「和」結実の日本一!粘ってつないでロッテ逆転
涙はない。ぐっとこらえ、一歩一歩マウンドに近づく。何よりも大切にしてきた選手の手で、3度宙に舞った。ロッテの西村監督は「全員で一つになった」。ずっと言い続けてきた「和」が、結実した瞬間だった。
五回に価値ある2点適時打を放った里崎の言葉にすべてが凝縮されている。「つなぐことしか考えていなかった。今年一年の原点とも言える攻撃だった」。3点差で迎えたこの回に、死球を挟んだ3連打、しかもすべて単打で、同点とする。
七回に金泰均の適時打勝ち越すも、九回に抑えの小林宏が同点とされてしまう。迎えた延長十二回2死二塁、指揮官が失敗を恐れず、我慢強くチャンスを与えてきた岡田が決勝の三塁打。「信頼し、使わないと大きくならない」。若手をはぐくんだのは、監督のこの方針にほかならない。
昨年は、バレンタイン前監督の解任をめぐっての騒動など、ごたごたの連続。「個々の力はすごいけど、一つになっていない」と振り返った当時のヘッドコーチ、西村監督の頭にあったのは、自身の高校時代だった。市内に一つしかない田舎の公立高校で甲子園にまで出場した。「個人の力はない。中学からの仲間で、チームワークならどこにも負けなかった。一つになって戦うのが団体競技」。これが出発点となった。
プロとしては青臭くても、とにかく「和」を前面に出した。西村監督の描く理想が今、かなった。
▼ロッテ・西村徳文監督の話
最高です。選手にはいつも同じ言葉しか掛けられない。ことしは全員で一つになって戦った。選手がよくやってくれた。選手だけではなく、スタッフ、コーチ、そしてファンと一つになって戦うことができた。
ロッテ5年ぶり日本一!リーグ3位から史上初
一時は2-6と4点のリードを奪われたロッテは五回に集中打で同点とし、七回には金泰均の適時打でついに勝ち越し。九回裏に同点とされたが、延長十二回表、岡田が決勝打となる適時三塁打を放ち、2005年以来5年ぶりの日本一に輝いた。シリーズ3位からの日本一は史上初の快挙となった。
勝って日本一を決める!! ロッテナインの強い気持ちが、一回の攻撃につながった。
先頭の西岡が、吉見の初球を中前に運んだ。2番は前日6日の第6戦の一回に犠打を失敗した清田。この日はバスターエンドランを決め、無死一、三塁とチャンスを広げた。この好機に井口が左越え適時二塁打。サブローも犠飛で続き、1点を追加した。
「先制できたのは大きい。きょうは1点ずつしっかり取って、みんなの力で勝利できるように頑張りたい」と井口。この一打で第1戦から7試合連続安打。通算13安打とし、毎日時代の1950年に別当薫氏が記録した球団のシリーズ最多安打「12」を更新した。
第6戦は延長十五回の末、2-2の引き分け。対戦成績は3勝2敗1分けで優位に立っていることには変わりないが、ナインの疲労はピークに達している。清田は「体もしんどくなってきているし、きょう決めます」と気合を入れた。
だが、直後に渡辺俊が3点を奪われ、逆転を許した。流れは一気に中日へ傾き、三回無死一、三塁の守りでは、井端の平凡な二ゴロを井口が野選。無死満塁とピンチが広がり、荒木の儀飛などで4点差をつけられた。
それでもナインはあきらめなかった。四回二死から里崎、岡田の連打で1点。続く五回は今江の中前適時打で2点差とし、二死満塁から里崎の中前2点適時打で試合を振り出しに戻した。
同点で迎えた七回、二死から今江が左翼フェンス直撃の一打。中日のミスも重なり二死三塁のチャンスを作ると、続く金泰均が会心の中前打を放ち1点を勝ち越した。しかし、九回裏に小林宏がこの1点を守り切れず、同点とされ連夜の延長戦に突入した。
試合を決めたのは26歳の岡田だった。延長十二回表、四球で出塁した今江を二塁に置き、前進守備の頭を越える適時三塁打。この1点が決勝点となり、ロッテが05年以来5年ぶりの日本一に輝いた。
≪ロッテ・西村徳文監督の話≫
「最高です。選手にはいつも同じ言葉しか掛けられない。ことしは全員で一つになって戦った。選手がよくやってくれた。選手だけではなく、スタッフ、コーチ、そしてファンと一つになって戦うことができた」
≪ロッテ・瀬戸山隆三球団社長の話≫
「前回の日本一に比べても格別だ。いろんな苦労があったので、分かっている選手がみんな頑張ってくれた」
≪中日・落合監督≫
「よくこの一年間戦ったと思う。セ・リーグで勝てても、この舞台では何かが足りない。それを探していかないと。勝負事は勝つことも負けることもある。それは監督の責任。強さを感じさせないのが相手の強いところ」
≪中日・白井文吾オーナーの話≫
「悔しいよ。応援してくれたファンに申し訳ない」
今江が2度目のMVP!ロッテはSKと対戦
ロッテが8-7で中日に競り勝ち、4勝2敗1分けで2005年以来4度目(前身の毎日時代を含む)のシリーズ制覇を果たした。リーグ3位チームの日本一は史上初。
ロッテの今江が05年に続き2度目の最高殊勲選手(MVP)に輝いた。就任1年目の西村監督は、日本一に導いた史上9人目の新人監督となった。ロッテは中日と1974年以来2度目の顔合わせで2度目の勝利。
ロッテは7-6の九回に登板した抑えの小林宏が同点を許したが、十二回2死二塁で岡田が三塁打を放って決勝点を奪った。
ロッテは日韓クラブチャンピオンシップ(13日・東京ドーム)の出場権を獲得。韓国シリーズ覇者のSKと対戦する。
ロッテが“史上最大の下克上”となる日本一! 延長12回の激闘制す
プロ野球の日本シリーズ第7戦、中日vs.千葉ロッテが7日、ナゴヤドームで行なわれ、千葉ロッテが延長12回の激闘の末、中日を8対7と下し、5年ぶり4度目の日本一に輝いた。リーグ3位からの日本一は史上初。
先発の渡辺俊介が2回4失点と降板し、3回までに2対6とリードされた千葉ロッテだったが、5回に里崎智也のタイムリーで同点に追いつき、7回には金泰均のタイムリーで勝ち越した。9回に守護神・小林宏が同点に追いつかれ、連夜の延長戦となったが、12回2死二塁の場面で岡田幸文が浅尾拓也から値千金の決勝打を放った。
中日は序盤のリードを逆転される苦しい展開だったが、9回に和田一浩の三塁打とブランコの犠牲フライで同点に追いつく粘りを見せた。しかし、延長12回に4イニング目のマウンドに上がった浅尾が力尽きた。
【ロッテ】5年ぶり日本一
レギュラーシーズン3位のロッテが、中日を4勝2敗1分けで破り、5年ぶり日本一に輝いた。2試合連続の延長戦となった死闘は12回、岡田の適時三塁打が決勝打となった。MVPはロッテ今江敏晃内野手(27)で、5年前に続いて2度目の受賞。敢闘賞が中日和田。優秀賞にはロッテ清田、内、中日大島と、ルーキー2人が選出された。
【ロッテ】日本一のコメントです
◆ロッテ選手の優勝コメント。
≪渡辺俊介投手≫(2回4失点で降板も)「日本一になったので、いいです。長かった。疲れた」
≪成瀬善人投手≫(05年は2軍暮らし)「初めての日本一なので、うれしい。きょうは打線が打ち勝つ感じがした。負ける雰囲気はなかった」
≪薮田安彦投手≫(2回無失点の好救援)「いつもと一緒。与えられたところを抑えるだけ。うれしい」
≪伊藤義弘投手≫(最後を締めくくり)「めちゃくちゃ投げたかった。投げられてラッキーと思った」
≪金泰均内野手≫(7回に適時打を放って勝利に貢献)「今まで優勝したことは一回もない。こんなにいいものだと初めて知った」
≪大松尚逸外野手≫(第1戦で戦線離脱も)「最後に勝って、すかっとした。うれしい」
ロッテ・今江、2度目のMVP「いい経験」
勢いで駆け抜け、MVPに輝いた2005年から5年。確かな技術と精神力を備えた。ロッテの今江は日本シリーズ史上初となる3度目の1試合4安打を記録するなど、通算27打数12安打6打点。文句なしの2度目の栄誉に「本当にうれしい」と満面の笑みだった。
チームの攻撃を象徴する堅実な打撃を連発した。まずは3点を追う五回に適時打。「次につなぐ気持ちだけだった」
さらに同点の七回、同僚が力負けしてきたネルソン攻略の糸口となる安打を放つ。延長十二回には先頭で浅尾から四球を選び、決勝のホームを踏んだ。「みんなが一つになって勝てた」。自ら決めるのではなく、攻撃の起点となれるように徹する打撃や、その言動で成熟ぶりを示した。
前回は自分でも説明できないほどの感覚をつかんだ。しかし、その後は故障もあって伸び悩み、08年の開幕前には「当時の打撃を追求した時期もあったが、あの感覚は二度となかった。今は忘れて、新しい自分をつくりたいと思っている」と過去との決別を誓っていた。
今度こそ確かなものをつかんだのか。「本当にいい経験になった」。お立ち台でそう言った表情に答えがあった。
【ロッテ】今江「注目…楽しい」
ロッテ今江敏晃内野手(27)が最優秀選手に選ばれた。05年の日本シリーズに続く受賞。この日も4安打の活躍で逆転劇を演出した。打席に立つ前、ロッテのドラえもん風船ガムをプクッとふくらませる姿が、ロッテファンからは頼もしく映った。日本一の立役者となり「注目されるのは楽しい。ワクワクしながらプレーしていました」と、大舞台での活躍を振り返った。
ロッテが5年ぶりの頂点 今江が2度目のMVP
プロ野球の日本シリーズ第7戦は7日、ナゴヤドームで行われ、ロッテ(パ・リーグ3位)が延長十二回の末に8-7で中日(セ・リーグ優勝)に競り勝ち、4勝2敗1分けで2005年以来4度目(前身の毎日時代を含む)のシリーズ制覇を果たした。リーグ3位チームの日本一は史上初。
ロッテの今江が05年に続き2度目の最高殊勲選手(MVP)に輝いた。就任1年目の西村監督は、日本一に導いた史上9人目の新人監督となった。ロッテは中日と1974年以来2度目の顔合わせで2度目の勝利。
ロッテは7-6の九回に登板した抑えの小林宏が同点を許したが、十二回2死二塁で岡田が三塁打を放って決勝点を奪った。
ロッテは日韓クラブチャンピオンシップ(13日・東京ドーム)の出場権を獲得。韓国シリーズ覇者のSKと対戦する。
優秀選手の新人清田 強心臓で大暴れ
ロッテの清田は、新人らしからぬ強心臓で、大舞台でも萎縮することなく暴れ回った。優秀選手に選ばれ「いろいろな人に感謝です。思い出すと涙がこみ上げてきました」と、目を真っ赤にして激闘を振り返った。
第1戦でポストシーズン3本目となる本塁打で脚光を浴びると、本拠地に戻った第3戦では満塁の走者を一掃する三塁打。第2戦以外はすべて安打を記録し、7戦合計で10安打。得点もたたき出す2番打者として印象に残る活躍を重ねた。
新人ではシリーズの歴代最多に並ぶ6打点。この日は2度のホームを踏んだが、打点はなし。新記録には一歩届かなかったが「最高の結果。先輩たちにやりやすいようにやらせてもらった」とさばさば。「来年は荻野貴も帰ってくるし、(ドラフト1位の)伊志嶺君も入ってくる。新たな気持ちでやりたい」。真っすぐ前を見据えきっぱり話した。
日本シリーズ表彰選手
日本シリーズの表彰選手は次の通り。
▽最高殊勲選手 今江敏晃内野手(ロッテ)
▽敢闘選手 和田一浩外野手(中日)
▽優秀選手 内竜也投手、清田育宏外野手(以上ロッテ)大島洋平外野手(中日)
リーグ3位でも日本一 07年のCS創設で可能に
パ・リーグが2004年に始めたプレーオフを受け、セ、パ両リーグが2、3位も日本一達成が可能な方式を協議したのは4年前。当時の根来泰周コミッショナーは、優勝チーム同士の対決だった日本シリーズの価値低下を招く恐れを指摘していた。しかし12球団は「消化試合の減少」「新事業によるファンの獲得」「球団の収益増」を狙いとし、クライマックスシリーズ(CS)創設に07年、踏み切った。
まず2、3位が対戦し、その勝者がリーグ覇者に挑む。試合を行うのは上位球団の本拠地。07年にセを制した巨人の敗退が発端となり、08年からは1位に1勝のアドバンテージが与えられた。今年、首位と2・5ゲーム差のリーグ3位となったロッテは、このCSをすべて敵地で戦い、不利な条件も乗り越えて日本一につなげた。
ある球界首脳は「ロッテが、セ優勝の中日と互角以上の戦いをした。現時点で制度を見直そう、との声は聞いてない」。今年のCSの観客動員は1試合平均で3万7千人を超えた。真剣勝負の場として定着した上、導入の狙いもほぼ達成されている。
それでも「3位が日本一」という事態を重くとらえ、再び制度改革の動きが出るのか。昨年セであった「2位にもアドバンテージを」との議論が再燃する可能性はある。
プレーオフ、CS導入以降、2位の日本一は3度
パ・リーグがレギュラーシーズンの上位3チームでリーグ優勝を争うプレーオフを導入したのが2004年。その年、レギュラーシーズン2位の西武が第2ステージで同1位のダイエー(現ソフトバンク)に勝利。翌05年も同2位のロッテが同1位のソフトバンクを退け、その後どちらも日本一に輝いた。07年からのクライマックスシリーズ(CS)では始まった年にリーグ2位の中日が覇者の巨人を破り、日本シリーズも制した。これまで「リーグ戦2位チーム」の日本一はあっても、3位チームはなかった。
今江4安打3度は新記録!
◇今シリーズの記録
▽最高殊勲選手2回以上 今江(ロッテ)=史上7人目
◇第7戦の主な記録
▽シリーズ補回試合 12回=10試合目
【新記録】
▽ゲーム最多安打4を3度 今江(ロッテ)
【タイ記録】
▽ゲーム最多安打4 今江(ロッテ)=史上22人目、26度目
◇7試合シリーズの主な記録
【新記録】
▽シリーズ最多出場人員(投手)15 中日
▽シリーズ最多打数36 西岡(ロッテ)
【タイ記録】
▽シリーズ最多得点8 和田(中日)=史上6人目
▽シリーズ連続試合安打7 井口(ロッテ)=史上19人目
▽シリーズ最多二塁打5 森野(中日)=史上2人目
▽シリーズ最多犠飛2 荒木(中日)=史上4人目
▽シリーズ最多暴投2 清水(中日)=史上4人目
▽シリーズ最多失策(二塁手)2 井口(ロッテ)=史上4人目
▽シリーズ最多併殺(投手)2 高橋(中日)=史上4人目
50年パ初代王者で日本一/ロッテ球団史
◆ロッテ・マリーンズ球団史
パ・リーグ発足の1950年に毎日新聞がオリオンズを創設。同年に別当らの活躍でパの初代王者と日本一に輝く。57年には大映と合併し、大毎が誕生した。60年に西本新監督が指揮し、山内、榎本らのミサイル打線でリーグ制覇。62年には本拠地の東京スタジアムが完成し、64年に東京オリオンズに改称した。69年にロッテと業務提携してロッテオリオンズに改め、70年にリーグ優勝。71年にロッテが経営権を獲得。73年には仙台を準本拠地とし、金田監督2年目の74年に有藤、村田らの活躍でリーグ制覇と日本一を達成した。78年から川崎球場を本拠地にして落合らを輩出。92年から千葉に移転し、千葉ロッテマリーンズとなる。2005年にバレンタイン監督の下、西岡、今江らの活躍で31年ぶりにリーグ優勝と日本シリーズ制覇を果たした。今季は西村新監督が率い、クライマックスシリーズを勝ち抜いて史上初めてリーグ3位から日本一に輝いた。
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