今朝はフォーレ・エレジーを聞いた。ピアニストは居なくても心にピアノが鳴り響く。ニックのエレジーは誰よりもドラマチック。それは何でかと言うと、盛り上げる部分は誰でも同じくらい盛り上がるが、打って変わってハッピーな部分を、真に切なく懐かしくハッピーに弾く、というのがニックはうまい。音楽では、この、転調というものがある。短調から長調に転調して、ムードがガラッと変わってハッピーになり、気持ちが最高に高まり、またもや転調して元の短調に戻る。しかし元の調に戻った時は元の気分では無い。一度幸福を知った気持ちは、それを失っても無には戻らない。それを演奏で表現出来るのがプロだと思う。俳句も同じ。なんてな事をぼんやり考えながらチェロを聞く朝はいいね。今日は七月の伊月庵レッスン。日は照って居ないが雨も降っていない。
休憩の時ニックにそう話したら怒られた。以下その内容。
「お前は何年吾輩の演奏や生徒へのレッスンを聞いてきたのだ? 何を聞いていたのだ? よいか? エレジー(悲歌)には、悲しいパートとハッピーなパートがあるだけでは無い! エレジーは四つのパートに分かれておる。まず悲しみがあり、次に幸福な思い出、それによって悲しみがいや増し、怒りや絶望となってクライマックスへ駆け上がり、その後、悲しみを受け入れた心に平和が訪れる予兆が見えて終わる。梅雨がもうじき明ける空のようにな‥‥‥。」
ガミガミ怒られていても、ニックの教えには、このようにインスパイアされるものが必ずある。怒られている事に気を取られず、しっかりと話を聴くことが肝要である、生徒諸君!!
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