集している外野陣の力をきちんと把握したいという思いがこの起用には現れていると思う。

若手の層が薄いロッテはドラフト戦略を見直すべき。
 この若手抜擢に非凡な才能を見せる伊東監督に、フロントは起用に耐え得る若手をもっと多く獲得するべきである。実はロッテには厳密な意味での若手は少ない。

 育成選手を除く66人中、25歳までの選手は22人いて、この数はパ・リーグの中で5番目と多くない。

 1位日本ハム27人、2位ソフトバンク26人、3位楽天24人、4位西武23人、5位ロッテ22人、6位オリックス15人

 この若手たちの平均年齢は次の通りだ。

 1位ソフトバンク22.08歳、2位楽天22.25歳、3位オリックス22.27歳、4位日本ハム22.48歳、5位西武23.17歳、6位ロッテ23.36歳

 ロッテは、若手と言われる選手たちの平均年齢が高いこともわかる。たとえば現在24歳の藤岡貴裕、唐川侑己、益田直也、鈴木大地や25歳の大嶺、松永、伊志嶺は3年後には若手ではなく中堅と言われる年齢になる。彼らに代わる若手がチームには必要になるが、3年後も25歳までの年齢ゾーンにいる選手は7人しかいない。そしてその7人の中にドラフト1、2位の上位指名選手は川満寛弥(22歳)しかいない。危機管理が十分とは言えないのではないだろうか。

現在は好調のロッテだが、数年後の戦力を考えると……。
 昨年の日本一チームで将来の危機管理もしっかりしていると言われている巨人はどうか――。

 25歳までの若手は68人中25人いて、彼らの平均年齢は22.4歳である。さらに3年後にも25歳までの若手でいられる年齢ゾーンの中には宮國椋丞、松本竜也、今村信貴、鬼屋敷正人とドラフト上位選手が4人いる。この巨人と類似したチームが3年後の備えもしっかりできているチームということで、パ・リーグではソフトバンク、日本ハム、楽天がそれに当る。

 若手抜擢で非凡な才能を見せる伊東監督に対して、ロッテのフロント陣はその資質に見合ったドラフト戦略で報いなければならない、というのがこの原稿の結論である。首位をひた走る現在の状況からは見えにくいが、ロッテの実態はかなり危機的だと私は思っている。

(文=小関順二)

(number)





交流戦前半総括。再び「実力のパ」の時代に突入か!?

 2013年セ・パ交流戦の前半が終了し、ここまで(5月30日現在)パ・リーグ40勝、セ・リーグ28勝と、パ・リーグが大きくリードしている。順位も1位が楽天、2位がロッテ、3位がオリックスと上位はパ・リーグが独占しており、セ・リーグの中で6位以内に入っているのは広島だけ。果たして、再び、強いパ・リーグの時代に突入したのか?

 交流戦が始まったのは、今から8年前の2005年。初代王者に輝いたのはロッテだった。以来、昨年巨人が優勝するまで7年連続してパ・リーグのチームが制し、対戦成績もパ・リーグがセ・リーグに負け越したのは2009年の一度だけ。「交流戦のパ」「実力のパ」と呼ばれる所以(ゆえん)である。

 特に印象的だったのは、2010年の交流戦。この年、優勝したのはオリックスで、1位から6位までをパ・リーグのチームが独占した。対戦成績もパ・リーグの81勝に対し、セ・リーグは59勝。当時、横浜の監督だった尾花高夫氏が「パ・リーグについていろいろと対策はしているが、技術が追いつかない」と語ったように、パ・リーグの実力をまざまざと見せつけた格好となった。

 なかでもセ・パの差を分けたのが投手力だった。巨人・原辰徳監督は、「パ・リーグは好投手が揃っているだけに、2連戦の日程だとセ・リーグは苦しい」と語り、当時・オリックスの監督だった岡田彰布氏も「1番手、2番手の投手力はパ・リーグが圧倒している。もし3連戦だったら結果はどうなっているかわからないけど、2連戦の交流戦ならパ・リーグが絶対に有利」と持論を展開した。つまり、投手力の差がそのままセ・パの実力差となっていたわけだ。

 当時のパ・リーグ投手陣の顔ぶれを見ると、日本ハムのダルビッシュ有、ソフトバンクの杉内俊哉、和田毅、西武の涌井秀章、岸孝之、楽天の岩隈久志、田中将大など、先発1、2番手に日本代表クラスの投手が揃っていた。

一方のセ・リーグは絶対的エースと呼ばれる投手が少なく、あえて挙げるとすれば広島の前田健太ぐらい。その前田も、当時は日本代表に名を連ねるような投手ではなかった。とにかく投手力において、パ・リーグがセ・リーグを圧倒していたのは間違いない。

 しかし、今はどうか? ダルビッシュ、岩隈、和田がメジャーに挑戦し、杉内、ホールトンが巨人に移籍。エース級の投手がごっそり抜け、戦力ダウンは明白だ。今春のWBC日本代表の顔ぶれを見ても、前田をはじめ、内海哲也(巨人)、能見篤史(阪神)といったセ・リーグ投手の活躍が目立った。そう考えると、セ・パにおいてかつてのような「差」はなくなったのか。野球評論家の与田剛氏が解説する。

「たしかに数年前はパ・リーグの投手陣が圧倒している印象が強かった。その後、何人かはメジャーに移籍し、杉内やホールトンがセ・リーグに来たわけですから、当然、力は拮抗していると思います。それが昨年の巨人の優勝であり、パ・リーグ67勝、セ・リーグ66勝といった僅差の結果につながったのだと思います。それにセ・リーグは、菅野智之(巨人)や小川泰弘(ヤクルト)、藤浪晋太郎(阪神)といった若い投手も出てきた。現時点でパ・リーグに負けないだけの投手力はあると思います」

 同じく評論家の金村義明氏も、今年の交流戦について次のように語る。

「今はパ・リーグが大きくリードしていますが、まだ半分が終わっただけで、これからの戦いによって逆転する可能性も十分ある。数年前なら間違いなくパ・リーグの圧勝と言えたけど、今回の交流戦を見ていて、そこまでセ・リーグと差があるとは思えません。パ・リーグの先発陣を見ても、昔のようなすごさを感じることはない。セ・リーグが苦戦している理由は、抑えを含めたリリーフ陣が手薄なこと。それに比べてパ・リーグは勝つ形を確立している。その差が、今の成績につながっているんだと思います」

 かつてのようにセ・リーグを圧倒するほどの力はないというのが専門家の見方だ。それでも結果として、パ・リーグが大きく勝ち越している。これについて評論家の吉井理人氏が挙げたのが「守備力の差」だ。

「外野の守備力に関していうと、守備範囲、肩の強さとどれをとってもパ・リーグの方が圧倒している。特に、球場が広いパ・リーグ主催のゲームになるとその差は大きい。ピッチャーの攻め方にも違いが出ますし、セ・パの違いでいちばん感じるのが、外野の守備力ですね」

 また攻撃面においても、ヤクルトの捕手・中村悠平が「パ・リーグの打者はクリーンアップだけでなく下位でも思い切り振ってくる。ストレートである程度押していけないと厳しい。かわすピッチングでは通用しない」と語ったように、スイングの強さという部分でもパ・リーグの方がひとつ上をいっているようだ。

 強力な二枚看板はなくても、セ・リーグに対抗するだけの力が備わっている。それがパ・リーグの野球だ。その投手陣についても、今は新旧交代の過渡期であるという意味で、今後再び「パ・リーグには強くなる下地がある」と与田氏は言う。

「ロッテの成瀬(善久)や西武の牧田(和久)、オリックスの金子(千尋)といった投手はセ・リーグにはいないタイプだし、西武の菊池(雄星)やソフトバンクの千賀(滉大)といった素晴らしい才能を持った若い投手たちも力をつけてきた。若い投手がもうひと皮むければ、かつてのようなすごい投手陣が揃うかもしれません」

 今日から交流戦の後半がスタートする。再び、「実力のパ」を見せつけることができるのか。対戦成績はもちろんのこと、若手投手の成長ぶりにも注目したい。

(スポルティーバ)





交流戦 なぜ今年も“パ”が強いのか?
データで検証 打撃にまつわる2つの理由




早くも折り返し、夢の対決が実現する一方で……
 9年目を迎えたセ・パ交流戦。雨天中止で後ろ倒しとなったゲームはあるが、早くも今季の交流戦は半分が経過した。普段は見られないパ・リーグの投手の打席や、リーグをまたいで移籍した選手たちの古巣との対決。さらには阪神・藤浪晋太郎と、北海道日本ハム・大谷翔平の対決に代表されるような夢の対決など、交流戦ならではの面白い場面がいくつも見られ、ファンの話題を集めている。しかし、そんな華やかな対決が実現する一方で、今年も見逃せない傾向が出ている。それは、パ・リーグの“圧勝”ともいえる勝ちっぷりだ。今季は29日のゲームを終えた時点で、セ・リーグが28勝を挙げているのに対し、パ・リーグは40勝を積み重ねている。今年も、パ・リーグが交流戦では優位に立っているのだ。

“今年も”と表現したのには理由がある。というのも、野球ファンなら当然知っている事項かもしれないが、過去8年行われてきた交流戦において、セ・リーグ勢が勝ち越したのは、2009年の一度しかない。また、交流戦で優勝を成し遂げたのも、昨季の巨人が初めてで、それまでは全てパ・リーグ勢が優勝を収めている。今季も現在は東北楽天が単独首位に立っており、2位には千葉ロッテとオリックスがタイで並び、さらには4位には福岡ソフトバンクが位置している。加えて一時的とはいえど、29日現在、今季はパ・リーグ6球団全てが交流戦での借金がない。異常なまでにパ・リーグ勢が勝ち越しているのである。

パが強い理由(1)“9人目”の想定
 
さて、なぜパ・リーグ勢は強いのだろうか。この議論には諸説あるが、今回はその中でも今季顕著に表れている2つを紹介したい。

 まず1つ目は、野手層の厚さだ。交流戦の戦いにおいてしばしばトピックとなるのが、指名打者の使い方である。普段から9人野手を揃えているパ・リーグに対し、普段は投手が打席に立つセ・リーグは、もう一枚選手が必要となる。守備に不安のある選手を打撃に専念させられるため、そういった選手を抱えるチームにとっては有利なルールと思われがちだが、今季に関しては重いルールになっているようだ。

 今季ここまでのシーズンで、各チームで打席数上位9名に入る選手の成績を探ってみると、打率が2割5分に満たない選手(※)が4人以上いるチームがセ・リーグは広島、横浜DeNA、東京ヤクルトの3チーム、パ・リーグはホークスのみの1チームであった。開幕から怪我人が相次いだスワローズ、カープにとってはただでさえやりくりに苦労しているのに、さらに1選手を出場させねばならない状況だ。ちなみに、ここまで半分を経過した交流戦だが、パ・リーグ主催のカードはまだ2つのみである。後半に指名打者を使わねばならないカードを多く残すため、この差はさらに広がる可能性もあるだろう。

(※最近10試合に出場していない選手は対象外とする)

(2)本拠地のアドバンテージ


 もうひとつの点だが、今季は本塁打が昨年より多いと言われており、実際交流戦に入ってからも多くのアーチが飛び交っている。

 その中でも前述の通り、ここまではセ・リーグの主催ゲームが多かったわけだが、各チームが平均的に広い球場でプレーしているパ・リーグ勢は、6チーム中、西武以外の5チームがこの交流戦に入ってから本塁打のペースが上がった(画像参照)。その一方、セ・リーグ勢は6チーム中、阪神、巨人、DeNAの3チームがペースを落としており、得点力が落ちている。交流戦前には主砲がチームを離れていた、などといったチームの事情もあるため一概には言えないが、比較的本塁打が出やすい球場で、交流戦前に長打力を武器に勝利を挙げてきたチームにとっては、その武器が封じられ、一方、普段から長打に頼らなくとも勝つべく野球を繰り広げてきたチームは、普段は味わえない一発の魅力が上積みされたこととなる。

 実際、ここまでの交流戦において、パ・リーグ勢は本塁打のペースも落とした西武を除き、6チーム中5チームがホームで勝ち越している。パ・リーグ勢は広いホームで変わらぬ野球を繰り広げられているのに対し、セ・リーグ勢でとくに一発の出やすいとされる球場で普段戦ってきているチームにとっては、普段の戦いができないジレンマが襲い掛かっているようだ。

後半戦、差はさらに広がるのか

 今回挙げた2つの事項の他にも、投手起用の難しさや、代打のタイミング、そもそもの相性など、細かい戦略から主観的なものに至るまで、交流戦でしばしば語られる事項は多い。飛ばないとされる統一球を導入し、昨季初めて巨人が王座を勝ち取った交流戦だが、今季はまたしてもパ・リーグ勢の強さが目立つ展開となっている。セ・リーグ28勝、パ・リーグ40勝。今回挙げた2つの傾向が続いてしまうようであれば、この差はさらに広がることが予測される。今後どうなっていくのか、後半戦の行方に注目したい。

(ベースボール・タイムズ)
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