トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

歴女の弁明 その一

2012-01-04 21:11:25 | 私的関連

 歴女と呼ばれる女性たちがいる。wikiの定義に従えば「歴史好きあるいは歴史通の女性を指す」ため、私も歴女の端くれとなる。彼女たちが歴史好きになった背景はそれぞれあるだろうし、恋と同じで、ある対象を好きになることは理性では説明が付かない。数学や物理好きの女性でも、その動機は説明が難しいように。歴女となった原因は主に三つあると、私は考えている。

1.学校の授業。教育熱心な歴史教師の存在。
2.映画やТVドラマの影響。
3.歴史好きの家族や友人の存在。

 以上の3条件を私は全て持ち合わせている。中学時代の歴史教師は教育熱心で生徒たちから慕われおり、この教師の授業は熱心に聞いたものだった。もっとも私が英国嫌いになったのも、この教師の影響も少しはあると思う。高校時代の歴史教師はアホだったし、他の生徒たちからもバカにされていたが、歴史が嫌いになることはなかった。
「インド・中東史に関心あり」とプロフィールに書いているため、意外に思われるかもしれないが、少女時代の私は時代劇が大好きだった。私の子供時代は時代劇全盛であり、私に限らずクラスメートの多くはそれを楽しんで観ていた。『天下御免』は初めて夢中になった時代劇だったし、この番組はクラスでも話題になった程。

 最近はすっかりご無沙汰しているが、昔はNHK大河ドラマも殆ど欠かさず見ていたし、民放の時代劇も面白かった。特に民放の時代劇では吉原の女郎が登場、よく格子から手を差し招くシーンがあった。その意味も分からず、小学生だった私は友人とその真似をして、窓から手を出してふったこともある。お姫様よりも女郎の着物の方がより華やかに見え、あのような着物が着たいと言って、母を絶句させたこともある。他にも時代劇の真似をしていた同級生も結構いた。

 しかし、私の場合、教師や映画、ТVドラマよりも歴史好きの家族の影響が大きかった。母は歴史にまるで無関心だが、父がかなり歴史好きで、歴史小説や歴史書をよく購読していた。歴史でも父が関心を寄せたのは日本史の他は中国史で、何故か欧米史には殆ど興味を示さなかった。歴史に無関心でも母も時代劇は好きだったし、我が家では家族そろって時代劇を喜んで見ていた。
 父は古本屋で千夜一夜物語の何巻か買ってきたことがあり、中東にもある程度関心はあったはず。インドにも興味があったようで、たぶんインド旅行を計画していたと思う。訪印する先にインドを越え、西方浄土に行ってしまったが。

 以前の記事にも幾度か書いたが、私が中東に関心を持つようになったのは十代の末、映画『アラビアのロレンス』を見たのがきっかけだった。それ以前、世界史といえば中国史がもっぱらで、欧米史にはあまり関心のなかった私の興味を完全に変えた作品。この映画の影響で中東に関心を持つようになった女性も少なくなかったことを後に知るが、一言に中東と言っても、あの地域は実に広い。この映画でアラブや T.E.ロレンスに関心を持った女性が普通だろうし、はじめは私もそうだった。

 だが、生来のへそ曲がりゆえなのか、私の興味はアラブやロレンスから逸れていく。映画『アラビアのロレンス』を見て中東関連本を読んだ後、関心先はトルコになった。ムスタファ・ケマルという近代中東史の超弩級の英雄を知ったからだ。歴史作家・塩野七生氏の言葉を借りれば、「オトコを変えた」というところか。トルコを調べるうちに、さらにイランにも興味を持つようになり、今に至る。
その二の続く

◆関連記事:「イギリス嫌いの弁明

よろしかったら、クリックお願いします
人気ブログランキングへ     にほんブログ村 歴史ブログへ


最新の画像もっと見る