坂内 宗男
皆さん こんにちは!
今年もこのように約150名の方々が全国よりお集まりくださいまして、共に祈り、語り合う機会が与えられましたことは、なによりの喜びでございます。会場も、一昨年この会場を八年振りに用いさせていただいて、また今年もこのように用いることが出来ますことは有難いことです。
この種集会は、1987年初回を持って以来今年で27回目に当たります。
主題をみますと、無主題の時もございましたが、よく見ると、時代を反映していまして、「信仰・キリストの一致」から「無教会の継承(その源流をさぐり)」→生きるとは(地の塩、世の光)→真実・良心→神の愛と義→一昨年の「希望の根拠」、そして昨年沖縄での「天には栄光、地には平和、低きに立つ神」、そして今年の「闇を照らす光」なのであります。
そこには、全き闇の現実にあって、真に生きる力を与えるもの、それはキリストの光である、ということの証言と告白こそが今年集会開催のメ-ンなのであります。
あの一昨年の3月11日に起きた未曾有の大震災・津波・福島第一原発の爆発に基づく放射能拡散という1945年の敗戦時に匹敵する大国難にあって、東北の民衆が今もより苦しみが深化する事態の中で、政治の世界では既に一昨年の12月に野田首相は放射能問題について終息宣言を致し、はたまた安倍首相はこの9月7日、プエノスアイレス・IOC総会での2020年5輪東京招致のプレゼンテ-ションで、「放射能汚染水完全統制」という大ウソ発言をし、片やヴェトナム・トルコ等発展途上国に対し原発売り付けに動いている2枚舌を見るとき、対外的には原発問題は完全にフタをし、内的には国家による民衆の封じ込め強化は歴然たるものがあります。その線上にあるのが自民党による公然と浮上してきた憲法改正案‐天皇の元首化、軍事国家、人権規定の制限等現憲法の基本原理の破壊であり、これを持って安倍首相は外見は景気浮揚策というオブラ-トで包み、内実は憲法改定を策し、昨年12月の衆院選、今年7月の参院選に臨み圧倒的勝利を得、実質的に集団的自衛権を公認、特定秘密保護法の制定、国家安全保障法と憲法の骨抜きを計ることから外堀をうずめ、憲法改定へと勢いを加速しているのがわが国の実態なのであります。この逆コ-ス・戦前復帰の道は、安倍首相が9月、米国内また国連の場で「積極的平和主義」を唱え、それは軍事国家という普通の国にすることだ、という発言から明白で、しかし、これは、Y・ガルトゥング(ノルウェの政治学者)の唱えた「積極的平和」の曲解でありまして、世のすう勢とは反した貧困なる発想であることは明白であります。ガルトゥングのいうのは、従来の平和な戦争のない状態の「消極的平和」に加えて、貧困・抑圧・差別などの構造的暴力がない平和をかく提唱したのであって、今や世界に在っては、国家の安全保障から人間の安全保障へと展開し、国連の場でも真剣に論じられつつあり、特に唯一国家基本法で規定する日本国憲法の平和的生存権(前文)は、益々脚光を浴びている所以なのであります。この永田町界隈と民衆の余りの意識の懸隔は悲劇ともいえて、私達は、主の僕として、わが国のあるべき道は、憲法改悪を許さず、むしろ実体化こそが国際社会の中で、緑の地球を守り、人倫に基づき信頼されて共生する道であると確信します。
では、このよう闇の世界の中で、キリストの光はほんとうに生きているのか、私たち地の塩・世の光として召し出されたキリスト者の生き方が問われているのであります。特に日本の将来を担う若者が益々生きる希望を見失っている今の社会環境を直視し、それに大人が真剣に応え、生きがいのある社会形成に尽す責務があると思います。この意味で、この度の無教会全国集会では、ここ数年別途開催した無教会青年の全国集会を編入発展を企図し充実を願って、その為の企画を計ってますので、是非共同の祈りを願って止みません。
最後に、次第にこの種集会の地域開催が困難になって来た現状を直視するに、再検証の時ではないか、と思われます。その為には、初心に立ち返り、エクレシアの中心にイエス・キリストの在ることを確認致し、「ただ『イエス・キリスト』・『信仰』のみ」に立って、無教会者の横断的信仰の研鑽と交わりを噛みしめたく思います。そのためには、惰性を廃して常に原点に立ち帰るべく毎回解散を致し、エクレシアの意味を問い、無教会のレ-ゾンデ-トルたる純福音と地の塩的生を検証する場としてこの集いが用いられることを願うばかりであります。どうか、この集いに初めて来られた方や若者に声をかけ、またご高齢の方へのいたわり、心安まりキリストの力を得る集いでありますよう願ってやみません。