トーキング・マイノリティ

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少数民族

2005-12-12 20:51:08 | 歴史諸随想
 民族問題は何かと人道主義を掲げる日本のマスコミが最も好むテーマの一つである。現代の日本において深刻な民族問題などないにも関らず、少数民族への差 別を針小棒大に喧伝するのを使命としているゆえ当然の姿勢だが、少数民族とその問題を抱えない国など世界中どの国も皆無と言ってよい。しかも、問題の根深 さは日本の比ではない。

 ホロコースト映画の影響か、ユダヤ人迫害はあまりにも有名だが、彼らが迫害を受けるようになった背景をマスコミはあまり紹介しない。第一次大戦後のドイ ツで、一般の貧しい民衆を尻目に豊かな生活を満喫していたのがユダヤ人。敗戦による社会の混乱に乗じ強かに財を築いた者も珍しくない。富を寡占独占状態に 置き、文化芸術界やマスコミも支配するようになる。築いた富を困窮した一般ドイツ人にさして還元もせず、逆に彼らの貧乏と無知を見下す者すらいたのだ。こ れでは憎まれても当然だが、ユダヤ人の対応は他の国でも変わりない。
 反ユダヤ主義はナチスのみならず、欧州全体、殊に東欧がひどかった。かつてポーランドでワレサが大統領に選ばれた際、内閣閣僚にユダヤ人がいるのいないのでワルシャワ市民はデモ行進し、あるプラカードにこんな文句があった。「奴らの脂肪で石鹸を作れ」!
 F.フォーサイスの小説『オデッサ・ファイル』では、戦前ユダヤ人が欧州で最も住みやすかった国がドイツとの記述があるし、八木あき子氏の著書『五千万 人のヒトラーがいた』にも結局ユダヤ人はアメリカやイスラエルからドイツに戻る例も少なくないとある。現地人はドイツを憎みながら何故住もうとするのか? と嫌悪感を感じているらしい。
 欧州のユダヤ人に対し、東南アジアでは華僑がその役割を果たしている。どちらも優秀だが極めて利己的な民族集団であり、現地人と協調する姿勢が稀薄な傾向は酷似している。

 社会が混乱・不安定になると、少数民族に憎悪が向けられるのは世界史でありがちの事だ。しかし、マイノリティ全てが標的になるのではなく、迫害対象にな らない例も珍しくない。攻撃される少数民族はある共通点がある。平時から多数派との仲が険悪で、表面は合わせていても互いに信用してない少数民族は危う い。欧州のユダヤ、東南アジアの華僑などはその典型だが、彼らと違い貧しく力もない民族なら大丈夫と思いきや、そうでもないから人間社会は複雑だ。インド のムスリム、中国の回族などは貧しく国内で力もない少数派だが、それ故に多数派の鬱憤晴らしにされる時もある。貧しく力がないといえ、決して穏やかで刺激 しない態度を取っている訳ではないから(犯罪率は人口比に対して多い)、普段から忌み嫌われているのは確かだろう。穏やかで控え目であっても、逆に力がな いと弱い者苛めの対象となる。
 迫害されにくい少数民族の特徴は、豊かだが周囲の異民族に気前よく富を還元し、協調性のあるタイプだ。

 さて、わが国最大の少数民族は華僑・ユダヤ型だろうか、またはムスリムタイプか?常に貧しく弱い後者型を装っているが、むしろ実際は前者に近いのはネッ トで知った人も少なくないだろう。少数民族で特に憎悪されるのは、「郷に入って郷に従う」に疎遠な前者のタイプだ。ちなみにこの諺の発祥は中国である。

 ◆関連記事:「ドイツは過去を反省している」「インドのユダヤ人

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2 コメント

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複雑な心理 (Mars)
2005-12-17 20:56:50
こんばんは、mugiさん。



今日未明の地震は大丈夫でしたか?

地震多国の日本ですが、いつ大地震は起きてもおかしくなく、備えるといっても限度があります。しかし、出来る限りのことはすべきですね。



フランスの暴動といい、本国人の寛容さと差別を訴えることによる自己の利益の拡大といい、本当にクズ呼ばわりされても仕方のない輩も少なくないですね。

例え、本国人同士でも完全に分かりえることは不可能。親族といえども、争いが全くない方が奇妙な位。ましてや、異国から来て、自分の利益ばかりを図る者とは。区別と差別との理解が出来ない(理解しようとも努力しない)者も少なくない。



>「郷に入って郷に従う」の諺の発祥は中国である。

やはり、中国人は奥(欲)が深い。やはり、ないものねだりで、儀礼や対日戦勝国と名乗りたい心境でしょうか。

日本に対しては、侮日だそうですが、やはり、その奥底には、聖徳太子の時代より、自分(中国)の言うことを聞かない国に対する嫉妬と劣等感の裏返しでしょうか。

(プライドの高い者ほど、自分の思い通りにいかない時に、尋常でない行動をするのは、古今東西、同じように思えます。)

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全ての責任を・・・ (mugi)
2005-12-17 21:29:10
こんばんは、Marsさん。



私は未明の地震で目が覚めました。大地震でなかったのは幸いでしたが、お盆の時といい最近の宮城県は地震が多いです。



「郷に入って~」の諺の発祥が中国と知った時は私も驚きました。人間は己のことを棚に上げて他人を非難したがるものですが、まさにその典型民族ですね(笑)。国内では少数民族を人間扱いしないくせに、海外移住すれば差別されたとわめき散らす。世界は自分に奉仕すべきである、と思い込んでいるのかもしれません。



「まず、ものの見方が極端に主観的で、客観的な見方が出来る者は少ない。従ってすぐ感情的になりプライドが強いくせに劣等感も強く、疑い深くそねみ易い。そして全ての責任を神に押し付けてしまう」。

これは欧米人のムスリムに対する一般的な印象だそうですが、最後の神を日本に置き換えれば、まさに中国、朝鮮ですね。
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