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よい子の読書感想文 

2005年から、エッセイ風に綴っています。

読書感想文521

2015-10-31 10:49:00 | ガイドブック・ハウツー
『ゆっくり走れば速くなる』(佐々木功 ランナーズ)

 以前から気になっていたマラソントレーニングのロングセラー本である。
 いわゆるLSD(ロング・スロー・ディスタンス)の必要性、効用を詳しく紹介、解説したもので、おそらく日本のランニングのトレーニングメニューに多大な影響を与えた本である。
 私の周囲にも、LSDを積極的に取り入れてトレーニングしている人たちがあり、中には確かにかなわない速さのランナーもいて、この印象的な題名は常に念頭にあった。
 スポーツ用品店のランニング用品コーナーにも並んでいるし、ランネットというランナーズと連動したサイトでも売られている。復刻版が出てかなり経つのに、まだまだその内容が有用であるということだろう。
 実はいままでにも何度か買おうとした。しかし、「だいぶ古い本だよな」とか、「LSDよりスピード練習だろう」と、いまいち本書の趣旨に同調が見いだせず、購入を見送ってきた。なにしろ自分で練習メニューを組んでそれをこなしていた当時、記録は縮まり続けていて、読む必然性を感じなかったのだ。
 で、いまはどうかというと、フルマラソン2時間42分切り、つまり福岡国際マラソン出場のための記録を、諦めかけていた。それを目指していたときの苦しい食事制限、にもかかわらず失敗したレースを思い出すと、もうフルはいいよ、という気分になりかけていた。
 もし本書で著者がいうように、トレーニングが足し算よりは掛け算であり、素材1に練習10を掛ければ10にしかならないが、素材を1.1にできれば同じ練習量でアウトプットが違うとすれば・・・LSDこそが素材の開発に役立つのであれば・・・確かに私に必要なのは、長くゆっくり走る練習だろうと思った。せっかちな私には欠けていた練習方法だったからである。
 人から聞いたり雑誌で読んで知ってはいた。LSDが「正しいフォームを身につけ」、「末梢毛細血管を目覚めさせ身体資源を開発し」、「脂肪を燃やしてエネルギー源として使う」ということは。知ってはいたが、上り調子の私は、ガンガン走って、たまにポイント練習をしていれば速くなると実感しており、LSDはめったにやらなかった。
 ところが本書で、これらの効果に加え、疲労回復にもなり、さらに先に書いたように素材の開発となり、掛け算の結果が段違いになるとすれば・・・やらなきゃ損だと今さら気づかされた。しかも、体重管理の苦労も、LSDで解決できそうなのだ。
 まるで「禁煙セラピー」が禁煙の効用をうたって洗脳を図るような編集をしているのに似て、本書も大げさにいえば洗脳的にLSDを勧めている。だがそれだけでなく、フルマラソンで3時間を切り、さらにタイムを縮めるためにはどうするかと、突っ込んだ解説もあり、大変勉強になった。
 と、著者の勧めに従い、最近私は①ポイント練習②積極的休養(LSD的ラン)③コンディショニング(速い動きの確認)という3日サイクルのメニューを作るよう意識している。結果は自ずと出てくるはずだ。
 付箋紙だらけになったが、今後も参照しながらトレーニングしたいと思う。良い本に出会えた。



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