マリン名物の大声援が復活!!ロッテ躍進を支える「和」の心
面白いほど、つながる。
これが「和」の力なのだろうか。打ちだしたら止まらない、今季の千葉ロッテ打線である。
3割打者5人を擁するチーム打率、そして四球数73というリーグダントツの数字(4月11日現在)もさることながら、特筆すべきは数字には表れない集中打。一度調子に乗ったら最後、これがまた、よくつながるのだ。
「誰かが駄目な時は他がカバーする。全員でやっているのが伝わってくる」
19安打すべてが単打で勝利した4日のオリックス戦後に西村監督が言うように、今年のマリーンズ打線は、チーム全体につなぎの意識が浸透しているように見える。
今年1月。西村マリーンズの船出は「和」というチームスローガンを掲げるところからはじまった。バレンタイン体制からの脱却を意味する「洋」から「和」への意。そしてもうひとつ西村監督には大きな願いがあった。
「昨年はみんなが違う方向を向いているのを感じた。今年は現場、フロント、ファンの心を一つにしたい」
アジアチャンピオンに輝いた2005年。マリーンズは現場・フロント・ファンが三位一体となった「和」の力で勝利を勝ち取ったと言っていい。今年は、その「和」をもう一度取り戻そうというのだ。実にこの球団らしいシャレを利かせたコピーながら、笑うことはできなかった。
それほどまでに昨年のマリーンズは深刻な事態に陥っていた。
≪「世界一の味方」の応援団が「敵」に回った昨季後半。≫
野球どころではない、最悪のシーズンだった。
事の発端は、球団フロントがシーズン前にバレンタインの退任を発表したことによる。
この異例の事態に球団と現場は対立を深めてしまい、醜聞が度々週刊誌を賑わせた。チームの成績は上がらず、負の連鎖はファンにまで波及し、バレンタイン残留を働きかけながら、ことごとく球団に無視をされていた一部ファンは、終盤に溜まっていたフラストレーションを最悪の形で暴発させた。
9月26日。試合中にフロントを糾弾する横断幕を掲げるライトスタンドのファンに、西岡剛がお立ち台から抗議をすると、翌9月27日には怒りの矛先が西岡へと向けられることになる。
「世界一の味方」であったはずの応援団から浴びせられる誹謗中傷の横断幕とブーイング。それは、かつて初芝清がゲッツーを打った時に送られたような愛のあるブーイングとはまったく異質の冷たくも苦い鈍痛が伴っていた。
ライトスタンドではファン同士で罵倒する声が飛び交い、小競り合いが起きた。それは日本一の団結力を誇ったロッテファン、いや、中学生の頃から観てきた、弱くても野球を楽しむ術を心得ていたロッテファンの姿からは想像もできない悲しい光景だった。
「こんなのマリーンズじゃねぇよ。何が『俺たちの誇り』だよ」
隣の席にいた会社員風の男性が叫んでいた。
問題を起こした彼らもマリーンズを愛していたことは間違いない。しかし、同じ思いを持っていながら、ボタンの掛け違えで悲劇は起こり、そして進んでいく。
シーズン終了後、来季のマリンスタジアムから一部の応援団が撤退するという話を聞いた。さらには、ロッテファンを象徴する応援歌である『俺たちの誇り』をはじめ、これまでの応援歌は廃止する方向だという。
2010年のシーズンに暗雲が立ち込めていた。
≪“伝説の応援団員”と呼ばれる男・ジントシオが奮闘。≫
3月3日。2010年の千葉マリンスタジアム初戦となったこの試合は、オープン戦とはいえ重要な意味を含んでいた。焦点はひとつ。今季の応援はどうなるのか?
たかが、応援ではない。それは「和」を掲げる新生西村マリーンズにとっては、生命線にも等しい重要な問題である。
多くの人たちの不安を乗せて開場したライトスタンド。その演舞台には、“伝説の応援団員”と呼ばれる男が立っていた。2004年までマリーンズの応援をリードしてきたジントシオ氏の復活。的確かつファンを団結させるウィットに富んだリードは、往年のファンからは神格視されるほどの存在だという。
だが、今年は歌詞のマイナーチェンジも含めると8割方の応援が変更されている。昨年までの応援に慣れ親しんだファンは戸惑いを隠せず、伝説の男をもってしても、厳しい道のりが容易に予想された。
それでも、ジン氏は声を張りファンをアジり続けていた。
「和の心! 和の心! 和の心!」
≪その大声援に甲子園の応援に慣れた今岡でさえ驚いた!!≫
「声援が大きくて、緊張しました」
3月26日の本拠地開幕戦後、甲子園の大歓声に慣れ親しんだはずの今岡誠は、マリンスタジアムの歓声に驚きを隠さなかった。
「昨年までは敵でうらやましい応援だなと思いながら投げていたんですけど、今年は本当に心強い味方で……最高です」
4月1日の楽天戦で移籍後初勝利を挙げた川越英隆はお立ち台で嬉しそうに言った。移籍してきた彼らの発言は、マリンのライトスタンドのもたらす力が、昨年までの応援と何ら変わりのないことを証明していた。
それを確かめに、先週末の西武3連戦。3月3日以来、ライトスタンドへと足を運んだ。
まだ、歌詞カードが手放せない人が目立つが、誰もが声を出している。あちこちで、卵から孵ったばかりのメダカの大群のようにファンが跳ねまわっている。
そこには、'05年のライトスタンドにも比類する圧倒的なグルーヴ感が確かに存在した。スタンドにいた若い女性ファンがこんなことを言う。
「昨年のことがあるから、余計に応援しなくちゃと思うんです。今年は球団も選手もやる気になってくれているし、応援歌が歌えなくても、何かしたくてウズウズしませんか?」
ファン同士の思い、選手の思い、そして、多分、球団の思い。誰かの思いが誰かへとつながっていく。これが、「和」の心だろうか。嬉しくなって、声を出した。年甲斐もなく、ジャンプしたい衝動に駆られた。
楽しい。
これが、マリンのライトスタンドだ。
勝っても負けても、応援が好きでも嫌いでも、今、このスタジアムには、同じ思いを持つ人たちの歓びに溢れている。
この「和」が続く限り、マリーンズの快進撃は止まらない。
大嶺連続完投!ロッテ開幕21戦連敗なし
ロッテが快勝し、球団新となる開幕21試合連続の連敗なしが確定した。先発の大嶺祐太投手(21)は初回に1点を失ったが、2回以降は立ち直って3安打1失点で、7日のソフトバンク戦に続く自身初の2試合連続の完投勝利。打線は5試合連続の2ケタ安打と、投打がガッチリとかみ合い、西村ロッテの快進撃は止まらない。
ロッテ大嶺が自身初の2試合連続完投をやってのけた。自己最多で、今季セ、パを通じても最多となる155球を投げ抜いて3安打1失点。4安打完封した、前回登板(7日ソフトバンク戦)の勢いを札幌でもみせつけた。
「きのう中継ぎが投げていたんで、できるだけ長い回を投げたかったんです」。1回に制球を乱して先制を許したが、本格導入した110キロ台のカーブとチェンジアップが決まって、3回以降は日本ハム打線に三塁を踏ませなかった。
キャンプで達成した2000球を超える投げ込みが自信と自覚を生んでいる。口癖のように言う「強く腕を振る」ことを意識して、140キロ中盤の直球を主体にグイグイ押した。最終回の日本ハム中田との対戦では、140キロ台を3度記録するなど球威は最後まで衰えなかった。試合後は思わず「疲れました」と笑った。
対日本ハム戦の相性の悪さも吹っ飛ばした。09年は5試合に登板し1勝3敗、防御率は12点台と打ち込まれた。チームも6勝18敗と大きく負け越していた。そんな悪いイメージを一掃。西本投手兼バッテリーチーフコーチは「よく我慢した。前回の完封が自信になった」と喜んだ。
投打がかみ合ったロッテはこれで今季3度目の3連勝。開幕から21戦連敗なしの球団新記録で、貯金は今季最多を更新する9。西村監督は「中継ぎを休ませたかった。大嶺がよく完投してくれた」と、頼もしく成長した右腕を褒めた。
大嶺、連続完投星…開幕20戦連敗なし
意地、責任。弱冠21歳の若者が強い気持ちで投げ抜いた。九回2死二塁。ロッテ・大嶺はこの日153球目、チェンジアップで坪井を一ゴロに仕留めて試合を締めた。ホッとした表情を浮かべた右腕を、ナインがハイタッチでねぎらった。自身初の2試合連続完投勝利。チームの開幕20戦連敗なしは54年ぶりだ。
一回、「ブルペンから調子は良くなかった」と話した通り、先頭の糸井に与えた四球をきっかけに先制を許した。だが「最少失点で抑えれば打線が何とかしてくれる」と味方を信頼し、気持ちを切り替えた。三回以降はチェンジアップが低めに決まりだし、終わってみれば3安打1失点。文句なしの快投だった。
前日、チームは延長十回を戦い中継ぎ4人を投入。それだけに「なるべく多いイニングを目指した」という。7回を終え128球だったが、首脳陣から“続投できるか”と問われると「行けます」と即答した。
完封した7日のソフトバンク戦で秋山監督から抗議を受けた“3段モーション”も「気にしてない。審判がOKだったんで」とどこ吹く風だ。頼もしい右腕が、ロッテの旋風をさらに激しくさせた。
【熊さん目線】
ハム今季ワーストの3安打でロッテに完敗
相手チームの勝利のハイタッチを尻目にベンチから引き揚げるのが、悔しいルーティンになった。日本ハムが今季ワーストの3安打で完敗。ロッテ戦は引き分けを挟んで、白星なしの4連敗となった。梨田昌孝監督(56)は「初回1点を取って、すぐにサブローに逆転本塁打を打たれてね。流れが悪かった」と表情をゆがめた。
二岡の先制打で引き寄せた流れを、先発カーライルがわずか数分で手放した。2回サブローに逆転弾を浴びると、さらに4回1死二、三塁の場面。神戸を歩かせて的場との勝負を選択したが、ストレートの押し出し四球でみすみす失点した。指揮官は「絶対しちゃいけないところ。ストライクを取らないと話にならない」と、珍しく選手を責めた。だが一方でカーライルは「意識しすぎたということはないけど…結果として歩かせてしまった」。淡々と振り返ったのが対照的だった。
昨季の対戦打率3割6分3厘で3つの黒星を付けた大嶺に打線も沈黙。首位ロッテとのゲーム差は今季最大の8・5に広がった。「地力」のあるチームとはいえ、挽回(ばんかい)できない“危険水域”に達しつつある。
【気になる記事】
ベンチ破壊神内にオリックスが弁償請求へ
自分への腹立たしさだろうが、相手本拠地のベンチを破壊したソフトバンク神内靖投手(26)は大きな代償を払うことになりそうだ。オリックス側は、本拠地京セラドーム大阪の備品破損に対し、ソフトバンクに弁償を求める方針だ。同球団広報部は「これまでもガラスを破損したケースなどは、相手球団に弁償をお願いしている。今回もそういうことになるでしょう」と話した。せっかく先発のチャンスをもらいながら次回登板は白紙。その上、ベンチ代も請求されるとしたら…。神内にとっては「魔の水曜日」というほかない。
面白いほど、つながる。
これが「和」の力なのだろうか。打ちだしたら止まらない、今季の千葉ロッテ打線である。
3割打者5人を擁するチーム打率、そして四球数73というリーグダントツの数字(4月11日現在)もさることながら、特筆すべきは数字には表れない集中打。一度調子に乗ったら最後、これがまた、よくつながるのだ。
「誰かが駄目な時は他がカバーする。全員でやっているのが伝わってくる」
19安打すべてが単打で勝利した4日のオリックス戦後に西村監督が言うように、今年のマリーンズ打線は、チーム全体につなぎの意識が浸透しているように見える。
今年1月。西村マリーンズの船出は「和」というチームスローガンを掲げるところからはじまった。バレンタイン体制からの脱却を意味する「洋」から「和」への意。そしてもうひとつ西村監督には大きな願いがあった。
「昨年はみんなが違う方向を向いているのを感じた。今年は現場、フロント、ファンの心を一つにしたい」
アジアチャンピオンに輝いた2005年。マリーンズは現場・フロント・ファンが三位一体となった「和」の力で勝利を勝ち取ったと言っていい。今年は、その「和」をもう一度取り戻そうというのだ。実にこの球団らしいシャレを利かせたコピーながら、笑うことはできなかった。
それほどまでに昨年のマリーンズは深刻な事態に陥っていた。
≪「世界一の味方」の応援団が「敵」に回った昨季後半。≫
野球どころではない、最悪のシーズンだった。
事の発端は、球団フロントがシーズン前にバレンタインの退任を発表したことによる。
この異例の事態に球団と現場は対立を深めてしまい、醜聞が度々週刊誌を賑わせた。チームの成績は上がらず、負の連鎖はファンにまで波及し、バレンタイン残留を働きかけながら、ことごとく球団に無視をされていた一部ファンは、終盤に溜まっていたフラストレーションを最悪の形で暴発させた。
9月26日。試合中にフロントを糾弾する横断幕を掲げるライトスタンドのファンに、西岡剛がお立ち台から抗議をすると、翌9月27日には怒りの矛先が西岡へと向けられることになる。
「世界一の味方」であったはずの応援団から浴びせられる誹謗中傷の横断幕とブーイング。それは、かつて初芝清がゲッツーを打った時に送られたような愛のあるブーイングとはまったく異質の冷たくも苦い鈍痛が伴っていた。
ライトスタンドではファン同士で罵倒する声が飛び交い、小競り合いが起きた。それは日本一の団結力を誇ったロッテファン、いや、中学生の頃から観てきた、弱くても野球を楽しむ術を心得ていたロッテファンの姿からは想像もできない悲しい光景だった。
「こんなのマリーンズじゃねぇよ。何が『俺たちの誇り』だよ」
隣の席にいた会社員風の男性が叫んでいた。
問題を起こした彼らもマリーンズを愛していたことは間違いない。しかし、同じ思いを持っていながら、ボタンの掛け違えで悲劇は起こり、そして進んでいく。
シーズン終了後、来季のマリンスタジアムから一部の応援団が撤退するという話を聞いた。さらには、ロッテファンを象徴する応援歌である『俺たちの誇り』をはじめ、これまでの応援歌は廃止する方向だという。
2010年のシーズンに暗雲が立ち込めていた。
≪“伝説の応援団員”と呼ばれる男・ジントシオが奮闘。≫
3月3日。2010年の千葉マリンスタジアム初戦となったこの試合は、オープン戦とはいえ重要な意味を含んでいた。焦点はひとつ。今季の応援はどうなるのか?
たかが、応援ではない。それは「和」を掲げる新生西村マリーンズにとっては、生命線にも等しい重要な問題である。
多くの人たちの不安を乗せて開場したライトスタンド。その演舞台には、“伝説の応援団員”と呼ばれる男が立っていた。2004年までマリーンズの応援をリードしてきたジントシオ氏の復活。的確かつファンを団結させるウィットに富んだリードは、往年のファンからは神格視されるほどの存在だという。
だが、今年は歌詞のマイナーチェンジも含めると8割方の応援が変更されている。昨年までの応援に慣れ親しんだファンは戸惑いを隠せず、伝説の男をもってしても、厳しい道のりが容易に予想された。
それでも、ジン氏は声を張りファンをアジり続けていた。
「和の心! 和の心! 和の心!」
≪その大声援に甲子園の応援に慣れた今岡でさえ驚いた!!≫
「声援が大きくて、緊張しました」
3月26日の本拠地開幕戦後、甲子園の大歓声に慣れ親しんだはずの今岡誠は、マリンスタジアムの歓声に驚きを隠さなかった。
「昨年までは敵でうらやましい応援だなと思いながら投げていたんですけど、今年は本当に心強い味方で……最高です」
4月1日の楽天戦で移籍後初勝利を挙げた川越英隆はお立ち台で嬉しそうに言った。移籍してきた彼らの発言は、マリンのライトスタンドのもたらす力が、昨年までの応援と何ら変わりのないことを証明していた。
それを確かめに、先週末の西武3連戦。3月3日以来、ライトスタンドへと足を運んだ。
まだ、歌詞カードが手放せない人が目立つが、誰もが声を出している。あちこちで、卵から孵ったばかりのメダカの大群のようにファンが跳ねまわっている。
そこには、'05年のライトスタンドにも比類する圧倒的なグルーヴ感が確かに存在した。スタンドにいた若い女性ファンがこんなことを言う。
「昨年のことがあるから、余計に応援しなくちゃと思うんです。今年は球団も選手もやる気になってくれているし、応援歌が歌えなくても、何かしたくてウズウズしませんか?」
ファン同士の思い、選手の思い、そして、多分、球団の思い。誰かの思いが誰かへとつながっていく。これが、「和」の心だろうか。嬉しくなって、声を出した。年甲斐もなく、ジャンプしたい衝動に駆られた。
楽しい。
これが、マリンのライトスタンドだ。
勝っても負けても、応援が好きでも嫌いでも、今、このスタジアムには、同じ思いを持つ人たちの歓びに溢れている。
この「和」が続く限り、マリーンズの快進撃は止まらない。
大嶺連続完投!ロッテ開幕21戦連敗なし
ロッテが快勝し、球団新となる開幕21試合連続の連敗なしが確定した。先発の大嶺祐太投手(21)は初回に1点を失ったが、2回以降は立ち直って3安打1失点で、7日のソフトバンク戦に続く自身初の2試合連続の完投勝利。打線は5試合連続の2ケタ安打と、投打がガッチリとかみ合い、西村ロッテの快進撃は止まらない。
ロッテ大嶺が自身初の2試合連続完投をやってのけた。自己最多で、今季セ、パを通じても最多となる155球を投げ抜いて3安打1失点。4安打完封した、前回登板(7日ソフトバンク戦)の勢いを札幌でもみせつけた。
「きのう中継ぎが投げていたんで、できるだけ長い回を投げたかったんです」。1回に制球を乱して先制を許したが、本格導入した110キロ台のカーブとチェンジアップが決まって、3回以降は日本ハム打線に三塁を踏ませなかった。
キャンプで達成した2000球を超える投げ込みが自信と自覚を生んでいる。口癖のように言う「強く腕を振る」ことを意識して、140キロ中盤の直球を主体にグイグイ押した。最終回の日本ハム中田との対戦では、140キロ台を3度記録するなど球威は最後まで衰えなかった。試合後は思わず「疲れました」と笑った。
対日本ハム戦の相性の悪さも吹っ飛ばした。09年は5試合に登板し1勝3敗、防御率は12点台と打ち込まれた。チームも6勝18敗と大きく負け越していた。そんな悪いイメージを一掃。西本投手兼バッテリーチーフコーチは「よく我慢した。前回の完封が自信になった」と喜んだ。
投打がかみ合ったロッテはこれで今季3度目の3連勝。開幕から21戦連敗なしの球団新記録で、貯金は今季最多を更新する9。西村監督は「中継ぎを休ませたかった。大嶺がよく完投してくれた」と、頼もしく成長した右腕を褒めた。
大嶺、連続完投星…開幕20戦連敗なし
意地、責任。弱冠21歳の若者が強い気持ちで投げ抜いた。九回2死二塁。ロッテ・大嶺はこの日153球目、チェンジアップで坪井を一ゴロに仕留めて試合を締めた。ホッとした表情を浮かべた右腕を、ナインがハイタッチでねぎらった。自身初の2試合連続完投勝利。チームの開幕20戦連敗なしは54年ぶりだ。
一回、「ブルペンから調子は良くなかった」と話した通り、先頭の糸井に与えた四球をきっかけに先制を許した。だが「最少失点で抑えれば打線が何とかしてくれる」と味方を信頼し、気持ちを切り替えた。三回以降はチェンジアップが低めに決まりだし、終わってみれば3安打1失点。文句なしの快投だった。
前日、チームは延長十回を戦い中継ぎ4人を投入。それだけに「なるべく多いイニングを目指した」という。7回を終え128球だったが、首脳陣から“続投できるか”と問われると「行けます」と即答した。
完封した7日のソフトバンク戦で秋山監督から抗議を受けた“3段モーション”も「気にしてない。審判がOKだったんで」とどこ吹く風だ。頼もしい右腕が、ロッテの旋風をさらに激しくさせた。
【熊さん目線】
ハム今季ワーストの3安打でロッテに完敗
相手チームの勝利のハイタッチを尻目にベンチから引き揚げるのが、悔しいルーティンになった。日本ハムが今季ワーストの3安打で完敗。ロッテ戦は引き分けを挟んで、白星なしの4連敗となった。梨田昌孝監督(56)は「初回1点を取って、すぐにサブローに逆転本塁打を打たれてね。流れが悪かった」と表情をゆがめた。
二岡の先制打で引き寄せた流れを、先発カーライルがわずか数分で手放した。2回サブローに逆転弾を浴びると、さらに4回1死二、三塁の場面。神戸を歩かせて的場との勝負を選択したが、ストレートの押し出し四球でみすみす失点した。指揮官は「絶対しちゃいけないところ。ストライクを取らないと話にならない」と、珍しく選手を責めた。だが一方でカーライルは「意識しすぎたということはないけど…結果として歩かせてしまった」。淡々と振り返ったのが対照的だった。
昨季の対戦打率3割6分3厘で3つの黒星を付けた大嶺に打線も沈黙。首位ロッテとのゲーム差は今季最大の8・5に広がった。「地力」のあるチームとはいえ、挽回(ばんかい)できない“危険水域”に達しつつある。
【気になる記事】
ベンチ破壊神内にオリックスが弁償請求へ
自分への腹立たしさだろうが、相手本拠地のベンチを破壊したソフトバンク神内靖投手(26)は大きな代償を払うことになりそうだ。オリックス側は、本拠地京セラドーム大阪の備品破損に対し、ソフトバンクに弁償を求める方針だ。同球団広報部は「これまでもガラスを破損したケースなどは、相手球団に弁償をお願いしている。今回もそういうことになるでしょう」と話した。せっかく先発のチャンスをもらいながら次回登板は白紙。その上、ベンチ代も請求されるとしたら…。神内にとっては「魔の水曜日」というほかない。
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