司会 阿部 光成
記録 野々瀬 協子
初めに参加者名簿の順番に沿って名簿に記されている内容以外のことだけ(時間節約のため)補足するとの申し合わせで自己紹介をした。
次に内坂晃先生が発題講演を補足して語られた。
以前の自民党には,安倍などの右派の言動にブレーキをかけることが出来る戦争の悲惨の経験者が居たが、今はいない。独走態勢の安倍を日本の財界が後ろから支配していて、原子力発電や武器輸出などを企み、その資本の論理の上に政・官が乗っている。その背後にアメリカ資本の圧力がある。そのアメリカは1%の富裕層が富を握り、99%が貧しいという強力なシステムが出来上がっているからこの構造を崩すのは困難である。たとえば堤未果の著書(註1)に見るように、アメリカのアグリビジネスの巨大な力には他国の小さい農業を潰してゆく論理がある。TPPが結ばれたら大変なことになる。これに対抗するには各地で地産地消を行い地域経済を豊かにすることである。中央が権力を握っているシステムではなく別のシステムを構築しなければならない。グローバルな視点で日本の改憲の問題を考えなければならない。この構造の中では現在の憲法が邪魔になるので変えようとしている。
・現在の憲法9条を全面的に廃棄して国防軍を作る。これはアメリカ軍と一体化することでありその先には軍需産業をさかんにすることで、現在の憲法は邪魔である。憲法を変えるための段階として秘密保護法を作ろうとしている。国民が反対するであろう都合の悪いことは国民には何も知らせず、アメリカとは情報を通じ合う。
・国民の不満を抑えつけ、内部の矛盾を上からの強い力で消して一体化を強調する国家主義にもってゆくのに都合がいいのは天皇制を利用すること、天皇を元首であると強調する。・このような枠組みの中で自民党の憲法改正案を一つ一つ見てゆけば背景があるということが理解できる。
参加者からいろいろな話題が出されて活発な論議がかわされた。
・日本だけ見ていては分からない。アメリカの下に組み込まれていることがよくわかる。
・日米安全保障条約は10年毎に改訂されることになっているが、2012年は改訂の年だったが、問題点は改良されなかった。
・アメリカでは9.11の後テロリストを探し出すために制定された愛国法によって国民 の思想調査、統制が行われているようだ。ある本によると図書館の15%(30%の説もある)は図書館利用者の読書履歴の情報を調査官庁に報告することが義務付られている。しかもその図書館の名は厳重に秘密とされ、漏らしたらその図書館員は罰せられるとか。日本の図書館がこのようになってほしくない。
・日本でも民間での思想調査は始まっていると思う。アマゾンで本を買ったら、それ以後同じ傾向の本のコマーシャルの情報が次々に押し寄せて来るようになった。将来アマゾンやグーグルに自分の思想内容の情報が捕捉されアメリカの情報機関に集められたら・・・と思うと不安である。
・インターネットはアメリカの国防システム・アーパネットから始まっていて、便利な手段だと皆は喜んで使っているが、最初から危険を持っている。この危険を避けるために外部とは連絡に用いない大学(前橋技術大学、情報技術大学など)もある。情報革命によって日本の情報はアメリカに全部掴まれて、情報操作されている。日本にはこのような事態になる事を防ごうとした先の見える政治家がいないのが残念である。
・オリンピック招致の時に安倍首相は原子力発電所の汚染問題は解決したと発言したが、とんでもない大嘘つきである。多くの人々を困難と悲嘆に陥れても無かったことにしようとしている。国民を踏みにじる姿勢,予算の使い方のいい加減さといい、これらと憲法改悪は通底している。
・原子力発電はコストが安いと言いはやされて虚構と欺瞞の上で作られた。電力不足の際には各電力会社間で送電し合うシステムを作ろうと発案した役人は辞めさせられ、代替エネルギー推進策も潰された。東京電力と役人と政治家が利権と不透明な巨額な金で結びついている。あのような大事故の後でも反省もせずなおも原子力発電を続けよう、外国にも売りつけようとしている。被害を受けた福島県民への謝罪も責任も充分にとろうとしていない。ドイツと日本は全く対極的にちがう姿勢をとっている。福島の原発事故の報に接するとドイツのメルケル首相はは20年来考えてきた原子力発電についての決断=子孫にこのような危険なものを遺してはならない=をくだして将来的には廃止することにした。 この道義的な精神は先の大戦の加害責任を周辺の国々に謝罪し、ナチスの仕業を現在でも追求し続けている姿勢にも現れている。それに比べて日本は戦争の加害責任を頬かぶりして周辺の国々に対して充分な謝罪をしてないと非難を浴びる原因となる言葉を歴代の総理大臣の多くを初めとする自民党の政治家は吐き続けて円満な外交関係をもてていない。その総仕上げが憲法改悪である。
・安倍首相はアベノミクスという三本の矢を推し進めているが、国民の人権を無視した
大企業中心の政策である。第四の矢は憲法9条を廃止しようとする憲法改悪である。これは大きな死の矢である。我々は黙っていてはいけない。身近なところから平和をつくってゆく思いと行動をしなければならない。
・自民党の改革案と現行の憲法がどのようにちがうのか素人にははっきりと分からない。
改正案は国家デザインとリンクしていると伊藤真氏の講演会で知ったが、具体的に専門家に解説して欲しい。
・自民党が発行した「日本国憲法改正草案」(現行憲法対照)を読むといい。これは千葉真さんの講演会(註2)の時に使われたテキストですが、併記されている項目を一つ一つ対照しながら読んでゆくとよく分かります。
・若者の無関心、政治意識の低さが問題である。8月15日が何の日か知らない若者が多い。戰争のことをいうよりはこれまで60余年を平和であったことを話した方が良いと語る若者がいるが、これは戦争のことは知らなくてもいいという無関心につながる。こういう人達は煽動されやすく何かあるとワーッと群がって雪崩のように崩れてゆく危険がある。たとえば、憲法改定賛成、ヘイトスピーチなど背後に右翼や政府の力が働いているのであろう。配付資料の熊野勝之氏の発言(註3)は大変良い事が述べられている。これをよく読んで他の人達に個々に語りかけ、説得してゆかなければならない。
以上列挙したほかにも
・日本と中国との関係について対立と考えずに中国が悩んでいる問題(たとえば大気汚染など)に日本の進んだ技術を提供して解消に協力するなど友好的な援助を推し進めなければならない。
・自民党独走を阻むために野党勢力の統合を図ること、
・教育に問題がある
・住民運動に対して一般の人達の反応が鈍く,意識が低い
・沖縄の辺野古問題で市長選挙の立候補者の党派対立その他の問題、 など多くの発言がありましたが割愛させていただきました。
註1;堤未果の著書『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』海鳴社 2006
『ルポ貧困大国アメリカ』 岩波新書 2008
『ルポ貧困大国アメリカⅡ』 岩波新書 2010 その他多数、共著も
註2;キリスト教伝道会主催平和講演会
鎌田利治:亡国の第一歩
千葉 真:憲法改正と尖閣諸島 9月23日 於 在日韓国YMCA会館
註3;熊野勝之:『政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさせない体験的憲法解釈』
① ② ③
週刊 法律新聞 2013年7月5日、12日、19日 掲載