『武器よさらば』(ヘミングウェイ 大久保康雄訳 新潮文庫)
仕事の合間に、一日で読んでしまった。良くも悪くも、すらすら読めてしまうのである。
情景の描き方には過不足ないとしても、人物の心理描写や会話が、エンタメ系小説のように軽すぎ、ことによってはシナリオ的に、これらがだらだら続く。流し読みしても後悔すらしない、そんな文体である。
また、反戦的な題名とは裏腹に、主人公は躊躇なく脱走兵を射殺し、そのくせ本人は恋人に会いたいがために戦線離脱する。
恋愛小説として読めば、面白くはある(感情移入できればの話だが)。しかし、主人公は、もし恋人のためであるなら、すすんで武器をとるだろう。題名は、厭戦に由来こそすれ、反戦には通じない。この思想的貧弱さが、本書の魅力を削いでいるように思えた。
恋人は出産後の経過が悪く、死んでしまう。戦争とは無関係なクライマックスであった。二人でスイスに亡命するところまでは面白かったのだが…

仕事の合間に、一日で読んでしまった。良くも悪くも、すらすら読めてしまうのである。
情景の描き方には過不足ないとしても、人物の心理描写や会話が、エンタメ系小説のように軽すぎ、ことによってはシナリオ的に、これらがだらだら続く。流し読みしても後悔すらしない、そんな文体である。
また、反戦的な題名とは裏腹に、主人公は躊躇なく脱走兵を射殺し、そのくせ本人は恋人に会いたいがために戦線離脱する。
恋愛小説として読めば、面白くはある(感情移入できればの話だが)。しかし、主人公は、もし恋人のためであるなら、すすんで武器をとるだろう。題名は、厭戦に由来こそすれ、反戦には通じない。この思想的貧弱さが、本書の魅力を削いでいるように思えた。
恋人は出産後の経過が悪く、死んでしまう。戦争とは無関係なクライマックスであった。二人でスイスに亡命するところまでは面白かったのだが…

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