講義 富永 國比古
司会 土屋 聡
記録 森山 浩二
はじめに参加者からテーマに関わって各自の問題意識を発表してもらい、そのあと共通する二点(①福島と沖縄の問題は同根の差別があること、②福島に寄り添うためにはどうすればよいか)について話しあった。そのポイントを簡潔に報告します。なお、この分団に関する発題をされた富永国比古さんの発言だけは、実名にしました。
1 各自の問題意識
・大好きな自然が原発事故によって汚され、生き物にとって一番大切な空気も水も山も海も放射能で汚し危険と不安と不自由なものにした怒りがある。自然が豊かな福島が汚されて悔しい思いから、原発廃止を強く訴えたい。
・第二次世界大戦の責任に総括がないように、原発事故責任や総括もされていないことを許してはならない。また、日本だけでは解決できない問題について外国の専門家の協力を得ながら、早く原発事故の収束に向けて進めていかなければならない。
・東日本大震災、福島の原発事故は国難である。自分の目で見ないと分からないと思い、現場へ行くことで大変さを実感することが出来た。日本の政治は、原発も基地も弱い所へ押し付けている。福島の被災者の方々に寄りそうとはどうすることか?福島の原発事故のことを忘れないためにどうすればよいか?
・原発事故の収束に作業に携わっている人びとや被災者の方々のために、福島のことを忘れずに自分のこととして考え、祈っていきたい。
・東日本大震災の自然災害よりも原発事故の方が被害は深刻である。リスクを無視して経済優先してきた結果であり、原発を反対してこなかった我々もその責任は免れない。政治家を選んだし、文句を言えない構造的問題(金を貰っていた人、恩恵を受けてきた人)があり、そして無関心の問題もある。
・支援の輪に入りたいが何もできない自分が辛い。他人ごとではない。祈るのみ。
・会社に勤めているが、福島の東電社員と仕事のことで接したが、いろいろ嫌な面に出会った。また、会社員として何ができるか、関わり方と実際の行動が難しい。
・政府の福島への対応は、根本的に沖縄と同質である。また、東京に住む者は、電気について関心が薄く、意識が低かった。日本は電気が明るすぎるとドイツ人は言う。直接お手伝いをしたり、寄り添うことは難しいが、福島県二本松で米作りをしている高橋さんから、人参ジュースを取り寄せている。女たちの会を仙台でおこなった時に、「寄り添って祈ってほしい」と言われた。
・福島とオスプレイ問題は同じ。真実を知りたい。福島に寄り添って生きていきたい。
・福島出身なのになにも出来ないが、福島に自分たちのお墓を作った。
富永:反原発デモに参加しても、当事者として「反原発」と言えない気持ちがある。「放射能汚染」のトラウマを体験した福島県民は、もちろん「反原発」であるが、「反原発」を叫ぶだけでは解決できない問題を抱えている。福島の農業者は深刻な状況に置かれている。放射線量を悉く皆検査しても、農産物を購入してもらえない。それは、消費者の「エゴ」ではないか。また、生産者買いたたく「悪徳商人」もいる。
富永:東電のことを言うと、彼らはいわゆる「原子力ムラ」を作り上げ、前福島県知事を冤罪に追い込んだり、福島の医療の世界にも大きな発言力を持つようになってきた。闇の世界が迫って来ている。時は迫っていると思う。
・終末が間近に感じる。沖縄より福島がはるかに深刻である。放射能は10万年先迄残るけた違いに恐ろしい物質である。一人一人に及んでくる時代。終末に入っている。
2 ①福島に寄り添うにはどうするか。②福島と沖縄は同根の差別の問題について
・募金をしたが、大きな組織の場合使途が不明なことがあった。募金の仕方を検討して有効にお金を使ってくれるところに募金していきたい。
富永:県庁の若手官僚から聴いた話だが、復興関連の多額の補助金、補償金、除染費用など、暴力団やら得体の知れないNPO法人に流れているようだが、ここにも「闇の世界」が形成されている。
・東電の労働者の健康検査、特に下請けなどはずさんである。
・東電は原発で電力を作る能力は持っているが、汚染水の処理や原発事故への対応能力の無い会社である。土建屋に補修を任せたり、技術の幼稚な人が原発事故に対応している。
富永:「寄り添う」という言葉をよく聴くが、原発事故に関しては、先ず、「正義の回復」がなされることが、福島県民のトラウマ回復に必要である。行政は働きやすい環境作りが先決。他の自治体の応援が必要である。
・原発事故のあった地域は「住めない」と決定し、宣言する時期が近付きつつある。
・除染で無駄なお金を使うのはやめるべきで、福島の人が新しい土地で再出発する資金に使った方が有効である。瓦礫処分の問題は、放射能の中間処理から最終処分へ。住民運動は、がれきが自分の所に来ることは反対。
・神様に繋がる。世界に繋がる。福島・エジプトに繋がる。
・福島から沖縄へ千人ほど避難して来ている。沖縄へ、基地返還してもらって、避難先として沖縄へ来てもらう。
・原発はアメリカの戦略のために利用されている沖縄の基地の問題と同根の問題である。反原発に国民の意識が向いた時に石破自民党幹事長は、「原発が無くなったら、核抑止力が無くなってしまう」と、日本政府の原子力政策の本音を吐露した。
・戦争放棄を戦争抑止にしていいか。安倍政権は「沖縄には、泣いてもらいます」という方針。そして、原発事故後の福島へもその方針は変わらず、日本政府による一部の弱い地域への差別政策は遂行されようとしているし、その政治意識は同根であると言える。