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よい子の読書感想文 

2005年から、エッセイ風に綴っています。

読書感想文861

2023-09-03 17:19:01 | 社会科学
『アゼルバイジャン』(廣瀬陽子 ユーラシア文庫)

 ナゴルノ・カラバフ紛争について調べる所要量があり、取り寄せた。
 この人の書いたものなら、間違いないと思う。なにしろアゼルバイジャンに住んだことのある、数少ない日本人であり、いまや引っ張りだこのロシア関連評論家である。
 ただ、惜しむらくは、本書の発刊が2016年(アゼルバイジャンが勝利を収めた大規模な紛争は2020年)ということだ。
 焦眉の紛争については何ら触れることはできていないが、しかしそれゆえに、戦前の情勢を知るには意義ある読書となった。
 アゼルバイジャンが(激しい貧富の差こそあれ)、資源によって潤い、アルメニアとは別格のGDPを誇り、軍備を充実させていたのは2020年の紛争後に知ることになったが、本書を読んでおれば、ある程度想定はできていたことなのかもしれない。
 あそこまで、完膚なき圧倒を見せたのは意外で、だからこそ新たな戦いかたとして注目されたわけだが。
 それにしても、知らなかったことの多さに恥じ入らざるを得ない。ソ連崩壊の直前に生起した『黒い1月事件』。チェコやハンガリーでやったのと同じ非道を、ソ連は最後まで繰り返していた。しかも、穏健派のように見られていたゴルバチョフの政権が・・・
 中央アジアとヨーロッパでは、人命の重さが、異なる扱いを受けている。という、嫌な気づきもあった。

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